第9回 持たない経営を徹底し「つぶれない会社」創りを優先する
内外策区分の意志決定には、単にメ−カ−だけでなく全ての業種において、大きな間違いを犯しやすい経営上の根本問題が隠されている。つまり、合理化による生産性の向上と称して自前で設備投資と人員の増加投資をし、外注費を減らし、目先のコストを減らすことに目がいきすぎてしまい、事業経営の基本である「外部環境の変化によるあらゆる危険を回避する」ことが忘れられてしまうことである。
設備投資こそ生産性を向上させ、企業を繁栄に導くものであるという考えは高度成長時代の作れば売れた時代のマネジメント手法であり、現在のようなめまぐるしく変わる経営環境の中ではその考え方は大きく方向転換せざるを得ない。
設備投資の最も大きな危険は、変化に対応する機動力と弾力性がなくなっていくことである。設備はこれが順調に働いてこそ武器である。働かない設備ほど始末の悪いものはない。そしてその危険は常に外部にあるのだ。市場は変化する。お客様の好みは変わってゆく。得意先の方針が変わる場合もある。いつ、我が社の設備で作られた商品が陳腐化したり、あるいは全く売れなくなるか分かったものではない。
以上のような危険を知らず、「現在の常態は永続する」と思いこみ、現在の常態をもとにして設備投資をする経営者は非常に多い。特に好況時やブ−ムの時にこの誤りを犯しやすい。特に一時的な需要の増加の対応については収益性を捨て、多少コストが高くても外注政策をとるべきであろう。
それは事業経営の本質が「儲かる会社」創りより「つぶれない会社」創りを優先させることが第一義であることから判断しても容易に理解されるであろう。利益率を重視した生産性優位の意志決定は、常に「つぶれない会社」創りの範囲内での意志決定であることを忘れてはならないのだ。
参考文献:一倉定の社長学「経営戦略」