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    TKC税研速報

    平成18年度 政府税調、個人所得課税に関する報告書を公表

    1.所得の種類と税負担のあり方

    (1)所得区分
    1. 事業所得
      給与所得控除の見直しが課題となる。
      給与所得控除については、従来より、給与所得者に係る「勤務費用の概算控除」のほか、被用者特有の事情に配慮した「他の所得との負担調整のための特別控除」という二つの要素を含むものとして整理がなされてきた。
      このように被用者特有の事情を画一的にとらえて一律の控除を行う現行の仕組みを見直し、給与所得者の控除や申告のあり方についても、経費が適切に反映されるような柔軟な仕組みを構築していくべきである。
      職務遂行上の経費として認められる特定支出控除の対象範囲の拡大について検討する必要がある。
    2. 退職所得
      短期間勤務に対しても2分の1課税が適用されているという点に関しては、事実上租税回避に使われている側面がある。
      退職金については、全体として多様な就労選択に対し中立的な制度となるよう課税のあり方を見直すべきである。
    3. 事業所得
      事業所得については、売上げ、必要経費の記帳に基づく申告納税の趣旨の重要性を再認識する必要がある。簡素な税制を構築する狙いから、事業所得に関しては、実額での必要経費は正しい記帳に基づく場合のみ認めることとし、そうでない場合には一定の「概算控除」のみを認める仕組みを導入することも考えられよう。
    4. 譲渡所得
      土地、株式に係る譲渡所得については既に分離課税とされている。その他の資産の譲渡益についても、同様の取扱いとすることを検討する必要があろう。
    5. 不動産所得
      所得の計算の実態、また所得区分の改廃にかかる経緯をみると、独立の所得区分としての不動産所得を廃止することを検討すべきである。
    6. 一時所得
      雑所得に統合することを検討すべきである。
    7. 雑所得
      公的年金等については、独立の所得区分を設けることを検討すべきである。
      なお、世代内・世代間の負担の公平を図る観点から、給与所得控除の見直しも踏まえ、公的年金等控除のあり方については引き続き見直しが必要である。


    (2)金融所得課税の一体化
    • 今後とも金融所得間での課税方式の均衡化、損益通算の範囲拡大を柱とする金融所得課税の一体化の検討を進め、金融所得課税に係る現行の分離課税制度をより簡素で中立的な仕組みにしていく必要がある。
    • 金融所得の損益通算の範囲の拡大にあたっては、現在の配当・株式譲渡益に関する時限的な特例が終了し、課税方式の均衡化が図られることが前提となる。
    • 損益通算を希望する納税者のための何らかの金融番号制度の導入は不可欠となろう。

    2.世帯構成と税負担のあり方

    (1)配偶者との関係

    就業している配偶者であっても、所得が一定額以下であれば自らは基礎控除の適用を受けて課税関係が生じない。その一方で、パートナーが配偶者控除の適用を受けることで、夫婦で二重に控除を享受するという問題が生じている。
    こうした点を踏まえ、配偶者に関する現行の人的控除のあり方については、根本的な見直しが必要であろう。


    (2)子育て支援との関係
    • 政策的に子育てを支援するとの見地からは、税制において、財政的支援という意味合いが強い税額控除という形態を採ることも考えられる。この問題については、今後、少子化対策全体の議論の中で、他の政策手段との関係、諸外国の事例も踏まえ、引き続き検討を深めていく必要がある。
    • また、扶養控除のあり方として、年齢の如何に関わらず、単に対象者の所得が一定水準以下にとどまることを理由として一律の取扱いを行っていることについても考える必要がある。対象者に年齢制限を導入することを検討すべきである。
    • 年齢16歳以上23歳未満の扶養親族(特定扶養親族)については、一般の扶養控除の割増措置として特定扶養控除が認められている。
      特定の年齢に該当する扶養親族を対象に、一律に所得控除の割増を認める現行制度のあり方には疑問がある。人的控除について簡素化・集約化を進める観点から見直しが必要である。


    3.課税ペースと税率構造のあり方

    (1)実効税率の水準
    我が国の実効税率は諸外国と比べて極めて低い状況にあり、個人所得課税の本来機能の回復の観点からは、課税ペースや税率構造の見直しにより、その水準を引き上げていくことが今後の課題となる。


    (2)課税ペース

    広く公平に負担を分かち合うとの観点から、課税ペース縮小の原因となる非課税所得、各種控除のあり方を議論することが重要である。


    (3)税率構造
    • 個人住民税において所得割の税率のフラット化が行われる場合には、所得税においては所得再分配機能を適切に発揮できるよう、また、個々の納税者に係る国・地方を通じた税負担の変動を極力抑制する観点から、税源移譲のために10%よりも低い税率区分を設ける必要がある。
    • 最高税率については、今後、消費税を含めた税体系全体の見直しが行われる場合には、その水準の当否について改めて検討する必要があろうが、個人住民税とあわせて50%という現在の水準は、個人の勤労意欲・事業意欲の点から見て基本的に妥当なものと考えられる。
    • 実効税率の水準を引き上げる場合には、現在の最低税率のブラケットの幅を狭めていくことが必要となろう。


    4.結びにかえて

    当調査会においては、これらの課題に係る具体的な対応について、今後、更に検討を行っていくこととする。国民各層においても、個人所得課税のあり方について積極的に議論が行われることを期待する。

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