越川利明税理士事務所 |
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事務所の出来事
平成19年12月(第60号)事務所の出来事
いつも大変お世話様になりありがとうございます。 師走を迎え、年々、一年が過ぎるのが短く感じます。税理士会が発行する新聞に、『人間の記憶は、一度経験したことを繰り返し行っても記憶には残らないらしい。それゆえ、歳を取ると既に経験したことが多く、その繰り返しで、新しい事が少なく記憶には残らなくなる。毎年何も新たなことに取り組んでいかないと、何の記憶にも残らない短い一年として終わってしまうことになる』とある。一年を長く感じさせたいと思ったら、仕事にも趣味にもどんどん新しいことに挑戦しなくては、ならないのでしょうか。 『個人がいいのですか、法人がいいのですか』度々聞かれる質問です。私は、『個人でやっている時と法人なりした時では、仕事が増え、事業がやり易くなるのであれば、法人なりした方がいいですよ』と答えています。資本金規制が撤廃され、1円でも法人が設立できる時代になりました。しかし、設立が容易になり法人が増える分、事業を継続することが難しくなったといえるでしょう。ただ単に、節税目的で法人にする考えは、将来を見据えた時、長続きできないと思います。赤字では、その法人の存在意義がないと考えるからです。 これからは、全てが株式会社であり、有限会社の設立ができなくなりました。かつては、株式会社は資本金が1000万円、有限会社は300万円必要でした。一概に資本金で会社の大小を測ることは出来ませんが、資本金が一つの目安になっていました。名刺交換をして、株式会社であれば、『資本金が1000万円以上である』有限会社であれば『資本金が300万円以上である』とその会社を評価できました。しかし、これからは、株式会社の名刺を貰っても資本金が1円かもしれない。法人の登記簿謄本を取り寄せて初めて資本金が解るのです。 税制改正の論議の中で、法人税の実効税率引下げがテーマとなっています。これは、先進国の中でも40%という高い税率であるため、引下げをして企業の事業投資を促進しようという考え方です。引下げが現実になれば、現在よりもさらに個人事業から法人なりが進むでしょう。しかし、注意しなければならないことは、個人への分配が役員報酬という形でしか分配ができなくなるということです。原則的に役員報酬は定額です。予定よりも儲かったからといって、その分を途中から増額することはできないのです。 それに比べて、個人事業主はどんなに儲かっても、それは全て個人に帰属します。従って、個人事業から法人なりするのであれば、そのことを充分に考えてから進めていかなければなりません。個人よりも法人の方が、体外的な信用力があり、求人するときにも良い人材を採用できる確率は高くなります。『個人がいいか法人がいいか』はどちらが良いという答えはありません。それぞれの状況を考え判断しなければならないのです。個人事業が改めて見直される時代になったと感じています。 本年はありがとうございました。来年も宜しくお願いします。 平成19年11月(第59号)事務所の出来事
いつも大変お世話様になりありがとうございます。 11月14日に、経営者の方を対象にしたセミナーを当事務所の2階で開催しました。収容に限りがあるので、午前の部7名、午後の部6名の方にご参加をいただきました。当日は、話し手と聞き手の距離が近いということもあり、皆さん熱心にメモをとり、聞き手参加型のセミナーとなりました。事務所でセミナーを開催するということは、セミナーの内容だけでなく、準備や段取りについて考える訓練になり、とても有意義でした。 セミナーの講師として、外に出向く時は、自分だけの準備となります。しかし、事務所で行うセミナーとなると、事務所全員参加で準備をしなければなりません。案内状の作成から運営方法まで様々です。今回は、名刺交換を兼ねた懇親会をセミナーの後行いましたので、手際よく進めていかなければなりません。事務所全員参加でセミナーを開催すると、普段気がつかない接客の仕方や、時間の配分など、ひとりひとり様々な訓練になります。事務所にお客様が来ていただく環境を整えるという大事な準備が必要なのです。 セミナーを開くには、まず、どのように案内をして『集客』するかにかかっています。『集客』ができないとセミナーも開くことが出来ません。