いそべ便り(バックナンバー)23年分

平成23年12月1日更新分①

『復興増税法案成立』
東日本大震災の復興財源を賄う臨時増税を盛り込んだ復興財源法など2011年度第3次補正予算関連5法が11月30日、参院本会議で民主・自民・公明各党などの賛成多数で可決・成立しました。
このうち、東日本大震災からの復興を図るための平成23年度から27年度までの集中復興期間において実施する施策に必要な財源を確保するため所要の措置を講じる「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法案」及び「東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源確保に係る地方税臨時特例法案」の両法案は、10月28日に閣議決定・同日国会に提出され、11月7日に衆議院の財務金融、総務の委員会へ付託されました。
その後、22日に両法案とも修正議決されて24日の本会議で賛成多数で可決し、参議院へ送付されました。参議院では、25日の付託後、財政金融、総務の委員会で実質29日のみの審議で可決していました。
両法案の成立により、復興特別税として国税関係では、(1)平成25年1月から49年12月まで所得税額に対して2.1%の「復興特別所得税」の創設及び(2)平成24年度から26年度まで法人税額に対し10%の「復興特別法人税」の創設が、地方税では個人住民税を平成26年6月から10年間にわたり年1000円引き上げます。
なお、法人税に関しては、11月30日に成立した「経済社会構造の変化に対応した税制構築を図るための所得税法等改正法」により、実効税率をいったん5%引き下げた上で3年間に限って税率を10%上乗せられることになります。

平成23年12月1日更新分②

『平成24年度税制改正大綱を閣議決定』
政府は12月10日の臨時閣議で平成24年度税制改正大綱を決めました。来年度改正は、消費税率の引上げが焦点となる税制抜本改革の議論を控えるだけに、全体として小粒な内容となったようです。大綱は、新成長戦略実現に向けた税制措置として、自動車重量税の「当分の間税率」に係る税負担を軽減することと併せて、エコカー減税の継続、特に環境性能に優れた自動車に対する軽減措置の拡充を盛り込んでいます。
法人課税では、研究開発税制の上乗せ特例の継続、再生可能エネルギー投資を加速させるための環境関連投資促進税制の拡充、また、雇用の大半を担う中小企業を引き続き支援するため、中小企業投資促進税制の拡充・延長等を行います。研究開発税制は、試験研究費に係る税額控除又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除を選択適用できる制度の適用期限を2年延長します(所得税も同様)。
中小企業投資促進税制は、対象資産に製品の品質管理の向上に資する試験機器等を追加するとともに、デジタル複合機の範囲の見直しを行った上、その適用期限を2年延長します(所得税も同様)。環境関連投資促進税制は、対象資産のうち太陽光発電設備及び風力発電設備を一定の規模以上のものに限定した上で、24年4月1日から25年3月31日までの間にその設備を取得し事業に使用した場合は、普通償却限度額との合計で取得価額まで特別償却できることになります(所得税も同様)。
個人所得課税では、23年度改正で積み残しとなっていた給与所得控除や退職所得課税の見直しが盛り込まれました。給与所得控除は、給与収入が1500万円を超える場合には245万円の上限が設けられます。退職所得課税は、勤務年数5年以内の法人役員等の退職所得について、累進緩和措置の2分の1課税を廃止します。これらの見直しは、個人住民税にも反映されることになります。
そのほか、国際課税では、国際的租税回避を防止する観点から、国外財産調書制度を創設し、その年の12月31日において合計5千万円を超える国外財産を有する居住者は、その財産の種類、数量、価額その他必要な事項を記載した調書を、翌年3月31日までに、税務署長に提出することが義務付けられます。また、所得金額に比べ過大な利子を関連者間で支払うことを通じた租税回避を防止するため、過大支払利子税制を創設します。

平成23年11月1日更新分①

『施設等を伴わない駐車場も消費税の課税取引の対象』
駐車場が消費税法上の課税資産の譲渡等に当たるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、駐車場としての地面整備や区画設置等がされていると認定した上で駐車施設等の利用に土地が使用される場合に該当すると判断し、審査請求を棄却しています。
この事件は、消費税等が無申告だった不動産貸付業を営む者の駐車場の貸付けを、原処分庁が課税資産の譲渡等に該当すると認定し、決定処分等をしたことが発端です。これに対して請求人が、土地の貸付けに該当するため消費税は非課税であり、免税事業者にも該当すると主張し、決定処分等の取消しを求めていた事案です。
つまり請求人は、消費税法施行令8条が規定する駐車場等に土地が使用される場合とは、アスファルト舗装、料金徴収設備、建物及び屋根などの施設を伴ったものを指すと解されるが、請求人の駐車場には一般常識的に施設といわれるものは一切ないという主張をして取消しを求めていたわけです。
これに対して裁決は、消費税法施行令8条の趣旨及び消費税法基本通達6-1-5の1の定めから、駐車場施設として土地が使用される場合に、請求人が主張するような施設の利用も伴って初めて課税対象の取引とされるとまでは解されないと指摘しています。その上で、請求人は各駐車契約において、各賃借人に対して区画を指定し、車両の駐車目的に限定して貸し付けており、各駐車場には砂利やアスファルトを敷き、場所によってロープや白線、区画番号表示をしたり、車止めブロックを設置していることなどを認定しています。結局、駐車場の用途に応じて地面整備や区画設置等をしていると認められるから、駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合に該当すると判断し、審査請求を棄却しています。
(国税不服審判所、2010.03.02裁決)

