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今月の経営アドバイス

ワンポイントアドバイス9

事業譲渡・株式譲渡による事業承継のポイント1

                                                   経営コンサルタント
                                                         永田会計事務所顧問 志村 和次郎

 中小企業の継続的な事業成長や円滑な事業承継をはかるため、M&A方式や、事業譲渡という手法がとられる。M&Aでは株式譲渡による経営権の移動があるが、事業譲渡では必ずしも経営権は移動しない。事業の一部譲渡ができるからである。
企業の事業の全部または一部の営業権を譲渡するとか、営業譲渡という用語がよく使われるが、現行の会社法(平成17年6月成立)では、その営業譲渡を「事業譲渡」と改称された。しかし、現在でも商法上では「営業譲渡」という言葉は残っていて、会社法が適用される場合は事業譲渡、商法が適用される場合は現在でも営業譲渡と呼ばれている。
事業譲渡は特定の事業(複数でも可)を切り出して、買い手に譲渡する仕組みのことで、つまり「この事業だけは残しておきたい」という場合は、事業譲渡の範囲を選択する必要である。複数の事業を行っている会社では、事業部門を分離して一方を残して、一方を譲渡する場合がある。その場合は、現在、株式を保有している会社自体の株式は変動がないので、譲渡対象を除いた事業は、そのまま今の会社に残ることになる。
 一方、事業譲渡ではなく、株式譲渡は、基本的には会社の株式を譲渡することになるので、その会社に属する全ての事業や資産が対象となる。

事業承継のための事業譲渡の役割
 中小企業で、事業承継は、その名の通り「現経営者から後継者へ事業を受け継がせること」をいう。親族もしくは従業員が後継者となり、現社長から経営・事業を引き継ぐわけである。一方、事業譲渡は、「会社の事業を譲り渡すこと」を指す。そして、必ずしも会社の事業の全てが譲渡されるわけではなく、その一部のみが譲渡されるケースもある。
 なお、事業の譲渡は、会社法の規定に則ってすすめられる。会社の事業の解体を防止して、会社企業の維持に役だち、企業結合の一つの法的手段として会社合併と類似の機能を果たし、また、企業分割の法的手段としても使われる。
 親族以外から後継者を探す場合、従業員から後継者を見つけるか、外部の取引先や、金融機関 などからの招聘を検討することになる。適任が見つからない場合、他社への事業譲渡も選択肢の一つである。従業員の雇用も維持でき、オーナー経営者の資金 回収も図ることができるからである。
 問題は「会社の価値をわかってくれる相手」を探すことの難しさである。事業承継の意思決定をしたら、会計事務所、取引先、金融機関、商工会議所などと密接に情報を交換し、計画的にパートナーとの出会いを図るのが近道である。
 親族への事業承継、従業員への事業承継(あるいは外部からの雇い入れ)のいずれにおいても、①ステークホルダーの理解、②後継者の教育、③株式・財産の分配という三つのステップが必要である。ただし従業員への事業承継、あるいは外部からの有能な人物の雇い入れ・招聘の場合は、それに加えて個人保証や担保の処理の問題を解決する必要がある。

事業承継に事業譲渡をなぜ選ぶか
 現在のバランスシートが良くなかったり、収支が赤字の場合、親族や従業員に事業承継することを躊躇することがある。このような場合に事業譲渡を選択することは、大きなメリットがある。事業譲渡を行えば、事業主側(売り手)は資金を得ることができる。また、全ての事業を売却し、会社の枠組みがなくなったとしても、会社が培ってきたノウハウを事業の中で継続的に伝えていくことも期待できる。
 プラスチック容器製造のF社長は、事業承継に際し、事業譲渡を選択した。当初、取引先でもある大手企業の技術者であるE氏に対し、後継者含みで入社を懇願したが、本人は独立起業を望んだ。そのため、食品包装材、包装容器の生産設備と営業権を、事業譲渡し、E氏が社長のE社が設立された。その後、新製品の開発で特許を取得し、順調に成長している。オーナー経営者からの事業承継ではM&A(企業の合併買収)が一般的に行われるが、このケースのように部分的に資産の買収、事業譲渡の方法もある。この場合は事業継承というより、資金回収に主たる目的がある。
 中小企業は経営陣および株主を創業者一族が占めていることも多く、後継者も親族の中から選ぼうとする傾向が強い。しかし、平素から内部だけでなく、E社の例のように取引先など外部から、経営者として適切な 資質をもち、かつ事業を継ぐ意思がある人材を見つける努力は欠かせない。