これは、売上を増やすことと同じです。お客様が来て貰えるような、内容にする。どのようにしてお知らせするか。参加対象を誰に絞るのか。参加確認をどのようにして行うか。当日の増員や減員にどのように対処するか。まず、『集客』ありきです。売上を上げる為には、とうしたら良いのかということと良く似ています。セミナーや会合での『集客』を考えることは、売上を増やすヒントが沢山隠されています。 セミナーでは、司会者が重要な役割を果たすことになります。まず、参加者の意識を話し手である司会者に向いてもらうこと。そのためには、大きな声と、わかり易い言葉で、今回のセミナーの目的は何なのかを伝えなくてはなりません。一方的にあらかじめ用意した文章を読むのではなく、聞き手を向き、自分の言葉を入れて話が出来るようになると会場も和みます。司会を体験すると、話し方の訓練になります。周りに気を配り、聞き手の反応を見ながら話をする。人の前で話をすることは、コミュニケーションのとり方の勉強になると感じるのです。 会計事務所の仕事は、お客様へ訪問することがとても多いです。今回、セミナーを事務所で開く理由は、お客様に、当事務所にはどの様なスタッフがいて、どの様な場所で仕事をしているのかを見ていただきたかったのです。また、事務所のスタッフ全員で、このセミナー開催に携わり、準備や段取りを全員で考え、最終的に達成感を得ることで、普段の仕事の中で気づかなかったことが、改めて考えられるようになれば良いと考えたからです。そのことが、お客様へのサービス向上に繋がるのです。 平成19年10月(第58号)事務所の出来事
いつも大変お世話様になりありがとうございます。 財務省のホームページに、国の財政に関する基本データをまとめた『日本の財政を考える』というパンフレットが載っています。その中に、我が国の財政を家計に例えたものがあります。日本の政府を家計に例えると、毎月新たに約18万円の借金をし、その結果、年度末には、ひと家計につき、約4,600万円のローン残高になるというものです。消費税率引き上げが議論されています。消費税についての影響を、労働実態の側面から考えてみます。 景気の停滞と社会保険料の引き上げなどを背景に雇用契約ではなく、請負や業務委託契約を結び外注とするケースが増えてきています。しかし、実際は従業員と変わらない労働実態であることが多く、税務調査で問題になることがあります。会社が支払った費用が、『外注費か、給与か』が問題になるのです。つまり、個人として『事業所得か、給与所得か』ということです。会社が外注費と処理していた場合、会社の消費税の計算上は控除することができ、給与としての源泉徴収をしなくても良いことになります。 外注費として処理をしていたことが、給与として修正することになると、消費税と源泉所得税について修正申告及び追徴課税される場合があります。外注費なのか、給与なのかは、建設業等でよく議論される問題ですが、客観的にみて他の従業員と比べてみて、どうなのかという観点から考慮しなくてはなりません。自分で確定申告したい。手取りが減るので源泉徴収されたくない。といった税金面で決まる話ではありません。しかし、これは外注費なのか、給与なのかといったことは、法律に明確な基準はありません。 判断要素としては、次のようなことが考えられると思います。業務について完全な指揮監督を受ける⇒給与。自分の責任と判断で業務遂行する⇒外注費。材料等の負担を会社でしてくれる⇒給与。材料等は、自己負担となる⇒外注費。請求書が発行されている⇒外注費。社宅の提供や通勤手当支給、残業食事負担などがある⇒給与。仕事が終わらない中途の段階で、働いた分のお金を請求できる⇒給与。その会社以外の仕事をしている⇒外注費。勤務時間(日数)が管理され、手当の増減がある⇒給与。などの考え方はあります。 上記は、判断材料のひとつです。社会や働く側の考え方等の変化により、労働の形が変わってきています。会社も固定費から変動費へ、人件費の削減を考えています。従業員か外注かがあいまいなまま業務を行わせていると、将来的に大きな損失になる可能性があります。単に今まで従業員であった者を、その実態はなにも変化がないにもかかわらず、外注扱いとする際には、実態に応じて給与と認定されることとなるので注意しなくてはなりません。以前と異なり、様々な働き方が表れ、外注と給与について明確に線引きをすることが難しくなってきました。 平成19年9月(第57号)事務所の出来事
