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税務お役立ちコラム(第1回~第10回)

第21回~第30回
第11回~第20回

こちらでは相続、贈与以外に関する税務関係のお役立ちコラムを掲載していきます。

第10回 源泉徴収

■源泉徴収とは

特定の所得について、予め所得税を差し引き、国に治める制度を源泉徴収と言います。
特定の所得とは、例えばわかり易いものでいうと給与です。雇用側である会社は従業員に給与を支払う前に、給与から所得税を差し引き預かります。預かった所得税を一定期日に税務署に納付します。

確定申告を「しなくてはいけない人」

■源泉徴収義務者の範囲

基本給与※1や報酬など源泉対象となる所得を支払う時、支払う側の会社、個人、団体など全て者に源泉徴収義務が発生します。
但し、以下の2つが当てはまる場合、源泉徴収義務は発生しません。

① 常に2人以下の家事使用人(家政婦さんやお手伝いさんなど)だけに給与や退職金を支払っている個人
② 給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている個人

また、特定の国際機関等については、源泉徴収義務がありません。
詳しくは国税庁ホームページ又は、専門家までお問合せ下さい。

※1 通勤手当や旅費等は一定額までは非課税となります。

■納期特例

源泉徴収された所得税は、基本給与等から差し引いた月の翌月10日までに納付しなくてはいけません。
毎月の業務になるので、担当者の負担は少なからずあると思います。
納期特例とは、従業員数が常時10人未満の会社であれば、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署へ提出し、申請することで、所得税の納付を毎月から半年に1回の年2回にすることが出来る特例です。
業務の負担軽減にもつながるので、従業員数が常時10人未満の会社は検討してみてはいかがでしょう。

■甲乙丙とは

社員の給与計算をする際、甲欄・乙欄・丙欄という言葉を目にすると思います。
これから給与計算等にかかわる方以外はあまり関係ないかもしれませんが、甲乙丙それぞれの該当者は以下の通りになります。

甲欄:「給与所得者の扶養控除等申告書」※2を提出している人
⇒一般的に正社員と言われる人が該当します。

乙欄:「給与所得者の扶養控除等申告書」※2を提出していない人
⇒給与を2か所以上の場所から支給され、別の会社で「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出ている人が該当します。
例)会社役員で他の会社からも給与をもらっている

丙欄:日雇賃金を受ける人(1か所の勤務先から継続して2か月を超えて給与等が支払われた場合には、丙欄から外れます)
⇒勤務が2か月以内の日雇いの労働者などが該当します。
例)短期のアルバイトやパートの方

※2 その年に扶養している家族を事前に報告する書類

■まとめ
源泉徴収は雇用側には手間のかかる作業ですが、従業員などの納税者側の負担は大幅に軽減される制度になります。
今回は計算方法などを省略していますので、源泉徴収の計算などわからないこと、不安なことは専門書の購入や専門家へ相談をおすすめします。

税務のお悩みはお気軽に戸田和民税理士事務所までご相談ください。

第9回 103万円の壁 

■103万円の壁

今回はなるべくわかりやすく103万円の壁について説明したいと思います。
103万円の壁とは例えば、夫がサラリーマンで、妻のパートによる年収※1が103万円以下であれば、

妻)収入に所得税は課税されない
夫)所得税の計算時に配偶者控除が受けられる※2

上記を受けることができるラインの事です。
※1 給与収入のみで他に収入がない場合
※2 5つの要件すべてに当てはまる人が対象です。5つの要件は本文後半で紹介しています

この103万円の壁を説明するにあたってよく出てくる単語「収入・控除・所得」について簡単に説明します。
「収入」とはその年の1月から12月までの給与や賞与など全て合わせた総額のことを言います。
この総額は給与の手取り額ではなく、源泉徴収などを行う前の金額のことです。
「控除」とは、差し引くということです。「○○控除」というものは、差し引くことが出来る金額になります。
「所得」とは、「収入」から「控除」を差し引いた後の金額です。「所得」と「収入」がごっちゃになってしまう方もいますが、税金の計算に必要な基礎単語となります。

確定申告を「しなくてはいけない人」

■所得税が課税されないの何故?

