11回 販売は社長の役割、自ら先頭に立って奮闘せよ

 

 『販売は営業の役割だ。社長は忙しいから販売など見ていられない。』『うちには営業全体を任せられる人材がいない。』『しっかりした営業責任者がほしい。』これらは多くの赤字企業の社長からよく聞かされる言葉であり、この考え方の中にこそ、その会社が赤字から脱却できない大きな原因が潜んでいる。

 どうも社長族というのは大部分が販売が嫌いな人種のようである。『販売は営業部で、社長はそれを管理するのが仕事』と思っている。冗談じゃない。会社の中で販売より重要な仕事があるはずがない。管理も何も販売あってのことではないか。「重要得意先の新規開拓」、「既存得意先の訪問」、こんな重要で、最も基本的な仕事を社長自身が嫌いでは話にならない。大企業ならいざ知らず、中小企業を起業する、あるいは新たにその企業の社長に就任すらならば、販売から逃げてはいけない。

 販売というのは、営業部門に任せておけばいい、というような軽々しい問題ではない。会社の浮沈に関する最重要命題なのだ。我が社の商品が売れなければ会社はつぶれてしまうのである。

 我が社の販売戦略と市場戦略をどのようにし、販売体制をどう整備してこれを推進するのか、社長は自らの市場観察ををはじめとする様々な情報を十分に検討し、自らの責任のもとに基本的決定をおこなわなければならないのである。

 当然のこととして、これは、社長が販売行為をすることでもなければ、営業部長になることでもない。そうではなくて、社長自身が「後処理の管理」を止め、「未来志向の販売活動」の総指揮をとり、自らその先頭に立って奮闘しなければならないのだ。だから、もし我が社が売上不振であるならば、その第一の責任は社員ではなく社長自身が負うべきなのである。

 

参考文献:一倉定の社長学「社長の条件」