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コラム(おしごと)

当事務所はTKC全国会の会員であると同時に税務研究会の主催する税理士懇話会の会員でもあります。このコーナーを読まれる方は合わせて「週刊税務通信」をご購読されることをお勧めします。

      

         

          

          

 

  

「医療法人の出資評価 東京高裁判決」 2008/05/01

〜医療法人の出資評価で納税者が逆転勝訴〜
     東京高裁・運用財産だけの出資評価認む2008.04.28

 東京高等裁判所第21民事部(濱野惺裁判長)は2008年3月27日、社団医療法人の増資時の出資評価を巡る争いで、運用財産のみで評価した納税者の主張を認める判決を行った。増資を著しく低い価額で引き受けたとして贈与税決定処分を受けた納税者が取消しを求めていたもので、一審の横浜地裁では請求を棄却していた(No.3004、39頁)。

 東京高裁は、医療法の規定と、本件医療法人が定款によって、退社時には運用財産について出資額に応じた払戻し請求ができること、解散時の基本財産は国等に帰属するとしていることなどから、出資持分の評価にあたり、基本財産と運用財産とを区分しないのは相当でないと判断して国側の主張を全面的に退けた。

 また、脱税目的の区分は重加算税の対象となると指摘したが、租税回避に該当しても同族会社の行為計算否認に該当しなければ、財産を全体で評価する取扱いを一律に適用して否認することは許されないとした。 

     税務通信No.3015 6頁に「詳細記事」掲載 


「平成20年度税制改正のポイント」2008/04/01

〜事業承継、耐用年数の簡素化、金融証券税制…etc.〜 
 
                    公認会計士 太田達也 
■事業承継税制
  「今月のキーワード」の1月にお知らせしましたとおり、平成20年度税制改正大綱および要綱に事業承継税制の拡充に関する改正案が示されました。すなわち、事業承継相続人が、非上場会社を経営していた被相続人から、相続等によりその会社の株式等を取得し、その会社の経営を行う場合に、納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等(相続の結果、その会社の発行済議決権株式の総数の3分の2を上限)に係る課税価格の80%に対応する相続税を納税猶予されるという内容です。 
  経済産業省から、本年2月上旬に通常国会に事業承継の円滑化に係る法案が提出されましたが、本年10月1日施行予定であり、来年度の税制改正によって相続税の納税猶予制度の創設がされる見込みであり、本年10月1日に遡って適用される予定になっています。詳しい内容については、1月のキーワードをご参照していただければと思いますが、猶予税額の計算の方法については次のとおりとなる見込みですので、ご注意が必要です。すなわち、「納税猶予の対象となる株式等のみを相続とした場合の相続税額から、その株式等の金額の20%に相当する金額の株式等を相続するとした場合の相続税額を控除した額を猶予税額とする。」とされていますように、相続税額全体の80%が減額されるわけではなく、猶予対象の株式等のみを相続する場合の相続税額を基準として猶予税額を計算します。 

■耐用年数の簡素化
  既存の資産も含めて、平成20年4月1日以後開始する事業年度から、耐用年数の括りが簡素化される見込みです。機械装置は、現在390区分ですが、それを55区分に簡素化する案が示されています。1業種=1区分が原則となりますが、業種によっては細目が設けられる見込みです。
 「既存の資産も含めて」ですので、影響はかなり大きくなる企業もでてくると考えられます。また、来期の予算を策定するに際して、影響に重要性が乏しい場合を除いて、この改正を織り込む必要も生じるものと考えられます。なお、既存の資産も含めてとされていますが、過去に遡って修正という意味ではなく、平成20年4月1日以後開始する事業年度から、(既存の資産も含めて)新しい耐用年数に対応する償却率で償却限度額を計算するという意味であると思われます。) 