前述で妻のパートによる年収が103万円以下であれば、収入に所得税は課税されないとありましたが、何故課税されないのか説明します。

所得税は、所得金額に税率をかけ、控除がある場合は控除を差し引き算出します。
つまり所得税を出すには所得金額を計算しなければいけません。

所得を算出するのに必要になるのが「収入-控除=所得」です。
例として収入が103万円の主婦の場合で算出してみます。

「収入」は103万円なので、次に控除を出します。
給与所得は「収入」から「給与所得控除」を差し引いて算出できます。控除額は下の表Aから確認します。表Bは参考事項で、令和2年分以降は表Bへ変更されます。

確定申告を「しなくてはいけない人」

表Aから103万円の場合は、赤枠矢印になるので、当てはめて計算します。
103万円×40%=41.2万円
41.2万円は65万に満たないので、給与所得控除額は65万円
103万円から65万円控除すると残りは38万円となるので、給与所得額は38万円になります。

確定申告を「しなくてはいけない人」

更にここから基礎控除を差し引きます。
基礎控除は、現状ほかの所得控除のように一定の要件に該当する場合に控除するというものではなく、一律に適用されます。令和2年分以降は表Dのように要件が発生します。

確定申告を「しなくてはいけない人」

今回は一律の38万円で計算します。
先程算出した給与所得額38万円から基礎控除38万円を差し引きます。
給与所得は差引0円になるので、所得税は課税されません。

確定申告を「しなくてはいけない人」

■配偶者控除

配偶者控除とは、控除対象となる配偶者がいる場合に、一定の金額の所得控除が受けられることです。
控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の5つの要件すべてに当てはまる人です。

① 民法の規定による配偶者※3であること
② 納税者と生計を一にしていること
③ 年間の合計所得金額が38万円以下※4であること(給与収入の場合103万円以下)
④ 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、又は白色申告者の事業専従者でないこと
⑤ 控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であること

※3 内縁関係の人は該当しません
※4 令和2年分以降は48万円以下であること

上記に当てはまる人は、納税者本人の合計所得金額、及び控除対象配偶者の年齢により下記の表Eで控除額を判断します。
配偶者が障害者の場合には、配偶者控除の他に障害者控除27万円、特別障害者の場合は40万円、同居特別障害者の場合は75万円が控除できます。

確定申告を「しなくてはいけない人」

※5 老人控除対象配偶者とは、控除対象の配偶者がその年12月31日現在の年齢70歳以上の人をいいます

■注意点

収入が103万円以下であっても、100万円を超えている場合※6住民税は課せられますので注意しましょう。
さらにパート収入が103万円以下であっても、生命保険の一時金などの収入がある場合は、一時金等も収入に当たるので、103万円を超えてしまいます。
その年1月から12月末までに入ったお金は全て収入として計算されますので注意しましょう。
※6 年収100万円以下であっても住民税が課せられる自治体もあります

■まとめ

今回は103万円の壁を紹介しましたが、他にも社会保険の106万円、130万円の壁や、配偶者特別控除の150万円の壁などがあります。
現代はネットでも簡単に調べられますが、ネットの情報が最新かどうか、専門用語や表の見方等でわからないことも多いと思います。
「たぶん」や「だろう」で判断し、いざ算出してみると103万円を超えていることもあるかもしれません。
ネットだけでなく専門書や専門家の無料相談などを活用してみるのも一つの方法だと思います。

税務のことでわからないことは、お気軽に戸田和民税理士事務所までご相談ください。

第8回 確定申告をしなくはいけない人・した方がいい人

■サラリーマンの確定申告

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の『申告納税』または『還付申請』をする手続きの事です。
確定申告は、会社で年末調整を行っているので関係ないと思っている方もいるようですが、これから挙げる条件に当てはまる方は確定申告を『しなくてはいけない人』もしくは『した方が得する人』かもしれません。
特に『しなくてはいけない人』は、申告し忘れた場合『加算税』や『延滞税』など、払わなくてもよかった税金を更に払うことになりかねますので注意しましょう。

■『しなくてはいけない人』の条件

条件は細かいものまであげるとややこしいので、よくある条件を4つご紹介します。

確定申告を「しなくてはいけない人」

◆2,000万円を超える給与収入があった方
会社勤めの方でも2,000万円の高額所得者は、年末調整の対象外となります。所得控除が考慮されなかったり、源泉徴収税額が概算額で計算されているので、申告が必要となります。

◆副業等で、20万円を超える収入があった方
当たり前ですが、勤めている会社以外での収入(副業)は、年末調整されません。20万円以上の副業所得は、確定申告の義務が発生します。

◆2か所以上から給与をもらっている方
2か所以上から給与をもらっている方も確定申告の義務が発生します。
ただし、一方の給与所得は年末調整の対象となり、もう一方の給与が20万円以下の収入の場合は確定申告義務はなくなります。

