【税務】「税務調査が変わる?」国税システム変更の影響をチェック!2026.10.14更新
いつもお世話になっております。
長雨が続き、すっきりしない天候の日も多くなっておりますが、少しずつ秋の気配を感じるころとなりました。
今回は、令和8年9月に、国税システム「KSK」が変更されたことにより経営者が気を付けなければいけないことはあるのか?について触れていきたいと思います。
KSKとは「国税総合管理システム」のことで、国税庁が申告・納税情報等を管理するために利用している基幹システムです。
今回、このシステムが「KSK2」へと大きく変更されました。
単なるコンピューターの入れ替えではなく、税務行政における情報の扱い方そのものを見直すものです。
経営者の皆様にとって一番気になるのは、税務調査への影響かと思います。結論から申し上げるとKSK2の導入によって、税務調査の手続き自体が突然変わるわけではありません。
しかし、税目をまたいだ情報の一元化やAI-OCRによるデータ化が進み、申告数字の矛盾や違和感がより精度高く抽出されるようになります。経営者に求められるのは特別な対策ではなく、「申告した数字の根拠と理由を正しく説明できる状態」を整えておくことです。
今回は上記をを中心に、3つのポイントにわけて解説します。
※本稿は執筆時(2026年10月5日)の情報を基に作成をしております。そのため、最新の情報とは異なる場合があることをご了承ください。
最初に結論を申し上げますと、KSK2によって、税務署が保有する申告・納税情報や資料情報を、税目をまたいでデータとして活用しやすくなります。
国税庁によれば、KSK2の開発コンセプトは、大きく3つあります。
一つ目が「紙からデータへ」。
二つ目が「税目ごとの縦割りの解消」。
三つ目が「メインフレームからオープンシステムへの変更」です。
(国税庁:Ⅲ 納税者サービスの充実と行政効率化)https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/report/2024/03_5.htm
これまでのKSKも、全国の国税局と税務署をネットワークで結び、地域や税目を越えて申告・納税情報等を管理する重要なシステムでした。
KSK2では、これをさらに発展させ、申告・納税情報だけでなく、法定調書等の資料情報も含め、さまざまな情報をデータとして扱いやすくする仕組みが整えられています。
また、国税庁の資料では、蓄積された決算事績や資料情報等を多角的に分析し、税務調査対象の選定や滞納整理対象者の抽出を支援することも、KSKを活用した税務行政の機能として示されています。
(国税庁:国税関係(賦課・徴収)事務 全項目評価書)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/kokuji/tokutei_hyouka.htm

次世代システムのイメージ
(国税庁:Ⅱ 納税者サービスの充実と行政効率化のための取組)https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/report/2021/02_6.htm
つまり、KSK2のポイントは「新しいシステムになった」ということだけではありません。
従来の法人税、所得税、資産税などの「縦割り」システムから、税目の枠を超えて一元管理されることにより、申告漏れの可能性が高い納税者がより高い精度で判定されるようになります。
さらに、今回のシステム更改ではAI-OCRも導入されます。
国税庁は、書面で提出された申告書や申請書等について、AI-OCRによって文字を読み取り、データ化・イメージ化する仕組みを整備しています。令和8年9月時点では、AI-OCR化の対象帳票について1,936帳票分の確定版が公開されています。
(e-tax:国税システムの更改に伴うe-Taxの仕様公開と送信試験)
https://www.e-tax.nta.go.jp/shiyo/ksk2/ksk2_shiyo.htm
これまで紙で扱っていた情報についても、データとして蓄積・活用しやすくなります。
こうした流れによって、税務行政全体が少しずつ「紙を見て処理する」世界から「データを蓄積して活用する」世界へ移っていくことになります。
