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黒字化へのロードマップ

経営支援策 1:優勝劣敗の時代、生き残るには経営体質の改善を

「経営体質の改善が決め手」(1)

因果応報

1.勝ち組と負け組
多種多様な業種の企業が『生き残り』を懸け、優勝劣敗の時代を乗り越えるため必死に模索しています。いまだ再生の道は見えず、金融機関・生命保険会社・証券会社・大手ゼネコン、昨今では東京都をはじめとする地方公共団体も実質的な破産状態であると報道され、この現象は戦後日本経済が経験したことのない大不況時代の到来とまで言われています。また、これから5年から10年の間に生き残れる確率、つまり企業生存率はすべての業種において50%~70%しかないとも言われています。事実、総務庁統計局の公表した平成12年の事業所の廃業数は106万社、3年間で全事業者の16.3%が負け組となり倒産・廃業しています。平均すると1年間に5%以上廃業し、10年後は50%の企業が廃業する計算になります。鹿児島県においてもその類にもれず、15.3%の事業所が淘汰されました。自社だけは生き残るという保証はどこにあるでしょうか。

2.中小企業の経営体質の特長
中小企業の経営体質は(1)経営理念・ビジョン等を明確にした経営計画書の整備がなく、放漫経営である。(2)会計システムの整備がない。(3)経理担当者任せで、経理の改善ができていない。(4)社長が会計数値に興味をもたず、ドンブリ勘定となっている。(5)申告時期になって決算内容が解り、会計情報が経営判断に生かされていない。(6)会計数値に信頼性がなく、決算書の社会的信用価値が低い。(7)予算と実績の対比に基づく業績管理体制ができていない。(8)内部統制制度がないため、全ての判断は社長のみとなっている。このような旧態依然とした経営体質、勘と度胸と経験だけで、これからを到底乗り越えられるとは思えません。「存続し得ない」のは自明の如くです。中小企業といえども、優勝劣敗の時代に生き残るためには、自社の経営体質を詳細に分析し、経営管理体制(経営計画の立案、業績管理等)を構築することが絶対条件です。不退転の意思をもって早急に改善・改革・革新に取り組まなければなりません。

3.因果応報
生み出された結果(現在)は、すべて数年前に自分が取った決意と行動に原因(過去)があり、倒産廃業した企業も過去にその原因があったといえます。良い結果を(将来)に生み出そうとするなら、将来を案ずるなら、原因である(現在)が非常に重要ということです。結局、私たちは「いま」でしか生きることができないのです。勝ち組に残るため、「いま」決心し経営体質の改善を積極的に推進することが経営者の責務です。次回は当事務所の中小企業支援策「成功の鍵(Key Factor of Success)作戦21」をご紹介します。

経営支援策 2:成功の鍵作戦(K・F・S)の3分野 一丸体制へ経営計画

「経営体質の改善が決め手」(2)

「成功の鍵(Key Factor of Success)作戦21」(その1)

1.68.3%と72.4%
ここに68.3%と72.4%というふたつの数字があります。この数字おわかりでしょうか。68.3%は、国税庁が発表しました平成13年度の赤字法人の割合です。254万社のうち174万社が赤字です。一方、72.4%という数字は当事務所で関与させていただいています関与先の黒字法人の割合です。逆転現象が起きています。

2.「成功の鍵(Key Factor of Success)作戦21」の効果
平成11年から関与先に支援してきました経営体質改善策の柱「成功の鍵(Key Factor of Success)作戦21」の効果の現れだとスタッフと喜びを噛みしめています。思うように進まず、何回も挫折感を味わうこともありました。しかし、「一心岩をも通す」の気概で取り組んで頂き一点の光明が見え、黒字化することができました。

3.「成功の鍵(Key Factor of Success)作戦21」とは・・・
「成功の鍵(Key Factor of Success)作戦21」とは、TKCの総力を結集し「K」「F」「S」の3分野において、中小企業の経営基盤の強化と発展を支援し、他の企業との差別化をより顕著に進め、優勝劣敗時代に勝ち組になることを目指すことを目的としています。

4.Kとは・・・[TKC継続MAS支援システム]
経営計画のKです。社長の夢とビジョンを達成するための経営計画立案の支援策です。目標・ビジョンを定めると意識が変わり、意識が変わると行動が変わります。社長が「業績を伸ばそう、接客応対を良くしよう」と思っても、社員は思うように動いてくれますか?なかなかそうはうまくいかないのが現実ではないでしょうか。ふた昔前の“俺についてこい”式のやり方は景気の良い時代では比較的容易なものでした。不況時ではこのやり方は通用しません。不況時の社員の心は不安でいっぱいです。疑心暗鬼、他人が、会社が信用できない。信用できるのは自分で納得できることだけだと思っています。社長が「良くしたい」と思うだけでなく、より具体的に会社の目標・計画を経営計画書で示してあげれば、社員は自分で納得ができ、会社に魅力を感じ自分の利点を犠牲にしても目標達成のために働こうとする気になるでしょう。社員は不安な時ほど、明確な目標と計画を望んでいます。全社一丸となりたいと思っています。会社、社長の目標・ビジョンを明確にし経営計画書を策定、発表することが重要です。そうすれば「全社一丸」体制は自ずと構築されます。次回は「成功の鍵(Key Factor of Success)作戦21」の「F」「S]について説明します。

