経営アドバイス・コーナー
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令和8年8月号

令和8年10月から 「ふるさと納税」が変わる!?
 令和8年10月1日から、新たなルールのもとで「ふるさと納税」の運用が始まります。現在は、返礼品の額(寄附金額の30%以内)と関連経費の合計(募集費用)が寄附金額の50%相当以下とされていますが、令和8年10月1日からは、募集費用の割合を寄附金額の40%相当以下、自治体に残る寄附金額(寄附金活用可能額)の割合を60%相当以上とされます(経過措置あり)。また、製造・加工品等の返礼品は、区域内で「相応(過半)の付加価値が生じている」ことが要件ですが、「価値の過半が区域内で生じていること」の証明・公表が必要になります。
 今回のルールの見直しは、自治体側の運用を厳格化・透明化するものですが、結果として、事業者(返礼品提供者)や寄附者(納税者)にも影響が及ぶことが見込まれます。事業者は、返礼品の価格(付加価値)についてきちんと説明することが求められます。このため、資料の準備をはじめとした事務コストが増えると見込まれます。寄附者にとっては自治体に残る寄附金額(寄附金活用可能額)の割合が上がることから、これまでと同じ寄附金額でも返礼品の質や量が下がったり、同じ返礼品でも寄附金額が上がったりするケースが想定されます。

本格的な台風シーズンが到来  知っておくと安心! 雑損控除
 年々自然災害の被害が深刻になるにつれ、財産の損失リスクも高まっています。そうした苦しい状況のときに活用できるのが、所得税・住民税の「雑損控除」です。
 本人やその扶養親族等が所有する一定の資産について、災害・盗難・横領により損害を受けた場合は、雑損控除として一定額の所得控除を受けられます。例えば、自宅や家財道具、自動車などが被害に遭った場合、雑損控除の対象となります。一方で、別荘や、1個または1組の価額が30万円超の貴金属・書画・骨董などは、「生活に通常必要でない資産」とされ、雑損控除の対象に含まれません。雑損控除の適用を受けるためには、確定申告を行う必要があります。申告にあたっては、次のような書類等を用意しましょう。
○罹災証明書・警察証明
○被害を受けた資産やその取得価額、取得時期がわかるもの
○写真など被害状況が確認できるもの
○災害等関連支出の金額がわかるもの(修理費・撤去費の請求書、領収書等)
○災害などに関して受け取った保険金や損害賠償金等の金額がわかるもの

令和8年10月施行! 全事業主が対象です  「カスハラ」「求職者セクハラ」対策が義務化
 改正労働施策総合推進法および改正男女雇用機会均等法が令和8年10月から施行されます。これにより、令和8年10月1日から「カスハラ(カスタマーハラスメント)」「求職者セクハラ(求職者等に対するセクシュアルハラスメント)」の防止措置をとることが事業主の義務となります。これらは業種・規模にかかわらず、すべての事業主が講じなければならない措置です。
 カスハラとは、①顧客や取引先等の言動であること②社会通念上、許容される範囲を超えた言動や手段・態様であること③従業員の就業環境が害されるものであること――の3つの要素をすべて満たすものをいいます。
 求職者セクハラとは、採用活動の場(SNS上のやりとりやオンライン面接等も含む)において、自社の従業員が求職者に対して行うセクハラをいいます。
 事業主は、カスハラ対策・求職者セクハラ対策として、事業主の方針等の明確化と周知・啓発、相談体制の整備、事後の迅速かつ適切な対応、プライバシーの保護、不利益取扱いの禁止――などの措置をとることが求められます。厚生労働省が公開しているツール類も活用しながら、カスハラ・求職者セクハラ対策に関する自社の対応方針を定めましょう。

令和8年7月号

自己資本比率の推移は「自社の成長記録」です
 せっかく利益を出して資金を蓄えても納税で減ってしまう――そんな社長の不安な気持ちに答えてくれる指標の1つが、自己資本比率の推移です。
 自己資本比率が右肩上がりで推移していることは、安定した黒字経営を続け、きちんと納税して利益を積み重ね、経営基盤を着実に強化してきた証、いわば「自社の成長記録」です。一方、赤字経営が続けば、自己資本比率は低下傾向となり、経営基盤の弱体化を招いてしまいます。
 大切なのは、一時の上下に一喜一憂することなく、自己資本比率の推移を長い目で見ながら、着実に積み上げていくことです。納税ができてこそ自己資本が増えていきます。自己資本比率が高まるということは、新たな取り組みをしたいときや想定外の環境変化があったときでも、資金繰りを気にせずに必要な打ち手を選べる、つまり「経営の自由度」が高まるということでもあります。

会社の将来を考えるヒント! 自社株評価、していますか?
 日々の経営において、売上や利益、費用、現預金の残高や自己資本の状況など、損益計算書・貸借対照表上の数字に目配りしてきた社長さんは多いことでしょう。その結果、事業が順調に成長し、利益が内部留保として蓄積されていくことは、まさに「理想的な会社の姿」といえます。
 一方で、「理想的な会社の姿」は、税務の視点からすると注意すべき側面もあります。それが「自社株の評価額の上昇」です。中小企業(非上場会社)の株式(自社株)は、国税庁が定める一定のルール(財産評価基本通達)に基づいて評価額が決まります。社長がイメージしている株価と税務上の評価額とが大きくかけ離れてしまっている――ということも珍しくありません。
 自社株の評価額を把握しないままでいると、次のようなリスクが考えられます。
 ○相続発生時、相続税の負担が想定以上に重くなる可能性がある
 ○安価もしくは無償で後継者に自社株を譲渡した場合、「贈与」と判定される可能性がある
 一般に、中小企業の株式は市場で売買されることがないため、現在の評価額がいくらになっているのか把握しにくいもの。そのため、意識的かつ定期的に株価の算定を行い、自社株の評価額を「見える化」することが重要です。年に1回、決算終了後に自社株評価の算定を行うことをお勧めします。自社株評価の算定は、これまでの経営と、これからの経営のあり方そのものを見直すきっかけにもなります。顧問税理士へご相談ください。

いざというときのために 知っておきたい! 資金繰り支援策
 中東情勢の混乱により、燃料や原料の輸送が滞り、価格も高騰しています。今後、自社でも「製品の原材料が突然、大幅に値上がりした」「商品の入荷が大幅に遅れ、販売できない」――といった事態が起こる可能性もあります。
 売上・利益の確保が難しくなると心配になるのが資金繰り。国や政府系金融機関等では、事業者の資金繰りを支援する資金貸付や信用保証の制度を設けています。こまめに確認しておきましょう。
 ただし、手元資金の確保は重要な一方で、必要以上に借入れに頼ると返済額が増えて、将来の経営に影響を及ぼしかねません。借入情報を「借入金台帳」「借入金一覧表」などにまとめると、返済年月ごとの元金・利息の支払いに必要な金額が明確になります。
 今ある手元資金で何か月分の固定費が賄えるかを把握するとともに、どこからどれくらい借入れができるかを確認しておけば、いざというときにもすぐに借入れを決断できます。