株式譲渡と事業譲渡のどちらを選ぶか
 最近のM&A(企業の合併買収)方式の成功例として、会計事務所の斡旋仲介によって中小企業同士が業務連携や合併をしたケースや、ベンチャー起業が早期に経営基盤づくりのために、類似の中小企業を買収するなどのケースがある。
 M&A案件の場合、株式譲渡の方法が主流であり、事業譲渡はあまり使われれない。事業譲渡にはメリットもデメリットもあるが事業譲渡をするときに原則として株主総会の特別決議が必要となる。
 もちろん一部の事業のみを譲渡対象とすることも容易である。この事業譲渡のメリットとして、買手が簿外債務を引き継ぐことが無いことである。事業譲渡は、特定の事業だけを引き継ぐ契約なので、、帳簿に載っていない簿外債務は引き継ぐ必要はない。
 一方、IT企業などサービスの場合、純資産は少ないが、利益が出ていて、優秀な人材に恵まれていれば、会社を買おうとすると当然価格は高くなる。この金額の差と言うものがいわゆる『のれん』となり、事業譲渡をした場合、5年間償却で損金として償却する。
 さて、株式譲渡と事業譲渡はどちらを選ぶかには、二つのポイントがある。
一つは株主総会を開催の容易性であるかどうかである。規模の大小であるが費用と時間に大きな差がある。
いわゆるオーナー会社の場合は、株主総会は殆んど家族会議と同じなので、総会決議が必要だというのが大したデメリットにならない。
 二つ目は、従業員や取引先が多数の場合、手続が煩雑になる。事業譲渡すると、取引先あるいは従業員の方の契約先が全て相手の会社に代わってしまう。従業員も再雇用ということになるし、取引先との取引基本契約も結び直さねばならない。これに対し、株式譲渡の場合、勤める先も変わらないし、株主が代わるだけなので、雇用契約などは基本的に変わらない。以上二つを勘案の上、株式譲渡と事業譲渡を選択するが、中小企業、同族企業(オーナー企業)にとってみると、事業譲渡のメリットの方が大きい。


事業譲渡・株式譲渡による事業承継のポイント2

経営上、あるいはトップの都合などで、事業承継が切迫している場合、ライバルや大手企業の傘下に入るのも選択肢の一つである。大手企業は余剰資金を使ってM&Aによる事業拡大にはかるケースが多くなっている。製品、技術に特徴のある中小企業は魅力である。


株式譲渡で大手の傘下に入るのも方策
 大手企業も買収だけでなく、資本参加も提携の形態として重要視している。中小企業側も事業承継の一つとして、大手の傘下に入り、生き残りをはかることができる。
 必ずしも経営戦略として株式譲渡により、大手の入ることは敗者の選択だけではない。
 事業承継をスムーズに行い、大手と業務提携以上の相乗効果をあげることもできるからである。最近、大手企業も次の発展や新技術取得のためM&Aを重要な経営戦略にしていて、特色ある技術ノウハウを保有し、後継者不足に悩む中小企業にとって利害が一致する。
 株式会社の場合、経営権を維持するには、全株式の51%の自社株式が必要になる。ただし、51%では重要事項を決定することはできない。役員の解任、資本額の減少、事業全部譲渡、事業全部譲受、合併承認などの重要事項の決定権を有するためには、全株式の3分の2以上、つまり67%の株式が必要である。
 つまり、事業承継で株式譲渡する場合には、後継者に対し、67%の株式を譲渡が必要になる。したがって中小企業の場合は、100%を譲渡するのが理想である。
 一方、大手企業と業務提携のケースで、必ずしも過半数に拘らず、傘下入りすることもある。創業利益の確保や自社の資本の所有権、財産権という観点だけではなく、企業のこれから先の成長と持続という戦略を優先した考えである。大手の資本参加は信頼関係、相性の良さの証明である。
 創業60年を迎えるT社のオーナー社長は、二代目経営者として順調に非鉄金属製品製造会社を発展させた。業界でも独特の技術と優秀な技術者を有しているが、グローバル化の遅れにより、このところ売上の伸びが鈍化している。社長も74歳と高齢化、後継の31歳Kの長男にまかせるには不安があった。
 そこで、選択したの大手企業K社の資本49%受け入れ、同社の海外販売チャネルを利用して海外進出をはかることだった。K社は長男の元勤務先で、T社とも以前から取引関係があり、いわば経営者として、息子の教育をK社に託する形となった。
 そうした緊密な関係もあり、長男に、株式の51%と経営を承継させる可能性を残してK社から複数の役員を受け入れ、積極的な海外展開を進め、事業承継の準備を進めることになった。

事業承継の準備とタイミング
 事業承継は一朝一夕にできるものではない。事業承継で大事なのは引き継ぐタイミングと準備である。前例のように社長の息子の教育に、大手企業の教育と協力を得られるのはベターであるが、マレな事例である。
 親族をはじめ後継者の選抜を誤らないのはむろん、円滑な継承のため、何年か業務経験を積ませ、また従業員や取引先などの関係者からも後継者に相応しいという認知され、後継者がスムーズに船出できるよう、理解も得た上で事業を引き継ぐのがベストである。
 所沢市のA社は経営が順調であったが、経営者が80歳の高齢の上、体調を崩し、急遽、従業員も含め継承者を募集した。2年かけてようやく、合格点をやれる後継人材が見つかったが、その後、後任社長への60%の株式を譲渡と引き継ぎにさらに2年を要した。
 A社社長からの株式売却は時価で行われるが、非公開の場合、時価の決め方が難しく、当事者間の都合によって、適正な時価よりも高くなったり低くなったりする場合もあるので、税務上の「適正価格」を確認することが大切である。
 そして、親族以外の役員の事業承継する場合、株式を買い取る資金がないというケースも多い。そこで、会社の財産を担保にして銀行から融資を受けたり、株式を取得するための資金を、政府系の金融機関から特別な利率で借入することができる「経営承継円滑化法」を利用して、融資を受けるという方法もある。(詳しくは永田会計事務所へ)

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