経営支援策 3:繁栄のための戦略情報会計 経営にフル活用される仕組みに

「経営体質の改善が決め手」(3)

「成功の鍵(Key Factor of Success)作戦21」(その2)

前回に引き続いて当事務所の中小企業支援策「成功の鍵(Key Factor of Success)作戦21」の「F」について説明します。

1.Fとは・・・[TKC戦略財務情報システムFX2]
経理を経営にフル活用するのFです。「経理って何ですか」という問いに改めて聞かれたときどう答えますか。ある人は「改めて聞かれても、商取引を会計帳簿に整理すること」またある人は「税務申告の時に必要だから」などと、大半の人が制度会計(税務申告など)のみの位置づけとしか捉えてないようです。果たしてそうなのでしょうか。会計は制度会計のみならず、管理会計の側面も持ち合わせています。管理会計とは経営者の意志決定に役立つ戦略情報会計です。経理とは「経」と「理」で、経営の実態を表すものであり、経営者の「経」営判断が「理」にかなっているのかチェックするためにあるのです。もし、経理・会計システムが整備されていなければ、経営判断の何が良く何が悪かったのかに気づかず、最終的には倒産という状況にもなりかねません。倒産した会社の共通する原因は「ずさんな経理、ドンブリ勘定と放漫経営」ということをよく聞きます。経営者自身が会計に興味を持ち、会計システムを会社の現場に整備し、会社経営の計器盤にしなければなりません。金融機関の融資担当者が嘆いていました。「決算書の説明を求めても答えられない経営者には融資したくない。経理担当者、会計事務所任せでは無責任」と。決算書を見て伸び悩む売上のうめき声や、やせた自己資本が泣いている声を聞き取れる経営者にならなければならない。このように経理・会計の本来の意味は、誰のためでなく自分の会社の繁栄のためにその存在理由があると言えるでしょう。

その意味において会計事務所に対する要望も変わってくるでしょう。旧態依然としたやりかた、本来会社側が行うべき会計データの起票事務を会計事務所に依存(会計事務所丸抱え方式)していてはリアルタイムな経営情報は得られず、スピーディーな意志決定な不可能でしょう。会計事務所は会計システムの整備、経営者の意志決定に役立つ会計情報の設計、業績管理体制の構築を支援しなければなりません。会社側は会計事務所と分業型ネットワークを構築し、会計事務所の支援の下、会計システムを会社の現場に整備し、経営計画「K」の計画データと実績対比をリアルタイムに把握できる仕組み、意志決定に役立つ情報会計、業績管理体制の構築をすることが必要です。経理が経営にフル活用される仕組みができあがることによって今後の打ち手が見えてきます。次回は中小企業支援策「S」をご紹介します。

経営支援策 4:決算書の品質保証書 税理士法による書面添付制度

「経営体質の改善が決め手」(4)

「成功の鍵(Key Factor of Success)作戦21」(その3)

今回は当事務所の中小企業支援策「成功の鍵(Key Factor of Success)作戦21」の3番目の支援策「S」について説明します。

1.Sとは・・・  [税理士法第33条の2第1項に規定する書面添付]
決算書の信頼性のSです。どんな商売でも信用取引経済、お互いを信頼・信用して取引をしています。信用が無かったら取引は成り立ちません。昨今、雪印、鹿児島チキンフーズ等の食品表示偽造事件、三菱自動車のリコール隠し事件、東京電力の報告義務違反など企業倫理の欠如、企業不信が数え切れないほど問題になっています。「食物、商品、製品そして施工はどの会社がやったの、その会社はどんな会社なの、その会社の財務内容は」と企業に対して情報公開を求めるようになり、今日ほど企業の倫理観が問われている時代はないでしょう。自社には関係なく大企業の問題だと対岸の火事として傍観していては中小企業とて生き残れないでしょう。50年ぶりに昨年大改正された商法においても、コンプライアンス(法令遵守)、コーポレートガバナンス(企業統治)に重点を置き、財務諸表の公開もインターネット上でできるものとされました。

情報公開の時代に公開し得るだけの真正な企業内容・財務内容になっていなければ、数年後、市場からレッドカードをもらい退場しなければならないでしょう。決算書を見れば経営者の質、考え、経営体質がどうなのかわかります。公私混同の体質、粉飾決算はもう企業存続において命取りです。会社の決算書の信頼性を確保できていますか。決算書の信頼性の確保として、税理士法第33条の2第1項に基づく書面添付制度というものがあります。この制度は法律で定められているもので、企業が税務申告を税務署に提出する際に、税理士が税務申告書、会計処理、経営者の財務に対する姿勢、経営・財務体質が真正なものであることを確認した書面を添付証明するものです。つまり、税理士が発行する品質保証書といえます。国税庁も同制度を事務運営指針で推進することを発表し、申告書の一表に書面添付の有無を記載する箇所も設け、書面添付の有無を申告書で区別しています。また、東京三菱銀行をはじめとする金融機関では、書面添付を実践している企業に対し貸出金利を優遇する商品を発売しています。本物しか生き残れないと言われる時代に、中小企業の経営者は税理士法第33条の2第1項による書面添付制度の存在を見逃してはなりません。書面添付を実践することにより、税務署・金融機関・取引先などから信頼と崇高な尊敬を受け、自社の企業価値はより高まっていきます。以上3回の紙面を使い当事務所の中小企業支援策「成功の鍵(Key Factor of Success)作戦21」をご紹介致しました。次回は経営管理体制の必要性について考えてみましょう。