■金融証券税制   
  第1に、上場株式等の譲渡所得等の10%軽減税率は、平成20年12月31日をもって廃止され、以後は本則の20%となる見込みです。ただし、特例措置として、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの2年間については、その年分の上場株式等の譲渡所得等の金額のうち500万円以下の部分については10%適用となる見込みです。 
  第2に、上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率の軽減税率(10%)については、平成20年12月31日をもって廃止され、以後は本則の20%となる見込みです。ただし、特例措置として、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの2年間については、上場株式等の配当等に対する源泉徴収税率は、年間100万円以下の部分について10%の軽減税率が適用される見込みです。したがって、その年分の配当等の金額が100万円を超える者については、申告不要の特例は適用されない見込みです。
 第3に、上場株式等の譲渡所得と上場株式等の配当所得との間の損益通算の特例が創設される見込みです。その年分の譲渡所得のマイナスだけでなく、その年の前年以前3年内の各年に生じた譲渡所得のマイナスも、上場株式等の配当所得の金額(申告分離課税を選択したものに限る)から控除できるものとされる見込みです。この特例は、平成21年分以後に所得税および平成22年分以後の住民税から適用予定です。 
 平成21年1月1日から平成22年12月31日までの2年間については、上場株式等の譲渡所得が年間500万円超、配当が年間100万円超である場合は、税率が2段階となるため、特定口座を使っていたとしても、税務署に対する申告が必要になる点に留意する必要があります。   

■研究開発税制、情報基盤強化税制の改正 
  研究開発税制のうちいわゆる「増加型」の取扱いが改正され、(1)または(2)の選択適用となる見込みです。 (1) 試験研究費の額 > 比較試験研究費 かつ 試験研究費 > 基準試験研究費
(試験研究費−比較試験研究費)×5%の税額控除  
(2) 試験研究費 > 平均売上金額の10%
その超過額×税額控除率の税額控除 
 
 情報基盤強化税制について、次の3点の改正が予定されています。
(1) 対象設備の拡大(部門間・企業間で分断されている情報システムを連携するソフトウェアで一定の要件のものを追加)。 
(2) 資本金1億円以下の法人の取得価額の最低限度を70万円に引下げ。 
(3) 資本金10億円超の法人の取得については、上限を200億円とする。 
 

   ※税務研究会ホームページ 今月のキーワード(4月)より転載


「出向役員の給与負担金の支給方法(定期同額給与との関連)」2008/03/01

〜定期同額か定期同額プラス事前確定か?〜 
 
                    公認会計士 太田達也 
■出向役員の給与負担金の支給方法
  親会社の従業員が子会社に出向していて、子会社において役員に就任しているケースがよくあります。そのような場合に、出向元法人である親会社が引き続きその出向者に対して給与(または給与・賞与)を支給し、出向先法人である子会社は親会社に対して給与負担金を支給する方法が多く採用されています。子会社において役員として就任して職務を行っている以上、子会社がまったく負担しないと、親会社から子会社に対する寄附金として認定されるおそれもあるからです。 

■役員給与に係る規定改正後の取扱い
  法人税基本通達9-2-46は、出向者が出向先法人において役員となっている場合において、次のいずれにも該当するときは、出向先法人が支出する当該役員に係る給与負担金の支出を出向先法人における当該役員に対する給与の支給として、法人税法34条の役員給与に係る規定が適用されるものとしています。 (1) 当該役員に係る給与負担金の額につき当該役員に対する給与として出向先法人の株主総会、社員総会またはこれらに準ずるものの決議がされていること 
(2) 出向契約等において当該出向者に係る出向期間および給与負担金の額があらかじめ定められていること 
 


■支給方法は複数あり?   
  例えば、出向元法人である親会社が出向者に対して、給与を毎月30万円ずつ、賞与を年2回60万円ずつ支給するものとします。その場合、出向先法人である子会社においては、その支給形態に合わせて毎月30万円ずつの給与負担金を支払い、年2回の60万円ずつについては事前確定届出給与としての届出を(子会社が)行ってそのとおり支給すれば、原則として損金算入要件を満たします。また、年間の総支給額480万円を12で均等に割って、毎月40万円ずつの給与負担金を支給する方法を採った場合であっても、定期同額給与として損金算入が原則として認められます。さらに、年間の総支給額480万円を2で割って、年2回240万円ずつ支給することについて事前確定届出給与としての届出をしたうえでそのとおり支給した場合も、原則として損金算入が認められます(国税庁・法人税基本通達の解説の内容より)。   