◆年の途中で退職したまま就職していない方
年の途中で退職し、就職せず12月末までどこの会社にも所属していない場合、年末調整ができないので、自分で確定申告をしなくてはいけません。

■『した方が得な人』の条件
こちらも主な条件4つをご紹介します。

確定申告を「した方が得な人」

※1  スイッチOTC医薬品・・・以前は医療薬であったもので、現在は市販薬として薬局でも買えるようになった薬

年間の医療費が原則として10万円を超えた方もしくは、特定の医薬品※1を年間1万2,000円超購入した方

1月1日から12月31日までに支払った医療費が10万円を超えた方は、その医療費の額を基に計算した金額分控除されます。この10万円には生計を一にする配偶者や家族の分も含めても構いません。
特定の医薬品(※1)を年間1万2,000円超購入した方というのは、平成29年1月1日から導入された「セルフメディケーション税制」という新しい医療費控除を使うことができます。ただし、その年に健康診断や予防接種を受けた方が対象となりますので注意しましょう。こちらも生計を一にする配偶者等の領収書も一緒に計算できます。

◆ふるさと納税を6か所以上寄付した方
近年よく聞くふるさと納税をすると、寄付金控除が受けられます。寄付した金額の合計から自己負担額2,000円を引いた額を寄付金控除※2として申告できます。
ただし、会社員で5か所以内のふるさと納税をしている方は、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用でき、確定申告をする必要がなくなります。

◆住宅ローン控除を受けたい方
住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで居住用の建物の購入・増改築をした時、一定の条件を満たせば、一定期間ローン残高に応じた金額が所得税から差し引かれ、還付されるというものです。
1年目に自分で確定申告をおこなっていれば、2年目以降は勤務先の会社の年末調整で控除を受けることができます。

◆「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない方
退職金支給を受けた方で、「退職所得の需給に関する申告書」を提出されていない方は、退職金額に20.42%の税率で所得税が源泉徴収されます。多めに払ってしまった税金を確定申告で返還してもらえる可能性があります。

※2 控除額が還付されるわけではありません。

■まとめ

確定申告を『しなくてはいけない人』は、もし故意であろうが、過失であろうが、申告漏れがあった場合は『加算税』や『延滞税』などが課税されます。『加算税』も『延滞税』も通常なら課されることない税金です。
確定申告を『した方が得な人』も知らないうちに控除できた分も納税しているかもしれません。多く納税する分には何の罪もありませんが、高々数百円であろうと個人の大切な財産には変わりありません。

住民税もその分多く納税することとなります。
勤務先など他人に任せるのではなく、自分で自分の財産を考え、管理するためにも確定申告を見直してみてはいかがでしょう。

税金、確定申告等でわからないことは、お気軽に戸田和民税理士事務所までご相談ください。

※こちらの記事は『事務員Blog』に掲載されたものです。

第7回 消費税率等に関する経過措置

■消費税率の引き上げ

令和1年10月1日から、消費税率が8%から10%へ引き上げられる予定です。
その際、とられる経過措置の一部具体例をまとめてみました。

■経過措置

経過措置とは、消費税率の引き上げの際、一部の取り引きで生じる不都合や不利益を極力減らし、スムーズに税率の引き上げを行うために取られる一時的な措置のことを言います。軽減税率とは別物になります。
経過措置の概要は、主に以下の10の項目※1があげられます。

①旅客運賃等
②電気料金等
③請負工事等
④資産の貸付
⑤指定役務の提供
⑥予約販売に係る書籍等
⑦特定新聞
⑧通信販売
⑨有料老人ホーム
⑩特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に規定する再商品化等

※1 上記以外にリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例を受ける場合における税率等に関する経過措置などもあります。

■具体例

①旅客運賃等

例1)令和1年9月20日にネットで新幹線の乗車券をチケットレスで購入し、令和1年10月20日に乗車した場合
⇒旅客運賃等の適用条件は平成26年4月1日から令和1年9月30日までの間に領収したかどうかなので、たとえチケットがなかったとしてもこの場合は消費税率8%が適用されます。

例2)令和1年9月20日にICカードに現金をチャージし、令和1年10月20日に乗車した場合
⇒ICカードにチャージされた時点では、乗車券を購入したことにならないため、この場合の消費税率は10%となります。

