事務所通信

    不定期発行の「事務所通信」です。今回は平成18年の閣議決定された要綱等をもとに「改正税法特集号」を掲載しました。なお、最近、国税庁のHPにて18年税制改正頁が公開されましたのでご覧下さい。

    1.【企業】 役員報酬・賞与についての改定
    2.【企業】 同族会社の留保金課税・交際費の改正
    3.【企業】 中小企業の支援税制など
    4.【個所】 定率減税の廃止
    5.【個所】 住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例
    6.【他税】 土地登記に係る登録免許税の軽減など
    7.【地税】 所得割の税率等の見直しなど

    ※本内容については、平成18年1月17日に閣議決定された要綱等をもとにしています。(「事務所通信 速報改正税法特集号」より転用)

    1.役員報酬・賞与についての改正

     Q.平成18年度税制改正で企業経営に関係ある改正点を教えて下さい。
     A.中小企業に影響のある改正が行われています。企業経営に関係ある改正事
        項から説明しましょう。

    (1)役員報酬・賞与の損金算入について
    @役員賞与の損金算入を一部認める
      従来損金(費用)算入が認められていなかった役員の臨時給与(賞与)について、あらかじめ支給額・支給時期等を定めていれば、原則として損金(費用)算入が認められることになります。(定期・定額要件の緩和)。
    A業績連動型役員報酬が損金算入できる
     利益を基礎として算定される役員給与のうち、非同族会社が業務を執行する役員に対して支給する給与で、次のような要件をいずれも満たすものは、原則的に損金(費用)に算入できます。
    ・その事業年度で損金経理をしていること
    ・報酬委員会での決定等、算定方法について適正な手続きがとられており、有価証券報告書等で開示されていること など

    B実質一人会社の社長報酬(給与所得控除分)が損金算入できなくなる
     実質一人会社のオーナー社長の報酬については、給与所得控除相当分が法人において損金算入できないことになります。
     実質一人会社とは、役員および同族関係者等が発行済株式総数の90%以上を保有し、かつ常勤の役員が過半数を占める会社を指します。ただし、次のような場合は、従来どおり損金算入できます。

    ・その同族会社の所得金額とオーナー社長の報酬の合計額の直前3年以内の平均額が年800万円以下の場合
    ・その平均額が年800万円超3,000万円以下でその平均額に占める社長報酬の割合が50%以下の場合

    以上の適用は、平成18年4月1日以後開始する事業年度からです。

    2.同族会社の留保金課税・交際費等の改正

    (1)同族会社の留保金課税の緩和
     中小企業の内部留保充実を促進するために、同族会社の留保金課税制度が緩和されます。
    @課税対象同族会社の判定基準変更
     課税される同族会社の判定基準は、3株主グループによる株式保有50%超でしたが、これが1株主グループによる株式保有50%超に改正されます。結果的に留保金課税をされる企業が減少します。
    A留保控除額の拡大
     留保金の控除額が増加しました。次の金額のうち最も多い金額が控除できます。
     ア.所得等の金額の40%(従前は35%)、なお中小法人〔資本の金額が1億円以下の法人であれば所得等の金額の50%
     イ.年2,000万円(従前は1,500万円)
     ウ.利益積立金額が資本金額の25%に満たない場合、満たない部分の金額に相当する金額
     エ.中小法人において自己資本比率(総資産に占める自己資本〔同族関係者からの借入金を含む〕の割合)が30%に満たない場合、その満たない部分の金額
    B留保金課税の不適用
     「中小企業の新たな事業活動の促進に潤する法律」の経営革新計画の承認を受けた中小企業がその計画に従い経営革新のための事業を実施している各事業年度(平成18年4月1日から同20年3月31日までの問に開始する各事業年度に限る)について、留保金課税は不適用とされます。

    (2)少額減価償却資産の損金算入金額の上限300万円
     中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例(資本金1億円以下の中小企業者等が30万円未満の減価償却費産を取得した場合、全額損金算入を認める制度)が見直され、適用対象となる損金算入額の上限が年間合計300万円とされます。適用は、平成18年4月1日から同20年3月31日までの間に取得する減価償却資産です。


    (3)1人5,000円以下の飲食費が交際費等の範囲から除外
     損金算入できない交際費等の範囲から1人当たり5,000円以下の一定の飲食費
     (ただし役職員間の飲食費を除く)が除外され、損金算入できることになります。
    適用は、平成18年4月1日から同20年3月31日までの間に開始する各事業年度です。


