事務所通信

当事務所では、月に1回事務所通信を発行しています。

2024年4月号(356号)

TKC会計人とTKC

 所長・税理士 今林重夫

TKC会計人は、TKCセンター利用の顧客集団では全く無く、TKC固有の理念を、共に手を携えて貫徹してゆく、純粋な同志の集団である。

 

TKC会計人は、TKCの顧客ではない。

この点をはき違えて、われわれはTKCの顧客であると考える会員諸公も、かなり存在しているようである。ショーペンハウエルが指摘したように、「人間は錯覚を愛好する動物である」から、少し位は、そういう観念をもつ会計人がいても止むを得ないのかも知れない。

しかし、TKC会計人は、TKCの顧客ではない。

顧客なら役務の提供を受け、その代金を払い終われば、その関係は完結して終わりである。

研修所の開設も、他に例を見ない超大型の厚生制度も、一人当たり100軒までの小規模個人事業の財務計算(現在はない)、経営診断の完全無料体制も、各地のTKC研修道場の開設維持も、全国会活動のすべての費用支出も、TKC会計人のサービス内容に関する新聞広告も、それらのすべては、TKCが会員諸公も顧客としてではなく、職業会計人の職域防衛・運命打開に向かっての同志として位置づけている結果に他ならない。

それらの、同志としての取扱いの費用は、現時点(昭和63.1.31)で年間約10億円を超えている。この金額は、年々増え続けてゆくに違いない。それでよいのである。

それがTKC及びTKC全国会の存立目的に合致することなのだから。

われわれ凡人は、自分が利己中心の発想に立っているのだから、他人もそうに違いない、と思うのが一般である。

しかし非凡の人は、釈迦がそれ以前の数論派哲学と訣別して、自我(アートマン)の非実在を確証したところに、釈迦の悟りがあったことを知っている。

実在しない自我を、自我なりと観念するのは幻想に過ぎない。

実在しない自我の利益を追求することに、何の意義があろう。それは痴人の夢に過ぎぬ。

この点の哲学的瞑想の中から、TKCTKC全国会の活動が発想されたのである。