■親会社の支払う賞与額についての見積り誤差について 
  先の例では、出向元法人である親会社が出向者に対して支払う賞与が年2回60万円ずつであるという前提を置いていました。ところが、子会社において給与負担金を決定するときに、親会社が支払う賞与の額はあくまでも見積りによらざるを得ないケースがでてきます。その場合、子会社が支給する給与負担金の額と、親会社が支給する給与および賞与の合計額との間に誤差が生じる可能性があります。特に、通達は「出向先法人が給与負担金として支出した金額が出向元法人が当該出向者に支給する給与の額を超える場合のその超える部分の金額については、出向先法人にとって給与負担金としての性格はないことに留意する。」としており(法基通9-2-46の注2)、給与負担金の額が超過したときの取扱いが気になるところです。
 この点については、見積りが子会社において一定の合理的な方法により行われていて、見積りの誤差が許容範囲に収まっていると考えられる場合には、課税上の弊害もなく、問題ないと考えるべきではないかと思われます。合理的な見積りといった場合に、過去の支給実績に対して当期のベースアップの状況などを加味してきちっとした根拠で行われているような場合が考えられます。 

  ※税務研究会ホームページ 今月のキーワード(3月)より転載


「税務調査による申告ミス把握で基準所得金額再計算の必要」2008/02/26

〜特殊支配同族会社Q&A 第8回〜

 所得税・消費税の確定申告がスタートした。これに続いては法人の3月決算が控えている。とりわけ、今年が第2回目の申告となる特殊支配同族会社の特例では、基準所得金額が引き上げられたことと裏腹の関係で、一度申告ミスが発生すればその損害は相当大きなものになると想定される。

 さらに、本誌がこの度確認したところによれば、税務調査で過年度分の法人申告漏れが把握された場合には、該当年分の基準所得金額の“再計算”を行う必要も生じるだけに、特殊支配同族会社を顧問先に有する職業会計人はその申告にあたって万全の注意が必要だ。

 そこで本誌No.3006では、税務調査で基準所得金額の修正が必要になった際の実務上の留意点を紹介することとする。なお、本誌では近々、2回目の申告に対応した特殊支配同族会社の基準所得金額計算ツールの配布及びその解説記事を掲載する予定だ。 
     ※税務通信No.3006 2頁に「詳細記事」掲載 


「過年分の年金の一括支給、過大に源泉徴収のおそれ」2008/02/18

 〜還付金等の消滅時効は5年、特例法の検討も〜

 社会保険庁は、年金記録の訂正により年金受給者の年金額が遡及して増加し、過年分を一括で支給する場合に、一括で支給する年の収入金額として源泉徴収税額を計算し、徴収してきたことを公表した。しかし、公的年金が増額改定され、過年分を一括で支給する場合であっても、本来その公的年金が支給される年分の公的年金等の収入金額として、その源泉徴収税額を計算することが適切な取扱いである。

 この点について、社会保険庁では、各年別の年金支払額に応じた源泉徴収税額を再計算し、既に一括で徴収した源泉徴収税額と相違する場合には、今後支払われる年金で過不足額を調整するとしている。

 ただ、遡及して再計算できる期間は、源泉徴収義務者が国に対してできる過納金還付の請求の時効が5年間であるため、5年間しか遡れないことになる。この時効の問題については特例法等の整備を含めて、今後の動向が注目される。 

     関連ページ
     税務通信No.3005 9頁に「詳細記事」掲載 

「民法の特例により、株式を遺留分の対象から除外」 2008/02/05

〜中小企業の事業承継の円滑化法を今国会で審議へ〜

 20年度税制改正の動向が気になるところだが、平成21年度の税制改正においては「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」が創設されて、課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されることが、20年度改正の大綱や要綱に明記されている。

 これは、深刻な後継者不足の問題を抱える中小企業の事業承継を支援するための政策3本柱の「民法の特例」、「金融支援」とともに行われる税制措置で、「事業承継計画」の認定を受けた非上場中小企業の株式等に係る相続税の80%の納税を猶予するというものだ。