いつも大変お世話様になりありがとうございます。 今年の5月以降、一般的な税務相談について自己解決が要請されるようになりました。これは、税務署において税務相談における実名予約制の実施が導入されたためです。予約をしなければ、相談の受付が出来ない状況になっています。さらに、国税庁のホームページが新しくなり、国税に関する最新情報と疑問解決の為の情報源として利用が出来るようになりました。いよいよ、税理士事務所もITを駆使した業務体制の確立が不可欠になりました。 最近、医療現場では、インフォームド・コンセントという言葉が聴かれるようになりました。辞書によると、インフォームド・コンセントとは、『正しい情報を得た(伝えられた)上での合意』を意味する概念。特に、医療行為(投薬・手術・検査など)の対象者(患者)が治療の内容についてよく説明を受け理解したうえで、方針に合意する事である。とあります。これは、医療技術の進歩や医療を受ける側の意識の変化を背景として、医師と患者との関係が変化してきたことの表れであるといえます。 さらに、インフォームド・コンセントを推し進めた考え方として、インフォームド・チョイス(手術などに際して、医師が患者に十分な説明をし、手術を受けるかどうかは患者に選択させること)の重要性が言われています。様々な治療法を患者に紹介し、説明し、それぞれの良いところや危険なところを伝え、患者自身に選択してもらう、という考え方です。『医師が良いと考える』ことが、必ずしも『患者が良いと考える』とは限らないのです。これからは、『患者に目を向けた治療』になっていくでしょう。 この考え方は、どのような業種にも当てはまる考え方であると思います。税理士事務所であれば、税務のことは一番詳しい税理士に任せて、依頼者は、税理士から言われることを黙って聴いていればいい、という考え方ではなく、税理士は、税務や会計の内容について、きちんと依頼者に伝え、依頼者の同意のもとに仕事を行う考え方です。税務や会計の意味や効果について説明を受け、自分の考え方を伝えた依頼者の方が、何も説明を受けず言うとおりにしていた依頼者より、事業について前向きであり、業績も良くなると思うのです。 最近の経営者のみなさんは、しっかり経営をしたいという方が増えてきました。自分は、沢山お金を取らなくていいから、黒字経営を目指し、企業にお金を残し、適正な納税をしていく。総務庁の調査によれば、中小企業数(会社数+個人事業者数)は、約432.6万社で、全企業数に占める割合は99.7%、されに、同調査によれば、中小企業の会社数は約150.8万社で、全会社数に占める割合は99.2%だそうです。日本を支えているのは、中小企業のみなさま方です。税理士事務所は、経営者の応援団でなくてはなりません。 平成19年8月(第56号)事務所の出来事
いつも大変お世話様になりありがとうございます。 連日の猛暑日に、熱中症対策が叫ばれています。私が参加している少年野球チームでは、熱中症対策として2つ試しました。 ひとつは、熱中飴です。熱中症を防ぐには塩と水分の補給が必要なので、この飴は塩を大量に練りこんで作られていて、舐めると水分がほしくなるというもの。もう一つは、帽子に貼る汗とりシートです。このシートを帽子の内側に貼ると、表面温度を約2度下げるというものです。子供達も珍しいと見え好評で、効果もありました。 夏の全国高校野球甲子園大会が、大きな盛り上がりの後、閉幕しました。大会前には、連日のように『野球特待生問題』がメディアで取り上げられました。国民的関心事である、高校野球の行く末を心配しました。しかし、県立高校で特待生問題とは無縁の佐賀北高校が、全国優勝を果たしたことは、今後の高校野球人気の復活が、期待される出来事となったように感じました。そのような中、今年の大会で私が印象に残った2つの共通した試合を、紹介し考えてみたいと思います。 ひとつは、2回戦の地元 浦和学院(埼玉) 対 前橋商(群馬)の試合です。優勝候補にも挙げられている浦和学院の強力打線が一巡した後、前橋商の佐々木投手の直球が不調とみるや、森沢捕手は配球を変え、スローカーブを軸に投球を組み立て、6回以降は被安打1に抑えた。8回に自らの勝ち越し打で手にした1点を守り前橋商は勝利した。森沢監督は「アドバイスは『自信を持ってやろう』だけ。選手が(自分たちで)よく考えてやってくれた」と頼もしそうだった。