応能負担原則に反する税制は憲法違反

    2006年5月「専業税理士界」の「主張」に掲載したものです。

    応能負担原則に反する税制は憲法違反

    応能負担原則に反する税制は憲法違反
    消費税や税率のフラット化は租税の所得再分配機能に反する
       
     5月3日は憲法記念日であり、各地で記念行事とともに憲法9条を守るための「9条の会」の行事や設立総会が実施されました。現在、各地の「9条の会」は全国で約4800も設立されており、私も地元の「9条の会」の一員です。
    憲法前文に「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。・・・われらはこれに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」とあり、自衛軍(軍隊)を規定する自民党の新憲法草案は明らかに現憲法に反しており、新憲法制定や憲法改訂は排除すべきです。
    租税に関して「租税国家を前提とする日本国憲法は・・・租税の使途については人権尊重、つまり福祉本位、徴収のあり方については応能負担原則を規定している・・・累進税の原理の具体化が強く要請される」(北野弘久「税法学原論」)とあり、租税のあり方は形式的平等ではなく相対的平等、つまり所得再分配(富の再分配)機能が重要であり、応能負担(負担公平)原則に基づく累進税が憲法の趣旨に沿うものと考えています。
    従って、消費税は形式的平等により応能負担原則に反し、租税の重要な所得再分配機能が劣る逆進性の税制であり、憲法第14条「法の下の平等」のほか第25条「生存権」・第29条「財産権」等に違反すると考えます。
    また、2006年度税制改訂において個人住民税の税率が一律10%に一本化されましたが、このような税率のフラット化はやはり消費税同様に応能負担原則に反します。
    このような消費税が来年にも増税されようとしていますが、その増税2%で約5兆円といわれ、これは日本の年間軍事費に相当します。また、増税1%での約2.6兆円(2006年度予算)は日本が米国から今後3年間で新たに負担を迫られる?根拠不明の米軍再編費(約3兆円で、実質はイラク関連軍事費等ともいわれている)にほぼ相当します。
    従って、消費税の増税(最近の新聞では3%以上と報道)は憲法違反である日米の軍事費に充当される危険性が高いと思われます。
     朝日新聞(本年2月頃)は、政府による経済格差の調整度合いを測る「所得格差を示すジニ係数の動き」を見ると、税による所得の再分配機能が大幅に低下していることを指摘し、その原因として「所得税の最高税率が約30年間に75%から37%に引き下げられ、勝ち組である高所得者にやさしい措置である」と報道しています。
    このように、税率の引き下げも応能負担原則に反し所得の再分配機能が低下します。
    そして、金持ち優遇税制といわれる現在の税体系が所得の格差社会という状況を創り出しています。法人においても法人税率の引き下げ(約45%から30%に)や大企業優遇の租税特別措置法等により中小零細企業と大企業との企業格差はますます大きくなっています。
     また、憲法は国民主権の原理及び第30条「納税の義務」、第84条「課税の要件」(租税法律主義及び租税条例主義)に基づき、租税債務の確定方法は原則的に納税者の権利としての申告納税制度を採用していると考えます。
    従って、一般消費課税である消費税や酒税・ガソリン税等の間接税ではなく、所得税・法人税・相続税等の直接税を中心にした税体系が原則となります。(但し、給与所得者は例外)
    つまり、この制度は自主的に申告し納税することにより租税債務が確定するシステムであり、そして痛税感と同時に税金の使途をチェックする意識を高めることができます。
    従って、憲法違反である軍事費等への税金の投入に対して批判的な意思表示をすることにより、その増大を阻止する機能を持ちえます。
    但し、給与所得者等の所得税については源泉徴収されることで課税関係が終了することから主権者である納税者としての法的地位がなく、租税(特に痛税感)の意識が薄くなるという申告納税制度における重大な欠陥があります。

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