「打つ手は無限2」

『打つ手は無限』毎月発行の事務所通信です!

イメージ画像

平成24年11月号

今月号は、11月9日に実施した経営革新セミナーの内容を記載したものです。
優秀経営者表彰では、税理士法33条の2の書面添付を3期以上連続して申告書に添付した関与先様18社を表彰いたしました。
講演は第1部「反復の効果と継続の力を信じて」剣道教士八段の思斉館滝澤館長のお話しを伺いました。
第2部は「決算書で自社を語ろう!」を私が講演しました。

イメージ画像

平成24年10月号

~ 不況の蔓延する中、わが社が不況に付き合う必要はありません~

国税庁の統計情報によると、全国にある法人260万社(前年より2万社減)のうち黒字は65万社しかなく、残りの75%の企業が赤字です。
神奈川県は169千社のうち37千社が黒字、つまり78.1%が赤字。さらに平塚税務署管内は9,690社(数年前は11千社あったようですが・・・)のうち1,966社しか黒字ではないので79.7%約8割が赤字法人となります。
役員報酬を低く設定したりするなどしてどうにか黒字にしている法人もかなりあると思われるので、本当の意味で不況に打ち勝っている会社はほんの一握り(1割くらい?)だと言えそうです。
ぎりぎりの経営を余儀なくされる我が国の中小企業ですが、翻ってわが社はどうでしょう?
わが社は絶対必要だと世の中に言わせるくらいの存在になっていますか?
社長はわが社の社会的存在価値を確信していますか?社員も確信していますか?
わが社の経営は一体何のために存在しているのか全社的に確認できていますか?

  1. わが社は、わが社の商品・技術を通じて社会を豊かにするために・・・
  2. 雇用の確保によりわが社のすべての社員の生活を豊かにするために・・・
  3. 社会貢献を通じて社員の自己実現を図るために・・・
  4. 仕事を通じ、経営者・社員ともに己を鍛え、人間的に成長するために・・・

わが社が、経営者のエゴの所産ではなく、例えば上記のようなことがその存在意義だとしたら、決してこういう会社は潰してはなりません。こんな会社にとって赤字は悪です。不況に負けてはいけないのです。

不況における5つの対策

1. 全員で営業する
2. 新製品開発に全力を尽くす(客先を増やす)
3. あらゆる経費を削減する
4. すべての面で創意工夫をする
5. 社員との融和・団結を図る(良好な人間関係を築く)

この5つの対策を全員で徹底的にやることです。
120%全力で全社一丸となって創意工夫の営業を来る日も来る日も継続していきましょう!

所長 吉 野  太

平成24年9月号

中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)の来年3月終了に向けた経営戦略を考える

中小企業金融円滑化法いわゆるモラトリアム法は2009年12月当時、金融担当大臣だった亀井静香さんが作った法律です。
中小企業の借入金返済の一時猶予や金利引き下げなどの相談に金融機関ができるだけ応じるというもので、なんと累計289万件79兆円の返済猶予が行われています。
複数回利用した企業もあるため正確な数字は分かりませんが、現在全国の中小企業者数の約1割45万社が利用していると推計され、その額は45兆円とも60兆円とも言われています。(平均金融機関数3.5件再リスケ割合8割)

これが来年の3月で終了します。
本来は今年終了だったのですが、震災の影響を考慮して1年延長したもので、もう延長はないとされています。
資金繰りの厳しい中小企業の延命装置ともいわれるこの制度ですが、いったん定着するとなかなか抜け出せないものです。
本来は、この制度を利用する中小企業に対しては、「実現可能性の高い抜本的な経営計画の策定と実践」を課すことを担保に返済猶予する期間限定の施策だったのですが、経済環境の悪化が延々と続くなかほとんどの企業が縮小均衡でぎりぎりの経常収支から脱却できていないように思われます。
この制度が終了すると、45万社のうち15万社において債務者区分のランクダウンが金融機関で行われると見込まれています。さらにその半分の7万社については、事業再生や転廃業等の抜本的な支援が必要になると言われており、金融円滑化法の出口戦略をどうするかが、今最大の課題となっています。
倒産企業数は例年1万5千件程度、過去最大でも2万件ですから、仮にこの7万社が一気に倒産となると大倒産時代へ突入してしまいます。

<倒産しない経営を失敗した会社に学ぶ>

倒産会社社長の集まり「八起会」によると、会社をつぶす条件・事業失敗の条件が次のように挙げられています。

① 経営者の高慢・経営能力の過信
② 社員教育の不備・欠如
③ 事業目的・目標・計画性の欠如
④ 業界情報の不足と環境変化への対応不備
⑤ 新製品の欠如・技術開発の遅れ
⑥ 家庭不和・同族経営の弊害
⑦ 公私混同と経営哲学の欠如
⑧ 決断力・実行力の欠如
⑨ 計数管理の不足と勉強不足
⑩ ワンマン・反省の欠如
⑪ 時の流れにあわないこと
⑫ 独自の経営思想や手法・知識がない
⑬ 力を分散し、集中していない
⑭ お客様志向でないことで信用を失墜する
⑮ 競争力が弱い
⑯ 社長や会社・事業に魅力がなく、人材が集まらない
⑰ 不慮の出来事に備えがない

<会社の生き残り戦略は「成長拡大」と「安定」を「同時」に行うこと>

事業発展の法則は、成長拡大と安定を同時に行うことです。時代の変化の中で、市場・お客様・商品は必ず入れ替わります。収入構造の変化に合わせ、先手を打って社内もどんどん変化させなくてはなりません。成長と安定を同時に行う経営を、顧客への貢献に焦点を充てて意思決定し勇気をもって実践しましょう。未来は私たち自身で勝ち取っていきましょう!

所長 吉 野  太

平成24年8月号

< 集 中 力 >
今回のロンドン・オリンピックはすごいですね。競泳をはじめ卓球・体操・サッカーなど次々とメダルを獲得しています。私も毎日、勇気と元気をもらっています。
そんな中、期待の大きかった柔道がなかなかメダルをとれず苦労したようです。
「金以外はうれしくない。」という発言もあり、選手の抱える個人の力量を超えたプレッシャーの大きさを感じてしまいます。
JUDOなのか柔道なのかはともかく、個人の実力が十分に発揮できた結果であれば、もっと喜べるのではないかと思います。きっと今回のオリンピックには、悔いの残る何かがあるのでしょう。
オリンピック選手の境地は私のような凡人には、想像もつきませんが、思わぬところで技を返されたり、思うような試合運びができなかった選手の表情からは、集中力の程度を超えた何かにとらわれた様な険しい表情がみられました。
持てる力を十分に発揮するには、集中力が必要です。金メダルの松本選手なんかは、異次元の世界まで突き破るような集中力がその眼光から見て取れました。
松本選手ほどの集中力でなくとも、私たちも、自分の力が十分に発揮できるような集中ができたらと、思うことはありますよね。

< 不動智神妙録 >

沢庵和尚が、剣の達人である柳生但馬守にあてて剣の極意をといた書物のタイトルです。
この本には、不動智・剣禅一如といった日本兵法の確立に非常に大きな影響を与える内容が書かれております。
自分を活かしきるには、自分が自分自身になりきる、世界そのものになりきることが大切だ、では、自分が自分自身になりきるにはどうすればよいかということが説かれており、私たちのような普通の人間でも、非常に勉強になる書物です。
「不動智神妙録」の沢庵和尚の言葉を少し抜粋します。

「心がとらわれると切られる」
「無明住地煩悩」
無明(明らかでない)だから迷いが生じる
住地 何かにつけて心が一つのことにとらわれることを、心が止まるという。
敵の刀を見て「あっ、来るな」と思うと相手の刀の動きに引きずられ自由に動けなくなり切られてしまう。
打ち込んできた刀を見ることは見るが、思慮分別を一切持たずに、とらわれることなく相手の刀に応じていけば、かえって相手を切ることができる。

「不動智」
「不動」は動かないこと「智」は知恵です。
心は四方八方、左右と自由に動きながら、一つの物・事に決してとらわれないのが「不動智」。

何事にもとらわれない「不動智」を手に入れ、私たちも自身の力を十分に発揮して、事業経営に専念していきましょう!
所長 吉 野  太

平成24年7月号

< 創業時の思いを! >
日々仕事に追われ、その場その場の対応を繰り返していると心が埋没しがちになります。
特にここ数年は、日々環境が変化しておりますが、どうも全体として停滞した空気感があります。走っても、走っても、周りの景色が晴れていきません。
同じ忙しさでも、右肩上がりの忙しさと右肩下がりのエスカレータで必死に上ろうとする忙しさでは違います。
環境の変化だって明るい未来を予感する変化なら、疲労もすがすがしいものになるでしょう。

- 誰かの心の叫び -
確かに前に進んでいるはずなのに、頑張っているのに、どうして結果がでないの?
どうして社員はついてこないの?わからないの?またクレーム?WHY??
こんなにいい商品なのに、どうしてお客様は買わないの?安ければ買う? それとも…?
また役を受けてしまった…。(仕事ができない。家庭が危うい。)
本当にこれが俺の仕事か?人生か?
今やるべき本当の仕事なのか…!?

どうしたらわかってもらえるのか?
わからないあいつが悪いのか?
それともわからせることのできない自分が悪いのか?
雑務に追われて本当に必要なことに時間が取れない。
それは本当か?
本当に時間がないのか?
誰かのせいにしていないか?
雑務に逃げていないか?
誰がやってもいいことなら誰かにやってもらえないのか…?