平成23年11月1日更新分②

『土地等の譲渡損失の損益通算規制措置は公益上の要請と判断』
平成16年度税制改正の際に導入された土地・建物等の譲渡損失の損益通算規制措置が施行日前の1月1日に遡って適用されたことが、憲法84条に違反するか否かの判断が争われてきた事件で最高裁(金築誠志裁判長)は暦年初日への遡及適用は具体的な公益上の要請に基づくものであったと判断し、憲法違反にならないと判示して上告を棄却しました。 この事件は、平成16年度税制改正の際に導入された土地・建物等に係る譲渡損失の損益通算規制措置が、改正法の施行日(16年4月1日)前に行われた土地・建物等の譲渡にも適用されるのは、納税者に不利益となる遡及立法であり、憲法84条違反と納税者が主張し、千葉地裁を皮切りに最高裁まで争われてきたものです。
納税者は、長期所有土地の売買契約を平成16年1月30日に締結して3月1日に引き渡し、翌17年9月に所得税の申告書を提出した後、損益通算が認められるべきであると主張して還付請求をしました。しかし、原処分庁が更正をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、千葉地裁、東京高裁の棄却判決を受けた後、更に上告してその取消しを求めてきたという事案でした。
最高裁はまず、土地・建物等に係る損益通算規制措置の立法目的と立案過程に触れ、資産デフレ対策等を早急に実施することを予定したものであったと認定しました。また、暦年当初への遡及適用は、適用を遅らせると、損益通算による租税負担軽減を目的にした駆込売却が多数行われ、立法目的を阻害する恐れがあったため、これを防止する目的によるものだったとも認定しました。それは、大綱の新聞報道の直後から、税理士事務所等による不動産売却の勧奨が行われていた事実等からも伺えると示唆しました。暦年当初への遡及適用は具体的な公益上の要請に基づくものであったということができると判断しました。
また、暦年初日への遡及適用によって暦年全体を通じた公平が図られる面がある一方、租税負担軽減の成果を得られない以上に、一旦成立した納税義務が加重されるなどの不利益を受けるものではないとも指摘して、上告人(納税者)の主張を棄却しています。
一方、東京地裁から始まった類似の事案についても、憲法違反を否定し、上告を棄却する旨の判決が1週間後に言い渡されています。
(2011.09.22最高裁判決、平成21年(行ツ)第73号)
(コメント・・非常に重要な判決です。)

平成23年10月1日更新分①

『来年から生命保険料控除が変わる』
2010年度税制改正に伴い、2012年1月1日以後に新たに締結した生命保険契約等について、新たな生命保険料控除が適用されます。改正事項をおさらいすると、まず「介護医療保険控除」が新設されます。2012年1月1日以後に契約締結した生命保険のうち、法令に定める「介護医療保険契約等」の対象となる契約に係る保険料等について、適用限度額を所得税4万円・個人住民税2.8万円とする介護医療保険料控除が設けられます。
また、一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除について、2012年1月1日以後に契約締結した生命保険契約等について、適用限度額が所得税4万円(現行5万円)・個人住民税2.8万円(同3.5万円)となります。これにより、2012年1月1日以後に契約締結した場合の生命保険料控除・個人年金保険料控除及び介護医療保険料控除を合わせた全体の適用限度額が、所得税の場合12万円(現行10万円)となります(個人住民税は7万円で変更なし)。
新制度による控除額(所得税)は、2万円以下は支払保険料等の全額、2万円超4万円以下は支払保険料等×1/2+1万円、4万円超8万円以下は支払保険料等×1/4+2万円、8万円超は一律4万円となります。
今年の12月31日以前に契約締結した生命保険契約等に係る控除については、2012年1月1日以降も旧制度が適用されます。また、12月31日以前に契約締結した生命保険契約であっても、2012年1月1日以後に「更新」、「特約の中途付加」を行った場合には、新制度が適用になるので注意しましょう。さらに、身体の障害のみに基因して保険金が支払われる保険契約等に係る保険料は、新制度の対象外となります。

平成23年10月1日更新分②

『非常食の税務処理は購入時に損金処理』
今年は3月11日に東日本大震災が起こったこともあり、全国的に防災訓練を行うところが多いようですが、防災対策の一環として缶詰や水など当座の非常食を備蓄する企業も増えています。
ところで気になるのが、非常食の消費期限は数年間から長いもので数十年といった物もあり、保管期間が長期にわたることからいつ経理処理すればよいかということです。
一般的に、未使用の状態で保管してあるものは「貯蔵品」とされ、実際に事業などで使用又は消費等した時点で損金算入することになります。しかし、(1)食料品は、繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性をもつものであり、その効果が長期間に及ぶものであるとしても、減価償却資産又は繰延資産に含まれないこと、(2)貯蔵品ではなく、まさに非常の時に使う備蓄品として取り扱われることから、備蓄した時点で事業の用に供したといえることなどから、非常食を購入した場合は、購入時に消耗品費として処理をすることができます。
なお、企業によっては、消費期限が近付き取り替えを行った後、古い非常食を社員に無償で配布するケースもあります。その際は、社員に分け隔てなく配付すれば社員への課税は行わなくても差し支えないですが、一部の役員等への配布になると現物給与として課税対象とされる可能性があります。また、消費期限がまだかなり残っている非常食を配布した場合についても注意が必要です。

