第10回 ライバル会社の情報はあるか
事業経営とは「市場活動」である。市場活動とは「同業者」とお客様を奪い合うことである。それはまさしく市場における生きるか死ぬかの「戦争」なのである。
「戦争」であればその敵に勝つために敵を研究し、敵の強みは何か、弱みは何かを知り、強みには近づかず、その弱みを衝いていくことが戦いに勝つ極意であるはずである。
「うちの業界は猛烈な過当競争で死に物狂いの戦いをやっている」というのが社長の口癖であるが、その割には敵の情報など何も持っていない。あるのは2〜3年前の興信所の古いデ−タと“競争をしている”という意識だけである。これでよく過酷な「市場戦争」を戦っていけるものだと感心する。
しかし、考えてみると敵も同様なのだ。こちらのことなど何も研究していない。だから、お互いに大きく水をあけられることもなく、つぶれもせずに仲良く(?)共存しているのである。まことにおめでたい話である。たまたま、どこかちょっと優れた会社があればたちまち他社にぬきんでて大きくなってゆく。競争など他愛ないものだといいたくなるのである。
戦いならばまず敵を研究するところから始めなければならない。たとえばライバル会社の業界ランク、社長の人柄、会社の業績、商品構成、得意先構成、営業所と人員、配送車、カタログ、チラシ、社内報、イベント等、必要があればセ−ルスマンや配送車の尾行、出入り業者、退職者からの聞き込み、近隣からの聞き込み等、あらゆる手段、あらゆる機会を利用して情報を集めなければならないのだ。
ライバル会社の営業マンの人数や営業車輌の台数すらも知らない社長がいるのにはほとほとあきれてしまうが、いくら、立派な「経営計画」をたてても、敵とどう戦っていくのかが示されない戦略では話にならないのである。大事なことは同業者の弱点を衝いた我が社の戦略であり、それは「同業者より少し上を行く戦略」が必要なのである。
参考文献:一倉定の社長学「経営戦略」