2千年前、古代ローマでセネカがすでに「人生の短さについて」書いています。
多忙につき、本当の自分の人生を歩む人がほとんどいない事実は今に始まったことではないのです。

久しぶりに開業当初に書いた吉野事務所の経営方針書を開いてみました。

「原理原則にのっとった正しい経営の実践と普及」
「財務・税務を通じた社会への貢献」
「企業の正しい防衛と成長への貢献」
「土俵の真ん中で勝負し、ちょこざいな技に頼らない」
「原因と結果の法則」
「良い種をまき、良い土と良い水を与え、良い実を刈り取る。今は、良い種をあちこちに、たくさんまく時。」

そもそも何のために創業したのか、何をしたくてこの商売をしているのか?本当にこの仕事でいいのか? これから先は??
創業当時、何もなかった時の、勢いと情熱を思い出すことで見えてくることもあるかもしれません。
所長 吉 野  太

平成24年6月号

< 燃える集団へ! >

「ものには、他からエネルギーを受けて燃えるものと、それでも燃えないものと、そして自分自身で燃えるものとがあります。人間も同様で、自ら燃える人でなければ何事もなしえません。せめて燃えているものの周囲にいるときは、一緒に燃え上ってくれる人であってほしいと思います。しかし、我々にとって本当に必要な人は、自ら燃え上る人です。」稲盛和夫

自ら燃える人=「自然性の人」
影響を受けて燃える人=「可燃性の人」
ニヒルで燃えない人=「不燃性の人」

会社を、自ら燃える人(自然性)の集団にしなければ、事業を成長発展させることはできません。しかし残念ながら、中小零細企業に、自然性の人が積極的に入社してくることは少ないようです。
自然性の優秀な人材は、上場企業へ、あるいは田舎よりは都心への就職を望むのが一般的で中小企業に就職する場合は、独立し自分で事業を始める気持ちが強い人が多いようです。
自然性の芽は、本人の主体性によるもので、周りから注意喚起されるだけでは生まれないようです。自分で本気で思ったときに自然性が生まれるものです。

< 社長自ら燃える! >

社長は燃えているか?中小企業が活きた集団になるのは、社長次第です。
日本電産の永守重信社長も「優秀な人材が中小企業に来るわけがない。社長自らが燃え、歩をと金にするのだ。」とおっしゃっています。
自然性を誰かに期待するのではなく、社長が自ら燃える。さらに言うと、自分だけ燃えるのではなく、周りを燃えさせることが、社長の仕事です。

< 周りを巻き込む歩をと金に変える!>

本当に働きたくなくて、仕事は手を抜きながら給与だけもらいたい・・・なんていう心から不燃性の人はどうにもなりませんが、普通の社員なら、自分でも燃えられる何かと出会いたいと思っています。
得て不得手はあっても、仕事で頑張って成果を出したい。お客様や仲間に喜んでもらいたいと、大なり小なり思っているものです。
社長の仕事は、そんな社員に会社の行先を示し、何をもって戦っていくのか、そのための準備は何か、どの程度必要なのかなど、具体的な内容を何度も何度も熱をもって伝えていくことです。そして、みんなでイメージを共有し、会社全体を燃える集団にしていくことです。
厳しい経営環境の中で、社長には特別な使命があります。社員の家族も含めた全員を扶養できる事業展開。そのためには、全員が困難な状況と会社の価値を共有し、一緒に考え、行動し、現状を打開していくことです。明日を実現する組織に方向付けすることこそ社長の仕事です。疲れたときは、愚痴はいつでもお聞きしますよ!
所長 吉 野  太

平成24年5月号

< 知的資産経営のすすめ >

「知的資産経営」という言葉をご存じですか?決算書には出てこないわが社の資産、例えば、組織力や人材・技術・ネットワークなど会社が持つ競争力の源泉です。(下図参照)この見えにくい経営資源を知り、深め、世間に知ってもらい、活かしていくことが、わが社の未来を描くのにとても有効です。

< 知的資産経営の実践の流れ >

まずは、自社を知ることが第一です。そしてわが社の知的資産を整理し、まとめます。これを社員や取引先などとのコミュニケーションツールとして活用し、わが社を理解してもらうこと。深めることが大切です。

< どのようにまとめるか >

中小企業基盤整備機構で作成している「事業価値を高める経営レポート作成マニュアル」では、次のような手順でまとめるようになっています。 STEP1 企業概要 STEP2 外部環境 STEP3 内部環境 STEP4 価値創造のストーリー STEP5 知的資産の連鎖 サンプルをお付けしますのでご興味のある方は、経済産業省 知的資産ポータルサイトにアクセスしてみてください!

所長 吉 野  太

平成24年4月号

<中小企業の新しい会計ルール>

激動する経営環境で、中小企業にも新たな時代を乗り切るための自律が求められています。
中小企業庁の中小企業政策審議会 企業力強化部会が平成23年12月に「中間とりまとめ」を公表し、中小企業自らが勝ち残るための企業力強化の方策が提言されました。
強化すべき戦略的経営力として、「財務経営力」「資金の調達・確保力」「成長のための知恵・知識・ノウハウ」「国際協力に耐えうる技術力・人材」の4つの柱がその方向性として提示されています。
その中で私が注目しているのは、中小企業の財務経営力強化の一環として、中小企業会計の新しいルールの普及が打ち出されていることです。
「中小企業の会計に関する基本要領」一般に「中小会計要領」と言います。 これまでは、「中小企業の会計に関する指針」という会計基準しかなかったのですが、少々難しすぎたようで、この指針どおりに会計処理できた会社あるいは会計事務所はごく少数だったようです。
この指針がきちんと守られているか確認するために、融資の際は「中小企業会計指針のチェックリスト」の提出を金融機関から求められたと思いますが、いい加減なチェックがあまりにも多かったため、信用保証協会も4月からこの制度を大幅に厳しく変更するようです。

<中小企業会計割引制度の変更>

中小企業会計割引制度は、「中小企業の会計に関する指針」に準拠して作成される中小企業の計算書類について、税理士等により中小指針の準拠を確認するチェックリストが提出された場合において、信用保証協会の保証料率0.1%の割引が認められる制度ですが、税理士事務所から提出される15項目のチェック内容があまりにもいい加減だったため、下記のように厳しくなりました。

  1. チェックリストの全15項目全てが中小指針に準拠している場合のみ会計割引制度を適用する。(今まで は 1項目でもよかった)
  2. 故意・過失を問わず事実と異なる記載が認められると信用保証協会が判断する場合は、会計割引制度の利用を認めない。
  3. 複数回にわたり同一の税理士等から真実と異なるチェックリストが提出された場合は、当該税理士等が確認したチェックリストについては、会計割引制度の利用を1年間認めない。(つまり、その税理士等のすべての関与先の割引を1年間認めない)

<会計事務所のブラックリスト>

要は4月から、信用保証協会は、どこの税理士が関与しているかで保証料に差をつけると言っているわけです。信用保証協会で税理士等のブラックリストを作るということですね。会計のルールを守る会社・税理士等かどうかがこれから本格的に問われてきます。そして、決算を迎えるにあたっては、「基本要領」で決算を組むか、「会計指針」で決算を組むかの経営判断を社長は問われることになります。事務所としてもしっかりサポートいたしますので、会計のルール適用については、担当としっかり打ち合わせをよろしくお願いします。

所長 吉 野  太

3月号

<東大生のノート>
一般の学生と東大に行く学生はどこが違うのか?受験シーズンに合わせてテレビで特集が組まれていました。
大変興味深かったのは、授業のノートの取り方がまったく違うということでした。
○一般の学生のノート
講師が黒板に記載したもののみをノートにする。(他律・受動的)
○東大生
講師が授業を始めてから、講師の話す言葉を脱線話も含めてすべてチャートや図にしながら関連づけてノートにする。(自立・能動的)
この習慣の違いは大きいですよね。
人の話をメモしながら自分なりにまとめる習慣を身に着けている人間と、メモの習慣のない人間では、年数を重ねるうちに情報処理能力に大きな開きができてしまいます。
東大生方式のノートの取り方は、瞬間的に情報を分類する力・情報を関連づける力・情報を加工応用する力・情報を思い出す力など様々な力をつけるトレーニングになりますし、見直した時の復元力(思い出す力)にも力を発揮します。
外部情報の入力量と情報の質が年輪を重ねるうちにどんどん開きますので、自己変革力・成長力にも影響を与えるのではないでしょうか。
知識を知恵に変える力は、また少し違った能力によるところがあると思いますが、その基礎力においては、このノートの取り方の習慣は大きいと思います。
本当にノートの記載方法が影響を与えるか
知るために、一般の高校生を対象に、①黒板のみをノートするグループと②講師の話を最

初から最後まで可能な限りノートするグループに分けて講義を受けさせ、時間をおいてからその項目のテストをするという実験を行っています。
結果はやはり東大生方式でノートをとった学生グループのほうが圧倒的に点数は高かったようです。
当然といえば当然ですが、脱線情報も含め様々な情報をノートにすることで、頭の中で思い出す引出が複数できるためこのような結果になると解説されていました。