経営支援策 5:経営管理体制の構築 まずは社長のビジョンを

「経営体質の改善が決め手」(5)

経営管理体制の必要性

企業を構成する3大要素として、「ヒト」「モノ」「カネ」が必要といわれます。最近では、そのことに加えて、IT情報化社会への移行、法改正、社会情勢・仕組みの変化に対応すためには「情報(力)」も欠かせない要素となっています。大企業であろうと中小企業であろうと、またどういう業種であろうとその仕組み・原理は共通するものです。企業は株主、金融機関等から調達した資金・元手(カネ)によって、設備・商品(モノ)を購入するとともに社員(ヒト)を雇い入れ、その労働力によって研究開発・製造・販売・サービスを営む。その結果限界利益が得られ、この一部を企業の維持費として、役員・給料として、また株主等への分配として各々分配する仕組みを持っています。この一連の営み・仕組みを毎年、毎期繰り返し黒字であったり赤字であったりしながら一生を送っていきます。これまでの右肩上がり成長の中では戦略・戦術を持っていなくても、「汗さえかけば」、「時間さえ費やせば」「モノ」は売れ、「ヒト」「カネ」「情報(力)」に少々問題が起きても、売上の伸び、量の拡大がその問題点を解決してくれたように思えます。個々の問題を直視せず、また具体的な改善策を講じることもなく、「結果オーライ」という姿勢が非常に強かったように思えます。現在のようにデフレ時代、ゼロ成長時代といわれる経営環境の状況下では、これまでの売上拡大では問題の解決策とはならなくなってきています。無理して赤字覚悟で仕事を取ってきて、売上だけを伸ばし、結果として自分の首を締めてしまう。

経営全般、様々な所に「無理」「無駄」はないかどうか、企業の経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報(力)」の流れが、どこがどの様な理由で滞っているのか、相互に関連しながら機能しているのかどうかについて 、経営者は継続的にチェックしなければなりません。そのチェック、羅針盤になるのが経営管理です。経営管理体制の構築こそ、経営者が早急に取り組むべき課題です。しかしながら、中小企業のほとんどは、これらを経営者とともに推進する社外ブレーンを持っておらず、何から手をつけていけばよいのか解らず、改善が進んでいないのが現状のようです。昨年、ある金融機関から紹介を受けた企業に、経営管理体制の重要性をご理解いただき支援しました。どこに問題があるのかを調査し、経理体制の見直し(経理とは経営管理を略したものといわれています)を手始めに、社長のビジョンを明確にする経営計画・行動計画の立案、業績管理体制を支援し、赤字企業を黒字企業に転化することができました。改めて経営管理体制の重要性を肌で感ずることがありました。次回は自社の経営管理体制がどの程度構築できているのか自己点検をしてみましょう。

経営支援策 6:経営管理体制 守りを鉄壁に

「経営体質の改善が決めて」(6)

経営管理体制の自己診断

前回で経営管理体制の必要性をご理解いただけたと思います。孫子の兵法に「先ず勝つべからざるを為す」とあります。戦いは「まず負けないための態勢を整える」「守りを鉄壁にする」ことが重要であるという意味です。今回は自社の経営管理体制、「守り」がどの程度整備できているのか下記の質問に従って自己診断してみてください。

分 類・質問項目
経営者
1.経営理念(社是・社訓)ありますか。
2.その経営理念は社員に浸透していますか
3.社長は社外ブレーンを持っていますか
4.社長は公私の区分を明確にしていますか
5.社長のビジョンを社員に伝えていますか
人事管理
1.組織図が作成されていますか
2.職務内容、権限、委譲は明確になっていますか。
3.社員の採用に計画性を持っていますか
4.給与規程等の諸規定が的確に整備、運用されていますか
5.社員に対して公正な能力評価制度を持っていますか
業務管理
1.業務(営業)日報はありますか
2.社員の年次・月次目標は明確になっていますか
3.現場ごとに実行予算を作成し、管理できていますか
4.電話応対・接客についてマニュアルはありますか
5.報告・連絡・相談・後始末は徹底されていますか
6.クレームの再発防止策が確立されていますか

業務管理
1.業務(営業)日報はありますか
2.社員の年次・月次目標は明確になっていますか
3.現場ごとに実行予算を作成し、管理できていますか
4.電話応対・接客についてマニュアルはありますか
5.報告・連絡・相談・後始末は徹底されていますか
6.クレームの再発防止策が確立されていますか
会計管理
1.会計処理について基準書はありますか
2.月次決算が行われていますか
3.社長がすぐ現時点の財務データを確認できますか
4.月次・年次の資金繰り表は作成されていますか
5.経営計画書は作成されていますか
6.計画と実績の検討を行っていますか
7.決算検討会・戦略的決算対策は行っていますか
監  査
1.会計事務所による月次監査を受けていますか
2.税理士法第33条の2書面添付を実践していますか

貴社の「臨戦態勢」(経営管理体制)はどの程度できあがっていましたか。「いいえ」の答えが多い企業は早急に経営体質の改善が必要です。

経営支援策 7:正しい会計帳簿・申告 企業価値を高め、会社を守る

「経営体質の改善が決めて」(7)

