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二宮尊徳の村興し手法である「報徳仕法」の重要な要素に「心田開発」がある。「新田開発」ではない。村興しのためには、そこに住んでいる人々の「やる気」が鍵だというのである。
では、そのやる気はどのように引き出していったのであろうか。それには「廻村」と「表彰」がポイントのようである。「廻村」とは、朝早くから村の隅々まで歩きまわり、村の問題点や人々の状況を把握したり、指導したりしたのである。また、その際に、勤勉な農民たちを農民の投票によって「表彰」したのである。さしずめ、現代風に置き換えれば、現場の状況を適切に把握したり指導したりすることであり、模範となる人を表彰することである。
このような取り組みは最初から成功したのだろうか。否、拒否すらされたのであった。概して人間は今の自分の境遇や環境になれてしまい、それを変えようとしないものである。その先に地獄が待っていようともそれを見ようとせず、そして変えようとしない。そのようななかで外部からの新参者が村興しを始めても半信半疑で、協力しようとしないのが常なのである。現に、尊徳も仕法の途中で反対者に阻まれ、成田山で山籠りし、断食行を行ったほどである。そのとき尊徳は自分を見つめ直すと同時に村人たちの復興にかける「本気さ」を試したのではないか。
「荒地にも徳がある。その徳を掘り起こせ」と尊徳は説く。そして、その徳は耕す人間の徳に共鳴するという。すなわち、荒地の徳が掘り起こせないのは荒地のせいではなく、それを耕す人間の心の中の徳が少ないからだ。この意味で人間の徳磨きが大切なのであり、それは一生を通じて終わりのない修行なのである。
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