<正しく考えているか?>
私たちは、本当に正しく考えているか?考える方法が間違っていると、考えれば考えるほどダメになってしまいます。
「悩むこと」と「考えること」は似て非なるものですが、一生懸命考えているつもりなのに、実はただ悩んでいるだけかもしれません。悩んでもモチベーションが下がるだけで、問題の打開にはつながりません。正しく考えてこそ、問題解決の糸口も見えてきます。
しかし、頭の中は、外見や行動と違って鏡に映すことも、録画することもできませんので、自分の考え方が正しいかどうか知ることはとても難しいです。
頭の中の考えを外に出して見るためには、言葉に出したり、ノートに書くしかありません。ノートにどんどん書き込んでいくなど自動筆記のトレーニングをつむことで自分の考えの偏りが見えてきます。
東大生ノートはインプットの技術ですが、同様にアウトプット技術の訓練も私たちには大切かと思います。
所長 吉 野  太

2月号

<自立・創造できる人づくりとは>

人づくりは組織風土づくり・環境づくりと両輪です。教育研修を通じて学んだことも、それを活かす風土がなければ、すぐ忘れられます。知識や技術は、それをしみこませる土台がしっかりしていないと、ただの詰め込みになってしまうのです。
事業は人・物・金・情報と言いますが、すべての事業活動の基本は人の判断であり行動です。 その意味では、事業経営の基本は、人づくりであり、組織風土づくりと言えるかもしれません。

<組織風土は、人間関係・意識・行動>

組織風土は、そこに集う人の「人間関係」「意識」「行動」によってできています。
「人間関係」が悪ければ、どんなに優秀な人でもその能力を発揮できません。
「意識」が低ければ、不注意も多く、クレームや後手の仕事に追われます。「行動」が鈍いと生産性が下がるし、お客様をいら立たせることにもなります。
そこで「社員の意識を変えなければ・・・」と思う訳です。
個々人の意識の変化が行動を変え、企業全体が大きく変化していくのは事実です。
しかし、安易に「人の意識を変える」といってもそう簡単ではありません。
「意識を変える」ということは、「今のあなたの意識を否定すること」ですので、どんなに正しくても、無意識に人は反発してしまします。ここに赤字企業を黒字化する際の最大のハードルがあります。

赤字の会社の場合、経営者が社員の意識を変えようとすると、社員からは、社長こそと反発されます。反発しあっても泥の船。早く変わらねばならないのですが、そう簡単ではありません。
人の意識は自分で気づくことでしか変わらないと言います。考えてみれば、皆さんもそうだと思います。親から言われ、先生から言われ、友人から言われてもそう簡単に自分の意識を変えるなんてできないですよね。
「意識を変える」と言っても、それは、今の自己を否定し、自己を乗り越えていかなければならない訳ですから、本心から自分で覚醒しない限り、新しい意識にはなれないのです。
人間は習慣に生きる動物ですので、表面的にわかったふりをしても、すぐに蓄積された習慣により、意識も元に戻ってしまいます。
組織風土を変えるには、「行動」による気づきが必要と言われています。習慣に生きる人の習性を利用して、良い行動を習慣化することにより、意識が少しずつ変わることを期待するのです。
赤字企業の再生が「掃除」とか「挨拶」から始まるのはそのためです。毎日、隅々まできっちり掃除することで、小さい変化も見逃さない気づく人間になると言います。
自立した創造的な人が育ってくれば、変化に対応した自分で考え行動する組織になり、さまざまな意見や提案が生まれてくる強くて明るい会社になっていきます。
時間はかかりますが、社員を信頼し、本人の気づきに期待することが大事です。
経営者は、気づきに出会えるような環境を社内にたくさん整備するのです。
所長 吉 野  太

1月号

あけましておめでとうございます。
久しぶりに北海道の実家で新年を迎えました。
長男・次男はそれぞれ勉強・部活でいそがしかったので、小学2年生の三男坊をつれてスキーやスケートをしてきました。
「習うより慣れろ」と言いますが、子どもはリフトに乗せて、転がりながら何回も滑っていますと、勝手に滑れるようになるのですね。はじめは何回も転びながら下っていましたが、最後には転ばずに下まで滑れるようになったようです。
子どもは、怖がらずに面白がって挑戦する気持ちを、自然にもっているのですね。
私も面倒に思わず、面白がって新しいことにチャレンジしていく新鮮な気持ちをもって一年間すごしたいと思いました。

今年はとても重要な年です。
日々、経営の変革にチャレンジし、この不況を乗り越える中で、数年後に来るであろう消費税や社会保障費のアップ・公的支援のカット・対外的な圧力に負けない企業体質をつくる年です。
皆様が全実力を出し切る経営が出来ますようご祈念申し上げます。私どももそのために全力でサポートさせていただきます。

< 49対51 の勝負 >

臨床心理学者で元文化庁長官の河合隼雄先生は「人間の深層心理と行動は『49対51』で決まる。」とおっしゃっています。
それぞれ49を引いてみると0対2になるわけですが、例えばサッカーでも野球でも0対2で負ける。しかし実力が0と2ではない。

表面に現れる結果は、0対2であっても、深層心理も含めて考えると49対51。勝った人と負けた人の差はもっと小さく本当に微妙なものだということです。
だから次に頑張れば2対0で勝つ。
あんなにいい人がと言われる人が悪事を犯し、あんなに悪い人がと言われる人がいいことをする。こんなことが常にある。人間の深層心理と行動はそんなに微妙なものですとおっしゃってます。

これは、商売においても同じです。
こっちを買うか、それとも、あっちを買うか。
街に出かけて買い物をするときだって、最終的に商品を選ぶときは、ほんのちょっとした差ですよね。
黒字企業と赤字企業の差もそうです。
ほんの少しの差せいぜい2%の違いです。
このほんの少しの差なんだけれども、この2%が詰められないのが人間ですよね。
朝起きなきゃいけないけど、もう少し寝床にいたいとか、ダイエットしているのにお菓子に手が伸びるとか、そんな些細な日常の積み重ねもこの2%の差のように思います。

そんな人間であるからこそ、常に心を磨かなければならない。
ひたすら謙虚に経営に仕事に向かい心を磨きたいと思います。
この2%の差を詰める1年にしたいと思っています。

今年もよろしくお願いします!
所長 吉 野  太

12月号

<未来はわが社の手の中!>
中小企業庁の企業力強化部会が発表した「金融と経営支援の一体的推進」策の柱に「中小企業の財務経営力強化」が据えられました。中小企業の力を強くするための施策が、会計を柱に策定されていることに疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、企業力強化の施策の中心が会計になるのは、世界史的には正当なものです。
<帳簿の歴史>
帳簿の始まりは、14世紀イタリアの豪商メディチ家にさかのぼります。何を売って儲けたか、何に使ったか、財産がどれだけあるかなど、帳簿は商売と資産形成を行うための秘儀として伝承されました。その後15世紀に幾何学者ルカ・パチオリによって当時の最先端の数学として紹介されてから世界に広がったと言われています。
ルカ・パチオリは、商売繁盛の秘訣は、①充分な資力をもつ ②誠実で廉潔な者が、熟練した技術で会計を行う ③すべての取引を秩序正しく適切に記帳することと解説しています。
その後17世紀フランスで、ルイ14世は、企業の倒産防止を目的に、商人に記帳と決算書の作成義務を法制化しました。倒産時に正しい会計帳簿を提示できない場合は「死刑」という厳しい法律でしたが、これをきっかけに経済も立ち直ったといいます。
また、豊臣秀吉の天下統一の裏には、当時すでに帳簿をつけていた近江商人の存在があると言われています。帳簿に基づく自軍の武器や兵糧の確保、兵士の給料などの財務管理は、西洋伝来の複式簿記の技術を石田光成が導入し行われていました。

<帳簿の力>
会計の効果は大きく3つあると言われています。

  1. 経営者への報告・・・現経営状況を把握し、打ち手を考えるデータを提供する。
  2. 帳簿の証拠力・・・取引先・税務署その他第三者に対する客観的証拠力。
  3. 倒産防止機能・・・金融機関など債権者に対する担保力
※正規の簿記あるいは一般に公正妥当な会計処理でなければこれらの効力は半減します。

<財務経営力を発揮する>
では企業の「財務経営力=経営力と資金調達力」を発揮するにはどうしたら良いでしょう?それは、会社法等の法律に従った正しい記帳方法によることが第一です。
  1. 適時・正確な記帳(会社法432条)・・・記帳は、現金は毎日・他の取引は翌月内に自ら記帳する。現金取引は会計事務所が記載した場合、帳簿の証拠価値はなくなります。
  2. 試算表・資金繰り表など基礎的な資料をタイムリーに提供できる。
    ・・・会計事務所が毎月監査することにより、基礎資料の証拠価値があがるとされます。
  3. 1)2)を基に決算書を作成する。
    ・・・会計事務所がつける書面添付・記帳適時性証明書は専門家の第三者証明になります。
  4. 決算書を経営指標と比較し分析する。
    ・・・同業他社比較・前期比較・予算比較をすることで自社の強み・弱みを把握します。
  5. 経営計画書を作成し事業活動に活かす。
    ・・・数字は行動の結果です。目標と行動計画を社内へ落とし込むには、経営計画が必要です。また、金融機関等への説明にも有効です。
所長 吉 野  太

11月号

「不況下でも元気がある企業の特徴とは」

今年は本当に次から次へと問題が発生し、世界的にも国内的にも地球は厄年(?)かと思うほどです。これが序奏にすぎないのかどうかはわかりません。少なくとも私たちは、昨日より今日、今日より明日・・・と毎日をしっかりと生きていくしかありません。

不況下でも元気がある企業。同じ業種、同じ規模でも利益の出ている会社はあります。こんな年でも、しっかりと未来を見据えた事業を行っている会社はあります。
経済産業省の調査によると活力ある企業の特徴として7つ挙げられています。

1.経営理念を明確化して実践している
2.経営理念を社内に浸透させている
3.自立・創造できる人づくりに取り組んでいる
4.長期的な視点で人づくりに取り組んでいる
5.従業員への動機づけに取り組んでいる
6.信頼感と一体感を高める組織づくりに取り組んでいる
7.経営者力向上に取り組んでいる

アンケートの対象企業
直近10年で売上高経常利益率6%以上の中小企業

みなさんの会社は、いくつできていますか?企業が安定して成長するには、どうしても必要な要素がこれです。即効性はありませんが、危機に瀕したときにこそこれらの特徴

が活きてくると考えられます。
短期的な対処は、どうしてもリストラ的な手法になりがちですので、長続きしません。
新しい商材や技術を取り入れるにも時間やお金がかかります。それらを受け入れる下地がどうしても必要になります。

Q 従業員になかなか自分の思いが伝わらず、一体感もないのはどうしてか?