平成23年9月1日更新分①

『高額な社員旅行費用負担額の損金算入を否認』
周知のように、社員旅行を実施する場合の税務上の取扱いは、(1)旅行に要する期間が4泊5日(目的地が海外の場合は、目的地における滞在日数による)以内であること、(2)全従業員の50%以上の参加者があること、のいずれの要件も満たす場合には原則として給与として課税しなくてもいいこととされていますが、その金額が多額で社会通念上一般に行われていない場合には課税することになります。
国税不服審判所はこのほど、土木建築工事業のA社が従業員1人あたり約24万円を全額負担して行った海外への社員旅行の費用の損金算入を否認した裁決事例を明らかにしました。
請求人のA社は、従業員等を参加者として実施した社員旅行が、実施日程が2泊3日であること、従業員のほぼ全員が参加していることなどから、A社が負担した旅行費用は、従業員に対する経済的利益(給与)として課税されるべきではない旨主張しました。
しかし裁決では、社内旅行が基本通達にいう社会通念上一般的に行われていると認められるものに当たるか否かの判断にあたっては、少額の現物給与は強いて課税しない(少額不追求)という基本通達の趣旨からすれば、従業員の参加割合、参加従業員の費用の負担額ないし両者の負担割合よりも、参加従業員の受ける経済的利益、すなわちレクリエーション行事における使用者の負担額が重視されるべきと指摘しました。
そこでA社が負担した従業員1人あたりの旅行費用約24万円は、海外への社員旅行を実施した企業の1人あたりの平均会社負担金額を大きく上回る多額なものであるから、少額不追求の観点から、強いて課税しないとして取り扱うべき根拠はないものといわざるを得ないとして、A社の旅行については、社会通念上一般的に行われているレクリエーション行事の範囲内と認めることはできないとの判断を示しています。

平成23年9月1日更新分②

『収入印紙の交換や印紙税の還付』
国税庁は、収入印紙の交換と印紙税の還付について、1)収入印紙を現金に交換することはできない、2)貼り付けた部分を切り取ったり、用紙からはがしたりしたものは交換や還付が受けられないとして、注意を呼びかけています。収入印紙の交換については、郵便局において、未使用の収入印紙や白紙・封筒などに貼り付けられた収入印紙と他の収入印紙との交換を行っていますので、これらの収入印紙を郵便局へ持参の上、ご相談を。
未使用の収入印紙が交換の対象ですが、汚れた収入印紙や損傷している収入印紙は、偽造防止等の観点から交換の対象となりません。また、白紙・封筒や行政機関に対する申請・届出の際に提出する申請書等の文書(登記申請書やパスポート引換書など)のような、客観的にみて明らかに課税文書でないものに貼り付けた収入印紙は、交換の対象となります。なお、交換の際には1枚につき5円の交換手数料(10円未満の収入印紙はその半額)が必要です。
一方、印紙税の還付について、税務署では、契約書や領収書などの印紙税の課税文書に誤って過大に収入印紙を貼り付けてしまったような場合には、過誤納金として還付を行っていますので、収入印紙が貼り付けられた文書を税務署の法人課税部門(間接諸税担当)へ持参し、相談すればいいでしょう。ただし、契約書を作成した後にその契約が解除・取消されたものや、すでに公布された領収書や手形などは還付の対象とはならないので注意が必要です。
還付の対象となるものは、1)請負契約書や領収書などの課税文書に貼り付けた収入印紙が過大となっているもの、2)委任契約書などの課税文書に該当しない文書を課税文書として誤認して収入印紙を貼り付けてしまったもの、3)課税文書の用紙に収入印紙を貼り付けたものの、使用する見込みのなくなったものです。なお、高額な収入印紙については、税務署で一旦預かる場合もあるようです。

平成23年8月1日更新分①

『10%への引上げ時期は2010年代半ば』
政府・与党社会保障改革検討本部は6月30日、「社会保障・税一体改革案」を決定し、7月1日の閣議に報告しました。注目の消費税率の引上げ時期については、当初案の「2015年までに10%へ引上げ」から、「社会保障給付の規模に見合った安定財源の確保に向け、まずは、2010年代半ばまでに段階的に消費税率(国・地方)を10%まで引き上げ、当面の社会保障改革にかかる安定財源を確保する」と、具体的な実施時期を避ける表記となっています。
消費税収を主たる財源とする社会保障安定財源の確保について、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うとし、社会保障給付に要する公費負担の費用を消費税収を主要財源として確保します。今後、高齢者3経費を基本としつつ「制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用」に充当する分野を拡充、社会保障の安定財源確保に向け、消費税収の規模とこれらの費用の関係を踏まえ、国・地方合わせた消費税収の充実を図るということです。
また、消費税収(国・地方、現行分の地方消費税を除く)は、全て国民に還元し、官の肥大化には使わない、消費税を原則社会保障の目的税とすることを法律上、会計上も明確にすることを含め、区分経理を徹底する等、その使途を明確化する(消費税収の社会保障財源化)としています。さらに、将来的には社会保障給付にかかる公費全体を消費税収(国・地方)を主たる財源として安定財源を確保し、社会保障制度の一層の安定・強化につなげていくそうです。
具体的には、2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げ、国・地方合わせて、「機能強化」にかかる費用、高齢化の進行等により増大する費用及び基礎年金国庫負担2分の1を実現するために必要な費用、後代に付け回しをしている「機能維持」にかかる費用及び消費税率引上げに伴う社会保障支出等の増加に要する費用を賄うことにより、社会保障の安定財源確保を図る、としています。