(日経新聞報道より) もうひとつは、3回戦の今大会準優勝 広陵(広島) 対 聖光学院(福島)の試合です。広陵の中井監督が熱中症でベンチ奥に退くアクシデントが発生し、『おまえら頼むぞ』とナインにあとを託した。『もともとサインはありません。自分たちで考えることは慣れています』と小林捕手。突然のアクシデントにも動じず、合言葉にしている『自分たちで考える野球』を実践、選手だけで快勝した。采配で最も難しいとされる投手起用もエースの野村投手、土生主将、小林捕手の3人で決める冷静沈着ぶりだった。(各スポーツ紙報道より) 新聞報道での紹介となりましたが、前橋商、広陵とも選手に『考えて動く野球』を実践しています。高校野球は、指導者の采配によって左右されると言われます。しかし、この両チームは、普段から監督の指示を待つことなく、選手たちで何をしたら良いか考え、行動していくことの訓練がなされている、素晴らしい組織だと感じました。人間はアクシデントが発生した時、どのように判断し、動けるかということは、その人の『本当の力』だと思います。この両チームで育った選手たちは、とても幸せです。組織の作りのヒントとなるお手本を、高校野球チームから得ることが出来ました。 平成19年7月(第55号)事務所の出来事
いつも大変お世話様になりありがとうございます。 日本税理士会連合会(日税連)はこのほど、『平成20年度・税制改正に関する建議書』を公表しました。この建議書は、今年3月までに全国の各税理士会から提出された470項目に及ぶ改正要望を集約し、(1)公正な税負担、(2)理解と納得のできる税制、(3)必要最小限の税負担、(4)時代に適合する税制、(5)透明な税務行政、の5つの基本的な視点から、63項目の要望に絞りとりまとめたものです。建議とは、役所に意見を申し立てることです。 建議項目の中に、消費税に関するものがあります。消費税については、制度上、事前に予測をして選択するものがいくつかあります。私が改正してほしいと思う建議は、ア)簡易課税制度について、基準期間による事前届出制を廃止し、当該事業年度申告時における選択性とすること。イ)納税義務の免除制度を、当該課税期間の課税売上高に基づく申告不要制度にあらためること。の2つです。この2つは、上記(1)公正な税負担(2)理解と納得のできる税制とかけ離れています。 ア)については、事業者が消費税の課税事業者になった場合には、その課税期間に入る前に、簡易課税と原則課税を比べてどちらの納税額が少なくなるかの検討をしなければなりません。簡易課税を選択できるのは、課税売上高5,000万円以下の小規模な事業者であり、見通しも不透明ですから、事前の判断は困難を伴います。さらに、事前の届け出を失念すると原則課税となり、帳簿+請求書等を保存しなくてはならないため、簡易課税制度の選択は申告時に行うことができるように改正されれば、事務負担の軽減になります。 イ)については、納税義務の有無を、2年前の事業年度を基準期間とし、基準期間の課税売上高によって判定しています。基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、当該課税期間の課税売上高の金額にかかわらず納税義務が免除され、逆に、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合には、当該課税期間の課税売上高が1,000万円以下であっても納税義務が生じることとなります。当該課税期間における課税売上高が1,000万円を超えると申告義務を課すように改正されれば、大変わかり易くなります。 小規模事業者においては、消費税の課税事業者に該当しているかどうか、認識していない事業者も存在していると思います。簡易課税の方が、原則課税より納税額が少なくなるといった益税問題も、課税売上高が5,000万円になったことで解消されつつあります。消費税法の考え方が、基準期間をベースとしているため、常に翌年、翌々年を想定して納税を考えていかなくてはなりません。少子・高齢化で消費税の役割は、今後益々大きくなります。小規模事業者にも理解のできる税制になることを望みます。 平成19年6月(第54号)事務所の出来事