この答えは、1.2です。経営理念を明確化していますか?実践していますか?社内に浸透させる仕組みがありますか?

Q 人材育成はどのように行えばいいですか?
この答えは、3.4.5です。人づくりは組織風土・環境づくりと両輪です。仕組みとしては、朝礼・挨拶・掃除などを工夫して取り入れている企業が多いと思います。長期的視点を考えるには、採用人事・給与体系など安定した雇用の基礎を作るのが良いでしょう。社員の動機づけには、いかにして「作業」を「仕事」に変えるか。成功=社会貢献・お客様の感謝の価値転換かと思います。

Q 信頼感・一体感はどのようにして作るか?
なかなか難しいのですが「情報公開」「経営参画」「研修制度」など検討すると良いかもしれません。
最後に経営者力・・・ともかくいろいろな人に出会い、考え、行動することですかね。
所長 吉 野  太

10月号

涼しくなってきましたね。今年もあと3か月となりました。震災・台風と天変地異の1年でしたが終わりは良いものにしていきたいものです。
10月11月と金融機関等とともに相続税セミナーを開催します。
<テーマ>
相続人が知っておきたい相続税のポイント
10月18日 横浜銀行  17時~
10月26日 中栄会   17時~
11月20日 積水ハウス 13時~
(タウンニュース案内予定)

<相続税の調査は10中8・9修正申告?>

お亡くなりになる方は全国で年およそ115万人と言われています。川崎市の人口が140万人、相模原市が72万人ですから、毎年、政令指定都市が1つなくなっているようなものです。そして、相続税の申告書は4万~5万件提出されていますので、亡くなった方のおよそ4%が相続税の対象になります。
そのうち税務調査の対象になるのが約1万4千件、さらに修正申告になるのが1万2千件ということですから、調査になったら10中8・9は税務署から指摘を受けて修正することになるというのは正しいようです。
調査での1件当たり平均追徴税額が900万円、ですから税務調査で大きなトラブルにならないような節税対策が求められます。

<税務調査での指摘NO1は名義預金>

相続税の税務調査で指摘が多いのは、金融
資産です。特に家族名義(配偶者や子、孫名

義)の預金の実質的な所有者が被相続人のものだと指摘されることは多いようです。
株式などの有価証券についても、同じ時期に同じ銘柄のものが売り買いされているような場合は、家族の名義であったとしても、被相続人が名義を変えて取引していたものとして指摘を受けることがあります。
税務調査では、家族全員の金融資産の取引記録を5年~10年程度さかのぼってチェックされますので、対策としては、相続税の当初申告を作成する段階で事前に5年~10年程度の預貯金等の取引記録を確認し、名義預金があれば当初から申告しておくことが必要です。
【税務調査での指摘内容】
預貯金  33%
有価証券 20%
土地   15%

また、普段利用していない口座などの場合、相続人が、その口座の存在を全く認識していないということもあります。
土地は登記されていますのでモレることは通常考えられません。評価について見解の相違ということになるのでしょうか。

トラブルのない相続対策を実現するには、預貯金・株式などの金融資産を整理し万が一の時でもわかるように、財産リストを作成しておくことが大切です。また家族名義の金融資産については、もらった人が実際にそれを管理しているかどうかがポイントになります。
相続について疑問や不安があったらご相談ください。
所長 吉 野  太

9月号

「相手の心に受け容れ態勢が出来ていないのにお説教するのは、伏せたコップにビールをつぐようなもの。入らぬばかりか、かえってあたりが汚れる」森信三

「どうもうちの社員はねぇ、新しいことをやりたがらないんだよ。」勉強熱心な経営者からこのような言葉を聞くことがあります。
いろいろなセミナーや書籍で得たことを社内に落とし込もうとすると、予想以上に抵抗があるものです。じっくり検討したものや、よかれと思って話したことであっても、社員の抵抗にあってしまうのはなぜでしょう?
「せっかくのアイディアなのに、どうしてわが社の社員は抵抗するのか・・・」
結局は、森信三先生の言うように、社員の心に受け容れ態勢が整っていないことが原因なのだと思います。
ですからまずは、社員の受け容れ態勢を作ること、コップを上向きにすることから始めねばなりません。さらにコップが小さいのであれば、コップを大きくするか、用意しなければならないのかもしれません。

私どもの経理指導の経験からいうと、やはり経理体制がすぐ整う会社とそうでない会社があります。一番大きな問題は「経理体制が整うことで何が変わるのか。会社にどのような貢献があるのか。自分自身の経理のスキルアップがその経理担当者の今後の人生をどのように変えていくのか・・・」といったことについて、こちらと同程度のイメージをもっていただけていない場合に、時間がかかるように思います。
実際に自分で見聞きしたことや考えたことならば「百聞は一見に如かず」自然と受け容れ態勢も整いますが、大局のイメージがないまま細かい経理手続きの話をされても、何を意図しているのかわからず、なんだか面倒な作業にすぎないと思われるのでしょう。

しかし、経理は本来、会社の経営を決定づける羅針盤の役割を果たします。経理スキルは一度しっかりとした形で身につけると一生涯食うに困らない技術なのだということをわかっていただけると急速に経理レベルが向上します。

そういう意味では、社内での新しい取り組みは、目に見えるもの・形あるものからでなければ実践されず、また成功しないように思います。
企業再生の第一歩が、整理整頓などの環境整備や挨拶運動から入るのも、多分そのためです。誰にもわかりやすいことを小さく実践し成果(きれいに、あかるく)を出していくことで、企業文化の基本となる物的環境・人的環境を培っていき、新しい取り組みへの前向きな姿勢をつくること、コップを上向きにしているのです。

「やってみせ 言って聞かせて させて見せ ほめてやらねば 人は動かじ」山本五十六

山本五十六のこの言葉を分解してみると指導的立場の人は何をすればいいのか見えてくるかもしれません。

1)やってみせ / 視覚的感覚的イメージの共有
2)言って聞かせ/ 原理・プロセス・成果の理解
3)させて見せ / 実践・経験による理解
4)褒める / 成果を確信する・自信をもたせる

企業は人なり、企業文化・社風が会社の命運を握っています。果敢に挑戦する組織・あかるく人に好かれる会社を創っていくことが、運命打開に最も大切なことなのだと思います。

所長 吉 野  太

8月号

先月、鎌倉円覚寺の横田南嶺和尚のお話を聞く機会をいただきました。

「仕事に対する姿勢」
震災のお見舞いに東北のお寺をまわったとき、墓地を見ていたら、同じお寺、同じ列の墓石でも倒れているものと倒れていないものがあったそうです。聞いたところ、倒れていないお墓はすべて同じ業者が建てたもので、昔から付き合いがある真面目でしっかりした業者だとのこと。そこの地盤などにも熟知しており、それをもとに基礎を作っているので、その業者のものだけ倒れなかったのだそうです。こんなときに、人の仕事の姿勢が見えてくるというお話でした。
仕事に対する姿勢は、いざという時に、形になって見えてくるのですね。
会計事務所の仕事も、今はコンピュータなので、傍目にはきれいであまり違いがないように思われますが、いざという時役に立つものなのか、それともポンコツが露呈するものなのか、この違いは天と地の差があります。気を引き締めて行きたいものです。

「剣の達人」
10年修行すると、自分の強さがわかる。
20年修行すると、相手の強さがわかる。
30年修行すると、自分の弱さがわかる。

10年修行したころが一番危険なんだそうです。自分の強さを過信して、自分の力を試したいと無理をして、最も死ぬ確率が高いわけです。成長するときはみんなこの道を通りますよね。社内にもこの段階の社員いるんじゃないでしょうか?

