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メディア掲載

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株式会社TKC発行の企業向け情報誌「戦略経営者」2024年2月号に当事務所のお客様である、茨城木工株式会社様がご紹介されました。

「戦略経営者」2024年2月号

●茨城木工

自慢の木工技術を横展開したバレルサウナが躍進

将棋盤・碁盤の国内トップシェアを誇る茨城木工は、コロナ禍真っただ中の2020年に持ち前の高度な木工技術を生かしてバレルサウナを開発した。発売から4年が経過した今もなお注文が相次ぐ看板製品である。

「サウナに入ると頭の中が〝暑い〟という気持ちでいっぱいになるんです。すると、これまで抱えていた考えごとや悩みごとがいつの間にか消えている。サウナの魅力は、こうした気分転換とストレスの解放にあるのです」
 茨城木工の泉謙二郎社長は、柔和な笑みをたたえながらこう熱弁する。74歳の泉社長は自他ともに認めるサウナ好き。1964年の東京五輪を契機とする「第1次サウナブーム」の頃から、折に触れてサウナに通ってきた筋金入りの〝サウナー〟である。
 そんな泉社長のこだわりと、同社が培ってきた木材加工の技術を掛け合わせて生まれたのが、バレルサウナの「BURROW」だ。

「戦略経営者」2024年2月号

BURROWの開発には同社の木工技術が凝縮されている

 「新型コロナがはやったことで、ありとあらゆる場面でソーシャルディスタンスが求められるようになりました。サウナも例外ではありません。すべての施設で人数制限が設けられました。これまでのように気軽に立ち寄れなくなったことから『自分でサウナを作ろう』と思い立ち、BURROWの開発を進めました。ちなみに、バレルサウナとはサウナ発祥の地であるフィンランドで古くから伝わる樽型のサウナです」(泉社長)

「戦略経営者」2024年2月号

木目の鮮やかさが際立つ内装

「戦略経営者」2024年2月号

製造販売からメンテナンスまで自社の職人が手がける

危機感から新製品開発を目指す

 創業は1956年。もともとは鹿島灘で取れたハマグリを原材料に、碁石の製造と販売をなりわいにしていた。その後、大手玩具メーカーの依頼で卓上の将棋盤・碁盤の生産を始めて以降、またたく間にシェアを伸ばし、現在はプロの対局に用いられるような高級製品も手がけている。
 「当社が将棋盤や碁盤の国内シェアの8割を握っていると言われていますが、単価が低く利幅も小さいので最終的に会社に残る利益も少ないです。新事業を立ち上げたのも、既存の製品だけにこだわっていては自社の存続が危ういと感じたから。会社の収益性を高めるためにも、付加価値の高い商品を開発しなければならないと思い、目星をつけたのがバレルサウナでした」(泉社長)
 こうして主力商品とは異なる市場への進出を決めた泉社長だが、それを後押ししたのは長きにわたって蓄えてきた木材加工の知識とノウハウだ。バレルサウナを作るには表面を湾曲に削る、木材を円形に組むといった高度な製造技術が求められるが、長年の事業経験で培ってきた技術を応用すれば形にできる、と泉社長は確信していたという。
 「当社の自慢は切る・削る・表面を滑らかに整えるといった木工技術の高さ。これに、長年サウナに通ってきた私自身の〝こだわり〟を組み合わせれば、全国のサウナーを引きつける高品質のバレルサウナを開発できると考えました」
 当初は社員の間で新事業に反対する声も囁かれたが、会社の存続と発展には新しい挑戦が不可欠であることを繰り返し説明し、理解を得たという。

累計販売数は200台超

 こうして、コロナ禍真っただ中の2020年にバレルサウナの開発プロジェクトが始動。泉社長や木材の加工を熟知した社員を中心に、試行錯誤を繰り返しながら試作を進めた。「コロナ禍の影響で木材の需給バランスが崩れ、21年の年明けあたりから全国的に木材が入手できない状況に陥りましたが、当社はそれ以前に一定量を確保していたので、安定して製品を試作することができました。運も味方してくれましたね」と泉社長は述懐する。
 翌年に製品第1号が完成し、展示会への出展など販促活動にも注力すると、現下のサウナブームを追い風にすぐさま注文が殺到した。
1台あたり約200万円と高価だが発売当初から売れ行きは好調で、これまでの販売数は200台を超える。
 販売先の6割が娯楽施設で、千葉県成田市にある温浴施設を皮切りに旅館・ホテルや貸別荘、キャンプ場など、さまざまな施設で導入されているという。

素材は国産にこだわる

 BURROWには、サウナ好きである泉社長ならではのこだわりが随所に散りばめられている。
 例えば素材。BURROWに用いられているのは茨城県産のヒノキだ。ヒノキはリラクゼーション効果を生み出すと言われており、強度や耐水性が高いことから、まさにサウナにもってこいの素材である。実際に中に入ってみると、ヒノキの芳醇な香りが鼻腔をくすぐる。色鮮やかな木目も美しい。
 「ヒノキを選んだのは、木工職人として半世紀以上木に触れてきた経験と感性から。BURROWを作るにあたり木材を多く消費するので、森林資源の循環と山林の整備にもつながっています」(泉社長)
 室内の気密性を高めるため、内装には断熱材と遮熱シートを使用。
こうすることで隙間風や雨漏りを防ぐとともに、室温の上昇時間の短縮を実現している。中を暖めるヒーターやストーブも、ヒノキと同様に国産品にこだわった。「安全性やメンテナンスのしやすさを踏まえて、国産品でそろえることを決めました」と泉社長は理由を説明する。
 ラインアップも少人数向けから8~10人ほど収容できる大きな製品まで豊富にそろう。最近は露天風呂として使えるヒノキの風呂釜を製造するなど、新商品の開発にも余念がない。
 「『現状維持は衰退のはじまり』とよく言いますが、まさにその通りだと思います。会社の成長を促すには、時代の変化に合わせて新しい事業を仕掛ける必要があるのです」
 そう力強く語る泉社長の思考と行動は、新事業の立ち上げに悩む中小企業の参考となるはずだ。

素材は国産にこだわる

泉謙二郎社長

茨城木工株式会社
業種:将棋盤・碁盤、バレルサウナの製造
創業:1956 年4 月
所在地:茨城県神栖市矢田部764-10
従業員数:10 名
URL:https://www.ibamoku.com/