2-3 ワンストップ特例と確定申告の使い分け
3. 【満期保険金】受取時に慌てないための所得区分と計算方法
3-1 契約形態による税金の種類
3-2 一時所得の計算方法:どこまで税金がかからないのか
3-3 保険金の受け取り方で税金はどう変わる?
4. 【公営ギャンブルの払戻金】「外れ券」は経費になるか?
4-1 課税の基本原則:当たりごとに税金が計算される
4-2 実際の申告での注意点
5. 【総括】
5-1 確定申告をする・しないの判断基準
5-2 申告期限と修正の方法
5-3 最終チェックリスト:送信前に必ず確認
確定申告は、税金を計算して納めるためだけの手続きではありません。
1年間の収入や支出を整理し、税制を正しく活用することで、手元に残るお金を見直すための大切な機会です。
本ガイドでは、確定申告が初めての方が特につまずきやすい4つのテーマ(医療費控除、ふるさと納税のワンストップ特例、保険の満期金、公営ギャンブルの払戻金)を取り上げます。制度の仕組みや注意点を、実際の申告で困らないよう、できるだけ分かりやすく解説していきます。
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、所得税や住民税の負担を軽減できる制度です。医療費という支出を、税金の還付という形で一部回収できる仕組みと考えるとわかりやすいでしょう。
また、所得税だけでなく、翌年度の住民税額も軽減されます。さらに、国民健康保険料など所得に連動する負担にも影響する場合があるため、家計全体で見ると大きなメリットがあります。
医療費控除は「年間10万円を超えた医療費が対象」と思われがちですが、実は所得によって基準額が変わります。
基準額の決まり方
具体例:所得が150万円の場合、150万円×5%=7.5万円が基準額になります。
つまり、医療費が7.5万円を超えた時点で控除を受けられます。生計を一にする家族全員の医療費は、まとめて申告することができます。この際、誰の名義で申告するかによって、還付される金額が変わります。
基本的な考え方
所得が高く、適用される税率が高い人が申告すると、同じ医療費でも還付金が多くなります。ただし、所得が200万円未満の家族がいる場合は、その方が申告した方が有利になるケースもあります。
医療費が10万円に満たない年でも、薬局で購入した対象医薬品(スイッチOTC医薬品)の合計が1.2万円を超えていれば、「セルフメディケーション税制」を利用できます。
重要な注意点
セルフメディケーション税制の適用条件
通院に関する交通費は、何が対象になるか判断を誤りやすい項目です。
以下の基準を参考にしてください
| 項目 | 控除対象の可否 | 判定の理由 |
| 公共交通機関(電車・バス) | ○ 対象 | 通院のために通常必要な交通費として認められます |
| タクシー代 | △ 原則対象外 | 電車やバスが使えない場合(深夜の急な通院、足の骨折など)のみ対象になります |
| 自家用車のガソリン代 | × 対象外 | 公共交通機関の利用ではないため認められません |
| 駐車料金・高速道路代 | × 対象外 | 車両の維持・利用に関する費用のため認められません |
記録の残し方
電車・バスは領収書が出ないことが多いため、通院日、区間、金額をメモや家計簿に記録しておきましょう。
見落としやすい重要なルール
医療費控除や住宅ローン控除(初年度)などで確定申告をすると、その年のふるさと納税についてワンストップ特例で申請した内容はすべて無効になります。
つまり、確定申告をする場合は、ふるさと納税の寄附金控除も改めて申告書に記載する必要があります。
「ふるさと納税はワンストップ特例を出したから大丈夫」と考え、医療費控除だけを申告書に記入して提出してしまうケースです。
この場合、ワンストップ特例が無効になっているにもかかわらず、確定申告でも寄附金控除を申告していないため、結果として
という状態になってしまいます。
複数の自治体に寄附した場合、一部だけを申告書に記入し、残りを「ワンストップで済ませたから」と入力しないケースです。
