税務のソコココ
税制改正で変わった点など、皆様にお知らせしたい経理や税法などをピックアップしてます。
平成20年度税制改正
【個人所得関係】 (1)住宅省エネ改修工事に係る住宅借入金等がある場合の特別税額控除の創設 居住する家屋に一定の省エネ改修工事を含む増改築等を行った場合、その家屋を平成20年4月1日から同20年12月31日までの間に居住用としたときは、一定の要件の下で、その省エネ改修工事等に充てるために借り入れた住宅借入金等の年末残高の1,000万円以下の部分の一定割合を所得税額から控除する制度が創設されます。この特例は、住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除との選択適用とされ、控除期間・控除率等は次のとおりです。
居住の用に供する時期…平成20年4月1日〜平成20年12月31日 控除期間…5年 控除率…ア.その増改築等に係る住宅借入金等の年末残高の内、特定断熱改修工事等(断熱改修工事等のうち、エネルギー使用の合理化に著しく資するものをいう)に要した費用の額(200万円限度)に相当する部分の金額…2% イ.その増改築等に係る住宅借入金等の年末残高のうち、ア以外の部分の金額…1%
〔対象となる省エネ改修工事〕 次に該当する工事で、費用が30万円を超えるものが対象となります。 @居室の全ての窓の改修工事、または@と併せて行うA床の断熱工事、B天井の断熱工事もしくはC壁の断熱工事で、省エネ性能が平成11年基準以上となり、かつ、住宅全体の省エネ性能が改修前から一段階以上上がること
(2)電子申告で添付省略できる第三者作成書類の追加 所得税の確定申告書の提出を電子申告で行う場合、一定の要件の下、税務署への提出または提示を省略できる第三者作成書類に次の書類が追加され、添付しなくてもよくなりました。ただし、保存は必要です。 ・給与所得者の特定支出の控除の特例に係る支出の証明書 ・雑損控除、寄附金控除、勤労学生控除の証明書等 ・個人の外国税額控除に係る証明書 ・住宅借入金等特別控除に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの) ・政党等寄附金特別控除の証明書
適用は、原則的には、平成20年1月4日以後に、平成19年分以後の所得税の確定申告書の提出を電子申告で行った場合です。
(3)特定中小会社へ出資した場合の優遇措置(エンジェル税制)に寄附金控除を適用 個人が、一定の要件を満たす特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の特例として、その出資金額について1,000万円を限度として寄附金控除が適用できます。 ※この特例の創設により、特定中小会社が発行した株式に係る譲渡所得等の2分の1課税の特例は廃止されます。 適用は平成20年4月1日以後に特定中小会社の株式を払込により取得した場合です。
(4)上場株式等の譲渡所得等に2年間の特例 従前の軽減税率が適用期限で廃止される代わりに、一定の譲渡所得については特例が設けられます。具体的な内容は次のとおりです。
〔軽減税率の廃止〕 上場株式等に係る譲渡所得等の所得税7%(住民税と合わせて10%)軽減税率が平成20年12月31日で廃止されます。その後は、本則の15%(住民税と合わせて20%)となります。
〔特例措置〕 平成21年1月1日から同22年12月31日までの2年間に上場株式等を譲渡した場合には、その年分の上場株式等に係る譲渡所得等のきんがくのうち500万円以下の部分については所得税7%(住民税と合わせて10%)とされます。 なお、平成21年1月1日から同22年12月31日まで源泉徴収選択口座における源泉徴収税率を所得税7%(住民税と合わせて10%)とする特例が設けられます。
(5)上場株式等の配当所得に2年間の特例 従前の軽減税率が適用期限の到来で廃止される代わりに、一定の配当所得については特例が設けられます。内容は次のとおりです。
〔軽減税率の廃止〕 上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率について、平成20年12月31日で所得税7%(住民税と合わせて10%)の軽減税率が廃止されます。
〔源泉徴収税率の特例措置〕 その特例措置として、平成21年1月1日から同22年12月31日までの2年間に上場株式等の配当等(大口株主が支払を受けるものを除く)に対する源泉徴収税率は所得税7%(住民税と合わせて10%)とされます。この場合、その年中の上場株式等の配当等(年間1万円以下の銘柄に係るものを除く)の金額の合計額が100万円を超える人については、その超える年分について、確定申告をすることになります。 ※上場株式等の配当所得について申告分離選択課税が創設されます。