有望な人に限ってここで有頂天になり、成長が止まってしまいがちです。成長する人はみんなこの境地に一度は至るのですから、ここで止まってはいけないのです。ちょっとがんばったので成果が出てきたのでしょうが、本当は、自分自身で道を歩み始めたことを実感できただけの境地なのだと思います。
20年修行して相手の強さがわかるころは、負けなくなるそうです。確かにある領域に自分が達して初めて見える世界・境地がありますよね。私も勤務時代に所長の気持ちというのはわからず、独立して初めてわかってきました。借金したり、人を雇ったり、営業したり・・・いろいろなステージを経験することによって初めて見えるものがあります。相手の強さは、自分がそのレベルに到達しないと見えないのです。
30年修行して自分の弱さがわかるようになると、本当の強さを手に入れることができるのだそうです。自分の弱さを認めるのは難しいですね。どうにか辻褄を合せるようにしたり、理屈を言いたくなります。一方で、何もせずに弱さを受け入れるのは、単なるあきらめですからそれともまた違う境地です。
努力して成長し、自分の強さを実感するようになる。自分が努力して相当の境地に到達すれば、相手の強さが実感できるようになる。そしてさらなる工夫をしていくと、自分の弱点が見えてくる。工夫努力で克服できるもの、他のものでカバーすべきもの、あきらめざるを得ないもの・・・自分の強さと相手の強さそして自分の弱さを知ること。事業経営においても同様のプロセスがあるように感じます。
所長 吉 野  太

7月号

価値観が大きく変わる時代を生きる
わが社は、全国約400万社ある中小企業の中の唯一無二の存在です。他には替えの効かない社会的存在であり、400万社の中から我が社と我が社の商品を選択してくれたお客様、社員・スタッフ、そしてパートがいます。経営者・社員、スタッフにとってわが社は、仕事・同じ時間・空間・価値観を共有した運命共同体です。チームといってもいいかもしれません。
他人事のように思っていても、テキトーに働いていても、自らの人生のかなりの部分をわが社に依存しています。貴重なたった一度の人生「今」「ここ」「わたし」を活かす会社の行方を積極的に自分の力で良い方向に動かしていくことが人生を豊かにすることになります。
そんなわが社は、社会的存在でありながら、しっかりとした収益性を確保し、永続的な発展をとげる義務があります。
しかしながら、いまや単なる売上やコスト削減では、経営が成立しない時代になりました。ひとつひとつの仕事を大事にし、利益を出していくこと。一人ひとりの社員がしっかりした仕事をして、各自利益を出すことが必要です。
わが社の収益は、社員一人ひとりの1日・1時間・1分の仕事へのこだわり・原価意識から生まれてきます。
一人ひとりが主人公の会社
どのようにして市場と職場の一人ひとりを直結させるか?1分1時間を貴重なものとして、創造的な時間とすることができるのか?どうしたら、一人ひとりが主人公の会社経営が実現できるのか?
京セラのアメーバ経営では、日々の過程の節々で一人ひとりが判断した集積がわが社を作るという

視点から、すべての部門の状況が見える経営管理の仕組みとして、「現在の数字」を各部門で把握し、各部門が市場と直結させた判断ができるようにしています。

①アメーバ(部門)単位の採算管理
②時間当たり生産性高の管理

この2つを各アメーバ(部門)で個別に管理していくのがアメーバ管理システムです。

目的は以下の3つ
「マーケットに直結した部門別採算制度の確立」
「経営者意識をもった人材の育成」
「全員参加経営の実現」

ポイントは、自分たちで数字を積み上げていくことなのだと思います。
以前ご紹介したハマキョウレックスの「収支日計表」でも、各ドライバーが毎日それぞれの損益計算書を作成し自分で管理する仕組みでした。自分の仕事が儲かっているか赤字なのか社員一人ひとりに理解させることに狙いがありました。
今日の出荷個数は何個とか生産目標が何個というのではなく、今日は幾らの収入・支出で幾ら利益が出た、損した。会社にこれだけ貢献できた・・・というのを金額で、しかも日々わかるというのが大事なのだと思います。
全社員が自分の仕事の収支を理解して働けるように、わが社にあった仕組みを考え、落とし込む。
一人ひとりがわが社の商品サービスを通じ社会に貢献し、結果会社の収支を作っているという実感を持てるような仕組みを作りましょう。
所長 吉野 太

6月号

会社の利益とは?
中小企業にとって会社の利益というのは、どこから出るのでしょう?
利益を出すのは生易しいものではありません。きれいごとでもありません。他人が言う理想論なんかである訳がありません。
経験的に言うと、経営者にとって利益とは、会社への思いであり、もだえ・苦しみであり、眠れぬ夜であり、白々と明けた朝にハッとした思い付きであり、ウロウロと目的もなく歩く道すがらいつしか悩みごとが、考えごとに変わり、アイディアになるその瞬間の集中力。苦悩の狭間に差し込んだ空っぽの空間に生きる力が湧いてきて、その後、ゴミ拾いにも似たほど地味なひとつひとつの行動が億劫でなく実践出来るようになることであったり、そしてしばらく続けていると共感してくれる人が出てくる。応援してくれる人が出てくる。それがお客様だったり、社員だったり、家族だったり・・・そういうことの積み重ねが利益だと思います。

赤字っていうのは、なんなのでしょう?
もちろん、今回の震災やトラブルなどで、一時的に赤字になることは、どんな会社にも時にはあるでしょう。しかし、万年赤字というのは、根本的に何かが間違っているのです。
苦悩を苦悩のままにしている。
苦悩を自分のせいにしていない。
お客様が悪くても、社員が悪くても、仕入先が悪くても、商品が悪くても、なにが悪くても自分が問題。自分に原因を求め、自分が変わり、行動することで打開してく。これしかないのです。赤字会社は、悩み方が中途半端なのです。もっと徹底的に現場の事態を究明し、何が赤字の原因か調べ、現場改善に徹底的に挑むことが大切です。一人ひとりを黒字に

する。機械1台1台を黒字にする。商品一つ一つを黒字にする・・・まずは、徹底的に挑むことです。現場への挑戦が中途半端に終わってませんか?

芥川龍之介の言葉に「運命は偶然よりも必然である。運命は、性格の中にある。」というのがあります。人の運命、これが性格で決まる・・・。
努力するのも、あきらめるのも、明るくて人に好かれるのも、嫌われるのもみんな性格。いい性格だといい運命が待っている。悪い性格だと悪い運命が待っている。これを会社に置き換えると、
<利益は偶然よりも必然である「利益は社風の中にある。」>ってことでしょう。
黒字会社の社風は、社員が積極的で、アイディアもよく出るし、プラス思考で明るい雰囲気があります。空き時間や移動時間に何か工夫できることがないかと考え、仕事が始まる時間にはピッタリスタートしています。
一方赤字会社の社風は、各自がそれぞれの仕事にしか興味がなく、また、業務効率が悪くても、仕事を逃しても気にせず、過去のやり方がいつでも正しく、若干暗い雰囲気です。だから空き時間ができるとラッキーくらいにしか思いません。赤字なのに行動も判断もゆっくりしてますし、休み時間はぎりぎりまでとるので、仕事の始まる時間から仕事の準備を行います。中小企業の生きる道は、ほっといたら燃えない社員を社長が努力して、焚きつけていき、燃える集団にしていくことにしかありません。
そりゃあ簡単なはずないのです。でも、そこに手をつけるのが経営者の仕事。会社は経営者以外の誰にも変えることはできないのです。社長が現場を巻き込んで動けば必ず利益は出ます。億劫がらずに現場に行こう!頭がおかしくなったのではと思われるほど社長がこだわるのが大事です。
所長 吉野 太

5月号

希望は4本柱から成り立っている
Hope is Wish for Something to Come True by Action

希望を抱いて日々を送っていますか。
経営者も社員のみなさんも、希望を持っていますか?
経営環境はとても厳しく、なかなか売上も上がらないし、社内の意思統一も難しい。
経営というのは、「利益の分配コントロール」という側面が非常に大きいですから、給与水準だって上げたくないわけではないけれども、なかなか上げられません。給与の上がらない社員も辛いけど、満足な給与を払えない経営者の気持ちは本当に辛いものです。

例えばこんな平均給与の比較をすると尚更がっかりするかもしれませんね。でもこれが現実・・・
民間平均給与 434.9万円
上場企業平均 589.3万円
国家公務員  662.7万円
地方公務員  728.8万円

どうしたら、経営者も社員も希望を持って、日々新鮮な気持ちで仕事ができるようになるのでしょうか。元気な職場が作れるようになるのでしょうか。

復興構想会議検討部会のメンバーの玄田有史氏の著書に「希望のつくり方」(岩波新書)というのがあります。
著者によると希望は、4本の柱から成立しているとのことですので紹介します。




W:wish(気持ち):思い 願い
S:something(何か):
将来こうありたという具体的な何か
C:come true(実現):
どうすれば実現する方法に近づくのか。
そのための道すじ、踏むべき段取り
A:action(行動):行動を起こさないかぎり
状況をかえることはできない。

つまり「希望とは、行動によって何かを実現しようとする気持ち」ということです。
先ほどの給与水準なんかも、「行動によって給与水準を上げようとする気持ち」と置き換えたらどうでしょう。問題は「行動」です。何をどれだけ行動すればどんな結果につながるのか。これが分かると希望につながるのではないでしょうか。
とすると、希望を手に入れるのは次の問いに応えなければなりません。
「一人当たり・時間当たり生産性について意識しているか?」「利益は何にどれくらい配分されるべきか決めているか?」「将来こうありたいという成果を実現するために必要な利益はいくらか?売上はいくらか?そしてそのために今すべき行動は何か?」「それは行動されているか?行動されていないとしたら、あとどれだけしなければならないのか。他の方法はあるのか?それともあきらめるのか?半端なまま続けるのか・・・?」
「今の事業にとって、私にとって希望は何でしょうか?何を実現することでしょうか?」
所長 吉野 太

