新医療法人は、旧来の医療法人と「持分」が有るか無いかで出口管理が異なります。 医療法人のメリットを享受するには中長期的な視野での対策が必要とされます。 節税対策、経営の承継譲渡等は医療と相続に強い専門の当会計事務所にお声をかけてください。
◆医療法人のメリット
法人化(医療法人化)すると数々のメリットがあります。
1.経営上のメリット
2.税務面でのメリット
3.事業展開面でのメリット
4.事業継続面でのメリット
5.その他
◆医療法人のデメリット
1.一般的に院長先生の手取り収入が減少します。
2.余剰金は配当はできません。
3.役所への事務手続が発生します。
4.社会保険への加入
5.接待交際費は資本金の額に応じて限度があります。
◆医療法人設立の要件
医療法人にあたってはいくつかの要件があり、これらをクリアする必要があります。
また都道府県によっては実際の条件が多少変化することがあります。
1.役員
理事3名以上、監事1名以上を置くこと。
2.理事長
原則医師又は歯科医師(但、都道府県知事が認めた場合はこの限りではない)。
3.資産
法人の業務を行うために必要な資産を有すること。
4.会計
原則として、病院会計準則により処理し、毎会計年度、財産目録、
貸借対照表及び損益計算書を作成。
5.経営情報の開示義務
医療法人の公共性の程度や、医療法人の設立が個人の出資によるもの
であることに鑑み、債権者のみに対する開示を義務付け。
6.利益分配の禁止
医療の非営利性を担保するため、剰余金の配当を禁止。
7.附帯業務の制限
医業の永続性を担保するため、本来事業に支障のない範囲で、
介護保険事業など一定の業務に制限(医療関係者の養成、
研究所の設置、精神障害者復帰施設、疾病予防運動施設、
訪問看護ステーション、老人居宅介護等事業、等)。
◆なぜ医療法人設立なのか?
医療法人は、個人経営等の病院(診療所)を対象に法人格を与えて法人化するものです。
本来業務に付随する範囲内で介護保険の対象となる業務を行なえます。
介護保険に関連する業務のなかには法人であることが要件になっているものもあり、医療法人を設立しておくことでスムーズに高齢者の患者さんに対するサービスを提供することが可能になります。
このように医療法人の設立は医療提供体制の確立、社会的信用の向上、近代的経営の実現など医療経営の総合的な継続的発展のために有意義かつ不可欠な制度です。
個人経営をなさっている先生方はぜひ法人化をご検討ください。
◆医療法人とは?
医療法人とは、病院・医師(もしくは歯科医師)が常勤勤務する診療所(または介護老人保健施設)を開設しようとする社団(財団)が、医療法の規定によって法人を設立するものです(医療法第39条)。
例えば、個人経営のクリニックなどが会社のように法人として社会的・法律的にに法人格をもつことをいいます。
「病院、診療所及び助産所の開設及び管理に関し必要な事項並びにこれらの施設の整備を推進するために必要な事項を定めること等により、医療を提供する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与すること」(医療法第1条)のとおり、医療提供体制の確保と国民の健康の保持のために定められた制度で、法人化により資本の集積、医療機関の永続性の確保、高度な医療体制の充実などにより医療の安定的供給が期待されています。医療事業は公益性が高いため医療法人に関しても商法上の会社と公益法人との中間的な存在となり、余剰金の配当が禁止されていたり、決算の届出が義務付けられていたりします。
◆医療法人の仕組み
医療法人の仕組みは下の図のようになっています(一般的な医療法人社団の場合)。
◆医療法人の種類
医療法人の組織としては、出資によって設立される社団と寄付された財産によって設立される財団との大きく2種類に分類されます。
◇医療法人社団
複数の人が出資して設立する医療法人で、出資者は
社員として出資額に応じた持分を有します。
出資者は退社時や解散時には持分に応じた払い戻しや
分配を受けることができます。
