認定医療法人制度を活用した持分なし医療法人への移行

Ⅰ.認定医療法人制度による持分なし医療法人への移行とは   


 現在の持分あり医療法人では、出資持分に対してその相続人課税される相続税や他の出資者への贈与税の問題、また相続人による払い戻し請求がなされる可能性があるといった課題があり、多くの医療法人で問題となっております。 

 

 2017(平成29)年10月施行の認定医療法人制度を活用することにより、贈与税非課税で「持分なし医療法人」へ移行することが出来るようになりました

 ただし、その手続きには認定を受けるための要件をクリアし、さらにその要件を6年間継続して満たしておく必要があるため、十分な理解のもと、注意してすすめる必要があります。

 

 ご自身の病医院で上記のような税負担リスクにご心配のある方、またそういったリスクがどの程度あるのか不安に思われた場合は、お気軽にご相談ください。

 (医療法人の承継をする際に、相続税対策として非常に有効です

 


Ⅱ.認定医療法人への移行の概要

 ①認定制度の流れ

                                   <出典:厚生労働省>   

②8項目の要件

<運営方法>

・法人関係者に対し、特別の利益を与えないこと

・役員に対する報酬等が不当に高額にならないような支給基準を定めていること

・株式会社等に対し、特別の利益を与えないこと

・遊休財産額は事業にかかる費用の額を超えないこと

・法令に違反する事実、帳簿書類の隠ぺい等の事実その他公益に反する事実がないこと

<事業状況>

・社会保険診療等(介護、助産、予防接種含む)にかかる収入金額が全収入金額の80%をこえること

・自費患者に対し請求する金額が、社会保険診療報酬と同一の基準によること

・医業収入が医業費用の150%以内であること


③認定から持分なし医療法人への移行までの流れ

<出典:厚生労働省>   

Ⅲ.コンサルティング業務内容

1.事前検討・準備

 ①認定医療法人制度の情報提供、認定要件の説明。

 ②持分なし医療法人移行によるデメリットや懸念事項等の説明。

 ③持分あり医療法人のまま運営した場合の税負担リスクの試算。

 ④移行スケジュール(案)の作成


2.認定要件の検討、移行計画の申請

 ①認定要件の評価、要件クリアの対策検討、移行時に発生するリスク調査。

 ②「移行計画認定申請書」の作成支援、提出代行(厚生労働省)。


3.持分なし医療法人への移行手続き

 ①出資者の持分放棄の手続き。

 ②持分なし医療法人への移行についての定款変更手続き(都道府県)。

 ③定款変更の認可を受けたことの移行完了報告(厚生労働省)。

 ④贈与税の申告(医療法人の持ち分の放棄があった場合の贈与税の課税の特例適用)


4.運営状況報告(移行後、毎年6年間)

 ①運営状況の監査を行い、運営の適正要件について報告書を提出(厚生労働省)。


 ※6年以内に要件を満たさなくなった場合、認定が取り消されて法人が贈与税を支払う必要が生じます。