平成23年4月号

3月11日の震災からもうすぐ1カ月経ちます。短期的な混乱、不透明な展望の中、利益計画を大幅に変更しなければならない会社も多数あります。雇用の確保、運転資金の確保、停電や流通を考えながらの操業・・・難しい経営課題がまとめて突きつけられています。
経営は時に「判断」というよりも「決断」を迫られる場面がありますが、これからの1年は、やり過ごすにしても、チャレンジするにしても、経営的に「大きな決断」が求められることになりそうです。
< 緊急事態への対処 >
3月4月の短期的な緊急事態については、雇用確保の観点から、東北地方太平洋沖地震被害に伴う経済上の理由により事業活動が縮小した場合に雇用調整助成金が利用できます。平成23年6月16日までの間は、災害後1カ月の生産量・売上高等が直前の1か月または前年同期と比べ5%以上減少する見込みの事業所も対象となりますので、労働局または、ハローワークにお問い合わせください。
ほかにも今回の震災で直接的・間接的に被害を受けた場合の融資制度などもあります。
これらの情報は、中小企業庁のHPなどに載っています。問い合わせは、経済産業省の中小企業電話相談ナビダイヤルTEL0570-064-350へしてみましょう。
<わが社の立ち位置を再確認!>
今後は落ち着いたとしても、経済全体の環境が以前とはちょっと違った価値観や動きを示すのではないかと思われます。
これまでの延長線上で経営判断することには危険が伴います。
大事なのは、現状をしっかり、正しく把握することだと思います。

微妙な変化も見逃さず、正しく現状を把握し、分析して、純粋な心で先見力を働かせ、行動することが求められます。
ダーウィンは進化論で「大きいものが生き残るのではなく、強いものが生き残るのでもない。環境に適応したものが生き残る。」と言っています。
これから1年間、もしかしたらずーっと、日本の経済環境・経済価値は変化し、わたしたちに大きな影響を与えることになります。
吉野事務所では、経営者の皆様が先見力を充分に発揮できるように、経理の現場改善と経営管理体制構築のサポートをしてまいります。私たちの目指す経理指導は、単に帳簿がきれいにつけられるということではなく、会計から様々な会社の経営状態を正しくつかみ、会計を未来の打ち手を検討する材料として提供することです。どうぞよろしくお願いします。
<習慣が行動を決定し、その通りの結果を招く>
昨日の行動の結果が今日になり、今日の行動の結果が明日になります。私たちの未来は今何をしているか、何を思っているかできまります。その行動選択は、瞬間瞬間に行われますので、理性よりも無意識、好き嫌いにより選択されます。「運命は、その人の性格の中にある。」と芥川龍之介は言いましたが、これが正しいとすれば、私たちは理性よりも、感性を磨き、生活習慣を変えることのほうが、よりよい未来への近道かもしれません。
今回の震災は、経済・文化・生活面において、大きな断層を作りました。逆に言えば、今までのあり方を見つめ直し、慣習を改め、変える機会にもなると思っています。       所長 吉野 太

平成23年3月

〈一人一人が利益を意識する収支日計表〉
業績管理の手法は様々ありますが、多くの会社では、社長や経営管理部門の一部のみで活用しているようです。その結果、社長一人がやきもきしていて、現場は習慣的な日常業務が昨日と変わらず同じやり方で行われているというのが実情でしょう。
優良企業では、日々カイゼンが習慣化され、細かい努力の積み重ねで進化しています。社員一人一人と意思疎通をはかり、力を集約していくにはどうしたらいいのでしょう。どうしたら、みんなで頑張って企業を成長させることができるでしょう。
今回は、トラック1台で始めた運送会社を東証一部上場まで成長させたハマキョウレックスの「収支日計表」をご紹介します。

<倒産寸前に始めた収支日計表>
ハマキョウレックスの大須賀社長が、社員全員による「収支日計表」作成に取り組むことを決意したのは、オイルショック後、売上の半分を占める大口取引先が倒産し、銀行の融資ストップ寸前になってからです。
自ら寝ないでトラックを運転し、仕事を取っても資金繰りがつかない。1800万円の返済期日直前になって、銀行の支店長に頭を下げに行きましたが埒があかず、直談判すると意気込んで銀行の本店に乗り込んだそうです。
本店で対応してくれた担当者に、どんぶり勘定の経営を見抜かれ、銀行を説得するには、きちんと利益を残せる会社であることを証明しなければ話にならないと考えたのが「収支日計表」です。

収支日計表は各トラックの水揚げを集計して、そこから日割にした管理費や燃料費、人件費などを差し引き、毎日の収支を管理するものです。これを社員全員が各自で毎日作りすべてを公開します。続けると、社員は自分が儲かっていれば会社に貢献していると自信が深まり、さらに頑張ろうという気に、また赤字の社員はなんとか挽回しようと考えるようになるといいます。
運送業だと、収入は実際の出来高を計上し、各費用は①固定費②燃料費③修繕費④消耗品費⑤人件費⑥高速料金⑦管理費などに分け、減価償却費や事務管理費なども忘れずに計上します。費用は、前年実績や予算を稼働日数で割って1日当たりを算出しますが、高速代や燃料費は、実際に使った日に実額で計上するそうです。この収支日計表を導入してからは、社員全員が会社の業績と自分の働きの関係がよくわかるようになり収益性がぐっと向上したそうです。また、不思議なことにこの収支日計表は概算値による計上なのに、実績の月次決算との誤差は0.5%程度、しかも月次決算書は毎月、翌月2日には出るそうです。

所長 吉野 太

平成23年2月

今年の税制改正は、法人税の減税もありましたが、全体として高額所得者への増税が今後進んでいくという方向性の見えたものでした。詳しくは別添の事務所通信改正税法特集号をご覧いただければと思います。

< 法人税 >

  1. 法人税率引き下げ
    目的:経済の国際競争力確保
    評価:ライバルの中国、韓国と比べると
    まだ高い。年商1~2億の企業で
    は赤字企業が8割も存在するの
    で減税効果は薄い。
  2. 減価償却制度:償却率が伸び増税
  3. 欠損金の繰越
    7年から9年に伸びたので有利
    ただし、帳簿の保存、税務調査対応の期
    間もこれに応じて長期化します。
  4. 雇用促進税制:新規雇用で節税できます。
    ただし、過去にリストラしている企業は
    無理?

< 所得税 >
  1. 給与所得控除の見直し
    年1500万円以上の給与は増税
    年2000万円以上の役員報酬は、さらに
    増税。
  2. 天下り役員の退職金増税
    勤続5年以下で退職する役員が対象
  3. 扶養控除の対象制限・・・増税
    昨年の改正と合わせると扶養控除の対
    象は激減しました。給与の手取減ります。
  4. 年金の確定申告不要へ!
    市の無料相談会場は落ち着く?


< 相続税・贈与税 >
  1. 相続税の基礎控除が4割縮小
    5千万円+1千万円×法定相続人数が
    3千万円+600万円×法定相続人数になった。これで多くの人々が相続税の申告対象になると思われます。
  2. 生命保険の非課税枠縮小
  3. 高額の相続税率UP
  4. 贈与税率は若干ダウン

< 消費税 >
  1. 法人設立後2年は免税だったが、
    これからは1年だけかも。
    ・・・人材派遣会社の脱税封じで導入
  2. 年商5億以上の会社は、95%基準外れる。・・・大企業の益税封じで導入

< その他 >
  1. 更正の請求が1年から5年に延長
    ・・・税務調査も5年遡る?
  2. 税務調査を文書で通知


今年は非常に細かい改正なので、個人の確定申告や年末調整、給与計算はもうパソコンなしだと間違いだらけになるだろうなあ、なんて思ってしまいます。
相続税も、関係ないなんて言えなくなりそうです。持ち家あって生命保険そこそこかけてたら・・・普通の家庭でも結構対象になってしまいそう。
消費税は益税封じもおおよそ完成したので、税率UPの下準備は完了。
・・・大増税時代は、すぐそこです。
所長 吉野 太

平成23年1月

< 仕事の流儀を極めよ! >
あけましておめでとうございます。
2011年が始まり、みなさま、今年はどのような決意をしましたでしょうか。

吉野事務所の今年のテーマは、「仕事の流儀を極めよ!」です。経済環境が大きく変わる時代において、頼りになるのは、自分自身の決意と判断と実践。世界第一級の会計技術と税務の専門家としての力量、そしてITを駆使した経営管理手法を習得し、肝が据われば、どこへ行ったって、どんな環境下であってさえも、食うに困ることはありません。誰の迷惑をかけずとも生きていくことができます。
みなさまの経営の一助となり、徹底的に奉仕できるような一流の会計人となるべく、すべてのスタッフが本気で自己研鑽を積む年にして参ります。

映画『武士の家計簿』が、ヒットしています。数年前に新潮新書から出た磯田道史著の同名作品の映画化です。この本は、小説などではなく、幕末、加賀藩御算用者が書いていた家計簿を分析した歴史書です。
江戸末期から明治維新という歴史の大転換期において、武士の体裁を維持するだけで借金だらけになってしまう時代。価値観が大きくゆらぐ中で、そろばん侍が、借金を返し、家族を守り、時代を生き抜くという、等身大の武士の実像が見える大変すばらしい本の映画化(ドラマ化)です。
「貧乏と思えば暗くなりますが、工夫だと思えば面白い。」と言って、家財を手放し、借金を軽くして、利息の交渉をする猪山家の人々。