(6)上場株式等の譲渡損失と配当所得との損益通算の特例創設 その年分の上場株式等の譲渡所得の損失があるとき、またはその年の前年以前3年内の各年に生じた上場株式等の譲渡損失の金額(前年以前に既に控除した金額を除く)があるときは、これらの損失の金額を上場株式等の配当所得の金額(申告分離課税を選択したものに限る)から控除(損益通算)されます。適用は、平成21年分以後の所得税からです。
| | 〜平成20年 | 平成21年 | 平成22年 | 平成23年〜 | 上場株式等 の譲渡益 | 軽減税率 10% (所得税7%、 住民税3%) | 特例措置10% (所得税7%、住民税3%) ※ただし譲渡所得は500万円以下。配当所得は大口株主が支払を受けるものを除く。 | 本則税率 20% (所得税15%、 住民税5%) | 上場株式等 の配当 | 上場株式等 の損益通算 | ― | 申告に よる方法 | 申告による方法または源泉徴収口座を活用する方法
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(7)その他 ・特定上場株式等に係る譲渡所得等の非課税制度は、適用期限をもって廃止。 ・給与所得者等がその使用者から住宅資金の貸し付け等を受けた場合の課税の特例(金利の優遇)の適用期限が2年延長。
【企業関係】 1.減価償却の区分・耐用年数の簡素化 @法定耐用年数区分 機械及び装置を中心に、法定耐用年数の区分けを40年ぶりに見直し、実態に即した耐用年数をもとに390ある区分を55に集約すると同時に、耐用年数が見直されます。 適用:既存の減価償却資産を含めて、法人の場合は、平成20年4月1日以後開始する事業年度から(個人の場合には、平成21年分以降)。
2.中小企業向けの教育訓練費の特別税額控除など (1)教育訓練費にかかる税額控除へ簡素化 教育訓練費が増加した場合の特別税額控除について、その対象が中小企業者等に限定され、労務費に占める教育訓練費の割合(教育訓練費割合)が0.15%以上である場合に、教育訓練費の総額に12%(教育訓練費割合が0.25%未満の場合は次の算式による特別控除割合)を乗じた金額の特別税額控除ができる制度に改められます(大企業の場合は適用期限の到来をもって廃止)。
8%+(教育訓練費/労務費−0.15%)×40% (2)情報基盤強化税制の要件緩和 情報基盤強化税制の対象となる中小企業のソフトウェア投資の要件を大幅に引き下げるなど、次のような見直しをした上、その適用期限が、2年延長されます。
@対象設備等の中に、部門間・企業間で分断されている情報システムを連携するソフトウエアとして一定の要件を満たしているものが加えられます。 A資本金または出資金が1億円以下の法人等については、対象設備等の取得価額の合計額の、最低限度が70万円(従前300万円)に引き下げられます。
(3)試験研究開発に係る特別税額控除制度の拡充 試験研究費にかかる特別税額控除制度について、試験研究費の増加額に対する特別控除割合を上乗せする制度が改められ、平成20年4月1日から同22年3月31日までの間に開始する各事業年度で、次の特例のいずれかを選択適用できる制度が創設されます。
@試験研究費が前3期の平均額を超え、かつ、前2期のうち多い額を超える場合に、その試験研究費が比較試験研究費を超える部分の金額の5%相当額の特別税額控除ができます。 A試験研究費が平均売上金額の10%相当額を超える場合に、その超える部分の金額に特別税額控除割合を乗じた金額の特別税額控除ができます。
特別税額控除割合=(試験研究費割合−10%)×0.2 <法人税額の10%相当額が限度>
(4)交際費等の損金不算入制度の2年延長 交際費等の損金不算入制度について、中小企業者が対象の400万円までの90%損金算入の適用期限が、2年延長されます。 また、交際費等の損金不算入制度そのものの適用期限も、2年延長されます。
(5)欠損金の繰戻し還付制度の2年延長 欠損金の繰戻しによる還付の不適用制度として、中小企業者の設立後5年間に生じた欠損金額に係る適用除外措置の適用期限が、2年延長されます。 また、この欠損金の繰戻しによる還付の不適用制度の適用期限も、2年延長されます。
(6)少額減価償却資産の一括損金算入制度の2年延長 この中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入制度について、1個の取得価額が30万円未満の少額減価償却資産で、その年間合計金額が上限300万円までについてはその取得時に損金算入できるという特例制度の適用期限が、2年延長されます。
(7)公益社団・財団法人の公益目的事業の所得が非課税に 公益社団法人及び公益財団法人について、公益目的事業から生じる所得が非課税とされるとともに、すべての公益社団法人と公益財団法人が寄附優遇の対象となる特定公益増進法人とされます。同時に、公益目的事業を行うために使われる収益事業からの繰入れについては、全額損金算入が認められます。
