関与先の皆様へ「お知らせ」

    今後の税制改正の流れについて

     関与先の皆様におかれましては既にご承知のことと存じますが、平成18年度の税制改正を改めて振り返りますと、とても静かに施行され、かつ、大きな影響力を持った改正であったと実感します。

    個人の所得税では、景気の回復(?)を受けて小渕内閣から続いた定率減税を廃止し、所得税・住民税の税率の調整が行われました。法人税においては、何といっても役員給与の改正があり、ある意味では新会社法を意識した抜本的な改正であったと言えるのではないのでしょうか。

     今はまだ、この改正による納税額の現実的な増加がありませんので、納税者の方の実感はないかも知れませんが、これからの流れを順番に申し上げますと・・・・・

    今年(平成18年分)の年末調整及び確定申告で「定率減税の廃止」により所得税が2年前より20%増税になっていることを体感し・・・・、そして次回の法人決算において同族で黒字決算の企業は「役員給与の給与所得控除額損金不算入」により本来の利益以上に法人税等の納税額が増加していることを確認し・・・・、さらに19年分の個人の市県民税においては700万以下の所得の方は税額が2倍近くに増加している・・・・という可能性があります。(個別に免除される措置もありますので、全てにおいて増税するわけではありません)

     税制改正のシナリオは今年度を通過点として、さらに引き続き「ニッポン」を支えるために展開していくわけですが、今後はどのような改正が予定され、私たちの経済環境に影響してくるのかが気になるところです。

     先日受講した研修で、講師の先生が今後の税制改正の見通しについて述べられていましたので、お役に立つかどうかは判りませんが一部ご紹介したいと思います。勿論、講師の先生の「私見による予測」ですし、その時々の世の中の動きによって変化していくものですから、あくまでも現状における向こう3年間の法人税、所得税、消費税の改正についての一考察ですが・・・

     関係する主な項目として、平成19年には「減価償却」「欠損金控除」「扶養控除」の見直し、同20年には「給与所得控除」「不動産所得」の見直し、同21年には「消費税率の引き上げ」が行われるのでは・・・というご意見でした。

     多少詳しく解説しますと、まず平成19年から・・・・
     「減価償却」の見直しとは、現行制度において耐用年数が経過しても経費化されない固定資産の「残存価額5%」を、欧米ヨーロッパ諸国において「0円」まで償却できることを参考に見直していくことのようです。
    また「欠損金の控除」も多くの先進国が無期限、もしくは20年以上等と長期であることに対し、日本では僅か7年でしかないことを受けて、こちらも検討していくようです。
    さらに「扶養控除」に至っては「ニート問題」、いわゆる子供が成人をしていても所得が無ければ扶養控除が受けられるという恩恵が、子供たちの早期就職に何らかの甘えを生み出していないかという考えから、扶養家族の状況に応じた控除額の減額を検討していくことのようです。

     平成20年では、まず「給与所得控除の減額」ですが、
    本来、サラリーマンが会社で精算できない必要経費(勤務費用)の概算控除として、給与収入から控除されていた「給与所得控除」を、業務請負や派遣労働など、個人事業扱い等の雇用形態の多様化により、「給与所得者」であることを理由に特別な控除がなされるのは現状と不一致であるとして、控除額の減額を図っていくということのようです。
    「不動産所得」の見直しとは、個人のアパート賃貸収入等において、これまでは「不動産所得」として申告していた手続を、事業的規模(本格的な賃貸)とそれ以外(単発、小規模)に分け、「事業的規模」は事業所得として申告し「それ以外」は雑所得として申告する、ということになるようです。これにより、事業所得となった賃貸収入の利益には事業税が課税され、雑所得となった部分には仮に赤字となった場合、他の所得と相殺できないというデメリットが生じます。

    そして平成21年には「消費税率の引き上げ」・・・
    諸外国、特にヨーロッパ諸国においては20%近い消費税が施行されている国も存在しますが、それは生活必需品には課税が軽減されていたり、社会福祉がそれに見合うほど充実していたりしている訳ですから、日本においてそういった法整備がなされない以上、現在の一律5%から3%アップの「8%」程度の引き上げがせいぜいではないかと考えられているようです。

     ゼロ金利政策解除に始まり、新聞その他のメディアにおいては景気の回復が報じられ、派手な買収劇に端を発した株式投資の盛り上がり、テレビでは「セレブ」という言葉を聞かない日がないぐらいで、まるでバブル期の「一億人総小金持ち」と云われた時を彷彿させるものがあります。

    しかしながら、日本経済の基盤ともいえる中小企業の「売上高」は、「経常利益」は、果たして皆さんのお手元の財務諸表の中で期待に応える金額を計上していますでしょうか?