平成23年8月1日更新分②

『ゴルフ接待費用は業務遂行上直接関連ない支出と判断』
ゴルフ費用が、不動産所得の計算上、接待交際費に該当するか否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は不動産貸付業務の遂行に直接関係のない費用であると認定し、審査請求を棄却しました。
この事件は、不動産貸付業を営む請求人の所得税・消費税の申告に対して、原処分庁が接待交際費の計上に偽りその他不正の行為及び隠蔽・仮装の行為があったと認定し、更正処分、重加算税等の賦課決定処分をしてきたことが発端になったものです。
そこで請求人は、ゴルフ費用は(1)賃貸物件の補修の必要性や家主に対するクレームを把握してそれに対応することで、優良テナントに長く貸し付けることができることを目的に、テナントの代表者等にゴルフ接待を行うための支出であり、(2)種々の情報を得て不動産の購入を容易にし、購入資金の融資の点でも有利になるよう、かつての勤務先の銀行の後輩等に対するゴルフ接待を行うための費用であったと主張して、その取消しを求めていました。
これに対して裁決は、請求人が接待の相手方と主張する者のうち、(1)請求人の主宰法人が所有する不動産のテナントは業務の遂行と直接関係なく、賃貸物件の補修の必要性やクレーム等を把握するためにゴルフをする必要があったとは認められない、(2)かつての勤務先の銀行の後輩から間接的に不動産貸付業に有益な情報が得られる場合があるとしても、業務の遂行上直接必要であったとまでは言い難く、さらに(3)ゴルフクラブの会員として、毎回相当回数のプレーをし、その大半を女子プロと2人でプレーしていること、接待交際費と主張する各相手先とのゴルフについても女子プロを同伴させている事実等を把握し、あくまで請求人の趣味・嗜好としてのゴルフに支出された家事上の経費であると評価せざるを得ず、必要経費に算入することはできないと判断して、審査請求を棄却しています。
(国税不服審判所、2010・04・22裁決)

平成23年7月1日更新分①

『控除できる貸倒れ』
東日本大震災の影響により被災地の取引先企業に対する売掛債権などについて貸倒れが生じることが予想されます。法人税法上、法人の有する金銭債権や売掛債権について、一定の事実が発生した場合には、貸倒れとして損金算入できます。また、消費税法上においても、課税事業者が課税資産の譲渡等を行って、その売掛債権について一定の貸倒れが生じた場合には、その貸倒れが生じた日の属する課税期間に消費税額を控除できます。
税法上、貸倒損失が認められる事実は、法人税法上、消費税法上ともに同様です。それは、(1)債権の全部または一部が民事再生法などの法的手続きにより切り捨てられた場合(法律上の貸倒れ)、(2)債権の全額が債務者の資産状況、支払能力等からみて回収不能となった場合(事実上の貸倒れ)、(3)債務者との取引停止後、1年以上経過した場合等(形式上の貸倒れ)、のいずれかに該当すれば貸倒損失が認められることとされているわけです。
法人税法上は、貸倒れが生じた金額を損金算入、消費税法上は、貸倒れが生じた課税期間の課税標準額に対する消費税額から貸倒れに係る消費税額を控除できます。例えば、売掛金42万円(税込み)について貸倒れが生じた場合、「42万円×4/105=1万6000円」を貸倒れが生じた課税期間の課税標準に係る消費税額から控除できます(地方消費税相当「1万6000円×25%=4000円」を合計した2万円分だけ納税額が減額される)。
仮に、翌課税期間において売掛金を回収できた場合には、回収金額に係る消費税額をその課税期間の課税標準に係る消費税額に加算することになります。貸倒れに係る消費税額の控除の適用を受けるためには、貸倒れのあった事実を証する書類(民事再生法に基づく再生計画認可の書類など、客観的に貸倒れが生じたことが分かる書類)を、課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間保存しておく必要があります。
なお、売掛債権ではなく、金銭の貸付債権について貸倒れが生じた場合、法人税法上では損金算入の対象になりますが、消費税法上では、金銭の貸付は不課税取引となるため、金銭債権について貸倒れが生じたとしても、貸倒れに係る消費税額の控除の対象とはなりません。また、課税事業者が、免税事業者だった課税期間に係る売掛債権について、貸倒れが生じた場合は、消費税額の控除の対象とならないので注意が必要です。