医療法人にはこの医療法人社団が一般的です。
◇医療法人財団
個人または法人が寄付した財産によって設立する
医療法人で、財産の提供者に提供額に応じた持分は
認められません。
法人の解散時には理事会の決議で残余財産の処分方法を
決定し、都道府県知事の認可を受けてから実際に
処分されます。
◇一人医師医療法人
医療法上は医療法人と設立手続や権利および義務の面では
同じですが、昭和60年12月の法改正により、それまで
3人以上必要だった医師または歯科医師の最低人数に
関する制約がなくなり、1人または2人の診療所でも
医療法人の設立が認められるようになったものを便宜上
「一人医師医療法人」と呼びます。
診療所の経営と医師個人の家計を分離することで、診療所
の設備、機能の充実を図るとともに経営基盤を強化し
診療所経営の近代化・合理化を図ることを目的としたもの
で、ほとんどの医療法人はこの一人医師医療法人です。
◇特定医療法人
特定医療法人とは、持分の定めのない医療法人社団
または医療法人財団で、公益性が高いと国税庁長官の
承認を受けたものです。
特定医療法人については法人税法上、公益法人の収益
事業と同様の軽減税率が適用されます。
◇特別医療法人
特別医療法人とは、持分の定めのない医療法人社団または
医療法人財団で、公益性の高い医療法人として一定の要件
をクリアした場合に特別医療法人とし、収益を当該特別
医療法人が開設する病院、診療所又は老人保健施設の経営
に充てることを目的として、厚生労働大臣が定める業務を
行うことができます(医療法第42条第2項)。
1.役員のうちには、各役員について、その役員、その
配偶者及び3親等以内の親族が役員の総数の2分の1を
超えて含まれることがないことその他公的な運営に
関する厚生労働省令で定める要件に適合するもので
あること。
2.定款又は寄附行為において解散時の残余財産を国、
地方公共団体又は厚生労働省令で定める者に帰属
させる旨を定めていること。
◆なぜ医療法人なのか?
現代の高度に複雑化した社会では、医業もインフォームド・コンセントをはじめとしたコンプライアンス(法令遵守)等の社会的責任を求められます。
この高度に複雑化した社会では専門分野に精通しておく必要性と同時に、法令、経営、業務管理など医師に要求される業務量は増大する一方です。
この増大する業務を一人もしくは数人で処理しつづけることは非常に困難であり、分業による専門化とそれらをネットワーク化した業務処理体制の構築が求められます。
こういった社会の様々な要求に対応するために医療法人という組織化した体制によってシステマティックに対応する能力が必要と思われます。
◆医療法人設立の具体的メリット
法人化(医療法人化)すると数々のメリットがあります。
1.経営上のメリット
◎社員から出資を受けることで医師個人の負担(資金調達)
が分散化する。
◎個人の家計と医療事業の経理とを分離することで、
医療機器購入等の資金計画が明確にできる。
◎厚生年金等、社会保険等の加入が可能になる。
◎近代的経営による社会的信用の向上。
2.税務面でのメリット
◎所得税の超過累進課税率から解放される。
◎法人と個人に収入が分散されるため、二重に控除を
受けられる。
◎損金にできる幅が広がる。
◎非常勤の家族も給与を受けられる。
3.事業展開面でのメリット
◎法人格が要件とされている事業が可能になる。
◎金融機関との関係が向上(法人と個人とのふたつの
主体が確保される)。
4.事業継続面でのメリット
◎法人名義で資産を保有するため、医師個人とは別主体
として存続する。
◎法人に対しては持分を持つ形になるのでスムーズな
事業継承が実現する。
5.その他
◎任意の会計期間を設定できる。
◎社会保険の診療報酬の源泉徴収がなくなる。
◎退職金が支給できる。
◆医療法人のデメリット
一般的に院長先生の手取り収入が減少します。
余剰金は配当はできません。
役所への事務手続が発生します。
社会保険への加入。
接待交際費は資本金の額に応じて限度があります。
◆一人医師医療法人とは?
