いそべ便り(毎月更新)

税金、年金、商法等の改正事項を解り易くご案内しております。

【住宅ローン控除「調書方式」の事前準備に関するチラシを公表】(令和79)

令和年4度税制改正において、住宅ローン控除の適用に係る手続について、これまでの年末残高証明書を用いる「証明書方式」から、年末残高調書を用いる「調書方式」とする改正が行われました。

 これにより、納税者の手続負担が軽減される一方で、「調書方式」に対応した金融機関から借入れをした納税者にはあらかじめいくつかの準備が必要となるため、国税庁では、「住宅ローン控除の確定申告には事前準備が必要です!」と記載したチラシをホームページ上に公表しています。

 チラシには、「『調書方式』に対応した金融機関から借入れをした場合、住宅ローン控除の申告には事前準備が必要と聞きました。いつまでに何を行えばよいですか」という問いに対し、「居住を開始した年内に『e-Taxからの情報取得希望』を行ってください」との回答が書かれ、その下にマイナポータルアプリからログインして画面を進め「e-Taxからの情報取得希望」を完了させるまでの流れが掲載されています。

 また、2月中旬にe-Taxのメッセージボックスへ年末残高情報が格納されるので、その流れも示されています。

 居住を開始した年内に事前準備を行えば、年末残高情報は2月中旬(2/102/13の間)にメッセージボックスへ格納されます。事前準備が年明け後となると、それより後日の格納となるため、チラシに「事前準備は年内に!」と記載して、早めの対応を呼び掛けています。

 なお、従来の「証明書方式」とは、住宅ローン控除の適用を受ける納税者が、住宅ローン債権者である金融機関等から交付を受けた年末残高証明書を、確定申告または年末調整の際に、税務署または勤務先に提出する方式です。

 一方、「調書方式」は、住宅ローン債権者が税務署に「住宅取得資金に係る借入金等の年末残高等調書を提出し、国税当局から納税者に住宅ローンの「年末残高情報」を提供する方式です。

 ただし、「年末残高調書」を提出する債権者において、この改正に対応するためのシステム改修等への対応が困難な場合には、引き続き、「証明書方式」とすることができる経過措置が設けられています。

 なお、借入先の金融機関が調書方式に対応済かどうかは、国税庁ホームページの「年末残高調書を用いた方式(調書方式)に対応した金融機関の一覧」で確認できます。確認にあたっては「対応を開始する年」以降に借入れされているかどうかもチェックできます。

「デジタル遺言」の創設など盛り込んだ民法等改正中間試案を公表、パブコメを開始(令和79)

 法務省は729日、パソコンなどで作成する「デジタル遺言」の創設などを盛り込んだ「民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案」を公表し、意見募集(パブリック・コメント)を開始しました。遺言を電磁的記録で作成し、全文等の口述を録音・録画等により記録して遺言する方式など3案が示されました。3案の一つまたは複数を創設することを検討するとしています。また、自筆証書遺言等における押印要件について、押印を不要とする案も検討するとしています。パブコメは923日までとなっています。

 中間試案では、普通方式の遺言において、現行の方式に加え、遺言の本文をパソコン、スマートフォン等により作成した電磁的記録またはプリントアウト等した書面による方式を創設するとしました。3案の概要は表のとおりです。

デジタル遺言3案の概要

 

甲案

乙案

丙案

1

2

 

作成等

パソコン等を利用して遺言の全文等を入力した電磁的記録を作成

 

 

電子署名

電磁的記録をプリントアウト等した書面に署名

 

 

 

録音等

証人2人以上の前で遺言の全文等を口述し、証人が自己の氏名等を口述。その状況を録音・録画

遺言の全文等を口述して録音。遺言者以外の者が口述できないようにする措置等をとる(民間事業者のサービス利用を想定)

 

 

 

 

 

 

 

 

保管等

 

 

 

 

公的機関に電磁的記録をオンラインで保管申請し、対面またはウェブで遺言の全文を口述

公的機関に書面を持参または郵送で保管申請し、対面またはウェブで遺言の全文を口述

家裁の検認

必要

不要

 甲案は、遺言の本文を電磁的記録により作成し、遺言者による全文等の口述を録音・録画等により記録して遺言する方式で、甲1案と甲2案があります。甲1案は証人の立会いを要件とするもので、甲2案は証人を要せず、これに相当する措置を要件とするものです。甲2案では、口述時に、本人確認をすることができる機能等を備えた民間事業者の提供するアプリケーションを利用することを想定しています。

 乙案と丙案は、遺言の本文を電磁的記録(乙案)またはプリントアウト等した書面(丙案)により作成し、公的機関で保管して遺言する方式です。遺言の保管は現行の自筆証書遺言書保管制度の取扱いと同様としています。保管申請の際に、遺言の全文を口述することとしており、公的機関に出頭して行うほか、一定の場合にウェブ会議の利用を可能とすることを想定しています。

 日付については、甲案による遺言は遺言が完成した日を遺言者が記録、乙案、丙案による遺言は遺言が完成した日(=遺言を保管した日)を公的機関が記録するとしています。

事務所概要

事務所名
税理士法人  い そ べ
所在地
山口県宇部市常藤町2番21号
電話番号
0836-21-3161
FAX番号
0836-31-1580
業務内容
・税務・経理・財務・会計・決算に関する業務
・独立、開業支援に関する業務
・経営相談・コンサルティング
メールアドレス
isobe-keiri@tkcnf.or.jp

中国税理士会所属