「正しい会計帳簿・申告が企業を守る」

今回は経営管理体制「会計管理」編、会計帳簿の記帳の重要性について考えてみましょう。

1.時代の変革は待ってはくれない
今や日本では、企業の経営革新が叫ばれる一方で、会計の透明性と法令・規範の遵守が強く求められる社会へと移行しつつあります。社長の顔である財務内容の公開(インターネットによる財務諸表の公開等)は、もはや時代の流れであり避けては通れません。こうした状況下で、いまだに「記帳が遅れがち」「忙しい」「会計に興味を持たない」では、時代の変革に取り残されて経営を維持することさえも困難となっていくと思われます。毎日帳簿をつけることは確かに大変です。しかし、時代の変革は待ってはくれません。まずは、会計の基本である日々記帳を誠実に行い、会計事務所による巡回監査を受け「より社会的信用価値の高い会計帳簿」を構築することが必要です。

2.会計帳簿は証拠能力を有する
正規の簿記の諸原則に基づいて記帳された会計帳簿には法律的な証拠能力(証拠価値)が有り(刑事訴訟法323条)、それがいざというときに事業者や会社を守ります。法人税法第130条、所得税法第155条「青色申告書に係る更正」に、「課税庁は記帳の誤りにつき明白な証拠を示さない限り、国はその申告所得金額をそのまま是認しなければならない」と規定しており、会計帳簿の証拠性、証拠価値を認めています。 つまり、『正規の簿記の諸原則に従った日々の帳簿付け』のみが、証拠能力(証拠価値)を持ち、課税庁から自社を守ってくれるのです。 正規の簿記の諸原則に従った会計処理ができるように、会計事務所から指導を受けることが必要です。

3.会計データは経営の計器盤

経理とは「経営と道理」、経営の実態を表すものであり、経営判断が理にかなっていたかチェックするものです。会計システムが整備されていなければ、経営判断を誤り、最終的には倒産という悲劇を迎えてしまう恐れもあります。正しい記帳に基づく月次決算を行うことによって、会計データ=経営の計器盤が整備され、計数管理のできる企業体質が作り上げられるのです。

結局、正規の簿記の諸原則に基づいて日々誠実な記帳を行い、正しい申告をすることが、企業価値を高め、経営管理体制が構築され、会社・経営者・社員を守ってくれるのです。

正規の簿記の諸原則
1.記帳は秩序正しくなされていること。
2.すべての取引が、完全・明瞭にかつ正確に記帳されていること。
3.日付順にかつ適時に記帳されること。
4.会計帳簿は、元の記入がわからなくなるような訂正をしてはならないこと。
5.記帳の証拠を整然と保管すること。

経営支援策 8:勝ち組への経営計画書 来期の”あるべき姿”を鮮明に

「経営体質の改善が決め手」(8)

経営計画書の策定(その1)

経営管理体制の自己診断で「経営計画書は作成されていますか」という問いに何人の経営者の方が「はい」とお答えしたでしょうか。当事務所では、平成11年から関与先の全社に経営計画書策定と経営計画発表会の開催を支援してきました。何故、経営計画書が必要なのか次の2つに絞ってお話しをしたいと思います。

1.「努力の方向性」と「力の懸け方」を鮮明にする
前回もお話ししましたが、右肩上がりの成長の時代では「汗さえかけば」「時間さえ費やせば」「努力さえすれば」と努力神話がどの企業にも通用していました。しかし、現在のようにデフレ時代、ゼロ成長時代では、いくら努力をしても、その「努力の方向性」と「力の懸け方」を誤っていたら良い結果は望めません。経営計画とは、この「努力の方向性」=「ビジョン」と「力の懸け方」=「戦略・戦術」を考え、儲かる仕組みや黒字にする仕組み、そしてその達成方法をシミュレーションし計画立案することです。これによって、来期の「あるべき姿」を可能なかぎり鮮明にし、「どこに無駄・無理があるのか」「経営戦略の中でどれを今積極的に取り組んでいくのか」「どれを今のところ削減するのか」を決定していくのです。こういうことが明確でないと、成り行き任せの経営に陥り、在庫を含めた無駄な経費の縮小もできず、赤字覚悟で受注したりと、結果的に自社の首を絞めてしまうことになり、終いには倒産ということになりかねません。

2.勇気とやる気が喚起する

5年ほど前、関与先の経営者に「経営計画書をつくりましょう」とお話をしたことがありました。その経営者の方は「先生、うちは第2次下請けですよ。先のことは分かりません」と返事が返ってきました。「そう、下請けだから稼げる売上は分からないでしょう」「しかし、1年間で稼がなければならない売上・利益、そしてかかる経費は分かりますよ」と。つまり、経営計画は企業が生き残るため、そして勝ち組になるために、売上・利益はどれだけ必要なのか、経費はどれだけかかるのかを計画するものなのです。今、この社長は、「経営計画は、私に多くの気づきと感動を与えてくました」「判断に迷うことなく、打つべき手だてが見えてきました」「私は勇気とやる気が沸いてきた。決意したことは何が何でもやり遂げるという気持ちです」「私は決して負け組にならない。社員にこの気持ちを伝え全社一丸体制を作っていきます」「経営計画って魔法ですね。先生ありがとう」と。私はこの経営者から学びました。人間は、そもそも自分で「気づき」、「感動」し「決心」したことに対しては、是が非でもやり遂げるという意識を持ちあわせているんだ。そして、経営計画書は企業が「勝ち組」になるために無くてならない道具なんだと確信しました。

