住宅の購入はよく「人生で一番高価な買い物」と言われます。
しかし、購入前の判断がその後10年以上の税負担を左右することもあり、購入後に「あのときこうしていれば…」と後悔される方が後を絶ちません。
特に住宅関連の税制は毎年のように改正され、要件も複雑化しています。
そのため「ネットで調べた情報が古かった」「自分のケースには当てはまらなかった」という落とし穴にはまりやすいのが実情です。
本記事では、住宅ローン控除を中心に、住宅取得前に必ず押さえておきたい税務上のポイントを2026年3月時点の最新情報を用いてわかりやすく整理します。
購入後に取り返しがつかなくなる前に、本コラムにぜひ一度目を通してみてください。
住宅ローン控除は、一定の要件を満たす住宅ローンの年末残高に応じて所得税から(所得税だけでは控除しきれない場合、翌年の住民税から)納税額を限度に控除を受けられる制度です。
控除額の恩恵は大きく、累計控除額が車1台分になるというケースも少なくありません。
2026年の住宅ローン控除に関する内容も3月31日に参議院本会議で可決・成立しましたが、省エネ性能による借入限度額の差等、要件は年々複雑化しています。本稿では2026年度の制度を前提に記述しますが、購入年によって適用条件が異なるため、必ず最新情報をご確認ください。

2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅で住宅ローン減税を受ける場合、長期優良住宅やZEH水準の住宅等、省エネ性能によって控除額が優遇されます。
なお、新築で証明書が無い場合は「その他の住宅」となり、住宅ローン控除の対象外となる点に注意してください。
入居した年の12月31日時点で、
・19歳未満の子を有する世帯
・夫婦のいずれかが40歳未満の世帯
のどちらかに該当する場合は、表のカッコ内の金額が借入限度額になります。
適用要件として、家屋の床面積は40㎡以上である必要があります。判断基準となる床面積は「登記事項証明書」に表示されている床面積により判断されます。
また、控除を受ける年の合計所得金額が1,000万円を超える場合や、子育て世帯等の上乗せ措置を利用する場合は、床面積要件が50㎡以上になります。
新築と既存住宅(中古・買取再販・リフォーム等)はで借入限度額等が異なります。
既存住宅では個別要件が多いため、ここでのご紹介は割愛させていただきます。
(以下国税庁リンク)
中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-3.htm
買取再販住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-2.htm
増改築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-4.htm
要耐震改修住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-5.htm
控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下である必要があります。
合計所得金額が2,000万円を超える年分のみ、控除を受けることはできません。
店舗や事務所等事業と併用する場合は、総面積の割合に応じて住宅ローン控除の適用が異なりますのでご注意ください。
居住用部分と店舗部分とを按分して、居住用部分がおおむね90%以上である場合には、全体を居住用として扱います。
居住用部分が50%以上90%未満の場合は、按分計算の結果居住用部分の割合が住宅ローン控除の対象となります。 居住用部分が50%未満の場合は住宅ローン控除の対象外となります。
今まで住んでいた自宅を手放して新しい自宅を購入した場合は注意が必要です。
確定申告で特例等を適用して譲渡所得を申告した場合は、以下の表を参考にしていただき、住宅ローン控除と併用ができるかをご確認ください。

