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「見利思義」(論語)の理念と実践 

 経営者の仕事は、知恵をふりしぼって利益を追求することにある。問題は、利益を追求するためには何をしてもいいのかということになるのだが、当然、否である。まず、定められた法律を守らなければならない。近ごろ、うるさく言われる「法令順守」である。では、法律さえ守っていればそれで十分なのかと言えば、そうではない。それに加えて、さらに「義」を守る必要があるのだという。
 それを語っているのが、「利を見ては義を思う」ということばである。利益を追求するときには、つねに「義」を念頭におき「義」を踏みはずさないようにしてほしいというのだ。
 「義」とは、正しいという意味である。さらに言えば、人間として当然守らないといけない正しい道ということになるかもしれない。たとえば、自分の利益だけを考えて、他人の利益を顧みようとしない。利益のためなら、平気で人を泣かせるようなことをする。良心に恥じるような疚しいことをする。法の裏をかいくぐって、ぼろ儲けをはかろうとする。こんなことをしていたのでは、いずれも「義」を守っているとは言えないのである。では、「法」と「義」とはどう違うのか。
 「法」に違反すればそれなりの罰を受けるが、仮に「義」を踏みはずしても法律で罰せられることはない。「義」は「法」以前の問題なのである。では、「法」は重く、「義」は軽いのかと言えば、決してそうではない。考えようによっては、「義」のほうがはるかに重いと言えるのだ。たしかに、「法」に違反して罰を受ければ、その企業は大きな損失をこうむるし、イメージの低下も免れない。だが、それは一時的なもので、罪を償えばそれでチャラにしてもらえる。これに対し、「義」を踏みはずしても法律では罰せられないが、周りの非難にさらされる。「あの会社は冷たい」「あの会社はえげつない」、こういった批判の声がじわじわと浸透していく。長い目で見ると、こちらのほうがはるかに企業イメージを損ない、その結果、一時は儲かっても長続きしないということになるかもしれない。
 ついては、辛くても苦しくても、「義」ー人の道だけはしっかり守って、後指を指されないような経営を心がけてほしい。  (TKC戦略経営者2005.4月号抜粋 中国文学者 守屋洋先生著)
  


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