経営支援策 9:社長の強い意志表明で 全社一丸で目標達成

「経営体質の改善が決め手」(9)

経営計画書の策定(その2)

前回は、経営計画の必要性についてお話しましたが、今回は、当事務所の経営計画書策定支援についてご紹介します。

1.経営計画は「絵に描いた餅」?
「経営計画を作っても実際計画どおりに行かないよ」とか「経営計画を作成しても絵に描いた餅だ」と平然と言われる経営者の方がいらっしゃいます。この考えは、戦場に向かう前に、すでに戦うことを放棄していることと同じです。「勝つこと」は、敵の出方に左右され、なかなか自分の思うままにいかないが、「守ること」は、自分自身でやることなので、努力次第で鉄壁な守りを作ることはできます。まずは不敗のための体勢を整えることが重要なのです。この不敗の体勢を整えていく過程が経営計画策定なのです。我が社が「勝ち組」になるためには、いくらの経常利益が必要なのか、それを成し遂げるためには何を、どこに、いくらで売ればいいのか、経費の無駄はどこにあるのか、人員配置はどうするのか、資金はどう調達し、どう運用するのか、経営計画の作成過程で方針(守り)を決定していくのです。作成も大事ですが、作成する過程(プロセス)が極めて重要なのです。当事務所では「経営者への5つの質問」①「次期の目標経常利益はいくらにしますか?」②「次期の売上高の伸びは前年比でどう見てますか?」③「次期の限界利益率(粗利益率)をどれだけ確保できますか?」④「次期の従業員給与賞与を前年比でどうみていますか?」⑤「次期の期末の人数(役員を含む)は何人ですか?」の質問を通して、自社の改善点に気づいていただき、経営者と一体になって利益計画、資金繰り計画、設備投資計画、部門別利益計画の策定支援を行っています。そして、この計数目標を達成するために、重点課題を抽出し、具体的な行動計画、基本方針を決定していきます。本業の知識は、豊富に持っていても、なかなか財務分析・計数分析の知識が乏しいと思ってらっしゃる経営者の方でも、たった「5つ質問」だけで、経営計画書が容易に作成できます。

2.経営計画書に「命を吹きかける」
経営計画書は、経営者が経営理念・経営基本方針そして将来の夢を決意し、それを実現するために、現在の経営課題・改善点を認識し、具体的な行動計画を立てるものです。この経営計画書に、経営者は「自らの命」を吹きかけ、社員に対して決意表明するのです。「我が社は勝ち組として生き抜く」と。これによって、「うちの会社はどうなるのか」と不安感でいっぱいだった社員は、社長の決意表明に感動し、不安感が消え、魅力を感じ、全社一丸となって目標を達成しようと決意します。社員一人一人も、経営者と同じで「負け組」にはなりたくないと思っています。社員は、社長の決意表明を待っています。当事務所で経営計画発表会を支援させていただいた関与先の社員は、その意識、行動がみるみる変わってきています。私は、「目標がはっきり見え、意識が変わり、行動が始まった。」と確信しました。

経営支援策 10:社風が業績に影響 全社員が理解し、改善へ

「経営体質の改善が決め手」(10)

「社内活性化策“我が社の社風を見直す”」

前回は、経営者が経営理念を発表し、経営基本方針を定め、目標を掲げることが重要であることをご説明しました。今回は、社内活性化策「社風(企業風土)診断」についてご紹介します。

1.企業にも体格、体力、体質そして体臭がある
企業は、人間の成長と同じく一生の活動を通じて「体格」(=売上高、従業員数等)ができ、「体力」(=販売力、資金力等)をつけ、その体格と体力のバランスにより「体質」(=経営体質、特性等)が作り出されます。そして、体格・体力・体質のほかに、もうひとつあるのが「体臭」です。体臭とは、経営者、社員一人ひとりが醸し出す目には見えない肌で感じるその会社の雰囲気です。みなさんも体験されたことがあるのではないでしょうか。事業所を訪問したときに感ずる言葉に表し難いその事業所の独特のあの雰囲気、あの臭い。これを社風(企業風土)といいます。経営者の気持ちの暗い所は、社員も暗く、会社全体がどんよりと曇った感じがする。経営者が、前向きでポジティブ思考のところは明るく・楽しい感じがする。このように経営者の性格・思考スタイル等が色濃く反映され、様々な形で社員の態度や行動、発言に大きな影響を与えます。社風(企業風土)は、企業の経営体質を構成する大きな要素となっているため、改善していかなければなりません。

2.社風は業績に影響する
「あなたの会社の社風はどうでしょうか。」会社の中にいると社風が良いのか、悪いのか案外と気づかないものです。社風が悪い会社は、例えば「挨拶ができていない」「電話応対が悪い」「約束が守れない」といったことが日常的に行われているため、得意先から信頼がなくなり、取引停止などを受け、売上の低下という危険性を持っています。会社内で守れていないことは、社外、取引先との間でも起きるものです。一般的に社風の良い会社は業績が良く、社風の良くない会社は、業績が悪いという傾向にあります。社風の悪さが業績に悪影響を及ぼしていることを全社員が理解しなければなりません。

