いそべ便り(毎月更新)

税金、年金、商法等の改正事項を解り易くご案内しております。

 振込手数料等の仕入税額控除で振込等が多頻度の場合はインボイスの柔軟な保存方法を認める】(令和6年4月)

 国税庁は令和2月29日、同庁ホームページに掲載している、インボイス制度に関して多く寄せられる質問を更新しました。今回の更新では2問が追加され、計24問となりました。金融機関の振込手数料等に係るインボイスの保存方法について、振込等が多頻出で、全ての振込手数料等に係る簡易インボイスの保存が困難なときは、金融機関ごとに発行を受けた通帳や入出金明細等とその金融機関における任意の一取引に係る簡易インボイスを併せて保存することで、仕入税額控除を行って差し支えないとする取扱いが示されています。

 出入金手数料や振込手数料等について仕入税額控除の適用を受けるには、原則として簡易インボイス及び一定の事項が記載された帳簿の保存が必要となります(いわゆる少額特例や金融機関のATMによる自動販売機特例は帳簿のみの保存で仕入税額控除可)。

 他方、金融機関における入出金や振込みが多頻出にわたるなどの事情により、全ての入出金手数料及び振込手数料に係る簡易インボイスの保存が困難なときは、金融機関ごとに発行を受けた通帳や入出金明細等と、その金融機関における任意の一取引に係る簡易インボイスを併せて保存することで、仕入税額控除を行って差し支えないとしました。

 当該簡易インボイスについては、金融機関がインボイス発行事業者の登録を取りやめないことを前提に、一回のみ取得・保存することで差し支えないとしました。また、金融機関から各種手数料に係るお知らせを受領した場合には、当該一のお知らせを保存することで簡易インボイスの保存に代えることが可能としました。

 また、インターネットバンキングなど、オンラインで振込みを行った際の手数料等について、電磁的記録により簡易インボイスが提供される場合には、当該電磁的記録をダウンロードする必要があります。ただし、同種の手数料等を繰り返し支払っているような場合において、当該手数料等の簡易インボイスに係る電磁的記録が、インターネットバンキング上で随時確認可能な状態であるなど一定の要件を満たすのであれば、必ずしも当該簡易インボイスに係る電磁的記録をダウンロードせずとも、仕入税額控除の適用を受けることが可能としました。

 【給与からの個人住民税の特別徴収は定額減税の対象者は7月から、非対象者は6月分から】(令和6年4月)

 令和6年度税制改正法案に盛り込まれている定額減税は、個人住民税でも納税者および配偶者を含めた扶養親族1人につき令和6年度分の所得割額から1万円の控除を実施します。給与の支払者等(特別徴収義務者)が給与から特別徴収を行う際などに定額減税分が反映されることになりますが、特別徴収義務者は自治体から届く特別徴収税額通知(書)に記載された税額を徴収すればよいので、所得税とは異なり独自に減税額等を計算する必要はありません。ただ、定額減税の実施によって例年とは勝手が違う点が多々あるので、注意しなければなりません。

 定額減税を行う場合の個人住民税の徴収方法は、(1)給与所得に係る特別徴収、(2)公的年金等に係る所得に係る特別徴収、(3)普通徴収の3パターンが考えられますが、ここでは(1)を取り上げます。

 令和6年度の個人住民税の徴収に当たり、(1)では住民税均等割と森林環境税(国税、令和6年度から住民税均等割とあわせて徴収)も含め令和66月分は徴収せず、定額減税後の年税額を令和67月分から令和75月分の11か月で均等に割って徴収します。特別徴収税額通知(特別徴収義務者用、納税義務者用)の令和6年6月分の税額欄には「空欄」「0」「-」などと記載される見込みです(自治体の判断による)。

 定額減税の適用で所得割額がゼロになっても住民税均等割と森林環境税は令和7月分から徴収します。

 ここで問題となるのが、定額減税には所得制限が課されている点など。納税者の前年(令和5年分)の合計所得金額が1805万円超の場合、個人住民税に係る定額減税の対象にはなりません。こうした所得制限によって定額減税の対象から外れる者や低所得世帯向けの給付金の対象となっており定額減税の対象外となる住民税均等割と森林環境税のみの課税者などは通常どおり令和6月分から徴収します。

 これはあくまで個人住民税に関する話なので、所得税に係る令和6月以降の月次減税額の控除は令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1805万円超えるために定額減税の適用を受けないと見込まれる人でも控除を行います。こうした人は年末調整の際に年調所得税額から行う控除の適用が受けられないので、年末調整の際にそれまで控除した額を精算します。主たる給与の支払者からの給与収入が2000万円超の人は年末調整の対象とならないため、確定申告で最終的な年間の所得税額と定額減税額との精算を行います。それぞれ月次減税額と年末調整時または確定申告時に算出される最終的な定額減税額との間に差額が 生じる場合には、これらの時に精算が行われるわけです。

 話を個人住民税に戻すと、令和66月分の特別徴収を実施しない場合も含めて特別徴収税額通知は法律の規定通り令和531日までに行われます。

 なお、令和5年中にふるさと納税を行った者に意図せざる不利益が生じないように、令和6年度分の個人住民税におけるふるさと納税の控除上限額(特例分)は定額減税前の所得割額の20%とします。

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中国税理士会所属