いつも大変お世話様になりありがとうございます。 6月から住民税の税率が変わり、給与明細や市役所から届いた住民税の明細を見て、予想以上に住民税が増えていることに驚いた方も多かったと思います。政府の説明では、国税を減らし、地方税を増やすことで、国から地方へ税源を移すこと(税源移譲)により、住民税が増えた分、所得税が減り、トータルの税額は同じになるという訳でした。しかし、定率減税が今年から廃止になっているため、実際の税負担は、昨年と同じではないのです。 住民税は、前年の所得に対して課税されることになっています。従って、前年に所得がない新入社員には、最初の年には住民税がありません。逆に、会社を退職すると、退職後の翌年に住民税が発生してくることになります。一年遅れて課税されてくるのです。そう考えると、中小企業の社長は、この住民税の仕組みを知っておかないと大変困ることがあります。前年業績が良く、役員報酬を増額していて、その翌年業績が悪くなったので、役員報酬を減額すると、前年の所得に対して住民税の納税が発生するため、支払いが苦しくなるのです。 所得税は、会社員の方であれば、年末調整、事業主の方であれば確定申告によりその年の所得税を計算します。年末調整は、会社が所得税を計算し、確定申告は、自分で所得税を計算します。住民税は、提出された源泉徴収票や確定申告書に基づいて、市役所が計算をして、納税者に通知をします。それが翌年の6月からなので、納税者の方は、前年のことなど、もう忘れてしまっています。所得税の源泉徴収はボーナスにもされますが、住民税は月々の給与のみで、ボーナスからの徴収がありません。その分、月々の徴収額が多く感じるのです。 今回の税源移譲により、所得税と住民税の割合が変わっています。政府の資料によると、夫婦・子供2人で、給与収入500万円の世帯では、税源移譲前=所得税6対住民税4の割合から、税源移譲後=所得税3対住民税7の割合に変わります。住民税の負担割合が大幅に増えてくるわけです。住民税が上記のように、一年遅れて課税される仕組みであり、市役所が計算する仕組みをとっていると、気分的なことから重税感が増すと思います。さらに、前年の住民税を今年の収入から納税しなくてはならないとすると、税の徴収面からも不安でしょう。 会社の税金も、一年間の所得から国税と地方税を納税します。納税時期は、国税も地方税も決算後2カ月です。会社が計算をして納税をします。一年間の所得がこれだけで、税金もこれだけという方が、納税する側としても分り易く、税金をコストとして考えられると思います。今回の税源移譲で、住民税が増税された訳ですから、納税者は、所得税よりも住民税の方へ意識が高まっていきます。納税者は、誰しもが気持ちよく納税したいと思っています。徴収方法を変えるだけでも納得することがあると思います。 平成19年5月(第53号)事務所の出来事
いつも大変お世話様になりありがとうございます。 お陰さまで、税理士事務所を始めて5年が過ぎました。事務所に訪ねてこられる方も多くなり、悩み事や問題を抱えている方が多いことがよく解ります。相談ごとは、税務会計以外のことがとても多いです。特に、従業員のことや家族のことなどの人の問題です。人は物ではないので、感情があり、育ってきた環境が違い、考え方が違います。会社では従業員と、家庭では家族と、一日どの位の時間、会話をしているのか改めて考えたいと思いました。 毎朝、日経新聞の広告欄には、沢山の書籍の広告が掲載されています。『何のために働くのか』という題名に惹かれたのでネットで購入してみました。とても読みやすく、心に響きました。お薦めできる一冊だと思います。著者の北尾吉孝氏は、野村證券の出身でソフトバンクの株式公開を担当したことをきっかけに、孫正義氏の片腕となった方です。著書の中で、知識を得て、思い、それを実行すること、そしてそれを続けることの大事さを書いています。これを、『発心・決心・相続心』と氏は呼んでいます。 『発心・決心・相続心』という言葉を調べると、仏教の世界の言葉だそうです。物事を始めようと思いつくのが発心で、これを実行するには決心がいる。そして長く続けていくのが『相続心』である。『相続心』とは共に語り合い、共に工夫し相談し、正しく受け継いでいく事で、単なる相続ではない。親から子へも相続する。親しい友達同士にも互いに相続がある。『出家しよう』『仏道に入ろう』と発心したら、今度は決心をする。決心する人は少なくない。しかし、決心をしてもそれが続かない人が多い。この決心を続ける心を『相続心』と言う。 北尾氏は、仕事において『人間学』を重要視しています。『仕事即ち修行なのだと思います。