②電気料金等

例3)令和1年9月以前から月々の携帯電話の料金を20日締めで、基本料(定額)プラス付加機能利用料及び通信料の合算で支払っていた場合
⇒10月20日で締めた9月分の携帯料金は、消費税率が8%となります。

例4)令和1年10月から新規で契約した場合
⇒令和1年10月1日から令和1年10月31日までの間に料金の支払いが確定したものでも、31年施行日前から継続して提供されていないので、消費税率は10%となります。

例5)使用量に関係なく、定額料金で支払っている場合
⇒電気料金等の経過措置を受けるには、「継続供給契約に基づき、令和1年10月1日から令和1年10月31日までの間に料金の支払いを受ける権利が、検針その他これに類する行為に基づきその役務の提供にかかる料金の支払いを受ける権利が確定するもの」とあります、
今回の例5)の場合、検針等により料金支払いを受ける権利が確定するものではないので、消費税率は10%となります。
ただし、多段階定額制(使用量Aまでは○○円、使用量Aを超えた場合は△△円)という場合は、使用量に応じて料金の支払いが確定するので、消費税率8%の経過措置対象となります。

③請負工事等

例6)経過措置が適用される建設工事で、値増金(資材の値上がり等に応じて請負代金を増額する場合の増額分の金額)が発生した場合
⇒増税前平成31年3月31日以前に契約した請負工事は経過措置対象なので、消費税率は8%となります。ただし、値増金は、建設工事の対価の一部を構成するものなので、工事代金が増額したと判断します。増額部分についての消費税率は、建設工事の目的物の引渡しの時の税率が適用されることとなりますので31年施行日以後に引き渡しの場合、消費税率は10%となります。

④資産の貸付

例7)「消費税率の改正があったときは、改正後の税率による」という旨の契約の場合(26年指定日と31年施行日の前日までの間に契約、施行日前から引き続き当該契約に係る資産の貸付けを行っている)
⇒まず、資産の貸付の経過措置適用要件は、平成25年10月1日から平成31年3月31日までに締結したもので、31年施行日前から引き続き当該契約に係る資産の貸付けを行っている場合(一定の要件に該当するものに限る)と掲げられています。「一定の要件」というのは下記の3点です。
A: 当該契約に係る資産の貸付期間及びその期間中の対価の額が定められていること。
B: 事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと。
C: 契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと並びに当該貸付けに係る資産の取得に要した費用の額及び付随費用の額(利子又は保険料の額を含む。)の合計額のうちに当該契約期間中に支払われる当該資産の貸付けの対価の額の合計額の占める割合が 100 分の 90 以上であるように当該契約において定められていること。
当該契約の内容が平成25年10月1日から平成31年3月31日までに締結したもので、31年施行日前から引き続き当該契約に係る資産の貸付けを行っていて、上記の「A及びB」又は「A及びC」に掲げる要件に該当するときは、施行日以後に行う当該資産の貸付けについては、旧税率が適用されます。
例7)の場合、「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨の定めは、一定の要件の「事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定め」に該当しないものとして、経過措置が適用され、消費税率は8%となります。
なお、経過措置の対象となる資産の貸付けについて、31年指定日以後に「消費税率の改正があったときは、改正後の税率による」という旨に基づき、賃貸料を変更した場合には、変更後の資産の貸付けについては経過措置の対象となりません。

⑧通信販売

例8)31年指定日以前から販売価格等の条件提示をしているショッピングサイトで7月20日から7月30日に限りのセールが行われた。セール後もとの販売価格に戻った後、商品を注文したが、商品の引き渡しが令和1年施行日以降だった場合
⇒セールを行ったことで、セール後もとの販売価格に戻したとしても、新たに販売条件を提示したこととなり、経過措置の適用から外されます。消費税率の判断は、「商品の引き渡し日」が基準となるので、商品の消費税率は10%となります。
なお、施行日前令和1年9月30日に商品の引き渡しとなった場合は、施行前なので8%の消費税率となります。

■まとめ

なるべく一般の方でも関係がありそうな経過措置を例としてあげましたが、会社の経理上の処理を10%で処理すべきなのか8%で処理すべきなのか判断が難しいという場合もあると思います。

税務のことでわからないことは、お気軽に戸田和民税理士事務所までご相談ください。

※こちらの記事は『事務員Blog』に掲載されたものです。

第6回 ふるさと納税2

■ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、簡単にいうと本来住んでいる地域と国に払うはずの税金を応援したい自治体に寄附ができる制度のことです。
ふるさと納税を利用することで、自分の故郷だけではなく、被災地など応援したい自治体に寄附ができます。寄附の用途も指定が出来るので、寄附金が何に使われるかが予め分かった状態で寄付ができます。更に2,000円の自己負担金で、さまざまな地域の返礼品をもらうことができます。