     少子高齢化時代を迎えて新しい財源を必要としていることは解りますし、その為に様々な政策が試みられて、痛みを伴いながらもキチンと対峙していく姿勢は大切なことだと思います。しかしながら、ただ「税制」は膨れ上がった支出を補うためだけの資金注入としてではなく、所得に応じた「公平な税負担の実現」という旗をいま一度高く掲げて、未来の「ニッポン」への投資として役立ててもらえたらと願うばかりです。


    オーナー会社の役員報酬
    (特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入)

     平成18年度税制改正で、中小企業にかなりの影響を与える改正がありました。
     実質一人会社(特殊支配同族会社)のオーナー社長の役員給与のうち、一部分を法人において損金不算入(税金を計算するときは経費としては認めません)とされることになりました。
     この規定に該当する場合、増税となります。事前のチェックが必要です。
     (この規定は平成18年4月1日開始事業年度より適用されます。)


    1.適用対象となる法人
     会社法で定める会社で、対象事業年度終了時に以下の特殊支配同族会社に該当する法人。

    2.特殊支配同族会社の定義
    オーナー社長(業務主宰役員)及びその特殊関係者(※)が株式等の90%以上を保有し、かつ常務に従事する役員の過半数を占めている同族会社。

    ※「特殊関係者」とは、オーナー社長の親族・事実上婚姻関係にあるもの・使用人など、及び、オーナー社長とこれらの者により支配されている他の同族会社をいう。

    3.損金不算入となる金額
     特殊支配同族会社のオーナー社長へその事業年度中に支給した給与(損金に算入された給与で退職金を除く)の額を基礎とした給与所得控除相当部分。

    4.適用除外
     特殊支配同族会社の前3事業年度の基準所得金額(※)が@800万円以下、A800万円超3000万円以下でオーナー社長の給与の平均額が基準所得金額の50%以下、のいずれかである場合は適用除外。

    ※「基準所得金額」とは、その事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度の所得金額又は欠損金額及び業務主宰役員給与額などを基礎として計算した金額の平均額。

    役員給与の損金不算入の判定チャート

    社長さんもボーナスがもらえる(事前確定届出給与)

     これまでは、社長さんに対するボーナス(賞与)は損金(法人の費用)に算入することができず、社長さんに対しては、ボーナスを支給していないのが一般的でした。

    「どうして従業員は夏と冬にボーナスがもらえるのに、社長の自分にはボーナスを出せないのか?」とお考えの社長さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

     そんな社長さんに朗報です。

     平成18年どの税制改正により、税務署に対し事前に社長さんのボーナスの金額を届け出ておけば、社長さんにもボーナスを支給(損金算入)することができるようになりました。

     届出に関する詳細は以下のとおりです。

    (1)届出期限
     @又はAのいずれか早い日

     @ その役員給与にかかる職務執行が開始する日
     A 会計期間の開始の日から3ヶ月を経過する日


    (2)事前届出が必要な役員給与の範囲

     @支給額を毎月変えて支給するような場合・・・全額届出
     A現行の報酬を支給し、別途、賞与を支給する場合・・・賞与部分のみ届出
     B四半期毎に支給する役員給与等、支払がない月のある役員給与・・・全額届出
     C毎月の支給額がたびたび異なるような支給形態・・・全額届出
      (確定年棒の不均等払い)


    (3)注意事項

     この制度を利用した場合で、届出額より多く支給した場合や、少なく支給した場合には、役員報酬の全額が損金にならない場合があります。

     またボーナスの支給を受けることにより、毎月一定額の給与を受け取る場合に比べ、社会保険料の額が増える可能性があります。



    法人の交際費課税の改正

     交際費の範囲から「1人当たり5,000円以下の飲食費(社内飲食費を除く)」が一定の要件の下で除外されることになりました。
    (社内飲食費とは、専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出する飲食費をいいます)