 この税制は、21年度の税制改正で創設されるが、税制の適用は、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(仮称)」の施行日以後の相続等に遡って行われる。円滑化に関する法律は、「遺留分に関する民法の特例」や「金融支援」が盛り込まれる内容となっており、2月上旬には法案を国会に提出、その後の国会審議を経て平成20年10月1日の施行が予定されている。 

     ※税務通信No.3003 2頁に「詳細記事」掲載 

「新しい事業承継税制のポイント」2008/02/01

〜相続税額80%減の活用と留意点〜 
                                   公認会計士 太田達也
■新法の制定を踏まえた税制措置
  最近では、中小企業における事業承継の問題が深刻化しつつあり、事業承継をスムーズに可能とするための法制度の整備の必要性が認識されています。そのようなニーズを踏まえて、「中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)」の立法が今後予定されています。 
  平成20年度税制改正大綱においては、この新法の制定を踏まえて、この法律の施行予定日である平成20年10月1日から適用が可能となるように、平成21年度税制改正で納税猶予措置を創設するものとしています。すなわち、納税猶予制度は平成21年度税制改正で立法予定ですが、平成20年10月1日以後の相続に遡及して適用される予定です。 
■被相続人と相続人の要件
  相続税の納税猶予の適用を受けるためには、「中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)」における経済産業大臣の認定を受けた一定の中小企業である必要があります。新法の要件がまず満たされていないと対象外になります。それに税法上の要件が加えられて制度化される予定です。 
  会社を経営していた被相続人は、その会社の発行済株式等について、同族関係者と合わせてその過半数(50%超)を保有し、かつ、その同族関係者(事業承継相続人を除く)の中で筆頭株主であったことが要件です。 
  また、事業を承継する相続人(事業承継相続人)は、同族関係者と合わせその過半数を保有し、かつ、その同族関係者の中で筆頭株主である後継者であることが必要です。 
■事業継続要件が求められる   
  経済産業大臣(実際には経済産業省)による相続直後および事業継続期間(5年間)のチェックが行われる見込みです。 @事業承継相続人は代表者であること、A確認時の雇用の8割以上が維持されていること、B相続後の株式の継続保有といった要件が定められる見込みです。   
■猶予税額を納付しなければならないケースも! 
  この税制措置は、相続税の納税猶予という建付けになっています。事業承継相続人が納税猶予の対象となった株式等を死亡の時まで保有し続けた場合など一定の場合には、猶予税額が免除されます。ところが、先の事業継続要件を満たさなくなった場合には、猶予税額の全額を納付しなければなりませんし、また、事業継続期間(5年間)を経過後、一部の株式等を譲渡等した場合には、納税猶予の対象となった株式の総数に対する譲渡株式の総数等の割合に応じた猶予税額を納付しなければなりません。しかも猶予税額を納付するときは、利子税を併せて納付しなければなりません。 
■事業承継後の経営が安定している会社に適している特例か? 
  以上の要件や内容をみると、事業承継後において事業承継相続人が長期安定的に経営していくことがある程度確実に見込まれるケースでは、猶予のメリットが最大限発揮され、かつ、問題も生じにくいと思われますが、事業承継後の経営の安定性に懸念がある場合は、慎重に取り扱うことが必要であると考えられます。 
  また、会社が将来解散したときの取扱いなども非常に気になります。今後立法される法令等において確認しておく必要があるでしょう。 


 ※税務研究会ホームページ 今月のキーワード(2月)より転載

「分掌変更に伴う退職給与の支給」 2008/01/09

 〜実質判断により否認されるケースも〜 
 
                              公認会計士 太田達也 
■分掌変更に伴う退職給与の支給
  役員が引き続き役員として在任する場合であっても、分掌変更等により実質的に退職したと同様の事情にあると認められる場合には、そこで支給する退職給与は過大でない限り、全額損金の額に算入されます(法人税基本通達9-2-32)。
 同族会社において、社長が高齢のため代表取締役から退き、後継者候補である息子に代表取締役社長の座を譲るというケースがよくあります。そのとき(平)取締役会長として会社に残る場合が多いわけですが、その分掌変更等によりその役員としての地位または職務の内容が激変したという理由で、退職給与を支給するケースが過去に少なからずありました。それによって損金算入メリットが発生し、かつ、会社の純資産額の減少による株式の相続税評価の低下というメリットが発生しました。 