3.社風(企業風土)の改善支援
当事務所では、経営計画発表会開催の際、企業風土診断を行っています。社員個人の「意識」「行動」「人間関係」について質問・調査し、企業風土の良し悪しを100点満点で評価・測定します。自分の会社のありのままを認識してもらい、「改善すべきことはないだろうか」「これからどのように目標をたてて行動していけば良いだろうか」をその測定値・評点に基づきお互い社員同士が討論し、全社挙げて社風(企業風土)の改善を図っていこうというものです。改善のために必要なことは、①社風の悪さが業績に悪影響を及ぼすことを全社員が理解した上で、②自社の社風(企業風土)のありのままを認識し、③経営者が改善への一大決心をし、強力なリーダーシップのもと、改善の目標を決め行動を起こすことです。これによって社内は活性化され、風通しの良い企業へと変化していきます。

経営支援策 11:銀行の融資姿勢 情勢を認識し、対策を

「経営体質の改善が決め手」(11)

「貸し渋りに負けない経営」(その1)

今回は、「貸し渋りに負けない経営」と題して、3回に渡って「銀行対策」についてご説明したいと思います。

1.「貸し渋り」「貸し剥がし」は流行語でない
平成10年の流行語大賞のトップテンに選ばれた「貸し渋り」は、今や流行語でなく、すっかり定着したように思えます。「借入申込金額を大幅に減額された」「運転資金の融資を3ヶ月1回の利払いのみを行ってきたが、元金返済を求められた」「保証協会付けの融資のみで、プロパーは応需できない」と最近こんな声を聞くするようになりました。銀行が支援をストップすると、途端に資金繰りが悪化してしまう経営体質の中小企業にとっては、倒産にもなりかねない非常に深刻な問題です。では、なぜ今まで親身になって相談に応じてくれていた銀行がこのように変化したのか、経営者は、銀行の情勢を認識した上で、具体的な対策を講じることが必要です。孫子の兵法に「成功の衆を出(い)ずるは先知なり」とあります。成功するためには、ひとえに敵の状況を早く知ることが重要であるという意味です。当事務所では、平成10年5月『早期是正措置~金融機関はこう変わる~』、平成15年1月『金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編]」~赤字企業はもう融資を受けられないのか~』のセミナーを開催し、経営者に銀行の融資姿勢を認識していただき、具体的な銀行対策を支援しています。

2.金融機関の「早期是正措置」が背景
平成8年11月、当時の総理橋本首相が、金融制度の大改革「日本版ビッグバン」としてフリー(自由な市場)・フェア(透明で信頼できる市場)・グローバル(国際的な市場)の3つの柱のもと、平成13年までに金融市場の完全自由化を行い、欧米に遜色のない市場を再生することを目ざすと宣言し、その一環として平成10年4月に金融機関の「早期是正措置」を導入しました。今日の金融情勢の変化は、この早期是正措置に深く起因するものです。早期是正措置とは、自己資本比率が一定基準(4%、8%)に満たない経営基盤の安定しない銀行は、金融庁が業務の停止命令などを含めた業務改善命令を出すというものです。つまり、金融庁が“レッドカード”を銀行に出し、廃業を命令するものです。(平成14年3月までの過去1年間で61の金融機関が破綻!)銀行は生き残りを賭けた自己資本比率の改善策として、貸出しを控えたり、貸付金の回収を行い、総資産を圧縮し、この難局を乗り越えようとしています。このように、現在問題になっている貸し渋りは、単に融資先の業績悪化というだけでなく、融資ができなくなってしまったという環境的要因があるのです。これに伴い、金融機関の審査方法も、自己資本比率を一定に保つために、従来の「担保重視」から「決算書等に基づく信用格付・自己査定」による選別融資へと大きくシフトしています。益々「経営者の顔」といわれる決算書の質と「経営者の考え、思い」である経営計画書が非常に重要となってきています。このような金融情勢の変化の中で、現在の経営体質で対応できるのか考え、早急に改善に取り組まなければなりません。

経営支援策 12:経営体質を改善し 銀行との真の信頼関係を

「経営体質の改善が決め手」(12)

「貸し渋りに負けない経営」(その2)

今回は、銀行の審査方法「信用格付」「自己査定」について、ご説明したいと思います。

従来の審査は、「融資した資金が返済されるか」「貸出しでいくら儲かるか」「担保は充分か」などでした。しかし、最近は、金融検査マニュアルの導入(平成11年7月)により「信用格付はいくらか、債務者区分は正常先か、要注意先か、破綻懸念先か」に大きなウエイトを置いて審査を行っています。「信用格付」とは、銀行が融資先企業に対して下す今後3から5年間の「企業の信用力」を測定した内申書のようなもので、支店融資担当者が作成し、本店融資部に月の中旬ぐらいまでに提出するようになっています。「定量要因」と「定性要因」の2つの組み合わせによって構成され、定量要因は決算書をベースにした計数分析により評価し、定性要因は企業環境、経営能力、健全性といった数字では表すことのできない企業の「質」を評価するものです。そして、金融機関は、信用格付に基づき債務者区分「正常先」「要注意先」「要管理先」「破綻懸念先」「実質破綻先」から債権分類「Ⅰ分類」「Ⅱ分類」「Ⅲ分類」「Ⅳ分類」を行い、貸倒引当を0.1%から100%までの率を引当てなければなりません。例えば、破綻懸念先、Ⅲ分類の企業に1,000万円融資している場合、引当率が70%とすると、金融機関は700万円収益が圧迫され、自己資本が低下してしまうのです。前回ご説明したように、この自己資本比率が8%以下になると金融機関は破綻という結果になります。銀行の金融情勢を察すると、財務内容・将来性・健全性などの安全性が、より高いと思われる企業のほうを相手にしたいと思うのは当然でしょう。また、この信用格付は支店の融資担当者の業務に大きな影響を与えています。

