4回 我が社の市場占有率を知らずに経営をしてはいけない

 

 A業界のA社は売上高10億円でその地域の占有率は5%、B業界のB社は売上高5億円でその地域での占有率は20%である。この場合、A社、B社どちらの会社が安定した経営をしているだろうか‥‥‥。答えはもちろんB社である。占有率とはある業界のある地域の売上を100%とした場合の個々の企業の売上高の比率である。事業経営とは市場戦争である。それは同じ地域で同業者とお客様を奪い合う戦いである。それはある特定の同業者との戦いであり、それもある地域においてだけの戦いなのである。

 「売上増大には大消費地を狙え」という考え方は数多くの会社で持っている「神話」である。このために猫も杓子も大消費地を狙う。そのために大消費地では百の需要に二百の供給が殺到して、大激戦が展開されている。このような市場で力の弱い小企業が成果をあげることなど夢のまた夢である。

 弱者の戦略は、まず現在の我が社の力(営業マンの数、生産力、会社の知名度、資金力等)で生き残るために必要な占有率を確保できる地域、商品、取引先を探し出し、我が社の全戦力をその限定した地域、商品、取引先に集中して有利な戦いを進め、まずそこで勝利をおさめることが第一の目標でなければならない。そして、少しずつ我が社の力に応じた小さな局地戦での戦いを増やす中で、小さくても確実な勝利を増やしていくことが必要なのである。小規模企業であればあるほど「我が社の市場占有率」を常に意識しておかなければならないのだ。

 

参考文献:一倉定の社長学『経営戦略』『市場戦略』(日本経営合理化協会)