     一定の要件とは、飲食その他これに類する行為のために要する費用について、次に掲げる事項を記載した書類を保持することが必要です。

    @その飲食等のあった年月日

    Aその飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係ある者等の氏名又は名称及びその関係

    Bその飲食等に参加した者の数

    Cその費用の金額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
    (店舗を有しないことその他の理由により、その名称又はその所在地が明らかでない場合は、領収書等に記載された支払先の氏名若しくは名称、住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地が記載事項となります。)

    Dその他参考となるべき事項

    注1.飲食等に限定されているので、贈答品等は対象外です。

    注2.ゴルフ等の催事に際しての飲食等については、飲食等の費用のみを抜き出して損金算入にすることは出来ません。

    注3.1人当たり5,000円以下の飲食費の判定は、飲食等に要する費用を当該飲食等に参加した人数で除して計算した金額で判定することになります。
     例:飲食等に要した費用53,000円 参加した人数 12人
      50,000円÷12人=4,416円(1人当たりの金額)
                                   ※交際費から除外

    注4.1人当たり5,000円以下の判定では、1次会と2次会など連続した飲食等があった場合には、それぞれの行為が単独で行われていると認められるときには、それぞれの行為に係る飲食費ごとに1人当たり5,000円以下であるかを判定します。

    注5.1人当たり5,000円以下の判定では、飲食費を支出した法人の適用している税抜経理方式又は税込経理方式に応じ、その適用方式により算定した金額により判定します。

    注6.1人当たりの飲食費が5,000円を超えた場合、その全額が交際費に該当します。
    (5,000円以下の部分を交際費から除外することは出来ません)

    注7.適用開始時期は、平成18年4月1日から平成20年3月31日までに開始する事業年度になっています。


     資本金の額又は出資金の額が1億円以下の中小企業者に対して講じられていた、定額控除限度額(年間400万円)までの金額の損金算入割合を、交際費等の額の90%相当額とする措置の適用期間が、平成18年4月1日から平成20年3月31日までに開始する事業年度まで延長されることになりました。



    相続時精算課税

     今、相続時精算課税を使って財産を贈与する人が増えてきています。相続時精算課税は、次世代(親から子)への財産移転の円滑化を促すために、相続税・贈与税を一体化した制度で、H15年税法改正により創設されました。
     今回は、その相続時精算課税について説明します。

    @概要
     一定の範囲の贈与については、非課税枠を超える分について贈与税を支払い、その後の相続時に生前贈与財産と相続財産の合計額をもとに計算した相続税から、すでに支払った贈与税を控除して精算する納税方式です。

    A摘要できる贈与
     65歳以上の親(贈与者)から20歳以上の子である推定相続人(受贈者)への生前の贈与に限られます。

    B摘要対象財産
     贈与財産の種類や金額、贈与回数に制限はありません。

    C非課税枠
     受贈者単位で2,500万円まで(複数年の贈与については合計額が2,500万円に達するまで)は、贈与税は課されません。つまり、子が2人いた場合には、それぞれについて2,500万円の非課税枠が使えることになります。

    D適用税率
     非課税枠を超える部分について、一律20%の税率が適用されます。

    E贈与税額の計算
     この制度を選択した受贈者は、選択した年分以後この制度に係る贈与者(親)からの贈与財産については、他の贈与財産とは区別して、その贈与者からの贈与財産の累積額(非課税超過額)をもとに計算した各年分の贈与税額を申告し納税します。(一般の基礎控除額110万円は控除出来ません。)

    Fその他
     住宅取得資金の贈与については、3,500万円までは非課税の規定があります。

     相続時精算課税制度は、手続き等いろいろ注意することがありますので、贈与する前に税理士へ事前に相談することをお薦めします。


    会社法の改正について

     今年の5月1日から、新しい会社法が施行されます。今回の改正は明治以来の大改正と云われており、社会に与える影響もかなり大きいと予想されます。ここでは、その改正について、簡単に内容を説明したいと思います。