仕事ができるようになるとは、人間として一流になるということなのです』これが、この著書の中で最も伝えたいことであり、『何のために働くのか』の答えでした。『何かをなそうとするとき、発心・決心までは誰でも行きます。しかし、それを何年、何十年と飽きたり、気をゆるめたりしないで持続することは並大抵ではない。相続心がないから志が頓挫してしまう。継続するとは、かくも難しいものなのです』と述べています。 猛烈に試験勉強をして、高い点数をとり、難関の大学へ進み、優良企業に就職出来たとしても、それは必ずしも人間として優れているというわけではないと思います。それは昨今、エリートと呼ばれる人たちが起こす様々な不祥事を見れば明らかです。北尾氏のいう『相続心』という心で、経営者は、従業員に、親は、子供に、正しく相続することが大事であると感じました。税理士業務でいつも考えている『相続』とは、また違った『相続』という意味に出会い、気づくことができました。 平成19年4月(第52号)事務所の出来事
いつも大変お世話様になりありがとうございます。 お客様を訪問していると、預金の利息が増えてきています。週末の新聞折り込みチラシでは、不動産の価格も、少しずつ上昇しているように感じます。国税庁の統計資料によると、資本金2,000万円未満の利益法人における平均所得金額と役員一人あたりの平均給与を合計す1,570万円になるとのことです。(週間税務通信より抜粋)黒字の会社は平均して、会社の年間利益と社長の年間給与を合計すると1,570万円になるということです。 昨年税制改正になった、『特殊支配同族会社課税』(同族持株90%以上、常勤役員過半数が同族の会社の社長給料のうち、給与所得控除相当額が損金不算入になる制度)が、3月決算法人の税務申告の提出期限である5月から、本格的に適用になります。昨年の国会審議の過程では、その影響が全国にある法人およそ250万社のうちの2%、5万社程度のみが制度の対象になると報告されました。しかし、実際に税理士の顧問先が制度の対象になるか否かを判断してみると、多くの顧問先が該当することがわかり、反対の声があがっていました。 この制度が適用される対象は、会社の所得と社長給与を合わせて800万円を超える会社が対象になります。平成19年度税制改正では、この制度の適用される対象が、倍の1,600万円を超える会社が対象になることに改正(平成19年4月1日開始する事業年度から)されました。上記の国税庁の統計資料による1,570万円という数字より低い中小企業においては、この制度の負担が大きいことに配慮された結果となりました。しかし、現行の特殊支配同族会社の制度による税務申告が1回は行われるのが、この5月の提出期限である法人からになります。 この『特殊支配同族会社課税』で注目すべきことは、社長給料を高くし、利益を出さないようにしている会社に対して課税してきている点です。社長給料を高く設定をし、赤字になっている法人があります。法人税が高いので、赤字にしている法人は結構、存在します。果たして、本当に得をしているのか疑問です。赤字の会社は、お金が回りません。回らないので、社長がお金を会社に貸さなければなりません。 会社が社長に役員給料を支払う ⇒ 資金が足りないので社長が会社にお金を貸す ⇒会社が社長に役員給料を支払う ⇒ 資金が足りないので社長が会社にお金を貸す このような流れになっているのです。 赤字の体質から脱却するのが難しいので、社長が貸したお金はなかなか戻っては来ません。さらに、会社が社長給料を支払う時に、源泉所得税が徴収されます。当然、この源泉所得税は徴収されたままで、戻ることはありません。社長と会社の間をお金がいったりきたりするだけで、お金が減っていくばかりなのです。これは、社長給料が会社の利益に比べて高すぎるのです。適正な役員報酬の金額を知ることは大事なことです。 平成19年3月(第51号)事務所の出来事