(8)特定公益増進法人等への寄附金の損金算入限度額が拡大 一般法人が特定公益増進法人等へ寄附金を支出した場合の損金算入限度額について、制度創設の昭和36年以来初めて、所得基準が以下の通り大幅に拡大されます。
| | 従 前 | 改正後 | | 所得基準 | 所得金額の2.5% | 所得金額の5% |
(9)地方法人特別税を創設 法人事業税(所得割)の税率を引き下げたうえで、その引下げで減少する部分の税額を国税として申告納付する地方法人特別税が創設されます。同時に地方法人特別税の税収の全額を人口等一定の基準により都道府県へ譲与する地方法人特別譲与税が創設されます。
(10)租税特別措置の縮減・廃止・延長 〔縮減〕 @中小企業等基盤強化税制 その対象から中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の異分野連携新事業分野開拓計画に係る措置が除外されます 〔廃止〕 @経営革新計画を実施する中小企業者に対する特定同族会社の特別税率の不適用制度 同制度は、適用期限をもって廃止されます。ただし経営革新計画の承認を受けている中小企業者には、経過措置が講じられます。 〔適用期限の延長〕 @3年延長される事項 ・退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止措置 A2年延長される事項 ・中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却または特別税額控除制度 ・使途秘匿金の支出がある場合の課税(その支出額の40%の法人税)の特例制度 ・優良賃貸住宅の割増償却制度における中心市街地優良賃貸住宅に係る措置 など
所有権移転外ファイナンス・リース取引
平成20年4月1日以後、リース取引のうち多くの企業が利用している所有権移転外ファイナンス・リース取引について、法人税法において
賃貸借取引 → 売買取引(原則) というように取扱が変わります。
●所有権移転外ファイナンス・リース取引… 資産の賃貸借で、賃貸借期間中の契約解除が禁止されており、かつ、賃借人がその資産の使用に伴って生じる費用を実質的に負担する等の要件を満たす物で、リース期間終了時にリース資産の所有権が賃借人に無償で移転するもの等以外のものを言います。
具体的には・・・ 平成20年4月1日以後に締結する所有権移転外ファイナンス・リース契約について、売買取引として次のような処理になります。
〔借手(賃借人)側の処理〕 リース資産をリース期間定額法により償却します。なお、借手が賃借料として経理した場合もこれを償却費として取り扱います。 ●リース期間定額法…リース期間を償却期間として残存価額をゼロとする定額法
〔貸手(賃貸人)側の処理〕 リース料総額から原価を控除した金額(リース利益額)のうち、受取利息と認められる部分の金額(リース利益額の20%相当額)を利息法により収益計上し、それ以外の部分の金額をリース期間にわたって均等額により収益計上することができます。
平成20年3月以前に契約したリース取引の取扱 ・借手側…従前通りの取扱 ・貸手側…同年4月1日以後に終了する事業年度から旧リース期間定額法により償却
「パートタイム労働法」の一部改正
〜通常の労働者との待遇の格差是正等を盛り込み、平成20年4月より施行されます。〜 (パートタイム労働者:1週間の所定内労働時間がその職場で働く通常の労働者より短い人) 改正点1.労働条件の文書交付と説明義務 パート労働者は個々に労働条件が異なる場合が多いので、個別に雇用契約書を定めて交付し、労働条件を明示して説明することが義務づけられました。
改正点2.通常の労働者との賃金の均衡待遇義務 賃金の決定方法について、同じ職務(または同じ範囲の職務、配置がみこまれる)の通常の労働者と同一にするよう努力することが義務づけられました。
改正点3.教育訓練において均衡待遇を 業務に必要な最低限の教育訓練を、通常の労働者と同じ職務に従事するパート労働者にも実施することが義務づけられました。
改正点4.福利厚生について均衡待遇を 業務遂行に直接関係ある施設について、通常の社員と同様にパート労働者に対しても利用する機会を与える配慮をすることが義務づけられました。
改正点5.差別的取扱の禁止 通常の労働者と同様の働き方をしていると見られるパート労働者について、短時間労働であることを理由に差別的取扱をしてはならないことが義務づけられました。
改正点6.通常の労働者への転換 フルタイマーを希望しているパート労働者にも、通常の労働者に転換できる機会を作らなければなりません。
●これら改正点を踏まえ、パート社員の規定の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
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