お知らせ

事業承継対策が新しくなります。

中小企業における経営の承継の円滑化法が公布され、10月1日より施行されます。
今回は特に事業承継に係る諸問題のソリューションとして有効と思われる民法上の遺留分についての特例を中心に解説します。


《 従来の遺留分制度の問題点 》
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人、つまり配偶者と直系血族の
相続人に対して最低限の遺産継承の権利を保証する制度(民法)で、
相続人の法定相続分の1/2(直系尊属だけの場合は1/3)が保
証されています。従って、現行の遺留分制度では、先代経営者から
相続人である後継者に自社株式等を生前贈与により集中したとして
も、相続時には先代経営者の他の遺産に合算され遺留分減殺請求の
対象となりますので、他の相続人の遺留分侵害部分は減殺請求によ
り非事業後継者へ相続されることとなります。
また、遺留分の金額の算定に当たっては、贈与時の評価額ではな
く相続開始時の価額(時価)とされますので、仮に株式等の贈与後
に後継者が貢献して株価を上昇させたとしても、その上昇分も遺留
分算定に含まれることとなります。


《 新しい民法の特例 》
後継者が、遺留分権利者全員と以下の合意をしたときは、経済
産業大臣の確認と家庭裁判所の許可を条件に、民法の特例の適用
が受けられます。

1,生前贈与株式等の遺留分算定基礎財産からの除外
2,生前贈与株式の評価額の固定


《 特例の効果 》
特例の適用により、相続に伴う株式分散を未然に防止することが
出来、且つ後継者の貢献による株式価値上昇が遺留分減殺請求対象
外となり、後継者の経営意欲が阻害されなくなります。


《 その他 》
また経営承継円滑化法には非上場株式の課税価格の80%に対応す
る相続税の納税猶予制度も盛り込まれております。これも有効なソ
リューションとなり得るでしょう。


《 特例適用の要件・手続 》
対象は一定期間事業を継続している非上場会社ですが、特例を受
けるための手続は下記の通りです。

推定相続人全員の合意(下記※1)


合意から1月以内に経済産業大臣の確認申請(後継者の単独申請)
(下記※2)

確認から1月以内に家庭裁判所の許可申請(後継者の単独申請)
(下記※3)

(合意の効力発生 )
※1推定相続人全員の合意の条件として、対象株式を除くと後継者
が議決権の過半数を確保することができないこと、後継者が対象株
式を処分した場合や後継者が代表者として経営に従事しなくなった
場合の措置を定めていることが必要です。

※2経済産業大臣の確認の内容
・合意が経営の承継の円滑化を図るためにされたものであること。
・後継者が一定の要件(旧代表者から株式等の贈与を受けた推定
相続人で、議決権の過半数を有する代表者であること)に該当す
ること。
・※1の定めが置かれていること。
※3家庭裁判所の許可の要件として、合意が当事者全員の真意によ
るものであることが必要です。


確認・許可申請は事業後継者が単独で申請することが可能となります。


以上


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