     まず第一に、今回の改正の目玉とも言えるのが、有限会社の廃止です。この新会社法が施行された後は、新たに有限会社を設立することが不可能になります。ただ、現在ある有限会社については、特例有限会社としてその存在が認められます。この場合、登記の変更などの手続は必要ありません。

     次に、株式会社の資本金規制が撤廃されます。今までは資本金が1000万円必要でしたが、実務上は資本金1円でも株式会社を設立することが可能になります。ただ、登記の印紙代などはかかりますので、実質的には約30万円前後の設立費用はかかることになります。

     取締役の数も改正され、今まで株式会社においては最低3人以上の取締役が必要とされていましたが、これが株式会社(通常の株式譲渡制限会社)において1人でも良いこととなりました。したがって、人数合わせのための名前だけの取締役が不要となります。また、取締役の任期を最長10年まで延ばすことができるようになり、今まで2年おき、あるいは4年おきに行っていた取締役の改選登記手続きの回数を減らすことが可能になります。ただ、任期を10年にしてしまうと、その任期中に取締役を解任する場合、残存任期の報酬相当に見合う損害賠償をしなければならないこともあります。

     さらに、合名会社あるいは合資会社を株式会社へ組織変更することが可能になります。今までは合名会社、合資会社から株式会社へ組織変更することは認められていませんでしたが、今回の改正により、正式な手続を踏めば変更が認められることとなりました。

     くわえて、新たに合同会社という法人組織形態も認められることになりました。この組織形態は、今までの有限会社と性格が似ており、出資者は全て有限責任社員からなる会社です。役員の任期の制限もなければ、株式会社のように決算書を一般に公告する義務もありません。したがって会社を創業する場合などには適した組織形態と言えるでしょう。合同会社でスタートして、会社の規模がある程度大きくなった段階で、株式会社に組織変更するというのも良いのではないでしょうか。

    アパート経営の資金対策

    確定申告も近づき、アパートを賃貸されているお客様から、最近よく耳にするのが
    「利益は出るけど、お金はちっとも貯まらないよ」  ・・・というご意見。

    原因はいくつか考えられます。未収家賃の滞納であったり、領収書の紛失などによる経費のモレなど・・・

    ただ一般的には「借金の返済と経費の不一致」が、最も大きな原因と思われます。

    簡単に説明しますと
    まず、アパート建築資金として借りたローンの返済について「利息」は経費になりますが「元金」は経費になりません。要は、「借金自体」は借りたときに「収入」にも、返済のときに「経費」になることもないというわけです。

    その代わり「減価償却費」という経費が発生しますが・・・
    ここで問題なのが「借金返済額 = 減価償却費」ではないということ

    たとえば アパート建築費 8000万 借入7000万(25年返済)のとき
      アパート耐用年数 47年
       8000万×0.9×0.022(47年の償却率)
       = 約158万(1年間で経費になる減価償却費)

       借入7000万÷25年= 280万(年間元金返済額)

    この場合、経費には158万しか計上できませんが、お金は280万支払うということになり、借金返済の期間中は 「毎年122万ずつ差が蓄積される」 ことになります。

    ですから、オーナーの方は感覚的に 「122万のズレを感じて当たり前」 ということになります。

    上記の対応策として、以下の処理が効果的です。

    1.耐用年数の決定を慎重に
    「電気設備」「給排水設備」「空調設備」「防災設備」など耐用年数の短い設備を区別して計算することで、減価償却費を増やし元金返済額に近づける。
    (ただし、これは取得2年目以降の変更は原則として不可です)

    2.減価償却方法の見直し
    平成10年以前の建物は、老朽化等の事情により「定額法」という減価償却の計算方法から「定率法」に変更することで一時的に償却費を増額できる場合があります。1.と同様に資金支出額と経費計上額の差を縮める効果があります。

    3.借入返済期間の見直し
    金融機関と交渉し、返済期間を延長することで1年間の元金返済額を減らし、経費計上額との差を縮める効果があります。元々利率の高い頃の借入であれば、併せて見直せば一石二鳥です。

    該当することがあれば、是非一度ご検討下さい。

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    儀間常貞税理士事務所はTKC全国会会員です
    TKC全国会は、租税正義の実現をめざし関与先企業の永続的繁栄に奉仕するわが国最大級の職業会計人集団です。
    沖縄税理士会所属
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