※コラムについては、コラム中に記載がない場合は更新現在の規則・法則・状況にもとづいております。
~「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金等の一部を改正する等の法律」~
2025年6月に施行された年金制度改正法は、公的年金・私的年金制度の双方におおきな改正が含まれています。改正の施行時期はそれぞれ異なった期日となっており、事前に改正内容のイメージを掴んでおくことが大切です。
以下主な改正内容を6点挙げてみます。生活や実務に係る事項については、厚生労働省の案内等を読み注意して対応をとってください。
① 社会保険の加入対象拡大
・賃金要件の撤廃 : 収入にかかわらず週20時間以上の勤務する者が対象(2025年6月から3年以内の政令で定める日)
・適用事業所の拡大 : 企業規模要件が段階的に緩和され、最終的には撤廃される。また個人事業所についても、
常時5人以上使用する個人事業所は2029年10月から適用対象となります。(一部例外あり)
・保険料負担割合についての特例 : 社会保険の加入拡大に伴い保険料負担が発生するパート従業員の保険料について、会社等が折半より多く負担する場合、
その負担を国が支援する特例措置(3年間)
② 在職老齢年金の支給停止基準引き上げ
現在の制度では、賃金と厚生年金の合計が月50万円(2024年度の場合)を超えると、超えた分の半額が支給停止となります。この支給停止基準が見直され、
基準額を62万円に引き上げることが予定されています。
③ 遺族厚生年金の給付
遺族厚生年金について、子供のいない60歳未満の場合の給付における支給要件が男女同一となり、男性にも受給の機会が生まれる。
遺族基礎年金について、父または母が遺族基礎年金の受給が停止となっている場合に、子供が遺族基礎年金を受け取れるようになります(2028年4月から)
④ 標準報酬月額の上限引き上げ
標準報酬月額の上限を65万円から段階的に75万円に引き上げがなされます。高所得者層の標準報酬月額区分が追加されることになります。
2027年9月から3年に渡っての引き上げになるので、保険料の徴収のタイミングには注意が必要です。
⑤ 基礎年金の給付水準引き上げ
マクロ経済スライドについてニュースでも取り上げられたテーマですが、基礎年金と厚生年金の積立金のやり繰り等煩雑な内容です。
政策の範囲なのでその決定と効果を待つことになりますが、興味があればその動向等知ることは将来の年金受給の理解を助けるかも知れません。
⑥ その他の見直し(iDeCo、企業型DCほか)
iDeCoは加入要件が拡大され70歳まで加入可能となります。またその掛け金も段階的な引き上げが予定されています。
企業型DCも限度額の引き上げが予定され、またマッチング拠出についても事業主掛金を超えられないという制限が撤廃されます。
年金制度改正法が成立しました|厚生労働省
被相続人の死亡によって、被相続人に支給されるべきであった退職金で、被相続人の死亡後3年以内に支払が確定した退職金は、
相続または遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。
この退職金の合計額が次の算式によって計算した非課税限度額を超えるときは、その超える部分の金額が相続税の課税対象となります。
非課税限度額=500万円×法定相続人の数
死亡後3年経過後に受け取りが確定した場合には、受取人の一時所得として所得税の課税対象となります。
法定相続人の数は、相続人の中に相続放棄をした人がいる場合も法定相続人の数に含めて非課税限度額を計算することになります。
法定相続人の中に養子がいる場合、実子がいるときは1人まで、実子がいないときは2人まで法定相続人に含めて計算することになります。
死亡退職金を法定相続人以外の人が受け取った場合、相続放棄をした人が受け取った場合にはこの非課税の適用はありません。
2025年の税制改正により配偶者控除・扶養控除の収入要件が103万円から123万に引き上げられましたが、
それ以外にも目玉改正が有りました「特定親族特別控除」です。今回はどの様な制度か簡単な説明とメリット・デメリットの紹介をいたします。
1:特定親族特別控除とは?
