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【税務】令和4年度税制改正。減価償却資産の償却方法

 2021年12月10日に令和4年度の税制改正大綱が公表され、賃上げ税制や住宅ローン控除の見直しなどが盛り込まれました。

 その改正の中に『少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度等の見直し』という項目が含まれており、減価償却資産の取扱いに影響がありました。

 この記事では、令和4年度税制改正の内容を踏まえた上で、基本に立ち返って減価償却資産の償却方法について確認していきます。


1.令和4年度税制改正について

1)令和4年度税制改正の内容

まずは、今回の税制改正『少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度等の見直し』により、どのような影響が生じたのでしょうか?

今回の改正は、『ドローン節税』と呼ばれる、決算期末に利益対策として(性質としては利益の繰り延べ)利用されていた方法に蓋をする意図をもって改正されました。2019年2月14日法人税基本通達の改定(バレンタインショック)によって蓋をされた生命保険節税の代替として広まっていた方法です。

 『ドローン節税』を初めて聞いたという方向けにドローン節税の概要を記載致します。

少額のドローンを複数台購入し損金計上を行い、購入したドローンを操縦資格の取得をするためのスクールなどの事業者に貸し出し、レンタル料収入を得ます。このドローン節税、短期間で事業の見通しが立てやすいことから今までは利用されている方が多くいらっしゃいました。

 上記の方法で取引されていたドローンは税込10万円未満のものを主としています。税法における「少額の減価償却資産」の取扱いにおいて、通常1単位として取引される単位が10万円未満であるものは、要件を満たせば損金化できるということがその理由でした


2)令和4年度税制改正の影響

話を戻しまして、改正の影響を具体的に見ていきたいと思います。

 令和4年度税制改正により、上記方法で購入した10万円未満のドローンは全額を即時損金化できなくなりました。つまり、従来のようなドローン節税はもう出来ません。

(※節税目的ではなく、リース事業やレンタル事業を主要な事業として行っている場合(リース会社など)は従来通り、取得価額を損金算入可能です。)



以下税制改正部分の抜粋

◆10万円未満の減価償却資産について
「少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度について、対象資産から、取得価額が10万円未満の減価償却資産のうち貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供したものを除外する(所得税についても同様とする)。

付随して、減価償却資産には20万円(一括償却資産)、30万円(少額減価償却資産の特例)もございますが、こちらも令和4年度税制改正により制限を受けております。

◆20万円未満の減価償却資産について(これのみ3年均等償却)
一括償却資産の損金算入制度について、対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産を除外する(所得税についても同様とする)。
◆30万円未満の減価償却資産について
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産を除外した上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする)。

以上のように、過度な節税方法は改正という形で蓋をされてしまうことが往々にしてございます。そもそもこういった方法は、減価償却資産の償却方法を理解し、最適な方法を選択し、それでも何か方法がないか?という時の苦肉の策として利用される最終手段ではないかと考えております。

ですが、減価償却資産の償却方法を理解といっても、その方法は少々難解かつ複雑ですので、ここで改めてその一端に触れていきたいと思います。


2.償却(費用化)について再確認!新たな気づきも?

 減価償却資産の内容を一からご説明することは、今回の記事ではとても足りませんので、概略化させて頂きます。

減価償却の方法には以下の2通りがございます。


 ①資産として計上し、法定耐用年数により期間按分し償却していく方法(一般の固定資産)

 ②即時償却をする方法(30万円未満)


今回は令和4年度改正内容に関係のある、「②即時償却をする方法(30万未満)」についてを確認していきたいと思います。


1)30万円未満の固定資産の償却方法

「②即時償却をする方法(30万未満)」は、取得した資産の金額によって【少額の減価償却資産】と【一括償却資産】のどちらかに該当します。

少額の減価償却資産

使用期間が1年未満と短期間のもの、または取得価額が10万円未満の少額のものがそれにあたります。取得価額はセットで考えますので、例えば、カーテンの場合は、1枚で機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされて機能するものですから、部屋ごとにその合計額が10万円未満になるかどうかを判定します。

一括償却資産

 取得価格が10万円以上20万円未満の固定資産について個別に減価償却をしないで使用した年から3年間にわたり、資産の取得価格の3分の1を必要経費に計上していくものです。

※【少額減価償却資産】※中小企業のみ

中小企業取得価額30万円未満の場合は《中小企業者等の少額減価償却資産の特例》により、30万円未満の固定資産までは【少額減価償却資産】という方法を選択することもできます。

《中小企業者等の少額減価償却資産の特例》についての詳細は、下記サイトをご参照ください。

No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁 (nta.go.jp)
(引用国税庁タックスアンサーより)

上記で説明した判定を図示致しますと以下のフローチャートのようになります。

フローチャート

減価償却フローチャート

2)一括償却資産は償却資産税がかからない

上記フローチャートの「10万円以上20万円未満」のところに注目です。中小企業で取得価額が10万円以上20万円以下の場合、【一括償却資産】にするか【少額減価償却資産】にするかを選択することが可能です。

この場合、中小企業の特例である【少額減価償却資産】を利用すればいいのでは?と考えられると思いますが、【一括償却資産】を選択した方が地方税の部分でメリットが生じます。

それは、【一括償却資産】を選択した場合は償却資産税の対象にならない。という点です。


実は、会社が使用する資産は、10万円を超えたものに対しては税金がかかります。

(その総額が150万円を超えた場合)

そのため、【一括償却資産】を選択すると償却資産税の負担が軽減されるというメリットが

あります。

10万円を超えた資産の総額が150万円を超えそうだ!となった場合は一考する価値があるかもしれません。

ちなみに税率は1.4%です。


参考例)償却資産150万円の場合

1,500,000円×1.4%=21,000円 

税額 21,000円


3.まとめ

減価償却資産の償却方法について改めて確認されると、新たな気づき(一括償却資産の償却資産税算定除外など)もあったのではないでしょうか?今回取り上げていない一般の固定資産についても、様々な方法があります。例えば、巷で良く取り上げられている『社用車は4年落ちの中古車がおススメ!』といった方法は具体的に何がおススメなのか?などお伝えしきれていない情報はまだまだございます。

上記に係ることに限らず何か知りたいこと、お困りごとがございましたら、ぜひ北島会計へお問い合わせください。



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