令和6年分確定申告で理解しておきたい 令和6年度の主な改正事項

令和6年度の改正では、取得税・住民税の定額減税、住宅関連控除の見直し、さらにはストックオプション選択の見直しなど、企業経営者や個人事業主、給与取得者にとって実務に直接改正するが大半が行われています。要経費算入制限など、見落としがちなポイントも含まれています。本ページでは、改正内容の要点を整理し、各制度の適用要件や注意点をわかりやすく解説しています。適切な対応を進めていただくための参考資料としてご活用ください。

1. 所得税・個人住民税の定額減税

改正点

所得税の定額減税: 納税者本人(居住者)に3万円、同一生計配偶者および扶養親族(いずれも居住者)1人あたり3万円を控除。
個人住民税の定額減税: 納税義務者本人に1万円、控除対象配偶者および扶養親族1人あたり1万円を控除。

留意事項

対象者の条件: 合計所得金額が1,805万円以下の居住者が対象。
控除額が所得税・住民税を上回る場合、差額は市区町村から給付。
年末調整や確定申告で、扶養親族等の氏名、生年月日、マイナンバーを記載する必要がある。

必要書類

確定申告書
年末調整書類(扶養控除等申告書)
マイナンバー確認書類

2. 子育て世帯等に対する住宅ローン税額控除の拡充

改正点

借入限度額の上乗せ: 子育て世帯および若者夫婦世帯に対して、従来より高額な控除限度額を設定。
床面積要件の緩和: 新築住宅の床面積要件を40㎡以上に緩和(合計所得金額1,000万円以下の世帯が対象)。

留意事項

適用期間は令和6年に限定。令和7年以降については再検討予定。
省エネ基準適合が必要。

必要書類

住宅借入金等特別控除申告書
建築確認通知書
住宅ローン年末残高証明書

3. 子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充

改正点

所得税控除: 子育て対応改修工事費用(上限250万円)の10%を控除可能。
工事費用が50万円超の場合、控除適用。
合計所得金額が2,000万円以下の世帯が対象。

留意事項

工事完了後6か月以内に居住を開始する必要あり。
標準費用額に基づく控除計算が必要。

必要書類

工事請負契約書
工事完了証明書
居住証明書

4. 既存住宅改修工事に係る特別控除の改正

改正点

適用期限を令和7年12月31日まで延長。
合計所得金額要件を2,000万円以下に引き下げ。

留意事項

バリアフリー、省エネ、三世代同居対応改修が対象。
各改修工事ごとに定められた要件を満たす必要あり。

必要書類

改修工事証明書
登記簿謄本
確定申告書

5. ストックオプション税制の利便性向上

改正点

株式管理スキームの多様化: 証券会社だけでなく、発行会社自身による管理も可能に。
権利行使価額の上限引上げ: 会社の設立年数等に応じて2,400万円~3,600万円へ引上げ。

留意事項

社外高度人材にも適用範囲拡大。
一部実務経験要件の撤廃。

必要書類

ストックオプション契約書
株式管理報告書
確定申告書

6. 中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入制限

改正点

再加入制限: 共済契約解除後2年間は、再加入しても掛金が必要経費として認められない。

留意事項

制度の悪用防止が目的。
適用開始は令和6年10月1日以降の契約解除分から。

必要書類

共済契約書
解約証明書
再加入申請書

7. 被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の改正

改正点

適用期限を令和9年12月31日まで延長。
控除額の上限を一人当たり2,000万円に制限(複数相続人の場合)。

留意事項

他の居住用財産譲渡特別控除と併用する場合、控除額の合計は3,000万円が上限。

必要書類

登記簿謄本
相続関係説明図
耐震改修工事証明書

8. 住宅ローン税額控除の手続き簡素化

改正点

年末残高証明書の提出不要。
金融機関が直接税務署に情報提供。

留意事項

マイナポータル等で情報確認が可能。
一部金融機関は経過措置中のため、確認が必要。

必要書類

初年度:住宅借入金等特別控除申告書
確定申告書

9. 賃上げ促進税制の強化

改正点

教育訓練費の要件緩和: 前年度比5%以上増加で控除対象(改正前は10%以上)。
くるみん・えるぼし認定企業への優遇: 控除率5%の上乗せ。
控除の繰越し可能: 控除しきれなかった額を5年間繰越可能。

留意事項

適用対象は令和7~9年分の所得税。
赤字事業者も対象に含む。

必要書類

賃金台帳
教育訓練費の証拠書類
認定証明書(くるみん・えるぼし)
確定申告書