■あくまでも実質判定が必要
  法人税基本通達は、3つの例示を示しています。すなわち、@常勤役員が非常勤役員(非常勤であっても代表権を有する者および代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く)になったこと。A取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者および同族会社のみなし役員を除く)になったこと。B分掌変更等の後におけるその役員(その分掌変更等の後においてもその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く)の給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと、以上の3つです。
 しかし、これらはあくまでも例示であって、たとえ上記に形式的に当てはまるからといって、実質的に退職したと同様の事情にない場合には、その支給した臨時的な給与を退職給与として損金算入はできません。 

■最近の判例による判断のポイント   
  平成18年10月25日の大阪高裁の判例は、上記の考え方に基づいた内容になっていますが、そこで判断のポイントとして次のような点を示しています。すなわち、実質的に退職したと判断した者が主要な取引先との実質的な対応を引き続き行っていないのかどうか、売上げを獲得するための主要な活動について依然として重要な地位を占めていないのかどうかなどです。 
  上記の形式要件に当てはまるケースでも、経営上の主要な地位を占めていないのかどうかを慎重に判断する必要があるものと考えられます。 

■給与の激減の場合も同様 
  平成19年3月13日付の法人税基本通達の改正により、給与の激減(おおむね50%以上)のケースにおいても、他の例示と同様に、「その分掌変更等の後においてもその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く」という括弧書きが挿入されました。従来からの考え方を再確認したものと思われます。 
  オーナー社長が会長に退いて、給与を大幅に引き下げる場合であっても、例えば対取引先との関係において依然として重要な地位を占めており、会社の経営に関して中心的な地位を占めているような実態がある場合は、退職給与として認められない可能性がある点に留意する必要があると思われます。 

 
      ※税務研究会ホームページ 今月のキーワード(1月)より転載

「新・役員給与の税務情報コーナー」 2007/11/21

 税務研究会のサイトにおいて「新・役員給与の税務」の情報コーナーが掲載されています。無料なのでどなたでも閲覧可能です。ただし、関係官署より常に新しい情報がもたらされていますので、合わせて「週刊 税務通信」の定期購読をお勧めします。念のため、申し添えます。
(↓ドラッグして貼り付けて下さい)

http://www.zeiken.co.jp/yakuin_kyuuyo/   (新・役員給与の税務情報コーナーURL)

「リースの貸手の会計と税務」 2007/11/01

〜リース会計基準と税法との関係〜 
                                        公認会計士 太田達也
■リース会計基準における貸手の会計処理
  平成20年4月1日以後に開始する事業年度から適用が開始される(早期適用を認める取扱いは別途あり)リース会計基準の適用に向けての準備・対応が各企業において検討されつつある段階となっています。所有権移転外ファイナンス・リースについては、売買処理が原則とされ、従来はほとんどの企業が賃貸借処理を行ってきたのに対して、大きな改正がなされたことは周知のとおりです。
 貸手の会計処理が実務では特に問題となっています。リース会社が貸手としての取引を行うだけでなく、親会社の子会社や関連会社が、リース取引を貸手の立場で行うケース(@関係会社間でリースを行う場合、Aリース事業を子会社等が行う場合)が決して少なくありません。 
 会計処理方法としては、@リース取引開始時に売上高を計上する方法(この場合は、翌期以降の利息相当額を繰延べます)、Aリース料受取時に売上高を計上する方法、B売上高は計上しないで、利息相当額の回収は受取利息、元本相当額の回収はリース投資資産の減額で処理する方法、以上の3つの会計処理方法のなかから、取引実態に応じたものを選択適用する取扱いとなっています。どの方法であっても、各期において計上される利息相当額、すなわち利益は同額となります。 
■利息法による配分か、定額配分か?
  リース期間中の各期に配分する利息相当額については、利息法(=複利法)による配分が原則となります。ただし、10%基準による判定で、重要性が乏しい(10%未満)の場合は、定額で配分する方法が認められています。この定額配分は、たとえ10%未満であってもリースを主たる事業としている企業には適用はなく、利息法しか認められない点には留意する必要があります。 
■税法との関係   
  新しい会計基準と税法との関係が、貸手の場合は特にわかりにくい内容になっています。税法上、売買があったものとして取り扱われることになったファイナンス・リース取引の引渡しは、長期割賦販売等に含まれることになりました(法人税法63条6項)。所有権移転か所有権移転外かにかかわらず、長期割賦販売等に含まれます。 
  長期割賦販売等に該当しますので、法人税法63条1項の適用対象になり、延払基準により収益・費用の配分を行います。その計算方法は、政令である法人税法施行令124条1項に規定されていますが、平成19年度税制改正により、法人税法施行令124条1項2号として、利息法による配分方法が延払基準に追加されましたので、リース会計基準に従ってリース料の総額と原価との差額を利息法により各期に収益計上する方法は、そのまま認められます。
 また、リース会計基準における簡便法(10%未満の場合)により定額で各期に収益を配分する場合は、定額法による延払基準の方法(法人税法施行令124条1項1号)により経理したものとみなされますので、そのまま認められます。 
■特例計算もあり
 一方、法人税法63条2項により、別表14(5)の添付という要件のもと、特例計算が認められます。この特例計算は、リース譲渡の対価の額からその原価の額を控除した金額20%相当額については利息法で、残りの80%相当額については定額法で配分する方法です。この方法は、適用要件があることから、法人税法63条1項との選択制になっている点に留意が必要です。