質素倹約に努め、時代を生き抜く家族が描かれています。
当たり前ですが、幕末の激変期には、坂本竜馬や西郷隆盛のような時代を変える偉人達はごく少数であり、今と同じく、普通の人々が大多数でした。
そんな普通の武士(今でいうところの地方公務員?)が普通に生活すると借金まみれになってしまうという時代、どのようにそれを克服したか、そして、次の時代へとつないだかが描かれています。
原作の「あとがき」で、猪山家の実際の家計簿を分析した著者はこう記しています。
「社会変動のある時代には、今いる組織の外に出ても、必要とされる技術や能力をもっているかが人の死活をわける。過去をなつかしみ、現状に不平をいい、そして将来を不安がった士族に未来は来ていない。一方、自分の現状を嘆くより、自分の現行を嘆き、社会に役立つ技術を身につけようとした士族には、未来が来た。恐れず、まっとうなことをすれば、よいのである・・・。」
没落していった武士と次代へ確実にバトンをつないだ武士との運命を分けたもの、それは、社会に役立つ技術を身に付けていたかどうかなのでした。
猪山家の人々は、身分制度の厳しい時代にも、新しい時代にも「そろばん」という技術を極め、出世していきました。
時代に求められる技術を身につける。
今も昔もかわらないのです。
映画も本も、経理の方には特にお勧めです。

所長 吉野 太

平成22年12月号

人が生きているといろいろなことが起きます。
起きたことに「色」はついていません。
何色にするかは、自分自身が決めることです。
喜びの色をつけるのか、
希望の色をつけるのか、
不平の色をつけるのか、
慢心の色をつけるのか。
すべて自分で決められるのです。
山下 泰裕

柔道の山下泰裕さんの著書『指導者の器 自分を育てる、人を育てる』の言葉です。
人生様々、人様々、いいこともあれば、悪いこともある。いい人生もあれば、そうでない人生もある。
しかし考えてみると、出来事を解釈し、意味づけるのは、自分自身。

今回の出来事は、
都合が良かった、悪かった。
ついていた、ついていなかった。
勉強になった、大損だ。
自分が反省します、あいつが悪いんだ。
チャレンジしてみよう、
うまいこと避けられないかな・・・。

同じ出来事でも、自分が考えた、解釈した通りの出来事になってしまいます。
だから、いい人生も、悪い人生も、自分で決めることなんですね。どんな出来事であっても、自分で色を決める。希望の色でも、不平の色でも、好きな色をつければいいんだということになります。



次の言葉も納得させられるものです。

人が一番よく聞くのは、誰の言葉でしょうか。
それは自分自身の言葉です。
ほかの人に言われた言葉より。
自分が心の中で言っている言葉を
一番たくさん聞いています。
口に発してなくても、
脳は自分の言葉を聞いているのです。
だから、
自分自身の言葉を良くしていくことが、
人生を良くすることにつながると思います。
山下 泰裕

幸運を呼ぶには、「自分はついている。」と思いこむことが大切だといいます。
いわゆるイメージトレーニングというのも、同じようなところがあります。成功する自分をイメージする。スタートからゴールまでのプロセスを細かいところまで映像化してみる。
失敗のイメージを払しょくし、ダメだ、しょうがない、できない・・・など否定的な言葉や連想を断ち切る。
人のせいにせず、自分がどうすれば良かったのかを考え、自分を勇気づけていく・・・。
自分がうっかりやってしまっている無意識的なマイナス思考(思考癖)を打ち消すにはトレーニングが必要だといいます。

「自分自身の言葉を良くしていくこと。」
自分自身に語りかける自分の言葉を良くしていきましょう。
所長 吉野 太

平成22年11月号

< 経営者塾 ~ 経営革新セミナー 実施しています! >

10月より事務所主催の「経営者塾 全7回」と金融機関との合同主催による「経営革新セミナー」を実施しております。
事務所の経営者塾は、毎月1回 テーマを絞り、一般的な知識のお勉強会ではなく、参加企業様の個別の決算書を使って、分析したり、戦略を立てていく形で実施しております。
1回目は、参加企業様のそれぞれの決算書の見方、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書のおさえるべき数字やそこから見えてくるものを手を動かしながら考える研修、2回目は、参加企業様のFX2(パソコン)を使って、月次試算表のどこを見るのか、グラフの見方、管理の仕方などPCを操作してもらいながら研修しました。また、優良企業の社長の手帳の使い方や会議の仕方など研究しました。
次回以降「社長の行動」「経営戦略の立て方」「経営計画書立案」など可能な限り、個別具体的に社長と一緒に考える時間をもった研修にしたいと思っております。全7回でのうち1回の参加でもOKです。
経営革新セミナーは、横浜銀行様、神奈川銀行様、中栄信金様のご協力により、今年は4回実施します。
10月25日 中栄信金
11月16日 横浜銀行
11月19日 神奈川銀行
11月22日 横浜銀行
内容は、経営者塾と全く違う内容ですので、どちらもご参加いただければ幸いです。

< どこを打つか! >
先日、剣道フォーラム2010がありました。全日本選手権の優勝経験者4名がパネラーとなり様々な意見が飛び交いました。神奈川県連会長がまとめとして、剣道で勝つには「どう打つかではなく、どこを打つか考えること、自分にしかできない技を編み出すことが大切」とおっしゃっておりました。
事業においても、どう打つか(何を、どのように提供するか)は大切ですが、どこを打つか(市場・キーマン・タイミング)は、より重要です。さらに、自分にしかできない技(オンリーワン商品・サービス)を磨くこと厳しい時代ですが、基本に立ち返り事業の足場をしっかり作ることが大切だと感じました。
所長 吉 野  太

平成22年10月号

いつも皆さまには大変お世話になっております。
平成22年10月1日、吉野事務所は開業して10年がたちました。10年間、素敵なお客様、素敵な仕事と出会い、よい職員にも恵まれ、一端の税理士事務所としてやってこれましたのも、皆さまのおかげとあらためて感謝する次第です。

それにしても時代の流れは急速です。10年一昔と言いますが、実感としては2~3年で一昔、最近は、半年で業況ががらりと変化しています。
10年前、DOS版だった会計ソフト、データ保存だってフロッピーを何十枚も使っていたものです。今ではiPad にラウドコンピューティング、電子申告・・・当時想像もしなかった進化を遂げています。これまでに何台パソコンを買い換えたことでしょう。
また、開業当初、市内・近隣のことだけで考えれば足りたことも、世界情勢を考慮しなければ、何も判断できなくなりました。グローバル化の波は半端ではありません。国際会計基準(IFRS)の動向や輸出輸入、アジアの政治・経済・税制、IT化など税理士も国際的な競争の中にいることをとても実感しています。
やればやるほどやりがいのある仕事、ですが上を見れば見るほどきりがなく、また深堀すればするほど底が無い税理士業務にこれからも邁進していきますので、どうぞよろしくお願いします。


< iPadで何が変わるか? >
話題のiPadを入手しました。はじめは設定もよくわからず、右往左往していたのですが、少しずつ慣れてくると、だんだん楽しくなってきました。
iPadを使って、社長が経営に役立てるという見地から考えてみます。

  1. 経営者のビジネス手帳として活用・・・カレンダー メモ handwriteなど
  2. 業績管理として活用・・・iBooks  Dropboxなど
  3. 情報収集として活用・・・インターネット メールなど
  4. 営業ツールとして活用・・・いろいろ
  5. PCの遠隔操作として活用・・・TeamViewerなど

FX2の帳票や会議議事録、経営計画書なども、PDF印刷してDropboxに入れるなど工夫次第で社長のための手帳として活用できる可能性が十分あります。
みなさんもチャレンジしてみませんか?

所長  吉 野  太

平成22年9月号

「毎日、反省を繰り返す」
ワタミの渡邉美樹会長が居酒屋を開業した当初、決して業績のよいお店ではなかったそうですが、毎日、閉店後に伝票を1枚1枚見て、来店したお客様のことを思い出し、満足された方には○、少しでも不満があったような方は×をつけて反省することを日課としていたそうです。そして「どこをどう改善すれば×のお客様が○になるのか」「何をすればお客様のためになるのか」を考え、その具体的な方策をノートに書き、実行して、その結果、数か月で売上を2倍にしたといいます。渡邉会長いわく「反省することは夢を実現させるために不可欠の習慣。」ということです。
帳簿をつけたり、決算書をじっくり眺めたりというのも、同じです。
京セラの稲盛会長は、若い時から、出張で世界各国を飛び回りながらも、カバンにはいつも、最新の部門別試算表をいれ、飛行機の中やホテルなど暇があれば眺めながら「ああしなきゃならん、こうしなきゃならん・・・」と打ち手を考え経営していたそうです。
ひとつひとつの出来事を反省しながら、ひとつひとつ打ち手を考え実践していく、経営の神様たちのこのやり方を取り入れて、私たちも、日々の活動を反省しながら、必死になって打ち手を考えていこうじゃありませんか。
『ダム式経営』を実践する
松下幸之助さんの「ダム式経営」という言葉をご存知ですか?ダムに水をため、水門をコントロールして、水を活用するように、企業の資金や人材などの経営資源を日ごろから蓄え、ここぞというときにそれを使うという教えです。
資金で考えると、自己資金の源流「売上」から「仕入原価」に流れた分を差し引いた残りが「儲け」。「儲け」から「人件費や諸経費」がさらに流れて「利益」が残ります。「利益」には、国の取り分、法人税がかかりますので、それを引いて残った利益をB/Sの純資産に貯めていくというのがダム式経営です。
売上100 ⇒ 原価50
⇒ 儲け50 ⇒ 人件費や諸経費30
⇒ 利益20 ⇒ 法人税等6
⇒ 手取り14 ⇒ダムに貯める(自分の金)
では、どれくらいダムにためれば安心でしょうか?「BS経営のススメ」木村勝男著では、「社員一人当たり1千万円の自己資本の貯め込みが、まず目標」と書かれております。
この数字は「どれくらいあったらひとまず安心できますか?」という一般的な質問に、多くの人から「とりあえず1千万円あればなんとか・・・」と返ってきたから決めたという、ひとつの目安のようなものですが、社員10人の会社なら1億円の内部留保ですよ!(結構な金額でしょ)
毎年2千万円の経常利益を9年続けないと実現しない金額です。最低限の利益を確保することさえ、とても難しいのがわかりますね。絶対安心の経営を実践するには、覚悟を決めて、経営者が本気で取り組む必要があるのです。
所長  吉 野  太