■ふるさと納税のメリット・デメリット

青色申告と白色申告の違い比較表

上記の表だけ見るとデメリットの方に比重があるのでは!?と思うかもしれませんが、このデメリットは必ずしもデメリットになるわけではありません。
人によってはメリットになることもあります。正しくふるさと納税を理解し、納得した上でふるさと納税の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

■デメリットを正しく理解する

1. 節税になるわけではない
ふるさと納税は、本来住んでいる地域と国に払うはずの税金を応援したい自治体に寄附ができる制度のことです。もともと払う税金を自分の好きな地域に納税するということなので、節税というわけではありません。
寄附なので、控除分税金が安くはなりますが、寄附をする分お金を払っているので正確には節税というわけではありません。
ただ、欲しかった、食べたかった特産品などが、2,000円の自己負担で買えるわけなので、節税と言えなくても節約にはなるのではないでしょうか。

2. 控除上限を超えた場合は損になる
ふるさと納税はあくまで寄附した金額から自己負担額の2,000円を除いた金額を所得税や住民税から控除できる制度です。従って、納めている税金以上の控除はできません。寄附する人の納める税金によって控除できる金額も変わってきます。
納める税金以上のふるさと納税は、お金が出ていくだけで損をすることになります。
自分はどれだけ寄附が出来るかしっかりシミュレーションしてからすすめていく方がいいと思います。

3. 一時的に家計を圧迫する
ふるさと納税は自己負担額の2,000円で返礼品も来ますし、税金も控除されますが、住民税の控除は翌年6月以降とされているので、早い時期にふるさと納税された方は、控除されるまでは家計を圧迫しているように感じてしまうかもしれません。
ふるさと納税をして、しっかり手続きをしていれば控除されないことはないので損をしているわけではありませんが、ふるさと納税は先に支払いがあり、控除は後からという事をしっかり認識しておきましょう。

4. 手続きが手間
ふるさと納税で所得税からの控除(還付)と、住民税からの控除(減額)を受けるには、確定申告を行う必要があります。
通常、勤め先で年末調整を行っている人は確定申告を行う必要がありませんが、ふるさと納税の控除を受けるには確定申告が必要になります。
平日仕事をしている方にとって、この確定申告という作業は少し手間と思うかもしれません。
この確定申告の手間を軽減するために2017年4月から導入されたワンストップ特例制度というものもあります。この制度を利用すれば、確定申告を行わず、住民税から全額控除(減額)を受けることができます。
ワンストップ特例制度の利用条件が以下の3点になります。
 確定申告が不要な人
 1年間で寄附先は5自治体まで
 納税を行った翌年の1月10日までに書類を提出
ワンストップ特例制度を使えば、確定申告は不要になりますが、確定申告のように年1回の申請ではなく、寄附の都度、各自治体に申請書を提出しなくてはいけません。申告期限も確定申告より2ヶ月程早い1月10日までとなっています。
どちらが申請しやすいかは申請方法をよくお調べになった上でお考え下さい。

4つのデメリットをご紹介しましたが、正しく理解すればそこまでデメリットと感じない方もいると思います。
しっかり調べて、納得した上でふるさと納税をするかしないか、どの方法で申請するか選択をしてみてください。

税務のことでわからないことは、お気軽に戸田和民税理士事務所までご相談ください。

※こちらの記事は『事務員Blog』に掲載されたものです。

第5回 青色申告と白色申告

■青色申告と白色申告

青色申告と白色申告は、それぞれ確定申告の種類のひとつです。
青色か白色かで、帳簿の付け方や控除など変わってきます。
人によっては、だいぶ納税金額か変わる場合もあります。

■青色申告と白色申告の違い
【表1】

青色申告と白色申告の違い比較表

※1.特別控除(65万円)を受けるにはいくつか要件があります。
●事前に青色申告の承認を受けること
●事業所得、不動産所得、山林所得であること
●確定申告を期限内に提出すること
●複式簿記で帳簿付けすること
●発生主義で帳簿付けすること(期中現金主義、期末発生主義でも可)
●貸借対照表・損益計算書を作成すること
2020年分以後の青色申告特別控除額が65万円から55万円に引き下げられます。
ただし、現行の要件に次の①又は②のいずれかの要件を満たせば、今まで通り65万円の控除が受けることができます。
①電子帳簿保存法の適用を受け、電子帳簿で保存
②電子申告により確定申告書等を期限内に提出する
※2.給与所得があった場合は源泉徴収票が必要です。

