クリニック開業の心得

医療業に強い!

開業に当たって諸処の留意事項がある。

1  立地

2  建物及び設計

3  投資額

4  長期資金と短期資金

5  リースか借入れか

6  顧客層はどの年齢層か及び人口構成は

7  診療圏はどこの範囲で地域環境は適切か

8  交通

9  住宅地か工場地帯かオフィス街か

10 自院の診療の特長は

11 どのような診療方針か

12 社員採用対処と人事

13 増患と認知広告

14 野立て看板

15 地域住民との係わり

16 アンケートと対処

17 会計帳簿と税務

18 医師会等への加入

19 不慮の事故、損害への対処準備、保険加入

20  その他


ときりがないくらいに全知全能を使用して考察せねばならないことのなんと多いことか。開業に当たって、そして開業してからも、企て業としての企業とは何かということを自分で定義しておかねばならない。

企業とは?

「企業とは、リスクを背負い、自主的に意志決定が出来、製品やサービス・情報を生産すると共にそれらを販売し、適正な利益を得る人間の組織体である」
(成長の原理より、上原春男著)
纏めると次のようである。

1  リスクを背負っていること

2  自主的に自分が意志決定した結果である

3  生産し販売すること

4  利益を上げること

5  組織共同体であること

以前の看板を掲げれば門前市をなした時代から、リスクを背負っている事を忘れてはならないデフレの時代に入った。

自分の判断が、意志決定が世間に受け入れられなければ赤字、資金繰り難となって結果となる。

仕組み作り

利益を上げて順調に経営するために大事なことはマネジメントを勉強せねばならないが、組織体として、利益を上げられる「仕組み作り」をすることである。

別な言葉で言えば利益を上げ続ける「カラクリ」を構築しておくことである。
例えば風邪を引かないように気をつけようと社内で呼びかけても何にもならない。

これでは仕組み作り、カラクリが出来ていない。「外から帰ったらうがいをしよう」とやると明確な行動基準となり仕組みが出来たことになる。

山道などを車で走っていると「落石注意」などと書いてある。
あんなのは何の役にも立たない。

単に道路管理者の自分の責任を他人になすりつけるためのまやかしに他ならない。
車で走っている時にどうして落石を逃げることが出来るのか。
逃げたとたんに崖から落ちて命を落とすことになってしまうかもしれない。

落石させない防御工事を施すか、通行止めにするしかない。仕組みが違っていると、相手が不安と不快になり、顧客が来院しなくなり、売り上げ減、資金ショート、赤字となる。

日々の仕組み作りの中で一番効果が上がり誰にも分かりやすいのが「基準創造行動」である。


基準創造行動計画

マネジメントに慣れないドクターが最初にやらなくてはならないことが基準創造行動である。4つの行動基準で構成されている。

1  挨拶

2  早起き

3  約束と計画

4  連絡と報告

先ほど組織体として企業は利益を上げるのだと定義した。
企業組織とは別な言葉で言うと、コミニュケーションシステムであり、意志疎通システムである。

この意志疎通をよくするには、相手を敬う金の鎖といわれ、かつ古来より礼に始まり礼に終わるといわれる「挨拶」以上のものは無い。

朝、来院すれば先輩が、上司が、そして院長が先に自らが、歩きながらでなく足を止めて「おはようございます」と挨拶をすれば、それだけで風通しが良くなる。

これが一日の最初のコミニュケーションである。

これだけで院内は大改革となる。

社員が院長等の言うことが理解できない、言うことを聞かないとおっしゃるクリニックの大半が基準創造行動の基本の基本の「挨拶」が出来ていないからである。

この毎日の仕組みカラクリを繰り返していけば利益となる。

次に「早起き」である。
朝の自分自身との最初の戦いは眠い心との戦いである。まずはそれに勝たねばならない。
西郷隆盛は朝日と共に布団を蹴って起きたと言うことである。

早起きをしていない経営者で利益を出している企業は希である。

早起きできる経営者は結局エネルギーにあふれ、パワーがあると言うことである。
早起きは三文の得と言われたが「早起きは一億円の得」と現代に置き換えられる。

約束と計画、連絡と報告も基準創造行動の一つであるがまずは「挨拶」と「早起き」の習慣化である。
この二つが出来れば後はスムーズに自然に励行される。

税理士 荻原英美