父母や祖父母等直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、贈与税が非課税となります。

本制度を利用する場合は、受贈者の贈与税申告が必要となります。その際に以下の要件も必要となりますので確認が必要です。

尚、住宅取得等資金の贈与を受けた場合、住宅ローン控除は次のうち金額が少ない方を元に計算されます。
・住宅ローンの年末残高
・住宅の取得対価(土地の対価も含む)から、新非課税制度等の適用を受けた部分の金額を差し引いた額
住宅の所有形態や持分割合は、住宅ローン控除の適用範囲や控除額の算定に直接影響します。誤ってしまった場合、想定していた控除が受けられなくなったり、思わぬ贈与とみなされることもあります。
ここでは、所有形態ごとの税務上の取扱いと、登記で特に注意すべき点を整理します。
購入資金負担者:1名
登記:1名で単独名義
住宅ローン控除対象者:資金負担者1名100%
【ポイント】
登記も住宅ローン控除対象者も資金負担者1名となります。
住宅ローン控除の借入限度額を超える住宅を購入した場合、超えた部分の金額は住宅ローン控除の計算の対象外となります。
例として、借入の総額が6000万円で借入限度額が4500万円の住宅の場合は4500万円を元に住宅ローン控除を計算します。
※住宅ローンの借り入れの際に連帯保証とした場合は、「単独所有」になります
連帯保証人は債務者がその住宅ローンの弁済ができなくなった場合に、連帯してその住宅ローンの返済にあたる義務を負うものであるため、住宅ローン控除を受けることはできません。
購入資金負担者:共有所有者全員
登記:共有所有者全員の負担割合に応じた持分
住宅ローン控除対象者:共有所有者全員の負担金額に応じて適用
【ポイント】
住宅ローン控除は、それぞれの負担金額に対し適用することが可能です。
借入限度額もそれぞれに割り当てられますので、1名分の借入限度額を超える住宅を購入した場合でも、住宅ローン控除の恩恵を全額受けられる可能性があります。
※ペアローンや連帯債務の場合は共有所有に該当します
購入資金負担者:区分所有者全員
登記:区分所有者全員の負担割合に応じた持分
住宅ローン控除対象者:区分所有者全員の負担金額に応じて適用
【ポイント】
例えば親と子の2世帯住宅にて、それぞれの居住スペースに応じてそれぞれの登記を行う場合が挙げられます。
◆登記で特に注意すべき点◆
共有所有、区分所有の各項目にて、登記は「負担割合に応じた持分」とご説明させていただいております。
しかし、中には誤った登記を行ってしまってしまい、みなし贈与として問題が生じるケースがございます。
例えば、夫婦で5,000万円の自宅を購入し、夫が3,000万円、妻が2,000万円のペアローンを組んだ場合、実際の出資割合は夫60%、妻40%となります。
しかし、登記の際に便宜上、夫婦それぞれ50%ずつの共有名義としたとします。
このように登記上の持分割合が実際の負担割合と異なる場合、税務上は「実態と異なる権利移転があった」と判断されます。上記の例ですと、妻が負担している金額との差額の500万円がみなし贈与として、贈与税の課税対象となるおそれがあります。
また、住宅ローン控除を利用している場合には、控除額が実際の負担割合と一致しないとして、控除内容の修正や減額を求められる可能性も否定できません。
住宅購入時には、登記における持分が実際の負担割合と整合しているか、事前に十分な確認が重要です。
相続時の土地評価額は、「小規模宅地等の特例」が適用できるか否かよって大きく変わってしまうことがあります。
小規模宅地等の特例とは、被相続人(亡くなった方)の自宅や事業用土地を相続する際、最大330㎡まで土地の評価額を80%減額できる制度です。
本制度は、例えば被相続人が100%所有している土地に被相続人と子で居住する2世帯住宅があるケースにおいては、原則的に住宅が共有所有では小規模宅地等の特例を適用することができますが、区分所有では適用することができません。
登記方法以外にも建物の用途や、生計を一にしているか等のいくつかの要件を考慮する必要があるため、注意が必要です。
住宅購入は人生の大きな節目であり、同時に税務面での判断が将来の負担を大きく左右します。住宅ローン控除、名義、相続対策等は、いずれも「購入前の準備」が結果を大きく変えるポイントです。
しかし、制度は毎年のように改正され、要件も複雑化しています。ご自身で調べても、最新情報にたどり着けなかったり、個別事情に当てはめるのが難しいことも多いものです。
私たち会計事務所では、
・住宅購入前の税務相談
・住宅ローン控除の適用可否チェック
等、購入前からのサポートを行うことが可能です。
購入してから後悔しないために、ぜひ住宅取得をご検討の段階で一度ご相談ください。
最適な選択ができるよう、専門家として全力でサポートいたします。
さらに、住宅ローン控除の適用には、初年度の確定申告が必要です。
サラリーマンの方も、毎年確定申告を行っていらっしゃる方も、住宅ローン控除の申告は一生に一度きりというケースも多く、不安な方が多いかと存じます。
また、住宅は購入時だけでなく、売却時の譲渡所得や将来の相続においても大きく税務が関わる資産です。「人生で一番高価な買い物」である住宅だからこそ、取得から将来の売却・相続までを見据えた総合的な視点が重要です。
大切な資産に関する申告・ご判断は、ぜひ専門家である私どもにご相談ください。安心して将来設計ができるよう、長期的な視点でサポートいたします。
北島会計の確定申告の料金については
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