5回 「経営計画書」は生き残るための「魔法の書」

 

 社長の役割は会社を存続させることである。それならば、会社が生き残るための条件を計画することこそ、社長として最も大切なことであるはずである。

 ところが不思議なことに、多くの会社では自らの生き残る条件を設定することにあまり熱心ではない。その代わり、過去の数字を研究している社長は多い。過去の数字は研究するのではなく、確認するだけなのだ。それは我が社の現在の位置を知ることになるからだ。「経営計画書」の目標は競馬の予想ではない。売上や利益がこれからどうなっていくかを人ごとのように予想するものではない。

 『事業経営とは変転する市場と顧客の要求を見極め、これに合わせて我が社を創り変えることである』そうであれば、その急激に変化する市場に対して我が社はどう変わろうとしているのか。どの商品を捨てて、どの商品を新しく投入していくのか。どの得意先(市場)から撤退し、今度はどの得意先(市場)を攻めていくのか。向こう一年間の社長の戦略を「日本語」で文章化し、一年後の我が社のあるべき姿を明文化したものなのである。

 であるから、その目標に到達するのはなかなか難しい。そして、目標と実績の差が大きければ大きいほどそこに戦略がでてくるのである。『目標と実績の差を読むこと』そこに行動が出てくるのである。

 「目標を立ててもどうせその通りにならないから意味がない」と考える社長が何と多いことか。目標に合わないからといって実績を上げる努力を放棄して、目標を下げることがどんなに馬鹿げていることか、ようく考えて欲しいのである。目標は我が社が生き残るために到達すべきものであるから、その実績との差を死にものぐるいで埋めなければならないのだ。

 

参考文献:一倉定『経営の思いがけないコツ』(日本経営合理化協会)