この場合も、入力しなかった自治体分の控除が受けられません。
ワンストップ特例が使える条件
確定申告が必要になる主なケース
上記に該当する場合は、最初からワンストップ特例を使わず、確定申告で寄附金控除を申告する方が確実です
生命保険の満期保険金や解約返戻金を受け取った場合、税金がかかることがあります。保険の契約内容によって、どのような税金がかかるのかが変わるため、受け取る前に確認しておくことが大切です。
保険料を支払った人と、保険金を受け取る人の関係によって、課税の方法が異なります。
例:夫が保険料を支払い、夫が満期保険金を受け取る
この場合、自分で積み立てたお金の運用益を受け取る形になるため、所得税(一時所得)として扱われます。
例:夫が保険料を支払い、妻が満期保険金を受け取る
この場合、他人からお金をもらったとみなされ、贈与税の対象となります。
贈与税には年間110万円の基礎控除がありますが、それを超えると税率が高くなるため注意が必要です。
自分で保険料を払い、一括で満期金を受け取る場合、以下の計算式で課税額が決まります。
計算式:課税対象額={(受取保険金額-払込保険料総額)-特別控除50万円}×1/2
計算の流れ
具体例
計算
税金がかからないケース
利益が50万円以内であれば、特別控除の範囲内のため、実際に税金がかかることはありません。
例)・受取保険金:250万円
・払込保険料総額:210万円
・利益=40万円→50万円以下なので税金はかかりません
満期金を「一括」で受け取るか、「年金形式」で受け取るかによって、税金の計算方法が変わります。
一括で受け取る場合(一時所得)
年金形式で受け取る場合(雑所得)
競馬、競輪、競艇などの公営ギャンブルで払戻金を得た場合、原則として所得税の対象になります。ここで多くの方が誤解するのが、「年間のトータル収支がマイナスなら税金はかからない」という思い込みです。
公営ギャンブルの払戻金は「一時所得」として扱われます。一時所得の計算では、経費として認められるのはその当たり馬券(車券・舟券)の購入費のみです。
よくある誤解
「1年間で100万円負けて、1回だけ100万円当たったから、プラスマイナスゼロで税金はかからない」
実際の計算
この99万円が一時所得の計算の基礎になります(他に一時所得がなければ、50万円の特別控除後、残りの半分が課税対象)。
外れ馬券は?
年間で100万円分の外れ馬券があったとしても、それは経費として認められません。
記録の重要性
これらを記録しておかないと、正確な申告ができません。
高額払戻金の場合
払戻金が一定額以上になると、主催者から税務署に支払調書が提出される場合があります。申告漏れがあると、後から税務署から指摘される可能性があるため、必ず申告しましょう。
少額でも申告が必要?
他の一時所得と合算して、利益が50万円以下であれば、結果的に税金はかかりません。ただし、給与所得者で副業などがない場合でも、一時所得の金額によっては確定申告が必要になる場合があります
確定申告での間違いは、手続き上の問題にとどまらず、税金を払い過ぎてしまうなど、場合によっては追加の税金やペナルティが発生する原因になります。
確定申告が必要な主なケース
☑ 給与収入が2,000万円を超える
☑ 給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与と副業等の所得の合計が20万円を超える
☑ 副業等の所得が20万円を超える
☑ 公的年金が400万円を超える、または公的年金以外の所得が20万円を超える
確定申告をした方が良いケース(還付が受けられる)
☑ 医療費が一定額を超えている
☑ ふるさと納税をした(ワンストップ特例を使わない場合)
☑ 住宅ローン控除を受ける(初年度)
☑ 年の途中で退職し、年末調整を受けていない
申告期限
原則として、翌年の2月16日から3月15日までです(土日の場合は翌平日)。
期限を過ぎてしまった場合
申告内容を間違えた場合
申告書を送信する前に、以下の項目を確認しましょう。
□ 医療費控除
□ ふるさと納税
□ 一時所得(保険金・ギャンブル等)
□ 添付書類・保管書類