かつて本部管理先や稟議先などの限られた企業のみ信用格付は行われていましたが、現在では、おおむね全ての企業を対象に行われているため、融資担当者の業務は、本店に提出する信用格付の設定、見直し、自己査定、稟議、不良債権の処理作業など事務量は膨大化し、従来のように融資先の経営や資金繰りに目配りをする余裕はほとんどなくなってきています。そのため、旧態依然とした「決算書に透明性がなく、情報開示が適切になされていない企業」「社長自身が計数管理能力がなく、業績を報告できない企業」そして「将来のビジョンを明確化した経営計画書を作成していない企業」に対し支援を継続していくことは考えられなくなってきています。前回も触れましたが、平成14年3月までの過去1年間で61もの金融機関が破綻しています。金融機関も監督官庁である金融庁から自己責任を強く求められています。「支店長と毎月ゴルフに行ってるから信頼関係は大丈夫だよ」ということはもう通用しません。この信用格付による審査に変化してから、金融機関とは、ある種の緊張関係が生まれましたが、経営者は、経営体質を改善し、銀行との「新たな、そして真の信頼関係」を作っていくことが必要です。そのためには、中小企業・金融機関・税理士が同じテーブルに着き、中小企業の再生、債権者区分のランクアップ策を現場レベルで真剣に討議する時がきたように思えます。

経営支援策 13:経営計画書等を開示 自社の特性をアピール

「経営体質の改善が決め手」(13)

「貸し渋りに負けない経営」(その3)

1.中小企業融資のセーフティ・ネット
平成14年6月金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編]が、「債務者区分を大企業と同じ物差しで区分したら、中小企業はすべて倒産してしまう」などの批判を受け、中小企業の融資について別冊という形で金融庁より公表されました。中小企業等の債務者区分は、財務状況のみで判断するのではなく、その実質的な経営実態を考慮した自己査定が要求されています。「検証ポイント」と「16の運用事例」が盛り込まれ、中小企業融資の救済措置が、より具体化されたものとなっています。その運用事例によると、極端な場合、「破綻懸念先」から「正常先」にランクアップすることも可能となっています。残念ながら、現在の支店融資担当者は、自発的に同マニュアルを活用し審査していないのが現状のようです。しかし、自発的に活用してくれるのを待っていれるほど、中小企業経営に余裕は残っていません。経営者は、積極的に同マニュアルの「検証ポイント」にある「代表者等の一体性」「技術力、販売力や成長性」「実体的な財務内容」「経営計画書」について開示し、自社の特性をアピールすることが必要です。自社の強み・将来性を自己主張しなければ、金融機関には伝わりません。事実、当事務所の「銀行対策」支援のもと、戦略的自己主張をした関与先企業、同社は2期連続赤字で、通常なら破綻懸念先(金融機関は債務者区分を開示していませんが)と思われる企業が、「赤字が一過性であること」を説明し、「経営体質の改善を盛り込んだ経営計画書」を提出したところ、金融機関から「当支店は貴社を上位の融資先と考えています」「支援をやっていきます」との回答を得ることができました。この経営者の戦略的自己主張が、支店の融資担当者を動かし、「破綻懸念先」から「正常先」とランクアップすることができたものと確信しました。

2.銀行対策の必要条件
3回に渡って「貸し渋りに負けない経営」と題して説明させていただきました。増資、社債発行などの自己金融が容易にできない中小企業にとっては、金融機関からの支援なくして経営を維持することは、非常に困難であると思います。金融機関との「真の信頼関係」を築くことが不可欠であり、そのためには、図表で示している「銀対対策の必要条件」をしっかり捉えて、経営体質の改善を行っていくことが重要となります。尚、当事務所の「銀行対策」支援内容について、併記させていただきました。

~ 銀 行 対 策 の 必 要 条 件 ~
事 務 所 の 支 援 策
1.金融情勢を理解する
研修会の開催、情報紙の配布
2.透明性の高い決算書を作成する
「粉飾決算は命取り」
税理士法第33条の2による書面添付
「税理士が発行する品質保証書」
3.債務者区分の自己診断をする
決算報告会で債務者区分を確認
4.計数管理能力をつける
戦略財務情報システムFX2で業績管理
5.経営計画書を策定する
TKC継続MAS支援システムで策定支援
6.戦略的自己主張をする
業績報告書で文章化 、金融機関に同行訪問

経営支援策 14:経審の虚偽申請 粉飾決算は命取り

「経営体質の改善が決め手」(14)

