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インボイス制度における振込手数料の扱いについて

振込手数料は買い手負担が原則

企業間の取引において、振込手数料は原則として代金を支払う側が負担することとなっています。これは、民法484条、485条に「債務者(支払いを行わなければならない側、買い手側)は、債権者(支払いを受ける権利を持つ側、売り手側)の住所で支払いを行うのが原則である」と定められているからです。

なお、企業間が「振込手数料は売り手側が負担する」と取り決めを行っている場合は、売り手側が負担することもできます。ただし、あくまでも書面による合意がある場合のみ。買い手側が支払い時に無断で振込手数料を減額することはできません。状況によっては下請法違反とみなされる可能性もあるため、注意が必要です。

インボイス制度で売り手が振込手数料を負担する場合の3つの対処法

対処1:売り手が買い手に対して適格返還請求書(返還インボイス)を交付する

振込手数料を売り手が負担する場合、実務としては買い手が支払う金額から振込手数料を差し引く場合がほとんどでしょう。これは、「売り手が買い手に対する振込手数料分の値引きに応じた」と言い換えることもできます。

インボイス制度がスタートしてからも、このような値引きを含めた取引を行うことは可能です。値引きを行うためには、原則として「適格返還請求書」の交付が必要ですが、振込手数料のみの値引きであれば、基本的に発行が免除されます。


対処2:売り手が買い手に対して仕入明細書を交付する

買い手が適格請求書発行事業者であれば、売り手が買い手に対して仕入明細書を発行するという対処法がとれます。これは、振込手数料を「売り手から買い手に対して支払った手数料」として扱う方法です。

ただし、振込手数料を仕入明細書の発行で処理をする場合は、買い手も適格請求書発行事業者でなければいけません。また、仕入明細書の内容について、買い手に確認してもらうことが必要です。



対処3:売り手が買い手から金融機関の適格請求書と立替金精算書を受け取り保存する

「売り手が負担する振込手数料を買い手が立て替える」という処理を行うのが、つ目の方法です。買い手が一度振込手数料を立て替え、売り手に支払額が入金した時点で立替金を精算したとみなします。「対処
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」の方法と少し似ていますが、こちらは仕入れではなく、あくまでも立替としての処理をします。

振込手数料を立替金扱いで税額控除の対象にするためには、売り手側が下記2つの書類を受け取り、保存しなければいけません。

売り手側が受領・保存すべき書類

  • 金融機関が発行した適格請求書
  • 買い手が発行した立替金精算書



いずれにせよ、買い手、売り手双方の手間が最も少ないのは、値引きとして処理する「対処1」の方法だといえるでしょう。


しかし文頭でお伝えした通り、買い手が振込手数料を負担することが原則です。これを機に、取引先と話し合いの上、振込手数料の扱いを見直されてはいかがでしょうか。