平成23年7月1日更新分②

『東日本大震災への地震保険支払額6690億円に』
東日本大震災にかかわる地震保険の支払額は6690億円でした。日本損害保険協会はこのほど、東日本大震災に係る地震保険の支払状況をまとめました。同協会のまとめによると、5月12日時点における支払件数は34万5238件。支払総額は6690億円にのぼっています。
地区別の支払額は宮城県が3013億円(支払件数10万9801件)ともっとも多く、支払額全体の45%。次いで茨城県の973億円(同5万7946件)、福島県の824億円(同3万4951件)と続きます。
ところで、地震に伴い保険金を受け取った場合、保険の種類や契約形態によって税務上の取扱いが異なってくるので注意が必要です。たとえば地震保険の場合、保険金は建物の損害(全損、半損、一部損)に応じて支払われるが、いずれも所得税は非課税扱いです。

平成23年6月1日更新分①

『東日本大震災への税制上の対応の第一弾』
政府は4月19日、東日本大震災に伴う支援税制の緊急対応措置(第一弾)として「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律案」などの関連法案を午前に閣議決定し、同日午前に国会へ提出しました。雑損控除の特例や災害減免法による所得税の減免措置を前倒しで実施するほか、震災損失の繰戻しによる法人税額の還付などを盛り込んだ。主な国税関係の措置は次の通りです。
所得税関係では、(1)22年分所得の計算上、被災事業用資産の損失の必要経費への算入を可能とし、青色申告者は、被災事業用資産以外の損失を含め22年分所得で純損失が生じた場合、更に21年分所得への繰戻還付を可能とする、(2)被災事業用資産の損失による純損失の繰越可能期間を5年(現行3年)に延長し、保有資産に占める被災事業用資産割合が1割以上の場合、被災事業用資産以外の損失を含め繰越可能な純損失の繰越期間を5年とする。
法人税関係では、(1)平成23年3月11日から24年3月10日までの間に終了する事業年度で、法人の欠損金額のうちに震災損失金額がある場合には、その震災損失金額の全額について2年間まで遡って繰戻還付を可能とする、(2)23年3月11日から24年3月10日までの間に中間期間が終了する場合、仮決算の中間申告により、震災損失金額の範囲内で、法人税額から控除しきれない利子・配当等に係る源泉所得税額の還付を可能とする。
資産税関係では、(1)住宅取得資金の贈与税の特例の適用を受けようとしていた住宅が、大震災により滅失して居住できなくなった場合には、その住宅への居住要件を免除する、(2)法律の施行の日の翌日から33年3月31日までの間に、大震災により滅失・損壊した建物に代えて新築または取得する建物及びその敷地の用に供する土地に係る所有権の保存登記等に係る登録免許税を免税とする。
そのほか、「大震災関連寄附に係る寄附金控除の拡充」や「被災した船舶・航空機の再建造等に係る登録免許税の免税」、「建設工事の請負に関する契約書等の印紙税の非課税」、「被災自動車に係る自動車重量税の特例還付」、「被災者の買換え車両に係る自動車重量税の免税措置」など、阪神・淡路大震災時にはなかった支援税制を拡充しています。

平成23年6月1日更新分②

『大企業の青色欠損金等の繰越控除限度額』
青色欠損金等の繰越控除制度は、特定の期に税務上の欠損金が発生した場合、その欠損金を7年間繰り越し、翌期以降の課税所得との相殺で税負担が軽減されます。同制度は、青色申告書を提出しなかった事業年度で生じた欠損金額のうち震災、風水害、火災等の災害により棚卸資産、固定資産及び繰延資産について生じた損失の金額にも適用できますが、2011年度税制改正で、繰り越せる欠損金額が繰越控除前の所得金額の80%とされる予定です。
青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度及び青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度における控除限度額が、繰越控除をする事業年度のその繰越控除前の所得の金額の100分の80相当額となります。また、連結欠損金の繰越控除制度の控除限度額については、その繰越控除をする連結事業年度の連結所得の金額の100分の80相当額となります。
例えば、欠損金発生年(欠損額200万円)で、翌期以降所得金額が100万円発生した場合、これまでは繰り越した欠損金200万円のうち100万円を翌期の所得100万円と相殺し、残り100万円を2年目に繰り越すことができましたが、改正により翌期に生じた所得100万円の80%、80万円と相殺し、20万円の課税所得が生じることになります。このようにして、2年目には欠損金120万円を繰り越し(80万円を相殺、欠損金残高40万円)ていきます。
ただし、中小法人については、現行の控除限度額が存置されることとなっています。同制度の適用を受ける中小法人の範囲は、(1)普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの(資本金の額が5億円以上の法人による完全支配関係がある法人を除く)、(2)公益法人等、(3)協同組合等、(4)人格のない社団等、です。