「経審制度の方向性と経営体質改善」

平成15年2月10日、国土交通省は、経営事項審査(経審)制度で虚偽申請を行った業者に対し、競争参加資格認定を取り消す旨の通達「国地契第87号経営事項審査の虚偽申請における資格認定の取り消し等について」を各地方整備局に通知しました。今までの処分は、その多くが、経審虚偽申請が明らかになったとき、指名停止処分を課し、虚偽内容を考慮しながら資格認定の修正にとどまるのみでした。九州においては、昨年、佐賀県の建設業者が、完成工事高の過大計上と雇用関係のない技術職員を虚偽申請したため、22日間の営業停止を受けています。今回の虚偽申請対策は、資格認定取り消し基準を明確に定め、「資格認定の取り消し」という厳しい対応を行うことで、公共工事の市場から不良・不適格業者の排除を徹底させるというものです。また、認定を取り消された場合、2年間の有資格業者名簿有効期間内の再申請は認められないとなっています。倒産した企業の裏に「粉飾決算あり」といわれますが、建設業の場合、これから粉飾決算、経審虚偽記載が原因で資格認定を取り消され、公共工事の受注がなくなり、倒産したということが起こるでしょう。「うちは民間工事の割合が、かなり締めているから大丈夫」と思っている経営者がいるとすると、それは間違いです。

国土交通省のホームページの監督処分情報で公開されるので、全ての人々が情報を知ることができます。それを知った発注者は、施工をお願いするでしょうか。このように、粉飾決算は、もう企業にとって「死」を意味するものです。しかしながら、これほど、企業倫理・企業不振が新聞等で報道され、今までの制度・仕組みが音を発てて崩壊し、「本物しか生き残らない」といわれているにもかかわらず、建設業情報管理センターから経営状況分析表を入手すると、未だに一部の建設業者のなかには、架空売掛金や架空仕掛品を計上し、粉飾決算ではないかと思われる企業があります。早急に粉飾決算の体質を変えなければ、この市場、今の時代から退場処分となるでしょう。金融機関も信用格付において、「粉飾決算は一発取引停止を辞さない」といっています。粉飾決算は、単なる「痛み止めの薬(麻薬?)」と同じであり、根本的に企業を「健康体にする治療薬」ではありません。専門家の診断を受け、どう経営体質の改善を行っていけばよいのか検討し、経営管理体制を構築しなければなりません。経営管理を徹底することが、企業を存続、発展させ、自ずと経営事項審査評点のアップ策にもなります。建設業者だけでなく、私たち経営者は「どれだけ理想を高く持っているか、不退転の意思は本物か、行動力はあるのか」と世の中から試されているのかもしれません。情報公開は、もっともっと進んでいきます。情報公開に耐えきれる企業をつくり、そして企業価値をより高めていかなければなりません。これができるのは、社員でなく、私たち経営者なのです。「踏み出せば、その一歩が、必ず道を作ってくれる」と信じて・・・

経営支援策 15:良き結果は”願い”を”目標”に 経営理念こそ最も大切

「経営体質の改善が決め手」(15)

「成功のパスポートを手に入れよう」

1.「経営がうまくいく仕組み」
自社の繁栄・発展を願うことは、経営者なら誰しも当然のことと思います。しかし、大抵の場合、「願い」だけで終わってしまい「目標」になっていないのです。「願い」は、相手に望むことを意味し、すべてが受け身です。受け身は、良い結果を招く力があるでしょうか。良き結果を求めるなら「願い」を「目標」に変えなければならない。また、良き結果には、それを生みだすための誘因があります。発展している企業には、いくつか共通する誘因、つまり「経営がうまくいく仕組み」があります。1.数字をタイムリーに把握し、改善の手を打っていくための「業績管理」体制がある。2.業績管理をするために、目標となる“企業のあるべき姿”を鮮明に描いている「経営計画」(単なる数字の羅列だけでなく、具体的な行動指針が記載されており、社員と共有化されていること)がある。3.「企業風土改善」を行っている。4.経営者の人生観、信念に裏打ちされた「経営理念」(利己でなく、利他に徹する心構え)がある。これらが「勝ち組」の必要条件となっているように思えます。皆さんの会社は、この必要条件が備わっていますか?

2.経営理念が大前提
上記の必要条件の中で最も大切なものが、「経営理念」です。経営理念が社員に浸透していない状況で、業績管理、予算管理のみに力を入れていれば、「人を物とみる考え」が生まれ、ただ、数字のみを追いかける目的なき集団になってしまいます。やがて社員の心は離れていくでしょう。「人を物とみる」=「管理」ではなく、「人を人としてみる」=「指導」することが大切なのです。このことを公式で表すと、(業績管理+経営計画+企業風土)×(経営理念)で表すことができます。経営理念だけが「かけ算」になっています。経営理念がゼロ、マイナスであれば、他がいくら100点でも、結果はゼロ又は、マイナスになってしまうのです。企業の存在意義「我が社は、何のために存在するのか」「何のために仕事をやっているのか」を意味する経営理念の浸透こそが、永続的な発展のための大前提なのです。

3.「できる人」と「できない人」の違い
「できる人」と「できない人」の違いは、決心と行動力の差であり、そう大きいものではない。決心しきれなかったこと、行動しきれなかったことの小さな連続が、結果、大きな違いを生んでいくのかもしれません。そして、人間が持っている最大の能力の一つは、“あきらめない力”であり、自分には無理だと思った瞬間から、気持ちが萎縮して、あらゆる可能性が閉ざされてしまう。“よし、やろう”という決意は、心が奮い立ち、いかに高くて困難な壁でも突き崩すエネルギーの源となるでしょう。最後に、私の好きな詩を紹介したいと思います。「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる」

自分の運命を変えられるのは、自分の決心しかないのです。