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皆さんは住宅ローン控除をご存じでしょうか。
正式には住宅借入金等特別控除という名称の制度です。
ここでは、2021年度の税制改正による住宅ローン控除の変更点と、2022年以降の展望について解説させていただきます。
※本記事の情報は2021年度税制改正に基づいて執筆しております。
金融機関から住宅ローンを組んで住宅を取得する際に取得者の金利負担を軽減するため、一定額を所得税の額から控除されます。
控除額は、毎年度末の住宅ローンの残高か住宅取得対価の内、少ない方の金額の1%の額です。また年間の所得税額から控除しきれない場合は住民税からも控除されます。
但し上限もあり、令和3年現在の借入については控除される上限は50万円までとなっています。
2021年度税制改正により、住宅の取得等が特別特例取得又は特例特別特例取得に該当する場合は11年目以降も適用が受けられます。
※特別特例取得(注1)その住宅の取得等が特別特定取得(消費税10%に上がってからの取得のことです)に該当する場合で、当該住宅の取得等に係る契約が次の期間内に締結されているものをいいます。
・新築(注文住宅)の場合・・・令和2年10月1日から令和3年9月30日までの期間 ・分譲住宅、中古住宅の取得、増改築等の場合・・・令和2年12月1日から令和3年11月30日までの期間 |
※特例特別特例取得(注2)…特別特例取得に該当する場合で、床面積が40平方メートル以上50平方未満の住宅の取得等をいいます。
(注1)新型コロナ税特法6条の21、新型コロナ税特令4条の21
(注2)新型コロナ税特法6条の24、新型コロナ税特令4条の22
いずれの場合も控除期間のうち最初の10年間については年間の控除上限額は40万円(長期優良住宅などの場合は50万円)ですが、11~13年目については、控除限度額は次の①と②のうち少ない方となります。
①年末残高(上限5000万円)×1%
②住宅取得価格―消費税(上限5000万円)×2%÷3
期間だけでなく、適用要件の緩和も行われました。
これまでは住宅ローン控除の対象となる住宅は床面積が50平方メートル以上の住宅だけでした。
しかし2021年度税制改正より、消費税率10%の住宅を取得する人については、40平方メートル以上の住宅も控除の対象とされることになりました。
※当床面積要件緩和適用は、その年の合計所得金額が1000万円以下の方に限られます。
これまでは住宅ローン控除の適用対象外だった50平方メートル未満の、例えばコンパクトマンションなども対象となったことで住宅ローン控除の適用範囲が拡大したといえますね。
細かい条件は省略してご説明していますが、それでも以上のように条件分けが複雑です。
以下財務省の「住宅ローン減税制度の概要」です。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/063a.pdf
前述のように借入金残高の1%も税金が減るのですから大きいですよね
でもよく考えると…最近は金融機関の金利引き下げ競争も激化しており、1%以下で貸して貰える住宅ローンも数多く耳にされませんか?
そうしますと「繰上返済する余裕はできたけど…住宅ローン控除のことを考えると利息を払ってでも返済しない方がトクかな!?」ということになります。
実質的にマイナス金利で住宅ローンを借りられることになってしまいました。
これが住宅ローン控除のいわゆる「逆ザヤ」問題です。
会計検査院とは国の予算が適正に使われているかどうかを監視している機関です。
ここが、平成30年度の決算結果報告にて、
「(1)住宅税制租税特別措置の適用状況 ア 住宅ローン控除特例の適用者の住宅ローンの借入金利の状況 住宅ローン控除特例の適用期間において住宅ローンの借入金利が住宅ローン控除特例の控除率である1を下回る場合には、住宅ローン控除額よりも課される所得税額の方が少ない場合等を除き、毎年の住宅ローン控除額が住宅ローン支払利息額を上回ることになる。 また、住宅ローンの借入金利が低くなるほどその差額は大きくなる。 このため、住宅ローンの借入金利が住宅ローン控除特例の控除率である1%を下回る場合には、住宅ローンを組む必要がないのに住宅ローンを組む動機付けになったり、住宅ローン控除特例の適用期間が終了するまで住宅ローンの繰上返済をしない動機付けになったりすることがある。」 (会計検査院 「平成30年度決算報告の概要」(令和元年11月8日)p.383より引用) |
として懸念を示しています。
そこで自民党・公明党は「令和3年度税制改正大綱(抄録)」で、
「こうした会計検査院の指摘をふまえ、住宅ローン年末残高の1%を控除する仕組みについて、1%を上限に支払利息額を考慮して控除額を設定するなど、控除額や控除率のあり方を令和4年度税制改正において見直す」(自由民主党、公明党 「令和3年度税制改正大綱」(令和2年12月10日)p.7より引用)と明記しています。
2022年度の税制改正にて控除額や控除率が引き下げられる可能性は高いと言えるでしょう。
以上のように引き下げがある前提で申し上げるならば、以下の期間内に住宅の契約を締結すべきと言えるでしょう。
契約時期:新築注文住宅=2021年9月30日、分譲住宅・既存住宅・増改築=2021年11月30日まで 入居時期:2022年12月31日まで |
もっとも、飽くまで2022年税制改正に盛り込まれる可能性が高いという現状であり、さらに正に衆院選の公示がありましたが、総選挙の結果次第とも言えます。
確実に現行制度の適用を受けたい場合以外は、慎重にご検討いただくことをお勧めします。
住宅ローン控除を利用するためには、購入・入居した翌年に確定申告を行う事が必須となります。(会社員などの給与所得者は、2年目以降については「住宅ローン控除等申告書」と「住宅ローン年末残高証明書」を提出することで、年末調整で手続きを行うことができます。)
北島会計では、確定申告のご依頼もお受けしておりますので、確定申告でお困りの方は是非一度弊所へお問い合わせください。
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