白色申告は事前申請が不要なので、申請書の作成という負担がありません。
しかし、青色申告と違い特別控除等の優遇がありません。同じ単式簿記で帳簿を作成するなら10万円控除できる青色申告のほうが節税できます。
「青色申告決算書」は、白色申告の「収支内訳書」に加えて、月ごとの収入・仕入れの金額、貸借対照表(資産負債調)などを作成します。
「青色申告決算書」と「収支内訳書」を比べると、「収支内訳書」の方が記入欄は少なく、記入の手間とういうのは白色申告の方が少ないと思われます。

■青色申告と白色申告のメリット・デメリット
【表2】

青色申告と白色申告のメリット・デメリット

申告について比較すると、65万円の特別控除を受ける場合は、複式簿記で記帳し、貸借対照表等を用意しなくてはいけませんし、【表1】でもあった事前申請を踏まえると、青色申告するには白色申告に比べると手間がかかります。
しかし、白色申告のメリットは手間の部分だけとも言えます。10万円の特別控除に関していえば、そのメリットも薄れます。青色申告の10万円控除は白色申告と同じ単式簿記での記帳です。事前申請の手間はありますが、同じ単式簿記記帳というならそこまで手間は変わらないと思います。
赤字の繰越しに関しては、繰越しが出来る・出来ないで税金が大きく変わる場合があります。
前年が100万円の赤字で、今年が200万円の黒字の場合、白色申告では今年の黒字200万円に税金が掛かります。対して、青色申告は赤字の繰越しが出来るので黒字分の200万円から前年の赤字分100万円を引き、残った100万円に税金がかかることになります。赤字の繰越しができれば、節税になる会社もあるのではないでしょうか。

節税効果

■まとめ
事業所得、不動産所得、山林所得の方は、手間はかかりますが、青色申告の方が節税効果を見込めるでしょう。最初から複式簿記の65万円特別控除というのは難しくても、10万円特別控除なら白色申告と同じ単式簿記で出来ます。事前申請などの手間はありますが、10万円の控除が受けられるならそこまでの手間にはならないと思います。
複式簿記も覚えるまでが大変かもしれませんが、覚えてしまえば、青色申告の65万円特別控除を受けられ、事業の経営状況も一目で把握することができるようになります。
複式簿記を覚えることで得を感じる方は少なくないと思います。
簿記は覚えられないけど、青色申告にしたいという方は税理士など、専門家に頼んでみるのも一つの手段です。

税務のことで何かわからないことがありましたら、お気軽に戸田和民税理士事務所までご相談ください。

※こちらの記事は『事務員Blog』に掲載されたものです。

第4回 軽減税率制度の導入

2019年10月の消費税率引き上げと同時に軽減税率制度が開始されます。
これに伴い、標準税率は10%(消費税率7.8%、地方消費税率2.2%)、軽減税率は8%(消費税率6.24%、地方消費税率1.76%)となります。
軽減税率軽度とは字の通り、税率を軽減する制度です。
軽減税率の対象は酒類、外食(※1)を除く飲食料品と週2回以上発行される新聞(※2)です。

【図1】

(※1)ケータリング等も除外対象です。「医薬品」、「医薬部外品」及び「再生医療等製品」も対象外となります。
(※2)定期購読契約に基づく新聞のみになります。週2回以上コンビニで新聞を買っている等は当てはまりません。

ケータリング等の一部例外として、有料老人ホーム等での食事、1食あたり640円以下で、1日の合計の食事代が1,920円までは軽減税率の対象となります。学食や社食等は対象外です。

図1左下の「一体資産」とは、食品と食品以外のものが一体となっている商品のことです。
例えば、おもちゃ付きのお菓子などが当てはまります。

 一体資産は一部が軽減税率の対象になっていますが、対象となるのは、税抜価額が1万円以下で、食品の価額の占める割合が2/3以上の場合のものに限ります。それ以外は全体が標準税率の対象となりますので注意しましょう。

■適格請求書保存方式(インボイス制度)の導入

2023年10月1日から適格請求書保存方式(インボイス制度)が導入されます。インボイス制度が導入されると、課税事業者が発行する適格請求書(インボイス)に記載された税額のみを控除することができるようになります。