KSK2の稼働によって税務調査の基本的な手続きが突然変わるわけではありませんが、税務署側では、複数の情報を関連付けて確認・分析しやすくなります。
まず、誤解のないようにしておきたいのは、「KSK2が稼働したから、税務調査の方法が突然変わる」ということではありません。
ですが、税務署側の「情報の使い方」は、今までに比べて効率的になっていくと考えられます。
例えば、ある法人について税務調査を行う場合、法人税の申告内容だけを見るのではなく、
・消費税の申告内容
・源泉所得税に関する情報
・法定調書等の資料情報
・過去の申告内容
・その他、税務署が保有する関連情報
等を関連付けて確認しやすくなります。
これは、税目ごとに別々に確認するよりも、「会社全体として数字に矛盾がないか」を確認しやすくなるということです。
例えば、
・会社ではこの金額を支払っていることになっているが、関連する資料と一致しない
・法人側の処理と、役員個人側の申告内容に食い違いがある
・過去の申告内容と比べて、特定の項目だけ大きく変化している
・売上や仕入の計上時期が、請求書や入金記録と一致していない
・給与や外注費の処理と、源泉徴収や法定調書の内容が一致していない
といった点について、確認しやすくなることが考えられます。
もちろん、数字が違っているからといって、それだけで申告が間違っているとは限りません。
取引にはそれぞれ事情がありますし、会計処理や税務上の判断によって数字が変わることもあります。
重要なのは、「違いがあること」そのものよりも、「なぜ違っているのかを説明できるか」ということです。
さらにKSK2では、調査先等の庁舎外からもシステムにアクセスできるようになり、税務調査等を効率的に行える仕組みが整備されています。
国税庁の説明でも、調査先等庁舎外からのシステム利用によって、調査等を効率的に行えることが示されています。
(国税庁:第29回 国税審議会 議事録)
https://www.nta.go.jp/about/council/shingikai/251208/gijiroku/index.htm
これにより、税務調査の現場で確認できる情報の範囲が広がり、調査事務そのものが効率化されることが考えられます。
ただし、ここで、「KSK2に変わったから税務調査が急増する」と考える必要はありません。
KSK2は、税務調査だけを目的としたシステムではありません。
納税者の利便性向上、課税・徴収事務の効率化・高度化等、税務行政全体をデジタル化するための基盤です。
KSK2は、「税務調査を厳しくするためのシステム」というより、税務行政全体を、よりデータを活用する仕組みに変えていくための基盤と考えた方が実態に近いでしょう。
特別な対策を始めるのではなく、申告した数字の根拠と、処理した理由を説明できる状態にしておくことが重要です。
KSK2が稼働したからといって、会社側で特別な対策等を始める必要があるわけではありません。
むしろ重要なのは、今まで以上に、「申告した数字の中身を説明できる状態」にしておくことが肝要です。
売上については、請求書だけではなく、銀行の入金、売掛金の残高、契約書等と照らし合わせて確認してみましょう。
特に決算期をまたぐ取引については注意が必要です。
「入金が翌期だったから翌期の売上」とするのではなく、実際にいつ商品を引き渡したのか、いつサービスを提供したのか等、取引の実態に基づいて判断する必要があります。
中小企業では、会社のお金と社長個人のお金が混在してしまうケースがあります。
役員貸付金や役員借入金、個人的な支出を会社が負担しているケース等については、
・何のためのお金なのか
・いつ発生したものなのか
・どのように精算するのか
を説明できるようにしておくことが重要です。
消費税についても、取引内容に応じた処理ができているか確認しておきたいところです。
課税・非課税・不課税の区分や、仕入税額控除の対象となるかどうか等、取引ごとに判断が必要になります。
インボイス制度の導入後は、適格請求書の確認や免税事業者の方との取引等、以前よりも確認事項が増えています。
税務調査では、領収書があるかどうかだけでなく、
・何のための支出なのか
・事業とどのような関係があるのか
・誰が、いつ、何のために支出したのか
といった点も確認されます。
高額な修繕費、広告宣伝費、接待交際費等、通常より金額が大きいものについては、領収書だけでなく、見積書、契約書、メール等も取引の内容を説明する資料になる場合があります。