平成23年5月1日更新分①

『地震で広がる支援の輪』
東日本大震災を受けて日本中で被災地支援の輪が広がっていますが、国税庁では、募金団体を通じた義援金等に係る税務上の確認手続きについてホームページ上で詳しく示しています。
国や地方公共団体などに寄付した場合には、以前から税制上の優遇措置が設けられています。個人が支出する寄附金については「寄附金控除」の対象となり、所得金額の40%または寄附金の額のいずれか少ない方の金額から2千円を控除した金額を所得から控除可能です。法人が支出する寄附金については、その金額が損金算入の対象となります。
国税庁では、個人または法人が、災害に際して募金団体に義援金等を寄付する場合でも、その義援金等が最終的に国や地方公共団体に拠出されるものであることを税務署が確認できれば、「国等に対する寄附金」として税制上の特典を受けるとしています。
この場合、税務署における「確認」の手続きが緩和されている点についても強調しています。具体的には、その義援金等が最終的に国、地方公共団体に拠出されるものであることが新聞報道、募金要綱、募金趣意書等で明らかにされており、そのことが税務署において確認されたときには、その義援金等は「国等に対する寄附金」に該当するものとして取り扱われます。

平成23年5月1日更新分②

『申告が間違っていたときの手続き』
2010年分所得税の確定申告は3月15日に終了しましたが、確定申告をした後で計算誤りなど申告した内容に間違いがあることに気づいたときは、申告した内容を改めることになります。税額を少なく申告していたときは、「修正申告」をして正しい税額に修正します。また、税額を多く申告していたときは、「更正の請求」によって、納めすぎた税金を還付してもらうことになります。
修正申告によって新たに納付する税額には、法定納期限(2010年分の所得税は3月15日、個人事業者の消費税等は3月31日)の翌日から完納する日までの期間について延滞税がかかります。延滞税の割合は、法定納期限の翌日から2ヵ月を経過する日までの期間は、年4.3%(2011年中)、納期限の翌日から2ヵ月を経過した日以降の期間は年14.6%となります。
ただし、過少申告加算税は、申告期限後でも、納税者が自主的に修正申告すればかかりません。しかし、税務調査や税務署の指摘などがあって不足税額を払う場合は、新たに納めることになった増加税額の10%相当額の加算税がかかり、増加税額が、期限内申告税額または50万円のいずれか多い金額を超えるときは、その超える部分については15%相当額となります。余分な税金を支払わないためにも申告内容の再チェックが必要でしょう。
一方、税金を払いすぎてしまった場合は、原則として法定申告期限から1年以内であれば、更正の請求をして納め過ぎた税金を還付してもらうことができます。更正の請求ができる期間は、2010年分の所得税については来年の3月15日まで、個人事業者の消費税については来年の4月2日までとなります。税務署は、更正の請求書が提出されると、その内容を調査し、その請求内容が正しいと認められれば、納めすぎの税金を還付します。

平成23年4月1日更新分①

『2011年中の贈与は現行税率と新税率との選択性』
2011年度税制改正では、若年世代への早期資産移転をより一層促進するため、相続税の見直しと併せ、相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率構造が見直されます。具体的には、現行10%から50%までの6段階となっている暦年課税の超過累進税率を10%から55%までの8段階にした上で、20歳以上の者が直系尊属から受けた贈与は、一般の贈与の場合と区別して税負担を軽減する特例が設けられます。
一般の贈与の場合は、現行は基礎控除後の課税価格が1000万円を超えると一律50%の税率が課されていましたが、新税率では、課税価格1000万円から1500万円までが45%に軽減される一方、1500万円超3000万円が50%、3000万円超は55%に強化されます。また、直系尊属からの贈与については、現行に比べ、課税価格400万円超から3000万円までは軽減され、3000万円超4500万円は50%ですが、4500万円超は55%と強化されます。
改正後の税率は、原則、今年1月1日からの遡及適用となりますが、贈与金額によっては、現行より税負担が軽減される場合と増加する場合とが出てきます。このため、2011年中の贈与については、納税者不利となる改正は遡及適用しないという原則から、改正前の税率と改正後の税率との有利なほうを選択適用できる経過措置が設けられます。つまり、改正後の新税率で税額が増加する場合は、改正前の旧税率で計算できるわけです。

平成23年4月1日更新分②

『死亡保険金の非課税枠縮小』
生命保険金の非課税限度額の計算をめぐり、「生計を一にしていた者」の範囲に関心が寄せられています。
生命保険金の非課税限度額とは、死亡保険金を相続した場合に相続税の計算上控除できる「500万円×法定相続人数」という非課税枠のことです。死亡保険金は本来、その受取人固有の財産ですが、税法上は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。
平成23年度税制改正では、この非課税限度額計算における法定相続人の範囲が、「障害者」「未成年者」「相続発生直前に被相続人と生計を一にしていた者」に限定されることになります。たとえば、夫婦子ども2人の4人家族で、夫の死亡により妻が1500万円の死亡保険金を受け取った場合、現行法では保険金の非課税枠は1500万円(=500万円×法定相続人3人)となるため相続税はかかりません。
しかし、子ども2人が上記の要件に当てはまらない場合、今回の税制改正によって非課税枠計算から外れるため、保険金の非課税枠は500万円(=500万円×法定相続人1人)となり、1千万円が課税対象となってしまいます。そこで、上記3要件のうち「生計を一にしていた者」の範囲に関心が寄せられているわけです。
一般的には一つ屋根の下で生活を共にしているかどうかが判断基準となりますが、必ずしも扶養を伴うものではなく、必ずしも同居していなければならないというものでもありません。「実際の住居の状態や生活費の負担状況、生活スタイルなどを総合的に見て個別に判断する」(税務署)ということです。