平成22年8月号

< 会社の設計図をもっていますか? 伝えていますか? >

上場企業の業績が振興国効果やコスト削減もあって上昇しております。4月~6月の経常利益は危機前の9割まで戻ってきました。一方中小企業はというと、回復基調にある企業とどんどん悪くなる企業にわかれています。中小企業金融円滑化法(いわゆるモラトリアム法)によるリスケも48万件の申し込みがあり、すでに37万件実行されています。日本の企業者数420万(法人250万社)のうち約40万社がリスケ申請しているということになりますから、かなりヤバイです。さらに各銀行のアンケートによると、このリスケ企業の8割が破綻すると予想しているそうです。
「・・・えっ、冗談じゃない、破綻先なんぞになってたまるか!」ですよね。
しかしITが普及し、アジアが重要な取引先となったグローバル経済では、優良企業と赤字企業の差がさらに拡大するでしょう。「一番じゃなきゃダメな時代」「何で一番になるか」「何を武器にして世界で勝負するか」国内・地域で商売する会社でも考えなければなりません。観光地の売上の3割が中国人観光の収入、世界はこちらから出向かなくても、あちらからやってきています。
外に対する戦略(マーケティング)と内に対する戦略(マネジメント)。みなさんは、これらの項目から枝を伸ばして自社の設計図を作成してみてください。3本、5本とアメーバのように、マインドマップのように広げてみたとき、わが社の全体像が見えてきます。自分が見えていなかったものが見えてきます。そしてともかく儲けの出る商売体質にしてください。まずはその設計図をつくる、これが第1関門。
そして次に借金体質からの脱却。自己資本の充実した会社への転換を目指しましょう!しかしこれはやっかいですよ。自己資本の充実した会社へ転換させるにはどうしても税金を約4割払わねばならないからです。松下幸之助さんが「金は天下の回りもの。税金はなんぼでももっていってください。」といった言葉の裏には本当の成功の秘訣が隠されているのです。これが第2関門・・・ほとんどの中小企業者は挫折します。
所長 吉野 太

平成22年7月号

< 国を運営する費用は誰が負担すべきか? >
今回の選挙戦は、消費税を中心とした税制と破産寸前の国家財政、低迷する経済、増大する社会保障の負担と質的向上、沖縄基地を中心とした防衛問題など、緊迫した課題が満載でした。中国の政策転換、IT化もあって急激に経済がグローバル化しましたので、これらの政治課題は、今までのような国内問題、あるいは日米問題として考える時代ではなくなりました。これからは中国を中心としたアジアの中の日本という視点での国家戦略が、政治・経済・防衛・教育などすべての面で重要になります。今私たちは、極端な言い方をすると、日本が今後もアジアの中でリーダー的な存在でいられるのか、それとも、数十年後に、日本は中国のひとつの自治区的な存在にまでなってしまうのかというほどの、決定的な歴史的分岐点にいるように感じられます。
日本の借金は、地方の借金と合わせると862兆円(4人家族で2,703万円の借金!)これは、GDPの197.2%であり、先進国ではトップの借金国です。イタリアが127.0%、例のギリシャで123.3%といいますから、その借金の多さが半端でないとわかります。このまま国債依存の財政を続けると5~6年で日本は破綻するとさえいわれています。
以前紹介した福沢諭吉は「学問のすすめ」の中で、「一身独立して一国独立する。」書いています。
当時、西洋列強の植民地政策に対抗した中で開国したばかりの日本をなんとか一人前の国家にしていこう、という気概の中で発せられた言葉です。
今の時代背景で読み直すと、また新鮮な響きがかんじられると思います。「この困難な時代に、国の運営費は誰がどのように負担すべきなのか?」
日本の主人公である私たちが、この国をどのように運営し、そのための費用をどのように確保すべきかを考えること、今私たちに課せられた課題ですが、しかし明治維新の開国の時代から、このことは私たち個人と国家の独立の基本でもあったのです。

~ 少し日本の財政データを紹介します ~
<国民負担率>
       負担率/社会保障負担率/租税負担率
日本     39.5%/ うち15.0% /うち24.6%
アメリカ   34.9%/ うち8.5%  /うち26.4%
イギリス   48.3%/ うち10.6% /うち37.8%
ドイツ    52.4%/ うち21.9% /うち30.4%
フランス   61.2%/ うち24.2% /うち37.0%
スウェーデン 64.8%/ うち17.1% /うち47.7%
日本の税負担は、決して高くありませんが、社会保障負担は、急激に伸びています。
<日本の所得税>
所得税負担/ 納税者
(全 体)  12.0兆円/4672万人
給与~785万円   2.6兆円/3785万人
       (21.8%)/(81.0%)
給与~1430万円  4.6兆円/ 790万人
       (38.0%)/(16.9%)
給与1430万円~  4.8兆円/ 97万人
       (40.2%)/(2.1%)
所得税12兆円のうち4割が2.1%の高額所得者により賄われていることがわかります。
<法人税率国際比較>
日本40.69% アメリカ40.75% フランス33.3% イギリス28.0% 中国25.0% 韓国24.2%
シンガポール 17.00%
<消費税率国際比較>
日本5% デンマーク25% フランス19.6%
イギリス17.5% 中国17% 韓国10%
(カナダ・台湾5%)
税制の大幅な変更が数年のうちに必ずおきます。(もしくはギリシャのような財政破綻の状態?)
中小企業者として、生活者として、どのような対策を打っておくのか、国民としてどのような社会を指示するのか、「和の国=日本」で、どんな「和」を描きますか?
所長 吉野 太

平成22年6月110号

< 公益法人と税金 >

よく公益法人だから税金がかからない、とか宗教法人は無税、などと言われます。公益的な事業については実際、法人税はかかりません。しかし、公益法人や宗教法人であっても、収益事業と判断された場合には法人税がかかります。
先日、世界遺産の日光東照宮を含む3つの社寺で5億円の申告漏れが関東信越国税局の税務調査で指摘されました。収益事業とみなされたのは、駐車場の収入と境内で販売していた数珠や線香などの販売収益だそうです。
駐車場収入は、いわゆる不動産貸付業に該当します。
また、数珠や線香は、一般の土産物屋でも販売しているものということで、物品販売業の扱いで課税になったようです。
通常、宗教法人のお守、お札、おみくじ等、通常の物品販売とは違い実質的に喜捨金と認められる場合は、物品販売業とはなりません。
一方、一般の業者でも扱える、絵葉書、写真帳、暦、線香、ろうそく、供花などを概ね同様の金額で販売している場合は、物品販売業として課税対象になります。
実務的には、公益法人などが行う事業が収益事業なのか、そうでないのかの判断は、とても難しいものです。
特に消費税は、基準期間の課税売上高が1千万円に下がってから、多くの団体が対象になっております。公益団体には補助金収入など公的な収入がある関係上、とても複雑な計算になっており、専門家でもすぐには返答できない内容になっています。
事業仕訳を見てもわかりますが、国の財政が厳しいので、少しずつ公益的な団体に課税する傾向が強まっていると実感しています。

< これからの「正義」の話をしよう >

ハーバード大学史上最多の履修者を誇る名講義、マイケル・サンデル教授の「JUSTICE」の授業が、NHK教育番組で日曜日午後6時にやっています。「ハーバード白熱教室」全12回(6月20日で終了)さすがは人気の講義で、「正義とは何か」という難しい問題がとても面白く展開されていきます。
これと同じ内容の本も出版されています。
「これからの「正義」の話をしよう」早川書房 これがまた結構売れているみたいです。
「一人殺せば五人助かる状況があったとしたら、あなたはその一人を殺すべきか?」「金持ちに高い税金を課し、貧しい人々に再分配するのは公正か?」「前の世代が犯した過ちについて、私たちは償いの義務はあるか?」など「正義」とは何か?という固いテーマを、身近な題材を扱って「最大多数の幸福」「個人の自由」「道徳的美徳」という正義に対する3つの見地・主義から論じています。

1.最も多数の人々が幸せになるのが正義。
2.個人の自由が最も尊重されるのが正義
3.道徳的見地から適切なのが正義

どの判断も極端に走ると危険なものになってしまいますが、何か判断に迷うとき、わからなくなったとき、私たちは、自分自身の立ち位置を確かめ、そして、自分の行動・判断の基準になる原点・原則を確かめる必要があります。結局何が正しいか?何が正義か?何が重要なのか?
あらためて立ち止り考えることで何か見えてくるものもあるように思います。

所長 吉野 太