           ※税務研究会ホームページ 今月のキーワード(11月)より転載

「減価償却方法の届出書提出期限」 2007/10/22

【減価償却方法の届出書提出期限で新たに確認〜申告書提出期限延長特例を受けていれば自動追随】 2007.10.22


 減価償却制度の大幅な見直しに伴い、償却方法の変更届出書の提出期限については、改正後初年度の特例が設けられている。改正法施行日である19年4月1日以後、最初に終了する事業年度で選定した償却方法を変更しようとする場合についてのみ、その事業年度の確定申告書の提出期限までに届け出れば、届出書の提出をもって変更承認があったとみなされるというものだ。

 これに関し、法人が確定申告書の提出期限の延長特例を受けている場合については、経過措置による届出書の提出期限も延長された申告書の提出期限ということになる。

 特例を定めた政令附則には申告書の提出期限とだけあるため、延長の適用の有無についての疑問もあったようだが、延長特例を受けていれば、申告書の提出期限=延長後の期限となるため、この届出書の提出期限も延長の対象となる。 

税務通信No.2989 4頁に「詳細記事」掲載 

「役員給与の損金算入規定」 2007/10/04 

平成18年度の改正によって大きく見直された税務上の役員給与の取扱いであるが、この改正によって、「法人税法上、役員給与は、原則が損金不算入」とされたわけではないということを改めて確認しておきたい。

 確かに法人税法第34条は、見出しが、「役員給与の損金不算入」であり、第1項の本文では、「定期同額給与、事前確定届出給与、利益連給与のいずれにも該当しないものの額は、損金に算入しない」としているのであるが、このような規定振りは、法人税法第22条の別段の定めを規定するための立法技術上の要請からくるものであり、役員給与は、その本質が損金不算入であると定めたものではないということだ。

 従来から、法人税法では、法人が支給する役員給与には、法人の利益に該当する部分(損金不算入)と役員の職務執行の対価に該当する部分(損金算入)とが含まれているという考え方が採られてきており、18年度の改正前の規定では、支給される役員給与が「臨時的なものか否か」によって両者を区別していた。

 しかし、周知のとおり、会社法による利益処分手続きの廃止等を契機として、会計上、役員賞与が費用処理されることとなった等を踏まえて、平成18年度の改正後は、支給される役員給与が「事前の定めによるものか否か」、すなわち、恣意性を一つのメルクマールとして損金算入の可否を区別することとなったものだ。

 この点、現行の会計処理は、役員報酬・賞与はすべて費用に落ちることになるので、法人税法上、一定のものについては、損金不算入とする場合は、その範囲や、損金不算入とする扱いを別段の定めによって規定することになるわけだ。