いつも大変お世話様になりありがとうございます。 3月は2月から一転して寒い日が続き、小学生を中心にインフルエンザが大流行となりました。土日の少年野球指導も子供達の欠席者が多く、気温、子供達の表情やしぐさなどにとても気を使いました。春の訪れを告げる大相撲春場所では、企業業績の回復から懸賞金の申し込みが増加したという新聞報道がありました。懸賞金を提供できるのは企業や団体に限られ、個人での申し込みは受け付けないそうです。取り組みごとに掛けられ、勝利した力士に手渡される懸賞金。所得税の確定申告は終わりましたが、大相撲の税金について考えてみます。 今年の初場所での懸賞金は、1146本(1本6万円)と初場所時点では、6万円×1146本=6876万円となり、過去最高を記録したそうです。先日の春場所での懸賞金総本数はわかりませんが、6万円の懸賞金のうち、勝利力士に手渡される金額は、その半分の3万円です。仮に一番で懸賞30本とすると、180万円となり、その半分の90万円が土俵上で手渡されます。力士は残りの3万円から、日本相撲協会に手数料として5千円を支払い、2万5千円は力士の引退後の準備や、納税準備として日本相撲協会が力士名義の通帳に積み立てています。この懸賞金の所得の区分は、個人事業主と同じ事業所得となると考えます。 優勝すると賞金があります。優勝賞金は、幕内1000万円、十両200万円、幕下50万円、三段目30万円、序二段20万円、序ノ口10万円です。また殊勲賞・敢闘賞・技能賞の3賞は、それぞれ200万円となっています。これらの所得区分は、福引の賞金品と同じ一時所得となります。一時所得の計算は、(収入金額−必要経費−50万円)×1/2で計算し、他の所得と総合課税されます。幕下は50万円ですから、幕下以下は、その年に他に一時所得がなければ、優勝賞金に税金がかかってこないことになります。 最後に、大相撲は十両以上の力士になると日本相撲協会から給料が支給されます。番付が上がれば上がるほど貰える給料は上がりますが、幕下以下には給料がありません。十両103万6千円、平幕130万9千円、関脇・小結169万3千円、大関234万7千円、横綱282万円となっています。これらの所得は、サラリーマンと同じ給与所得になります。十両や平幕では、番付が上位・下位(前頭○枚目など)がありますが、貰える給料は同じことになります。日本相撲協会では、力士、親方の給料は6年連続で据え置きとなっているそうです。 春場所の優勝決定戦。朝青龍−白鵬 の大一番。私は、ある待合室のテレビで観戦していました。となりで見ていた男性が、『外国人同士の優勝決定はつまらない』と席を立っていきました。小学生の頃、応援している力士の勝敗が気になり、15日間夢中で見た記憶があります。大相撲人気衰退を見ると、『お客様はどんなものを欲しがっているのか』『お客様がこの店へ来店する理由は』など改めてマーケティングが重要であるかを考えさせられます。 平成19年2月(第50号)事務所の出来事
いつも大変お世話様になりありがとうございます。 暖かい日が続き、今年は例年に比べ季節がひと月くらい早い感じがします。3年前から花粉症に悩まされていますが、今年は早くも2月の中旬から症状が出てきました。目がかゆくマスクが手放せない季節になりました。所得税の確定申告の受付が始まり、会計事務所は繁忙期を迎えました。しかし、確定申告があるというのは初めから判っていることです。お客様に対して、いかに早く資料の依頼をし、取り掛かり、最終段階である税額をお知らせする。ゴールをイメージして仕事をすることは、とても大事なことです。 会計事務所では、申告書を作成する中で文章を書くことがあります。主なのもとしては、『税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面』です。この書類を申告書と一緒に提出すると、国が企業に対し、税務調査の事前通知をする前に、書面添付制度を活用している税理士に意見聴取を求め、その段階で問題点が解明された場合には、税務調査が省略されることになるという制度です。従って、この書面に書く文章は、後で大変重要になってきます。税理士がその企業からどの様な資料の提示を受け、整理・計算し、アドバイスしたかなどを書くものです。 斎藤孝氏の著『原稿用紙10枚を書く力』(大和書房)には、『書くことはスポーツだ』と記しています。話すことが歩くことだとすれば、書くことは走ることに似ている。いきなりでも長い距離を歩くことが出来るように、特別な訓練をしなくても、長い時間話すことはできる。しかし、長い距離を走るとなると、絶対にトレーニングが必要になる。慣れていない人がいきなり10キロを走るのは、まず無理だ。それなりのトレーニングをして徐々に距離を延ばしていかないと、長い距離は走れない。書くこともそれと同じなのだ。とありました。 電子メールが一般的になり、文章を書いて送ることも多くなりました。