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クリニック経営改善支援

経営改善の必要性について

クリニックを取り巻く経営環境は大きく変化しています。これまでは経営が順調であったからといって、これからも順調に推移するという保証はありません。むしろ、医業経営は今後ますます厳しさを増していくことが予想されます。

厚生労働省の「医療施設調査」によれば、全国の医療施設数は病院約8500施設、一般診療所約10万施設、歯科診療所約7万施設となっています。病院数は、この10年程減少傾向にありますが、「無床」の一般診療所数は約9万施設と、一貫して増加傾向にあります。一時と比べれば、その増加数は落ち着いてきましたが、それでも若干増え続けています。

一方、超高齢社会の進展は急速で、令和7年(2025年)には、”団塊の世代”と呼ばれる方々が75歳以上の後期高齢者になります。こうした環境変化により外来患者は減少する事が見込まれており、さまざまな疾患を抱える高齢者の患者数は増加していくことが明らかです。クリニックにおいては、高齢者の医療ニーズに応えるための取り組み、地域連携にいかに関わるかが求められてきます。

医療が一層複雑化・専門家する中で、コストの削減も容易ではありません。収入の減少に合わせて人件費を削減することは困難ですし、医療水準の向上のためには、高額な医療機器も購入しなければなりません。
適切な医療を行っていくためには、経営が健全でなければなりません。つまり、絶え間ない「経営改善」の努力によって、経営の健全化、経営体質の強化を図ることが、クリニックの存続・発展と理想の医療の実現のためには不可欠であると言えます。



写真:所長のお話

クリニックの経営改善に必要なこと

当社では、経営改善に必要な各分析やサービスにて、貴院の健全な経営をサポートいたします。

クリニックの現状分析

経営改善のためには、「会計データ」による現状分析が必要です。
クリニックの現状を把握・分析し、経営上の問題点がどこにあるのか、なぜそのような問題が生じているのかを判断することから始めましょう。


医業収入の分析

医業収入の動向を分析するには、「主要3要素」と「主要3指標」と呼ばれる概念を理解することが必要です。

これらの関係を理解することによって、医業収入の「内訳」を明らかにすることができます。

主要3要素 点数・件数(外来患者実数)・日数(外来患者延数)
主要3指標 一件当たり点数・一件当たり日数(平均通院回数)・患者1人1日当たり点数(診療単価)


患者が集まるクリニックの特徴

患者が集まるクリニックには、好循環(サイクル)が見られます。

自院の患者数を増やすためには、まずクリニックのことを知ってもらわなければなりません。できれば「病気の時には一度このクリニックに行ってみよう」という、良いイメージを持ってもらうのは理想的です。そして、実際に一度来院し、診療の内容と患者サービスに満足すれば続けて利用し、いわゆる愛顧患者(ファン)へと成長していきます。そうなると患者さんは、自分の周囲にクリニックのことを伝え、それがクチコミとなって新たな「認知」を導きます。多くの患者さんを集めるクリニックでは、自然にこのサイクルができていることがわかります。

イラスト:患者が集まるクリニックの特徴


医業費用の分析

医薬品費、診療材料費などは、医業収入に対する比率によりその妥当性を検討します。これらの費用は「変動費」と呼ばれ、医業収入に比例して変動(増減)する性格があり、診療内容、使用する薬剤・診療材料費等の種類や単価等が変わらない限り、この比率は一定に保たれる傾向にあります。
したがって、前年に比べ、あるいは他の同一診療科同規模の医療機器に比べ、この比率が高くなっている場合は、その原因を検証する必要があります。

購買管理の適正化
購買管理とは、適正な品質のものを、時間的、価格的に最も有利に購入することを言います。医院全体及び種類別の薬価差益を常に把握した上で、次のことを実行しましょう。

①薬剤に関する情報(新製品情報・価格情報)について収集する
②複数の業者から見積を取り、ねばり強く交渉を行う
③購入金額の高い(頻繁に使用・単価の高い)薬品などを優先して交渉する
④予防接種・ワクチン・検査キット等の購入割合にも注意する