 したがって、役員給与の一部損金不算入が別段の定めで規定されたからといって、原則損金不算入だということではない。また、実態上も、役員給与の大宗が損金算入されており、その一部が不算入となっているにすぎないこととなる。この別段の定めの規定は、他に「寄附金の損金不算入」(第37条)等の例がある。

 なお、もし、役員給与が、原則、損金不算入であるとすると、第34条の第2項以下で、改めて過大な役員給与や仮装・隠蔽による役員給与を損金不算入と規定するのも、不合理ということになってしまう。

  ※週刊税務通信 平成19年9月17日 NO.2984 ショウ・ウインドウより引用

「リース取引に係る消費税の経理処理」 2007/09/07

〜新たな実務上の課題が浮上〜 
                                           公認会計士 太田達也
■法人税法の改正
  リース会計基準が改正され、所有権移転外ファイナンス・リース取引につき、原則として売買処理が義務づけられたことは、7月の税務・会計ナビでも取り上げたとおりです。平成19年度税制改正により、法人税法の規定も売買処理の規定 に統一されました。すなわち、リース資産の貸手から借手への引渡しのときに、 売買があったものとして、貸手および借手の所得計算を行います(法人税法64条 の2第1項)。 
■消費税法上の取扱い
  「リース取引が、当該リース取引の目的となる資産の譲渡もしくは貸付けまた は金銭の貸付けのいずれに該当するかは、所得税または法人税の課税所得金額の 計算における取扱いの例により判定するものとする。」とされています。
  法人税法上、売買処理とされることにより、消費税法上も、リース資産の引渡しの時に資産の譲渡があったものとして取り扱うことになります。したがって、 借手にとっては、リース資産を引き渡したときに、リース料の全額が課税仕入に なります。 
■支払利息の取扱い   
  リース会計基準に準拠し、売買処理を適用するとき、リース料総額から利息相 当額を控除して会計処理を行うのが原則になりますが、その場合、法人税法上も 支払利息として損金算入の対象になります。ところが、消費税法上、この支払利 息がそのまま非課税仕入になるとは限りません。消費税法上は、契約において利 息相当分や保険料の額が明示されていれば非課税仕入になり、明示されていなければ課税仕入として取り扱われます(消費税法施行令10条3項15号、消費税法基 本通達6-3-1(17))。この取扱いは、今後においても維持されるものと考え られます。
  したがって、契約において利息相当分が明示されていない場合は、リース料総 額が課税仕入となり、リース取引開始日の属する事業年度において一括控除の対 象になります。 
■実務上の課題
  リース取引開始日の属する事業年度において一括控除ということは、消費税を 支払っていない段階において、リース料総額(または利息相当分が非課税仕入に なるときは、それを控除した額)に係る消費税を控除するということになります。 この点、次のように、経理仕訳をすることが想定されます。
リース資産 ×××  リース債務  ×××
仮払消費税等  ×××  
■賃貸借処理の場合
  今後の最も重要な検討課題は、賃貸借処理をしたときの消費税に係る経理仕訳 の問題です。すなわち、リース資産を計上しないにもかかわらず、消費税を一括 控除するときに、どのような経理仕訳で対応したらよいのかという問題です。仮 払消費税等を未払計上して、リース料の支払のつど取り崩す処理をするのか、またその場合、賃借料を課税仕入としてしまうと2重控除になってしまうため、不 課税取引として取り扱うのか、そのような問題をクリアしていく必要があるでしょう。

