6回 いますぐ支払手形をゼロにする行動を開始せよ

 

 会社を倒産させないためにはどうしたらいいか……それはきわめて簡単、「支払手形を発行しない」ということである。

 手形というものは目先的にはきわめて便利である。期限付きではあるが通貨の役割を代用してくれるからである。しかし、この便利さがアダとなって、社長の資金に対する基本的な姿勢を徐々に除々に崩していくのである。(社長の資金に対する甘さは倒産へ直行することをしっかり頭に留めておいていただきたい)

 会社をつぶすただ一つの原因である支払手形を、ただ手軽な資金調達法だとか、便利だからといって、その裏に潜む大きな危険を忘れているのだ。

 どんなことがあっても会社をつぶしてはいけない社長は、平素から『支払手形ゼロ』の心構えを持っていなければならない。そのことを忘れて、「手形は金利のつかない資金調達法である」と思いこんでいる社長が大勢いる。冗談じゃない。手形で買う物品には必ず金利分が含まれているのだ。だから、現金買いをすると「金利分を差し引かせてもらいます」ということになっているのだ。

 支払手形の退治に成功すれば、()倒産する心配がなくなる。()銀行の信用が高まる。()仕入先の絶大な信用を勝ち取る。()下請業者からは最高度の協力体制が得られる。()さらには「支払手形をゼロにすると、こんなにも気が安まり、何の心配もなく仕事に専念することができるようになる」と口々に社長に言わせるのだ。

 逆に、支払手形ゼロの行動を起こさなければ、これからの毎年の売上増大に伴ってますます手形の残高は増え続け、さらには資金に対する考えが甘くなったところを業者にしっかり見透かされてしまい、気づかぬうちに、不良在庫の増加を同時にもたらしてしまうのである。とにかく、こんな魔物とは一日も早く手を切ってもらいたい。

 

参考文献:一倉定『経営の思いがけないコツ』(日本経営合理化協会)