人件費の分析

特に医療の場合は機器や設備で全てを代替できるわけではありませんから、スタッフの良否が医療サービスの質に直結します。加えて人件費の占める割合が費用の中で最も高くなる傾向にあります。

診療所や規模等によっても異なりますが、医業収入に占めるスタッフ人件費の割合は、院内処方の無床クリニックでは15~20%程度で、院外処方の無床クリニックでは20~30%程度になるのが一般的です。

スタッフ1人当たりの売上高が低い(スタッフ数に見合う収入がない)
1人当たりの給与水準が高い
職種別の地域水準及び標準生計費から見て妥当な水準かどうか
職種別・年齢階層別・基本給と手当・賞与のバランスは適正化どうか

経費の分析

画像:業務風景

経費は、「管理可能費」と「管理不能費」に分類して検討することが重要です。

管理不能費
「減価償却費」や「リース料」「家賃」など、過去の設備投資等の結果であって今すぐに削減するのは不可能な費用を「不能費」と言います。経営者が一度意思決定(契約。投資等)をすると、その後数年間は不可避的に発生する費用ですから、その意思決定時に、経営方針や診療機能を踏まえて適切な投資であるかどうかの判断に加えて、経営面からも綿密な事業計画を立てて適否を検討することが求められます。特に設備投資の判断を行う際に陥りやすい過ちは、その金額のみに目を奪われてしまい、不随してかかる費用や導入後の維持費などについて、一切考慮せずに判断してしまうことです。例えば医療機器であれば、導入後の保守料や償却資産税等も含めたトータルコストで判断してください。

管理可能費
「水道光熱費」「広告宣伝費」「委託費」「消耗品費」「接待交際費」などが挙げられます。管理可能費は各費目別、支払先別に1つひとつ検討して、ムダなものは徹底的に見直してください。しかし、ムダを排除するといっても、何もかもコストを削ればよいというとそうではありません。患者サービスの向上のために必要と思われるコストや、広告宣伝費のように効果が見込めるものについてはしっかり投資するなど、その必要性や効果を考慮してメリハリのあるお金の使い方が必要です。

重要なのは、過去からの慣習やなれ合いを排除して、ゼロベースで考え直してみることです。全ての支払い先をリストアップして、金額の大きいもの、増加しているものから見直していきましょう。


継続的な経営体質の強化

強い経営体質の確立に向けて、ここでは4つの取り組みについて挙げています。

①キャッシュフローの重視

利益を計上していても、その分だけ資金が増えているかというと、必ずしもそうとは限りません。健全な財務状況を維持する上で、経営者としては、利益だけに注目するのではなく、キャッシュフローにも留意する必要があります。

キャッシュフローの3つの活動区分

A 医業活動におけるキャッシュフロー(医業活動でどれだけの資金を獲得したか)
B 投資活動によるキャッシュフロー(その資金を何に投資したか)
C 財務活動によるキャッシュフロー(資金をどのように調達したか)

②継続的な取り組み

経営改善は、一度限り、一年限りで終わらせるのではなく、継続的に取り組むことが大切です。

③強みと弱みの分析

将来展望を検討するにあたっては、時代の流れを踏まえ、チャンスを捉えて、いち早く次の手を打っていくことが必要です。それには、「SWOT分析」という手法を用いることをお勧めします。

<消化器科クリニックの例>

  強み(Strengh) 
・多くの症例数に基づく大腸内視鏡の高い技術
・駅から1分とアクセスが良い
 機会(Opportunity) 
・大腸がん増加により健康志向が高まる
・企画の企業の産業医になった
・内視鏡関連機器、技術の発達により、以前よりも患者側の大腸内視鏡への恐怖がなくなった
 弱み(Weakness) 
患者の大病院志向
・看護職員の定着率が低い
・入院ベッドがない
・駐車スペースが少ない
 脅威(Threat) 
・近隣の病院に内視鏡センターが開設
・診療報酬改定によるマイナス
・患者の管理意識高揚により医療訴訟が多くなった

④クリニックのライフサイクル

クリニックのライフサイクルを考えると、一般に「開業期」「成長期」「成熟期」の3つに分けることができます。それぞれの段階で取り巻く状況や直結する課題は異なるので、それに合わせた経営改善に取り組みましょう。