◎療食サービス 野村謙一郎さん×野村武夫社長
自社分析を糧に“優しくて強い”経営者になる
福祉施設や医療機関向けに治療食の卸販売を行っている療食サービス。同社の後継者である野村謙一郎さんは、かつて会社を継ぐことに対して不安を感じていたという。10カ月にわたる研修を終えた今の心境は──。野村武夫社長を交えて話を聞いた。
──事業内容を教えてください。
野村謙一郎さん 主に治療用食品の卸販売を行っています。顧客は関東地方にある福祉施設や医療機関で、施設の入居者や入院患者などに提供するおやつが主力商品です。年配の方や食事に不安を抱える方でも安心しておやつの時間を楽しめるよう、栄養価が高く柔らかい食材を用いた食品を中心に取り揃(そろ)えています。創業者は社長である父で、1981年に栃木県宇都宮市で創業しました。
──謙一郎さんの経歴を教えてください。
謙一郎さん 大学卒業後、食品卸の会社に3年ほど勤めていました。療食サービスに入社したのは、新型コロナ感染症が流行の兆しを見せ始めた2020年3月で、入社後1年間は営業担当として商品の販促業務に従事していました。その後、21年の3月に本社に異動し、仕入先との交渉や経営会議への参加など、マネジメント業務に本格的に携わるようになり、今年の4月に専務取締役に就任しました。
野村謙一郎さんを中央に、右が野村武夫社長、左が野村裕美子取締役
株式会社療食サービス
業種 治療用食品の卸売業
創業 1981年4月
所在地 栃木県宇都宮市平出工業団地43-117
売上高 43億円
社員数 47名(パート含む)
会計システム FX4クラウド
──謙一郎さんは後継者という境遇をどのように捉えていましたか。
謙一郎さん 幼いころから父に連れられて会社に顔を出していたので、父が経営者であることは何となく理解していました。その後、年を重ねるにつれて、漠然とではありますが「父の後を継ぎたい」と、後継者としての将来をイメージするようになりました。
──一方で、入社後は後を継ぐことに不安を感じるようになったとか。
謙一郎さん マネジメントに携わるなかで、私自身の能力と後継者としての立場が釣りあっていないと感じるようになったのです。「自社経験や社会人経験の浅い私が後を継いで大丈夫なのか」「会社を引っ張っていくにあたって、まだまだ知らないことが多いのではないか」などと、当時は毎日のようにネガティブ思考に陥っていました。25年4月に事業承継することが入社時から決まっていたので、承継の日が迫り来ることに対する焦りがあったのかもしれません。
──不安や悩みを抱えるなか、承継を1年半後に控えた23年10月から経営後継者研修に参加します。
謙一郎さん この研修に参加することは入社したときから決まっていたので、「会社の将来像と理想の経営者像を鮮明に描けるようになる」ことをテーマに掲げ、10カ月にわたる研修に臨みました。
野村武夫社長 かねて息子に後を継がせることを念頭に、事業承継のプランを練っていました。社長を退任する25年4月から逆算して、当社でのキャリアプランを設定したり、顧問税理士である荒木剛先生のサポートのもと自社株の贈与を行ったりと、バトンタッチに向けて着々と準備を進めてきたのです。
経営後継者研修の受講を勧めたのも、経営者に必要な知識と経験を身につけてもらうためです。当社では人材育成の一環として、中小企業大学校の研修に社員を毎年派遣していました。息子の場合、会社経営に欠かせない知見を幅広く学んでほしいという思いがあったので、後継者の育成に特化した経営後継者研修を勧めました。
帰社後のアクションプランを熱を込めながら発表した
──研修を終えた今の心境を聞かせてください。
謙一郎さん 研修前に抱いていた不安や焦りを払しょくし、経営者として会社をけん引していく覚悟が芽生えました。会社を継ぐことに対するマインドが変化したのは、療食サービスという会社を10カ月かけて徹底的に見つめ直したからだと思います。この10カ月、事業の強みや社会に与えている影響、働いている従業員の思いなど、さまざまな視点から自社のビジネスを深掘りしました。その結果、当社は世の中に求められる、社会貢献度の高いサービスを展開していることを理解しました。そして、そのサービスを通じて多くの人々に笑顔を届けることが、私自身の果たすべきミッションであると考えるようになりました。
今後は研修を通じて発見した経営課題を克服するべく、いろいろな戦略を打っていきます。具体的には、事業を承継する25年4月までの期間を、戦略を実行するための基盤づくりに費やし、4月以降、策定した戦略を順次実行に移していきます。
組織構造の見直し、プライベートブランド商品の開発、低粗利商品の底上げなど、取り組みたいテーマは山ほどあるのですが、これらを一気に進めると社内が混乱してしまうので、まずは従業員全員と密にコミュニケーションを図りつつ、私自身の会社に対する思いや経営者として成し遂げたいことを開示しながら、新たな取り組みを軌道に乗せていきます。
野村社長 息子が掲げる方針に異議はありません。研修で学んだことを存分に発揮し、自社をさらなる成長に導いてくれることを期待しています。
──最後に、謙一郎さんにとって「理想の経営者像」とは。
謙一郎さん ずばり、「優しくて強い経営者」です。人間力を高めながら、会社・顧客・従業員、そして私自身が掲げたビジョンのために、常に前進し続ける経営者を目指します。これが10カ月の学びを通して明確になった、私の理想とする経営者像です。

| 事務所名 荒木税務会計事務所 |
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| 業務内容 ・法人税・所得税・消費税の申告書、各種届出書の作成 ・譲渡、贈与、相続の事前対策、申告書の作成 ・税務調査の立会い ・その他税務判断に関する相談 ・試算表、経営分析表の作成 ・総勘定元帳の記帳代行 ・決算書の作成 ・会計処理に関する相談 ・経営計画、資金繰り計画の相談、指導 ・各種書類の作成 |
関東信越税理士会所属