第7回 間違った「経費節約」は会社をつぶす
無為無策社長の関心は「経費節約」である。それらの社長は、決算書を見てもチンプンカンプンであり、損益計算書から低業績あるいは赤字と知っても、打つ手が分からない。そこでのめりこむのが、「経費節約」なのである。
「経費節約病」というのは多くの会社で繰り返しかかる病気であり、不景気や業績低下時に重症となる。しかし、「経費節約」だけで、会社が立ち直ることなどあり得ないのであり、逆に、間違った「経費節約」により、会社の業績が急激に悪化し、その回復に数年を要するということはよくあることなのだ。大いに注意を要するところである。
経費は単に「少なければいい」という観点から見るのではなく、その投入対象にしたがって、(1)日常の繰り返し仕事の管理に使われる「管理的費用」、(2)今日の収益をあげるために使われる「販売促進費」、(3)将来の収益をあげるために使われる「未来事業費」の三つに分類し、それぞれ異なった対応をしなければならないのだ。そして、「管理的費用」は徹底してムダを省き節約しなければならないが、「販売促進費」と「未来事業費」は我が社の収益を獲得するためになくてはならないものだという認識のもとに、その効果的な活用を積極的に推進しなければならないのである。
ところが、中小企業の大部分では、「管理的費用」は過大であり、「販売促進費」と「未来事業費」は恐ろしく少ないのである。このことは「事業経営とは企業の内部を管理すること」であると勘違いしている証拠であり、それがいつまでも赤字会社から脱却できない理由なのである。「事業経営の本質は“市場”と“顧客”に対する外部活動である」という正しい認識をもって、もう少し戦略的な経費の使い方を考えていただきたいのだ。
参考文献:一倉定の社長学「増収増益戦略」