昭和60年12月の医療法改正により、それまで3人以上必要だった常勤の医師または歯科医師の最低人数に関する制約がなくなり、1人または2人の診療所でも医療法人の設立が認められるようになりました。
法律上は医療法人と設立手続や権利および義務の面でまったく同じですが、この制度を便宜上「一人医師医療法人」と呼んでいます。
医師(歯科医師)が1人または2人の診療所でも法人化により診療所の経営と医師個人の家計を分離できることで、プライマリ・ケアが求められる診療所の充実が図りやすくなるとともに経営基盤を強化し経営の近代化・合理化を図ることを目的としたもので、医療法人のうち数多くはこの一人医師医療法人です。
◆医療法人と一人医師医療法人との違い
医療法人 | 一人医師医療法人 | |
出資 | 不動産はできる限り出資する。土地・建物の両方を出資できないときはどちらか一方を出資。 | 不動産は出資が望ましい。賃借の場合は長期間の契約(覚書等)が必要。 |
資産 | 自己資本比率20%以上。2ヶ月分以上の運転資金が必要 | 有床診療所は1000万円、無床の場合は500万円 |
出資 | 未収金は出資する。 | 未収金は出資。敷金等については正味資産に算定しない。 |
賃借料の | 不動産鑑定評価書が必要。 | 評価価格の8% |
※都道府県により多少異なる場合があります。
◆一人医師医療法人設立の認可要件
法人設立にあたってはいくつかの要件があり、これらをクリアする必要があります。また都道府県によっては実際の条件が多少変化することがあります。
1.3人以上の理事および、1人以上の監事が必要です。
2.常勤の医師が1人以上いること。
3.理事のうちのひとりは理事長とし、医師または歯科医師の
理事のなかから選出すること。
4.監事は理事または医療法人の職員を兼任できません。
5.病床数は0~19床。
6.向こう2か月分以上の運転資金があること。
7.目安として20%以上の自己資本比率。
◆一人医師医療法人設立のすすめ
一人医師医療法人は、おもに診療所・クリニックなどを対象に法人格を与えて法人化するものです。本来業務に付随する範囲内で介護保険の対象となる業務を行なえます。
介護保険に関連する業務のなかには法人であることが要件になっているものもあり、医療法人を設立しておくことでスムーズに高齢者の患者さんに対するサービスを提供することが可能になります。
このように医療法人の設立は医療提供体制の確立、社会的信用の向上、近代的経営の実現など総合的にみた場合のメリットは数知れず、医療経営の継続的発展のために有意義かつ不可欠な制度です。
個人経営をなさっている先生方はぜひ法人化をご検討ください。
◆医療法人設立認可制度
医療法人設立は、一般の株式会社等のように自由な時期に設立することができず、法人設立には都道府県知事の認可を得ることが必要です。
設立認可の時期は都道府県によっても変わりますので、医療法人の設立には綿密な準備と適切な手続の対応が要求されます。医療法人の設立をお考えの方は7~10ヶ月前までにご相談ください。
◆医療法人設立に必要な書類
1.医療法人設立認可申請書
2.定款
3.財産目録および財産目録明細書
4.負債内訳明細書
5.債務残高証明および債務引継承認願
6.出資申込書
7.設立決議録および設立趣意書
8.医療法人の開設しようとする病院(診療所)の概要
9.社員および役員の名簿
10.職員一覧
11.予定役員報酬の一覧および過去2年間の収支実績表
12.案内図、敷地図および建物平面図
13.2年間の事業計画および予算書
14.設立者および役員の履歴書
15.設立代表者への委任状
16.役員の承認承諾書
17.病院(診療所)の管理者就任承諾書
18.医師(歯科医師)免許証の写し
19.病院(診療所)を賃貸する場合には、賃貸借契約書
20.不動産賃貸借料の算定根拠
21.過去2年間の確定申告書
22.リース機器がある場合には、契約書の写しおよび引継
承諾書
◆設立認可申請のながれ
医療法人の設立は以下のようなながれで進みます。
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