          ※税務研究会ホームページ 今月のキーワード(9月)より転載

「リース税制の改正について」 2007/08/02

〜法人税法、消費税法はともに売買処理に〜 
■リース会計基準の改正
  企業が利用しているリース取引の大部分は、所有権移転外ファイナンス・リースです(リース期間終了時に、所有権は借手に移転しないが、解約不能または実質解約不能で、借手が物件を所有することにより得られるのと同様に、ほとんどすべての経済的利益を享受すること、および借手が物件を使用するに伴って生じるのと同様に、ほとんどすべてのコストを負担するリース取引をいいます。要は、リース資産を使用しているが、自社で所有している場合と同様の効果および費用が生じているものとみなされるリース取引です)。このリース取引についての会計処理を定めているリース会計基準が改正されましたが、改正前の会計基準は、所有権移転外ファイナンス・リース取引については、売買処理を原則としながらも、一定の注記を要件として賃貸借処理を例外として認めてきました。ところが改正後のリース会計基準は、所有権移転外ファイナンス・リース取引についても所有権移転ファイナンス・リースと同様に、売買処理を行うものとしました。すなわち、リース取引開始時に、次のような仕訳を行います。 
リース資産    ××× / リース債務   ×××
■法人税法・消費税法も改正
  この会計基準の改正に対応して、平成19年度税制改正によって、法人税法上も、リース資産を貸手から借手に引き渡したときに、売買があったものとして所得の金額を計算するものと規定されました。上記のように売買処理を行った場合に、法人税においてもそのまま認容され、原則として申告調整も不要となりました。
 また、消費税法上も、法人税法と同様に、売買処理となり、借手がリース会社に支払うリース料総額が課税仕入れとして認められ、仕入控除についてリース取引開始時に一括して行うことができるようになりました。売買処理を採用している場合で、かつ、税抜方式を採用している場合、リース取引開始時において、次のような仕訳が想定されます。
リース資産    ×××      リース債務  ×××
仮払消費税等  ×××  
  
■中小企業において想定される処理   
  中小企業がリース会計基準に準拠しないで、従来どおり賃貸借処理した場合に、法人税法上どのように取り扱われるかが問題となります。また、リース会計基準に準拠した場合であっても、リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のリース取引については賃貸借処理できるとされています。その場合も、法人税法上どのように取り扱われるかが問題となります。この点については、賃借人が賃借料として損金経理をした金額は、償却費として損金経理した金額に含まれると規定されているため(法令131条の2第3項)、法人の経理処理方法が(減価)償却費でなくても、賃借料であっても、損金経理要件を満たすことになります。申告調整は必要ないということです(別表16の明細書への記載も不要です)。 
 法人税法上、リース資産の減価償却については、リース期間を償却期間として残存価額ゼロで定額法により計算した金額が償却限度額になります(リース期間定額法といいます)。その場合の取得価額は、原則としてリース料総額であり、リース会計基準の適用により利息相当額を控除した場合は、リース料総額から利息相当額を控除した金額になります。賃借料として損金経理した金額は償却限度額と等しくなるため(リース料総額を定額法で均等に償却した金額が償却限度額になるため)、そのような経理処理方法が税務上不利になることもありません。 

※【参考解説】税務通信No.2971・31頁「新リース会計基準と税務に関する実務上の取扱いと留意点 新日本監査法人・公認会計士 太田達也」参照 

「同族会社への不動産管理料」国税不服審判所裁決  2007/02/12

 《同族会社に支払った不動産の管理料について、所得税法第157条“同族会社等の行為又は計算の否認”を適用せず、同族会社は管理行為を行っていないとして、所得税法第37条“必要経費”により、その全額の必要経費算入を認めなかった事例》
              裁決事例集No.71−205頁  平成18年6月13日裁決

@ 請求人の主張
業務委託は正常な取引であり、支払った管理料は業務の対価として相当な金額。
A 原処分庁の主張
管理料の算定根拠が不明。他社にも管理業務を委託しており、合理性を欠いている。
B 裁決
業務委託の必要性が認められず、同族会社が業務を行ったという客観的な証拠もないとして、請求人が同族会社に支払った管理料の全額について、必要経費として認めない。
すなわち、当事者双方の主張を採用することはできない。

C コメント
不動産所得を有する個人が不動産管理会社を設立して節税を図る行為は実務面ではよく見受けられる事案。そのため、課税庁側が厳しい目を向けることも周知の事実。しかし、今回の裁決のように“必要経費”性そのものが否定される事例は極めて珍しい。伝家の宝刀の“同族会社等の行為又は計算の否認”を適用された場合においても、最悪でも数%の経費性が認められるわけであるから、今回の裁決は極めて異例。この裁決を今時分に公開するのは、確定申告時期を目前に控えての安易な節税に対する課税庁側の牽制の意図が見え隠れする。しかしながら、我々税務実務家もこの裁決を肝に銘じて、テクニックに走らない適切な指導をしなければならないこともまた事実である。


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