新会社法の改正点

新会社法の改正の概要

平成18年5月1日から新会社法が施行されました。
今回の改正は、現行商法の会社に関する法律と有限会社法等ばらばらに規定されていた会社に関する法律を1本にまとめた法律です。
ドイツ型の事前規制型、強制法規型の商法規定から、アメリカ型の事後規制型、任意法規型に変わりました。
従って、経営者が自社にあった法規定を、ある程度自由に選択できるようになりました。
特徴は以下の3点になります。
(1)任意法規化
従来の強制法規から任意法規化され経営 者に選択の幅がひろがりました。
例えば現行商法では、株式会社は取締役 3人以上で取締役会、監査役を置かなけ ればならない規定でした。今回の改正で 原則、取締役1人以上で株主総会だけ置 けば良くなり、後はその会社の形態に合 わせた機関設計ができるようになりまし た。
(2)経済政策法
会社を作りやすくして、経済の活性化を 図る目的があります。
従来、株式会社1千万円有限会社3百万円 の最低資本金制度が撤廃され、1円でも 会社設立出来るようになりました。
また設立事務手続きも簡素化され会社設 立が簡単になりました。
(3)規律の強化
選択の自由、会社設立が容易になるなど 自由度が広がりましたが、一定の規律強 化も図られています。
一つは、会計帳簿を適時に正確に作成す ることを義務付けられました。また会計 参与制度が創設されました。これら規定 強化により、株主や外部の債権者に提供 する決算書等の計算書類の正確度を高め て、正確な判断ができるようになりまし た。
二つめは純資産が300万円以下の時は剰余 金の分配は出来なくなりました。

現在ある有限会社は?

新会社法の施行により、有限会社は新しく設立出来なくなりました。
現在ある有限会社は、新会社法の株式会社であるとみなされ、何もしなくてもそのまま存続します。ただし商号は有限会社を使用しなければなりません。従って現在となにも変わりません。
また、定款を変更して、商号を株式会社にすればそのまま株式会社に移行します。
その場合は、取締役の任期規定(原則2年、最長10年)が適用され、計算書類の公告義務も出てきます。
5月1日以降はどちらの選択も可能です。

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会社の種類。

新会社法では、会社は、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の4種類となりました。
合名会社、合資会社、合同会社は持分会社として一括りに分類されます。
株式会社と持分会社の違いは、所有と経営が分離しているか、一致しているかです。
分離していることが予定されている会社が株式会社。
所有と経営が一致していることが予定されている会社が持分会社です。
持分会社の内部の違いは出資者の債権者に対する責任度合いです。
債権者に対して無限責任を持つ社員のみで構成されるのが合名会社。
債権者に対して無限責任を負う社員と有限責任で構成されるのが合資会社。
債権者に対して有限責任を持つ社員だけで構成されているのが合同会社です。
株式会社と持分会社、持分会社と株式会社の組織変更は可能です。
持分会社の中では、定款変更で自由に変更可能です。

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設立関係。

株式会社の設立が簡素化されて容易になりました。
(1)最低資本金制度の廃止。
株式会社1千万円、有限会社3百万円の 最低資本金制度が廃止されました。
従って1円でも可能ですが、実際設立に は25万円程度掛かります。
また減資をして欠損金を無くすことも可 能になりました。
(2)設立手続きの簡素化
類似商号規制が撤廃されたので、設立期 間が短縮されます。
発起設立の場合「払込金保管証明制度」 が廃止され、一度振込がなされれば、設 立登記前でも、出資金の引き出しが可能 になりました。
現物出資額が500万円以下であれば調査も 証明も不要になりました。

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会社の組織の自由度が増加しました。

会社の規模や、成長度合いに合わせて会社の組織を選べるようになりました。
株式の譲渡制限(株式を他に譲渡する場合会社の承認が必要)を設けている会社については、原則として株主1人以上で株主総会だけで良くなりました。取締役会、監査役、会計参与等は任意に設けることが出来ます。
現在、形式的に置いている取締役や監査役を整理して組織をスリム化したり、将来の成長を見越して会社の組織を厳格にすることも出来るようになりました。

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