2025年12月から適用:山梨県最低賃金が1,052円に引き上げ!

はじめに:最低賃金の改定ラッシュ

2025年度の最低賃金は、全国平均で1,121円(前年度比+66円)まで引き上げられる見込みです。各都道府県で改定時期が異なり、2025年10月1日から2026年12月31日の間に順次発効されます。

山梨県の最低賃金(2025年度版)

  • 金額:1,052円/時(現在988円 → +64円)
  • 発効日:2025年12月1日予定

山梨県の引き上げ率は約6.5%と大きく、採用コストや人件費計画に影響を 与えると予想されます。
注意:山梨は12月から適用されるため、給与締日や計算方法によっては11月分との切り替えタイミングに注意が必要です。

最低賃金とは?基本の整理

最低賃金には2種類あります:

  • 地域別最低賃金(都道府県ごとに設定される最低基準額)
  • 特定(産業別)最低賃金(特定の産業に上乗せされる基準額)

→ 両方が該当する場合は「金額の高いほう」が適用されます。

対象範囲:正社員、契約社員、パート、アルバイト、派遣社員、外国人労働者を含め、原則すべての労働者に適用されます。派遣社員の場合は派遣先の地域の最低賃金が適用されます。

違反すると、差額の支払い義務に加え、50万円以下の罰金(地域別最賃)や30万円以下の罰金(産業別最賃)の対象になることがあります。

最低賃金を計算するときの注意点

【含めない手当】

  • 賞与(年2回や決算賞与など)
  • 時間外手当、休日手当、深夜割増
  • 通勤手当、家族手当、皆勤手当

つまり、毎月の基本給や職務手当など「毎月必ず支給されるもの」だけで時給換算して最低賃金と比較します。

【月給制の場合】
例:月給200,000円、月平均所定労働時間166.7時間
→ 200,000 ÷ 166.7 ≒ 1,200円/時 → 山梨の最低賃金1,052円をクリア。

【固定残業代の注意点】
「みなし残業代」は最低賃金の比較には含めません。基本給部分のみで基準を満たしているかを確認する必要があります。

ケーススタディ:こんなときは?

  • A社(小売業、月給制):基本給180,000円+職務手当20,000円 → 200,000円 ÷ 166.7時間 ≒ 1,200円/時 → OK。
  • B社(サービス業、固定残業代込み):基本給160,000円+固定残業代40,000円 → 基本給部分のみで計算すると160,000 ÷ 166.7時間 ≒ 960円/時 → NG。制度の見直しが必要。
  • C社(日給制):日給8,000円、1日8時間労働 → 8,000 ÷ 8 = 1,000円 → NG(1,052円未満)。改定対応が必要。

企業にとってのメリットとデメリット

【メリット】

  • 求人効果が高まり、人材が集まりやすくなる
  • 従業員のやる気や定着率が向上
  • 労基署の是正指導や罰金リスクを減らせる
  • 賃上げをきっかけにDXや業務改善の機会になる

【デメリット】

  • 人件費増加による利益圧迫
  • 給与格差の縮小で不公平感が出る可能性
  • 価格転嫁が進まず資金繰り悪化の恐れ
  • 発効日のズレにより計算ミスが発生するリスク

山梨の企業が準備すべきこと(チェックリスト)

  • 給与テーブルを最低賃金1,052円を基準に見直す
  • 月給社員を時給換算して再確認
  • 特定産業別賃金に該当しないか確認
  • 就業規則や賃金規程を点検し、固定残業代を明確化
  • 給与計算システムを11月末までに改定
  • 求人票や雇用契約書を更新して整合を取る

よくある質問(Q&A)

Q:試用期間のアルバイトにも最低賃金は適用されますか?
A:はい、基本的に適用されます。ただし「減額特例許可」を取った場合のみ例外があります。

Q:最低賃金を1円でも下回ったら?
A:差額の支払いが必要になり、さらに50万円以下の罰金が科される可能性があります。

Q:派遣社員の最低賃金は?
A:派遣先の地域の最低賃金が適用されます。

Q:改定途中で契約社員を採用した場合は?
A:契約日以降は新しい最低賃金を適用して契約条件を設定する必要があります。

Q:週20時間勤務のパートタイマーの場合は?
A:所定労働時間が短くても、最低賃金は同じように適用されます。

まとめ:経営者と経理担当者への提案

  1. 山梨県は2025年12月1日から最低賃金1,052円に改定されます。
  2. 全従業員の給与をチェックし、該当するかを確認しましょう。
  3. 就業規則・給与システムを発効前に改定してください。
  4. 助成金を上手に活用し、賃上げと同時に生産性向上を目指しましょう。