    3.中小企業投資促進税制の拡充と延長

    (1)中撫企業投資促進税制の拡充と延長
     中小企業投資促進税制について、その対象資産に一定のソフトウェアおよびデジタル複合機が加えられるとともに、対象資産から電子計算機以外の器具・備品が除外され、その適用期限が2年延長されます。

               【改正後の対象資産等】
      @全ての機械・装置
      A「電子計算機」「デジタル複合機」の器具・備品2品目
      Bソフトウェア
      C)普通貨物自動車(車両総重量3,5トン以上)
      D内航船舶(取得価額の75%が対象〉

    (2)中小企業企業技術基盤強継税制の拡充
     中小企業技術基盤強化税制について、平成18年4月1日から同20年3月31日までに開始する各事業年度において、試験研究費のうち比較試験研究費を上回る部分の特別税額控除率について5%を加える特例が2年間の時限措置として設けられます。

    (3)欠損金の繰戻し還付措置の延長
     欠損金の繰戻しによる還付の不適用制度について、創業5年以内の中小企業者に対する同制度適用除外が2年間延長されます。

            

    (4)試験研究費の総額に係る特別税額控除制度
     平成18年4月1日から同20年3月31日までに開始する各事業年度において、試験研究費のうち比較試験研究費を上回る部分の特別税額控除率につき5%を加える措置が2年間の時限措置として講じられます。

    (5)産業競力の向上のための情報基盤強化税制の創設
     青色申告書を提出する事業者が、平成18年4月1日から同20年3月31日までの問に、産業競争力の向上に役立つ設備等で情報セキュリティ対策に対応したものを取得等して、国内の事業用に供した場合、次のいずれかを選択できる制度が2年間の時限措置として創設されます。

    特別税額控除 設備等の基準取得価額×10%
    特別償却 設備等の基準取得価額×50%

       

               《資本金1億円以下の法人について》
     一定のリース資産を賃借して、国内の事業用に供した場合には、基準リース費用の総額の60%について、その10%相当額の特別税額控除ができることになります。なお、前記の特別税額控除は、その期の法人税額の20%が限度とされ、その控除限度超過額については1年間の繰越しができます。

    (6)優良賃貸住宅等の割増償却制度
     中心市街地の活性化に関する法律(仮称)の施行日から平成20年3月31日までの問に、認定基本計画に基づく中心市街地共同住宅供給事業(仮称)により建設される一定の優良な賃貸住宅の取得等をした場合には、5年間は次の割増償却が加えられ、対象となる賃貸住宅から特定優良賃貸住宅が除かれます。

    割増償却 普通償却限度額x36%〔耐用年数が35年以上のものは50%)

    (7)特別措置の廃止
     次の特別措置が廃止されます。
     @IT投資促進税制(情報通信機器等を取得した場合等の税額控除または特別償却)
     A開発研究用設備の特別償却制度など

    (8)会社法の制定等に伴う整備
    @配当関係について(主な事項)
    ・剰余金の配当については、現行制度と同様に、配当と資本の払戻しとして
    取り扱われます。適用は、会社法の施行日以律行われる剰余金の配当から。など
    A株式等に関する取引について(主な事項)
    ・法人が自己株式を取得した場合には、資産に計上せず、その取得時に資本等の金額を減少させることとされます。
     適用は、平成18年4月1日以後に取得する自己株式からです。(同日において保有する自己株式については経過措置が講じられます〉 など
    Bその他
     ア.同族会社の判定基準に決議権等が加えられます。
     イ.役員の範囲に会計参与が加えられます。

    (9)事業概況書の提出
     法人税の確定申告書等の添付書類に、法人の事業等の概況に関する書類が加えられます。

    (10)適用期限の延長
     次の事項については期限が延長されます。
    @使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の適用期限が2年延長されます。
    A欠損金の繰戻しによる還付の不適用制度の適用期限が2年延長されますなど

    (11)その他の改正專項
    @認定NPO法人制度の認定要件の緩和
    A特定の資産の買換えの課税の特例が見直され、適用期限が5年延長など

    以上が法人税関係の主な改正事項です。など

    4.定率減税が廃止される

     Q.所得税関係では、定率減税の廃止が話題になりましたがどうなりますでしょ
        うか?
     A.所得税の定率減税の廃止や地震保険料控除の創設など改正があります。