平成23年3月1日更新分①

『確定申告における納税義務者に係る注意点』
個人事業者の消費税等の確定申告はすでに1月4日から始まっていますが、その確定申告にあたって納税義務者に係る誤りやすい注意点があります。まず、納税義務者は課税期間(2010年)の基準期間(2008年)における課税売上高が1000万円を超える事業者などですが、2008年分において免税事業者だった個人事業者が納税義務の判定に当たって、売上高に105分の100を乗じて課税売上高を計算している誤りが見受けられます。
例えば、2008年分の売上高は1040万円だが、105分の100を掛けると約990万円だから、1000万円を超えないので申告しないといった具合です。ところが、免税事業者の売上には消費税が課されていないので、基準期間である課税期間に免税事業者だった場合の課税資産の譲渡等の対価の額は、その期間中に国内において行った課税資産の譲渡等に伴って収受し、または収受すべき金銭等の金額の全額となることに留意する必要があるわけです。
また、2010年分における基準期間の課税売上高を計算する際に、事業用資産の譲渡の対価の額を含めていないケースもみられます。例えば、住宅用として貸し付けていた建物であっても、その譲渡は課税の対象となるので、これらの金額を含めて判定しなければなりません。次に被相続人が提出した「消費税課税事業者選択届出書」の効力は、相続人には及ばないので、その適用を受けるためには、新たに同届出書を提出する必要があります。
そのほか、「消費税課税事業者選択届出書」を提出した者について、基準期間の課税売上高が1000万円を超えた場合には、同届出書の効力は消滅しません。その届出書を提出したことで課税事業者となった後の基準期間の課税売上高が1000万円を超えた場合であっても、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出しない限り、再度基準期間における課税売上高が1000万円以下になる課税期間においても、課税事業者になるので要注意です。

平成23年3月1日更新分②

『消費税は福祉目的税にすべきかでレポート』
第二次菅内閣の目玉として、与謝野馨元財務相が経済財政担当相に就任し、税制・社会保障改革を藤井裕久官房副長官と「二人三脚」で担うこととなりました。民主党は、年金のうち基礎年金部分を全額税方式(消費税)で賄うとのマニフェストを掲げ、6月を目途に成案を得、与野党を超えた協議を模索していますが、消費税を福祉目的税にすべきか、についてニッセイ基礎研究所がレポートを掲載しています。
それによると、財政再建のためには消費税率引上げが必要だということは、国民の間でも次第に理解されてきているが、その一方で、消費税を上げるのであれば使途を明確にして福祉目的税とすべきだとの主張も根強い。しかし、財政再建と増税分を福祉に使用することは両立するのだろうか。消費税率を上げても増税分をすべて使ってしまえば、歳入・歳出が両建てで膨らむだけでプライマリー・バランスは改善されないからである、というわけです。
高齢化の進展に伴い、高齢者関連の社会保障予算は自然増が見込まれるので、増税が必要だとの議論もあるだろう。しかし、現在のプライマリー・バランスが均衡しており、高齢者増加分を増税で手当てするというのであれば理解できるが、財政赤字が垂れ流し状態である以上、増税分を福祉の自然増部分に使うのは時間稼ぎにしかならない。財政赤字を無限に積み上げるわけにはいかないからだ。結局のところ、現行制度を温存したままでの増税は、その恩恵を受けるのが現在の高齢者世代だけということになりかねない。

平成23年2月1日更新分①

『23年度税制改正大綱が決定』
政府は12月16日、平成23年度税制改正大綱を決定しました。
焦点だった法人税減税は、国税の基本税率30%を25.5%に引き下げます。中小法人の年800万円以下の部分に係る軽減税率22%(特例18%)は19%(特例15%)に引き下げます。特例は23年4月から26年3月までの3年間の措置です。一方、減価償却制度を見直し、定率法の償却率を定額法の2.5倍から2倍に縮小します。
また、中小法人を除き欠損金の繰越控除限度額を80%に制限します。これに伴い繰越期間は9年(現行7年)に延長します。新設の雇用促進税制は、従業員のうち雇用保険一般被保険者数が前年度に比べ10%以上かつ5人(中小企業は2人)以上増加した場合に増加1人当たり20万円を税額控除します。
給与所得控除を見直し、給与収入1500万円を超えた場合の給与所得控除額に245万円の上限を設けます。役員の場合はさらに給与収入2000万円超から徐々に245万円の控除額を減らし給与収入4000万円を超えると125万円とします。勤務年数5年以下の役員の退職手当の課税も強化し、退職所得控除額控除後の残額を2分の1とする措置を廃止します。
上場株式等の配当・譲渡所得等に係る10%軽減税率は適用期限を2年延長します。これに伴い、少額上場株に係る配当・譲渡所得等の非課税措置の開始を2年遅らせ26年1月からの適用とします。23歳以上70歳未満の者に対する成年扶養控除の対象を、給与収入568万円以下の納税者を除き、65歳以上70歳未満や心身障害者等に限定します。
相続税の基礎控除を「3000万円+600万円×法定相続人」に縮小します。また、最高税率を50%から55%に引き上げます。相続税とともに贈与税の税率構造も見直します。消費税の事業者免税点制度適用の判定時期を見直し、前年(前事業年度)の前半6ヵ月の課税売上高が1千万円超の事業者は適用外とします。
このほか、地球温暖化対策税の創設や、納税者権利憲章の策定などを含めた納税環境整備など多くの税目にわたり大きな改正が盛り込まれた内容となっています。