インボイス制度の導入で気を付けるべきこと
① インボイスを発行できるのは適格請求書発行事業者のみ(※3)
② 適格請求書発行事業者は、取引相手の求めに応じ、インボイスの交付及び、交付したインボイスの写しを保存する義務がある
③ 買手側は、一定の場合(※4)を除き、一定の事項を記載した帳簿(※5)及び請求書等の保存がなくては仕入税額控除を受けられない
※3. インボイスを発行できる適格請求書発行事業者は、課税事業者のみが税務署へ申請書を提出し登録することができます。
※4. インボイス等の交付を受けることが困難な以下の場合は帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。
a. インボイスとして記載事項を満たす入場券等で、使用の際に回収されてしまう取引
b. 古物営業、質屋又は宅地建物取引業を営む事業者が適格請求書発行事業者でない者から、古物、質物又は建物を当該事業者の棚卸資産として取得する取引
c. 適格請求書発行事業者でない事業者から再生資源又は再生部品を棚卸資産として購入する取引
d. 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当等に係る課税仕入れ
※5. 従来の① 課税仕入れの相手方の氏名又は名称、② 取引年月日、③ 取引の内容、④ 対価の額に加えて⑤ 軽減税率の対象品目である旨を記載し保存する必要があります。

適格請求書発行事業者の売手は、軽減税率の対象品目の有無にかかわらず、取引先からの求められた場合は、インボイスを交付し、交付したインボイスの写しを保存する必要があります。インボイスには「適格請求書」と「適格簡易請求書」があります。適格請求書発行事業者に登録される売手側は、記載事項に沿ったインボイスの発行をしましょう。
買手側も、詳しくは書いていませんが、帳簿や請求書等の保存という負担が増えると予想されます。

2019年10月になってから軽減税率制度に備えるでは遅いと思います。2019年10月になるまでに、自分たちはどうするのか、どうすればいいのかしっかり考えて、今から2019年10月の軽減税率に備えておきましょう。

税金のことでわからないことは、お気軽に戸田和民税理士事務所までご相談ください。

※こちらの記事は『事務員Blog』に掲載されたものです。

第3回 収入がいくらから税金がかかる?

 2015年もあと残りわずか。会社員やパート、アルバイトをしている方は年末調整を行うために、扶養控除等申告書を提出する方も多いのではないでしょうか。
 特にパートやアルバイトの方ですと収入がいくらになると税金や社会保険料がかかるのか関心のある方も多いかと思います。今回はその点について解説していきたいと思います。

(税金)
・所得税については給与所得控除65万円がありますので年収が103万円以下であれば所得が38万円以下となるため、所得税はかかりません。
103万円超の収入の場合には、収入から給与所得控除等及び社会保険料控除・生命保険料控除等の控除額を差し引いた金額(所得)に税率(5%~45%)を乗じた金額が所得税となります。
 また、夫がサラリーマンの場合、妻の収入が103万円以下の時は、夫自身の所得計算で配偶者控除として38万円が受けられます。また妻の収入が103万円超141万円未満の場合にも配偶者特別控除として収入に応じて3万円~38万円の控除が夫の所得計算で受けられます。

・住民税は浜松市の場合ですと収入が96万5千円以下の場合にはかかりません。

(社会保険)
夫がサラリーマンで、妻がパートで働く場合に、パートの年収が130万円未満だと夫の社会保険の被扶養者になれるため、社会保険料(健康保険料、国民年金保険料)の負担はありません。パートの年収が130万円以上になった場合には夫の社会保険の扶養から外れて、妻本人が社会保険料を支払うことになります。
 また、法律の改正により平成28年10月から従業員501人以上の企業においては、年収106万円以上のパートなど短時間労働者にも厚生年金・健康保険の適用が拡大され、社会保険の対象になるので注意しましょう。

 収入については所得税の103万円の壁と、社会保険の130万円の壁があると言われます。所得税の場合は課税所得に比例して税額が増えていきますが、社会保険の場合にはこの130万円のラインを超えると一気に負担が増えるため、年間の収入金額を意識する必要があります。 また、平成28年1月からマイナンバー制度がスタートします。この制度が始まると配偶者のパート収入や扶養家族の子供のアルバイト収入についてもほぼ確実に把握されることになります。もし妻や子が103万円以上の収入があるのに夫の配偶者控除・扶養控除に入れて計算してしまうと実際の所得税より低い金額になってしまい、税務署から連絡がきて過少申告加算税を追加で払うことになったという事態にならないように注意しましょう。

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第2回 マイナンバー制度について

最近マイナンバー制度という言葉が聞かれるようになりました。テレビCMでもマイナちゃんというウサギが出てくるCMを見かけますが、どのようなものかを今回は確認していきたいと思います。

Q1.マイナンバー制度が導入されるとどうなるの?