    (1)定率減税の廃止
    各年分の所得税額について税額控除として認められていた定率減税が、次のように平成18年分で半減、同19年分から廃止されます。

    所得税控除額
    平成17年分以前 所得税額の20%相当額(20%相当額が25万円を超える場合は25万円)
    平成18年分 所得税額の10%相当額(10%相当額が12万5千円を超える場合は12万5千円)
    平成19年分以降 0円(定率減税廃止)


    (2)税率構造の細分化
     いわゆる三位一体改革の一環として行われる所得税から個人住民税への税源移譲について平成19年分以降の所得税の税率構造が次のように5%〜40%の6段階に改められます。同時に地方税も改められます。

    【従  前】 【改正後】
    適用課税所得
    330万円以下の金額
    900万円以下の金額
    1,800万円以下の金額
    1,800万円超の金額
    税率
    10%
    20%
    30%
    33%
    適用課税所得
     195万円以下の金額
    330万円以下の金額
    695万円以下の金額
    900万円以下の金額
    1,800万円以下の金額
    1,800万円超の金額
    税率
    5%
    10%
    20%
    23%
    33%
    40%

    (3)地震保険料控除の創設
     損害保険料控除を見直して、次のような地震保険料控除が創設されます。
     ア.居住用家屋・生活用動産を保険または共済の目的とし、かつ、地震等を原因とする火災等による損害に係る地震等相当部分の保険料または掛金(以下「保険料等」という1の金額(最高5万円)が総所得金額から控除されます。
     イ.経過措置として、平成18年12月31日までに締結した長期損害保険契約等(上記アの適用の平成18年度税制改正ものは除く)に係る保険料等は、従前の損害保険料控除が適用されます(最高1万5千円)。
     上記アとイを適用する場合は合わせて最高5万円とし、適用は、平成19年分以後の所得税からです。

    (4)既存住宅の耐震改修に係る特別税額控除制度の創設
     居住者が、平成18年4一月1日から同20年12月31日までの間に、一定の区域内において、その人が居住している家屋(昭和56年5月31日以前に建築された家屋で一定のもの)の耐震改修(建築基準法に基づく耐震改修をいう)をした場合、その年分の所得税額から、その住宅耐震改修の費用の10%相当額(その金額が20万円を超える場合には20万円)が所得税額から控除されます。
    ※確定申告書に、その控除に関する明細書並びに住宅耐震改修の費用の額等を記載した書類等の添付が必要です。

    (5)寄附金控除の適用下限額の引下げ
     所得控除される寄附金控除について、適用下限額が次のように引き下げられ、寄附をする側の税負担が軽減されます。

    寄付金控除の適用下限額 従前 改正後
    1万円 5千円

    (6)勤労学生控除の対象の拡大
      所得控除である勤労学生控除について、その対象となる専修学校および各種学校の範囲に、特定の法人が設置する専修学校等以外の一定の要件を満たす専修学校等が加えられます。

    (7)給与の源泉徴収票等の電子交付
     給与等の支払いに際して受ける側の承諾等一定の要件の下、書面による給与所得の源泉徴収票もしくは給与等の支払明細書などの交付に代えて、電磁的方法により提供することができるようになります。
    ※ただし支払いを受ける側からの請求があったときは、書面による給与の源泉徴収票等を交付しなければなりません。適用は、平成19年1月1日以後に交付する給与の源泉徴収票等からです。

     以上が所得税関係の主な改正内容です。なお、個人事業者等についての減価償
    却については、法人税の取扱いと同様です。

    5.住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例について

    Q.相続税・贈与税関係で改正はありますか?
    A.まず、相続時精算課税制度こおいて次のような改正があります。

    (1)住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例が2年延長
     住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度について、贈与税の特別控除(住宅取得等資金に限り1,000万円を加算して最高3,500万円)が2年延長されます。なお、住宅取得し均等の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例(いわゆる5分5乗方式)は、経過措置の期限(平成17年12月31日)をもって廃止となりました。

    (2)相続税の物納制度
     相続税の物納制度について、手続きの明確化・迅速化の観点から以下のような見直しが行われます。

     @物納不適格財産(管理または処分するのに不適格な財産)を定め範囲を明確化
     A物納の際の手続きの明確化
     B物納申請の許可に係る審査期間の法定
     C物納申請を却下された者の延納の申請
     D延納中の人が納付が困難となった場合の物納への選択制度の創設
     Eその他所要の措置
     金銭または延納による納付困難要件について、その判定方法を明確化するなど
     必要な措置が講じられます。
     適用は、平成18年4月1日以後に相続または遺贈により取得した財産に係る相続税についてです。