平成23年2月1日更新分②

『成年扶養控除等の廃止』
総務省は、23年度の税制改正大綱に基づき地方税制の改正概要を公表しました。
個人住民税の改正ポイントは、所得税と連動する各種控除の見直しです。合計所得金額が400万円を超える納税者が扶養する、23歳以上70歳未満の成年扶養親族に対する扶養控除(33万円)は一定の負担調整措置が講じられたうえで廃止されます。
適用されるのは、25年分以後の個人住民税からです。ただし、障害者や要介護認定者、その他心身の状態等によって就労することが困難な扶養親族、65歳以上の高齢者、学生には適用されません。また、退職所得についても10%の税額控除制度が廃止されます。こちらは、24年1月1日以後に支払われる分から適用されることになっています。
文科・厚労両省による10月1日現在の共同調査によれば、来春、大学の卒業を予定する学生のなかで就職が内定している者の割合は57.6%と昨年同時期より4.9%悪化。政府の特命チームは「卒業後3年以内は新卒扱いに」という提言をまとめましたが、雇用情勢の改善がおぼつかないなかでの成年扶養控除廃止です。
さらに、東京都が12月22日に発表した都内の中小企業(従業員規模300人未満)の退職金調査では、大卒の平均が1408万円と2年前の1603万円に比べて約200万円のダウン。企業の業績改善も先行きがまだ見えないなかです。
今回の控除見直しは、就職もままならない子どもを抱えたり、定年退職を控える中高年サラリーマンにとって厳しい内容になったといえそうです。

平成23年1月1日更新分①

『16歳未満の控除対象扶養親族の変更』
平成23年より16歳未満の扶養親族に対する扶養控除が廃止されます。これに伴い、毎月の源泉所得税の計算において平成22年まで1人としてカウントしてきた16歳未満の扶養親族を0人としてカウントする(カウントしない)必要があります。
16歳未満の扶養親族は控除対象ではなくなりますが、この扶養親族が障害者である場合には、平成23年以降も障害者控除が受けられます。この場合には、これまでどおり扶養控除等(異動)申告書にて申告する必要があります。具体的には、扶養控除等(異動)申告書の下部の「16歳未満の扶養親族」欄に氏名等を記載するほか、中央部の「障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生」の欄にも障害者であることを記載する必要があります。16歳未満の扶養親族が控除対象とならないことで、障害者としての申告も対象とならないと勘違いしがちです。平成22年の年末調整の際に、平成23年分の障害者の申告が漏れていないかを確認しておくとよいでしょう。

平成23年1月1日更新分②

『年金所得者の申告不要制度などを検討』
税制調査会、2011年度税制改正において、関係機関から要望されていない項目で、納税者の立場に立つとともに、適正な課税を推進するために必要とされる項目を検討しました。そのなかで、年金収入及び年金以外の所得が一定額以下の者の申告手続きの簡素化や、申告義務のある者の還付申告書の提出期間の見直しなどが検討項目として挙げられています。
年金所得者は年末調整制度がないので、確定申告により税額の計算を行う必要があり、事務負担となっています。そこで、年金所得者の申告手続きの簡素化及び給与所得者との手続きのバランスの観点から、年金収入及び年金以外の所得が一定額以下の者について確定申告を不要とする制度の創設を検討します。また、年金所得者に係る源泉徴収税額の計算において控除対象とされている人的控除に加え、新たに寡婦(夫)控除を追加します。
一方、申告義務のある者の還付申告書の提出期限の見直しでは、所得税の確定申告書の提出期間が納付申告・還付申告のいずれも翌年の2月16日から3月15日までと定められていますが、還付申告については、還付金の早期還付等の納税者利便の観点から、その提出期間の始期を翌年1月1日とすることも検討課題です。還付申告については、実際上は1月から申告を受け付けており、これを法定化することになります。
そのほか、(1)事務所等の移転があった場合の源泉所得税の納税地の見直し、(2)法定調書の光ディスク等による提出義務の創設、(3)金地金等の譲渡の対価の支払調書制度の創設、(4)一時所得の計算上控除する保険料の明確化、(5)棚卸資産の切放し低価法の廃止、(6)消費税における免税事業者の要件の厳格化、(7)仕入税額控除制度におけるいわゆる「95%ルール」の見直し、などが検討項目として挙げられています。

事務所概要

事務所名
税理士法人  い そ べ
所在地
山口県宇部市常藤町2番21号
電話番号
0836-21-3161
FAX番号
0836-31-1580
業務内容
・税務・経理・財務・会計・決算に関する業務
・独立、開業支援に関する業務
・経営相談・コンサルティング
メールアドレス
isobe-keiri@tkcnf.or.jp

中国税理士会所属