8回 クレーム処理は宝の山

 

 クレームが発生したとき、その原因がどこにあるかとか、誰の責任かとか、そんなことは大した問題ではない。クレームとはお客様の理屈を超えた「怒り」の声であるのだから、以下のような、理屈を超えた「謝罪」と迅速な「解決」だけが重要なのである。

一は「クレーム処理は他のすべての業務に優先する」ということである。お客様の立場に立てばこれが正しい態度であることは誰にも分かる。ところが現実には「おっくうだから後回しにする」「仕事の合間を縫ってやる」というのが多い。その間に事態は思いもよらない悪い方へどんどん進んでいるのだ。何はさておいてもすっ飛んでいくべきなのだ。

 第二は「クレーム処理には金銭的損得は度外視する」ことであり目先の支出に躊躇しては絶対にいけないということである。クレーム回復費用は他のどんな費用よりも投資効果のある費用だということを心得るべきである。

 第三に「クレーム発生の責任は追及しないが、不報告の責任は追及する」を徹底しなければならない。クレームを叱ったら、社員は社長に対してクレームを報告せずに、自分達だけでもみ消そうとするようになる。これは絶対あってはならないことなのだ。

 このようなクレームに対する方針を徹底すれば、お客様はクレームのことはすっかり忘れ、「もう直してしまったのか」「こんなに早く来てもらえるとは思わなかった」という感嘆の声を上げ、さらには「あの会社は我が社に好意をもっている」から「あの会社は絶対に信頼できる」ということになってくるのである。残念ながらクレームはどんなに注意しても必ず発生してしまうが、その対処の仕方で、即刻、取引停止を食らうことになるのか、そうではなくて、ますます客様の信頼を強固なものにしていくこととなるのか、優良会社とボロ会社の業績はクレームのたびごとにその差が開いていくようである。

 

参考文献:一倉定の社長学「増収増益戦略」