A1方公共団体などで様々な情報の照合や入力などに要している時間や労力が大幅に削減され、より正確に行えるようになり行政が効率化します。
 ② 添付書類の削減など、行政手続が簡素化され、私たちの負担が軽減されます。また、情報提供等記録開示システムによる情報の確認や提供サービスを利用できるようになり国民の利便性が向上します。
 ③ 所得の状況や行政サービスの需給状況を把握しやすくなり、脱税や不正受給などを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細かな支援を行うことが可能になり、公平・公正な社会の実現に役立ちます。

Q2.どんなものにマイナンバーが使われるの?

A2.
個人については年金、雇用保険、医療保険の手続、生活保護や福祉の給付、確定申告などの税の手続きなど法律で定められた事務に限って、マイナンバーが利用されます。
   民間事業者では、社会保険、源泉徴収義務など法律で定められた範囲に限り、マイナンバーが利用されます。

Q3. プライバシーの保護はどうなっているの?

A3.
原則として個人情報保護法に加えマイナンバー法により守られます。情報の管理にあたっては、一元管理ではなく各機関で引き続き個人情報を管理し、必要な情報を必要な時だけやりとりする分散管理の仕組みになっており、個人情報がまとめて漏れるようなことはありません。
また、マイナンバーを不正に取得したり、故意に漏えい、盗用した場合などには厳しい罰則規程が定められています。

Q4.今後のスケジュールはどうなっていますか?

A4.
個人には平成27年10月から順次、住民票の住所宛てに「通知カード」が届きます。
 こちらのカードには個人番号と基本4情報(氏名、住所、性別、生年月日)が記載されています。
希望者が申請すれば、平成28年1月以降については個人情報と基本4情報がICチップに記録された顔写真付きの「個人番号カード」が交付されます。

Q5.企業の場合、今後どんな準備をすればいいの?

A5.
一般企業では社会保険や雇用保険、源泉徴収票や扶養控除等申告書などの従業員に関する書類に個人番号の記載が必須です。それ以外にも配当に関する法定調書や、家賃・地代の支払いに関する法定調書、報酬に関する法定調書などの作成のために個人番号を収集して書類に記載します。平成28年1月からはシステム対応できるように準備する必要があります。
また、個人番号については、取扱方法、責任者、事務担当者及びその任務等について定め、セキュリティ対策による不正アクセスの防止と、社内でも情報にアクセスできる者を制限するなど情報漏えい等を防止する対策が必要となります。
個人番号への対応は、総務、人事、経理部門での対応が主となりますが、従業員にも番号制度の概要や取り扱いについて研修などで啓蒙する必要があります。

※マイナちゃんのロゴは内閣府の許可を得て使用しております

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第1回 ふるさと納税

ふるさと納税という言葉をご存知ですか?

こちらは2008年から導入された制度で、任意の地方自治体に寄付をして、確定申告の際、寄付金控除をすることにより、その寄付した一定限度額(個人住民税所得割の概ね1割)までを住民税、所得税から税額控除できる制度です。
寄付金控除対象外となる2000円の負担は納税者にあるものの、最近は寄付をするとその自治体の特産品をお礼として受け取ることができることから、こちらの制度の利用者が増えております。

例えば浜松市においてはお茶、みかん、そしてウナギなど浜松らしいラインナップになっております。その他の自治体だとそば打ち体験や温泉入浴券、その地域で使える商品券など地域活性化を目指した、その街独自のユニークなものをお礼としている自治体もあるようです。

他にもその街を応援したいという本来の目的で寄付することもでき、その寄付金の使い方について例えば雇用、教育、防災、地域医療、地域文化など何に使うかを指定し、納税者の意思を街づくりに反映させることができることも魅力です。

今後の改正で平成28年度分以後については特例控除額を、個人住民税所得割額の2割(現行:1割)に引き上げられる予定です。また、現行制度では確定申告が必要ですが、平成27年4月1日からは「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が創設され、確定申告を行わない給与所得者等は、寄付を行う際、個人住民税課税市区町村に対する寄付の控除申請を寄付先の自治体が寄付者に代わって行うことを要請できるなどの制度が予定されており、ふるさと納税制度の利便性が向上することから今後も利用者が増えていくと予想されております。

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