例えば、
・通常とは違う大きな取引があった
・例年とは違って修繕費が大きくなった
・役員との間で特殊な取引があった
・新しい取引先との契約を開始した
・一時的な補助金や助成金を受け取った
といった場合です。
こうした場合には、「なぜこの処理になったのか」が分かる資料や簡単なメモを残しておくと、後から確認するときにも役立ちます。
これは税務調査のためだけではありません。
担当者が変わった場合や、数年後に過去の取引を確認するときにも、「なぜこうしたのか」が分かる資料は非常に役に立ちます。
実際に税務署から税務調査の通知を受けた場合には、調査当日を迎える前に準備をしておくことが重要です。
弊所では、税務調査の通知を受けた場合、調査当日を迎える前に、申告内容や会計処理を確認する等の事前準備や対策を行っています。
調査官の質問に対して、事前対策を行っていないとより緊張して、言わなくてもよいことまで語ってしまうことがあります。調査官に調査のヒントを与えてしまうことにもなりかねません。
具体的には、過去の申告内容や決算書、総勘定元帳等を確認しながら、今回の調査で確認される可能性が高い項目を洗い出します。
そのうえで、
・この項目について質問された場合、どのように説明するのか
・必要な資料は揃っているか
・会計処理や税務上の判断について、確認しておくべき点はないか
・過去の申告内容と現在の処理に一貫性があるか
等を事前に整理します。
もちろん、税務調査で確認される事項をすべて事前に予測できるわけではありません。
しかし、調査が始まってから慌てて資料を探したり、過去の取引を一から確認したりするよりも、あらかじめ申告内容を見直し、注意すべきポイントを整理しておくことで、落ち着いて調査に対応することができます。
税務調査は、会社にとって決して頻繁に経験するものではありません。
だからこそ、通知を受けた段階で「何を準備すればいいのか分からない」とならないよう、税理士と事前に打ち合わせをしておくことが大切です。
KSK2の稼働によって、税務署側では、申告・納税情報や資料情報等を、よりデータとして活用しやすい環境が整いました。
税目をまたいだ情報の連携や、蓄積された情報の分析、調査先でのシステム利用等によって、税務行政のデジタル化は今後さらに進んでいくでしょう。
改めてお伝えしたいことは、必要以上に身構えることはないということです。
大切なのは、「正しく申告すること」そして、「なぜ、その申告内容になったのかを説明できること」です。
これはKSK2が稼働したから突然必要になったことではありません。
これまでも税務申告において大切だった基本的な考え方です。
ただ、税務署側のデータ活用が進んでいく中では、これまで以上に意識しておきたいポイントと言えるでしょう。
「去年も同じ処理だったから大丈夫」ではなく、「今年の取引実態に合った処理になっているか」「その処理について、資料を使って説明できるか」という視点をもちましょう。弊所においても、月次の監査時点から、調査目線で経理処理の確認を行い、対策を講じております。
そして、実際に税務調査の通知を受けた場合には、調査当日を迎える前に申告内容を見直し、確認される可能性のある項目を整理しておくことも大切です。
弊所も、こうした事前準備から入念に対策を行い、万全の体制を整えて税務調査に対応しております。
改めて、KSK2の稼働を一つのきっかけとして、今一度、自社の経理や申告について見直してみてはいかがでしょうか。
顧問先の方以外でも、上記含め税務調査の対策相談も随時受け付けております。
「初めての税務調査で何をしたらいいのかわからない」
「税務調査にどう対応したらよいか不安」
「過去の申告内容に問題がないかチェックしてほしい」
といった場合には、是非お声かけ頂ければ幸いです。
【執筆者情報】

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税理士法人北島綜合会計事務所
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監修者情報:税理士法人北島綜合会計事務所
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