電子メールに書いてあったことを受け止め、実際会話してみると受け止めていたことと違っていたというケースが最近増えてきたのではないでしょうか。先日お客様からも同じような話を聞きました。伝えたいことを文章にすることは、いかに難しいかがよく判ります。電子メールは手軽な情報伝達手段としてとても有効です。しかし、しっかりした文章が書けないと大きな問題も起こります。やはり、文章を書くには、人に読んでもらうなどトレーニングが必要だと思います。 しっかりした文章を書くことで、日々の生活がより楽しいものになります。それは、自分の周りにいる人々やまったく知らない多くの人たちにも、読んでもらえることで、伝えたいことや思っていることが正しく伝わるからです。さらに、文章を書くことは、考える力や集中する力が鍛えられます。私は、学生時代から恩師にとても恵まれてきました。恩師の先生方は、皆揃って文章を書くことの大事さを説いています。現在でも貴重なアドバイスをいただけることはとても幸せなことです。 平成19年1月(第49号)事務所の出来事
いつも大変お世話様になりありがとうございます。 年初に事務所で今年の経営計画の発表を行いました。重点課題は、『電子申告』です。なぜ、電子申告の実践が税理士にとって重要なのか?ということは、税理士制度が規制緩和の波にさらされている現状の中で、税理士が本気で電子申告に取り組まなかったら、税理士の無償独占の堅持は難しくなる。電子申告は国税当局の税務行政近代化の促進政策であり、その担い手は税理士しかいない。所内の業務のフローを見直し、IT社会に対応した時代の先頭に立つ事務所をつくろう。という理由からです。 平成16年から電子申告が開始され、『いつでもできる』『いつかやらないと』と考えていましたので、電子申告が、後回しになっていました。実は、事務所の平成18年重点課題も『電子申告』でした。今年の1月4日から、電子申告推進の最大のネックであった、納税者の電子証明書(住基カード)の取得等による電子署名が、税理士による代理署名で、省略されることになりました。しかし、そのネックを理由に、私が電子申告は今やらなくてもよいと、出来ない理由を探していたのです。 月刊誌『致知』(致知出版社)1月号のインタビュー記事で、女性用下着メーカーとして目覚しい躍進を続けている、吉越浩一郎・トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長が、あらゆる仕事にデットライン(締め切り)を設けていると答えていました。ビジネスで『いつでもできる』というのは最も危険な考え方です。人は『いつでもできる』と言われると、頭の中で勝手に『いまやらなくていい』と置き換えてしまいます。そうやっていまできる仕事を後回しにすれば、スピードが遅くなるのは当然です。だから、『いつでもできる』という状況を意図的になくす為にデットラインを設定するのです。とありました。 電子申告の実践の為、昨年11月末に事務所の全てのお客様に、電子申告開始届出書を所轄税務署に提出することから始まりました。徹底して例外なく提出しました。そして、今年の1月に税務署に提出する法定調書合計票の提出を電子申告にて提出しました。さらに、今月提出の法人税務申告についても、社長に来所いただき、プロジェクターにてパソコンの画面を写し、電子申告の流れを説明しその場で、電子署名、電子申告が完了しました。これほどスムーズに電子申告が出来たことは、全部のお客様に電子申告を推進すると決めたことと、昨年11月末までに電子申告開始届出書を提出すると期限を決めたことだと考えます。そして何よりも、スタッフが迷わず実践してくれたことにつきます。このことには、とても感謝しています。 今月、電子申告を行ったことで、事務所の業務フローを見直すきっかけになりました。毎月の業務が、電子申告を中心とした流れになり、月末に集中し時間をかけていたお客様からの申告書類への署名や税理士の署名の時間が、社長とのコミュニケーションの時間に変わり、さらに各税務署へ申告提出するための業務やコストが確実になくなることがわかります。制度やシステムは常に変化しています。システムに私達の仕事を合わせてもらうのではなく、私達のほうがシステムに合わせていかなければ、業務の改善は図れないと実感しました。 |
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