    6.土地登記に係る登録免許税の軽減など

    (1)登録免許税の見直し
     登録免許税では、次の見直しがなされます。
    @土地の登記に関する登録免許税の軽減土地に関する次の登記に対する登録免許税について、次のとおり税率を軽減する特例が平成18年4月1日から同20年3月31日までの時限措置として講じられます。
     ア.売買による所有権の移転登記については1,000分の10(本則は1,000分の20)
     イ、所有権の信託の登記については1,000分の2(本則は1,000分の4)
    A不動産登記に係る登録免許税の特例の廃止
     不動産登記に係る登録免許税の特例(税率を2分の1に軽減)は、平成18年3月31日をもって廃止されます。

    (2)酒税の見直し
    @酒類を4種類に
     酒類の分類が一「発泡性酒類」、「醸造酒類」、「蒸留酒類」および「混成酒類」4種類(全て仮称)とされます。
    A税率の簡素化
     それぞれの種類ごとに酒税の税率が定められます。
    なお、以上の改正と同時に、清酒、しょうちゅう、果実酒等の定義が見直されます。適用は、平成18年5月1日からです。
    (3)たばこ税の引上げ
     たばこ税の税率が、1本当たり0.426円(地方税と合わせて0.852円)引き上げられます。適用は、平成18年7月1日からです

    (4)高額納税者の公示制度廃止
     所得税、相続税、贈与税、法人税および地価税の高額納税者の公示制度(いわゆる長者番付)が、平成18年4月1日以後の公示から廃止されます。
    (5)郵送等による提出日の確認
     郵送等に係る書類の提出時期について、その後の手続きに影響を及ぼすおそれのない書類として国税庁長官が定めるものが郵便等により提出された場合には、その郵便物等の通信日付印により表示された日にその提出があったものとみなすこととされます。適用は、平成18年4月1日以後に郵便等で提出された書類からです。

    以上が国税関係の主な改正事項です。

    7.所得割の税率等の見直しなど

    Q. 続いて地方税について改正事項はありますか?
    A. 所得税のところで説明した定率減税の廃止が、個人住民税でも平成19年6月徴収分から行われます。

    (1)個入住民税の所得割の税率等の見直し
     平成19年度分以後の個人住民税の所得割について、従来は、緩やかな累進税率であったのが、一律に標準税率10%(道府県民税4%・市町村民税6%)とされます。

    従前 改正後
    課税所得 標準税率 課税所得 標準税率
    200万円以下の金額
    700万円以下の金額
    700万円超の金額
    5%
    10%
    13%
    一律 10%

     *納税者の負担が変わらないように、個人住民税において、所得税と個人住民税の人的控除額の差に基づく負担増を調整する減額措置が実施されます。
     *税源移譲に伴い住宅ローン減税(平成18年までに入居した人に限る)により控除される所得税額が減少する人については、翌年度の個人住民税において減額調整措置が講じられます。
     その他、分離課税の税率見直しなども行われます。

    (2)地震保険料控除の創設
     所得税と同様に個人住民税でも損害保険料控除を改組し、地震保険料控除制度(地震保険料等の2分の1〔最高2万5千円〕を所得控除)が創設されます。

    (3)固定資産税
    @既存住宅を耐震改修した場合の固定資産税の減額措置
     昭和57年1月1日以前の住宅について、一定の耐震改修工事を行った場合、固定資産税額が次の期間2分の1減額されます。

    平成18年〜21年末までの改修工事 3年度分
    平成22年〜24年末までの改修工事 2年度分
    平成25年〜27年末まさの改修工事 1年度分

    (4)不動産取得税についで
    @土地・住宅に係る税率引下げ措置の延長
     土地・住宅に係る税率の引下げ措置(4%→3%)は、平成21年3月31日まで延長されます。
    A住宅以外の家屋に係る引下げ措置の廃止
     商業ビルなど住宅以外の家屋に係る引下げ措置が廃止されます。ただし、経過措置として、2年間に限り、3、5%とされます。

    以上が平成18年度の税制改正の主要な事項です。
    不明な点があれば、当事務所にお気軽にお問い合わせください。

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