2025年度税制改正により新たに創設された控除制度で19歳以上23歳未満の子について合計所得が85万円(給与収入150万円相当)までは、
その子の親族は現状通り特定扶養控除(63万円)と同額の所得控除を受けることが出来る制度(150万円超188万円以下までは段階的減額されるが控除が可能)
2:メリット
19歳以上23歳以下の子は大学生等お金がかかる年代であるため他の親族と比べ所得控除の額が高めに設定されています。
そのため扶養親族から外れてしまうと扶養している親の税負担が増えるため多くの子は就業調整をして103万円以内に抑える傾向がみうけられましたが
この改正により子は多くアルバイト収入を得ることが出来るうえに親の税負担は変わらず、企業においてもある程度の人手不足の解消が期待出来る。
3:デメリット
1. 住民税:住民税に関して改正がなく据置かれたため、収入によっては子本人に住民税納付義務が発生する
(都道府県・市町村によって異なる場合も有りますが、課税が発生する年収の目安は100万円~110万円)
2. 社会保険:130万円超の収入が有った場合親の扶養から外れてしまい社会保険を自分で納めることになる(注)
(注)19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く)の健康保険の被扶養者の認定条件は、
2025年10月1日から年収150万円未満として取り扱うことが予定されています。
上記の年齢以外の親族においては従前どおりであることに留意が必要
簡単な説明のため詳しくご確認したい方がございましたら当事務所までご連絡ください。
お盆は家族・親族が集いご先祖様に思いを寄せる機会です。お盆休みを利用して相続や遺言について考えてみませんか。
税理士と司法書士の資格を持つ専門家がご相談に応じます。
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日 時 |
2025年8月12日(火) |
2025年8月13日(水) |
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時 間 |
午後1時から午後4時 |
午前10時から午後3時 |
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場 所 |
当事務所 長野県松本市島立780-3 |
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申込締切 |
2025年8月7日(木)まで |
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【ご相談の一例】
・遺言の書き方を知りたい
・相続登記が義務化されたがどう対応したらいいか悩んでいる
・将来相続税がかかるのか試算をしてほしい
電話またはメールもしくは問い合わせフォームにて事前予約をお願いいたします。
【連絡先】
古畑司法会計事務所 tel 0263-47-5848 / メールアドレス f-shihou-kaikei@tkcnf.or.jp
所得税の基礎控除の見直しについて控除額の変更は以前のご案内の通りです。
それに伴い月々の給料の源泉徴収額の変更はありませんが、年末調整時に注意すべき点があります。
収入は例年と変わっていなくても、特定親族(19歳以上23歳未満の親族※)特別控除の創設により、扶養の対象となるケースがありますので、新たに扶養対象が増える場合は従業員に「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の提出してもらって下さい。
これは例年、「基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書」(基・配・所)が変わったものです。
この申告書から控除額を計算するようになりますので、必ず提出してもらうようにして下さい。
様式に関しましては下記をご確認ください。
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho_shorui/pdf/01.pdf
※配偶者、専従者給与を受ける人を除きます。
先日のコラムにおいて、税制改正の大綱でとりあげられた、103万円の壁にかかる基礎控除と給与所得控除の引上げについてとりあげました。
その後、税制改正により、さらに基礎控除の上乗せ特例が付け加えられました。
まず、基礎控除等の引上げについては、基礎控除の額が48万円から58万円に引き上げられました。
また、給与所得控除の最低保証額は55万円から65万円にひきあげられました。こちらについては、税制改正の大綱にそって定められています。
今回の税制改正により、新たに基礎控除の上乗せ特例が制定されました。
1点目としては、合計所得132万円以下の個人に対する基礎控除を48万円から95万円に引き上げる措置です。
この措置は低所得者層への税負担を考慮し、給与所得者にたいする課税最低限を160万円に引き上げるものです(95万円+65万円=160万円)。この措置は、現時点では期限が定められておらず、恒久的な措置とされております。
2点目としては、合計所得に応じて基礎控除額を引き上げる措置です。
具体的な基礎控除額については以下の図表をご確認ください。この措置は、中所得者層を含めた税負担軽減を目的とするものです。この措置は、令和7年度・令和8年度の年末調整、所得税確定申告についてのみ適用されます。
〇基礎控除の額 〇給与所得控除の額(計算式)
なお、これらの措置については、令和7年分の所得税にかかる年末調整から適用されます。
その他、税制改正大綱でも明らかにしていた、特定親族特別控除制度の創設や扶養親族等の所得要件等の改正も今回の税制改正により導入されております。
(参考資料)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0025004-025.pdf#page=2
TKC出版「事務所通信「年収の壁」臨時号」(2025.4)
令和6年12月27日に令和7年度の税制改正の大綱が閣議決定されました。
その後、税制改正の大綱に基づき、財務省により国税改正法案が作成されることになります。
その中で、「103万円の壁」について議論されております。103万円の壁、とは、基礎控除 と給与所得控除(最低保証額)の合計額である、103万円をさします。これらの控除により、所得税が課される所得が減少し、その分、支払う税金が減ります。
そのため、給与収入が103万円以下の場合は所得税がかからず、103万円をこえると所得税が課されることになります。
これが、給料収入が103万円を超えないように、労働条件を調整する誘因となり、「103万円の壁」とよばれていました。
こちらが、今回の税制改正の大綱により、以下のように、給与収入額が123万円までは所得税が課されなくなるように改正される見込みです。
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令和6年度 |
税制改正の大綱の内容 |
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基礎控除 |
480,000円 |
580,000円 |
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給与所得控除 |
550,000円 |
650,000円 |
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合計 |
1,030,000円 |
1,230,000円 |
注1:上記は所得税を対象としております。
注2:上記における基礎控除の金額は、合計所得額が2,350万円の個人を想定しています。
注3:給与所得控除は最低保証額を記載しています。
その他、特定親族特別控除という控除項目が創設されることが予定されています。
さらに、上記の改正に伴い、同一生計配偶者、扶養家族、ひとり親の生計を一にする子、勤労学生の合計所得額等の要件についても改正される見込みです。
なお、地方税でも同様の改正が見込まれています。
参考リンク
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/index.html