※コラムについては、コラム中に記載がない場合は更新現在の規則・法則・状況にもとづいております。
先日のコラムにおいて、税制改正の大綱でとりあげられた、103万円の壁にかかる基礎控除と給与所得控除の引上げについてとりあげました。
その後、税制改正により、さらに基礎控除の上乗せ特例が付け加えられました。
まず、基礎控除等の引上げについては、基礎控除の額が48万円から58万円に引き上げられました。
また、給与所得控除の最低保証額は55万円から65万円にひきあげられました。こちらについては、税制改正の大綱にそって定められています。
今回の税制改正により、新たに基礎控除の上乗せ特例が制定されました。
1点目としては、合計所得132万円以下の個人に対する基礎控除を48万円から95万円に引き上げる措置です。
この措置は低所得者層への税負担を考慮し、給与所得者にたいする課税最低限を160万円に引き上げるものです(95万円+65万円=160万円)。この措置は、現時点では期限が定められておらず、恒久的な措置とされております。
2点目としては、合計所得に応じて基礎控除額を引き上げる措置です。
具体的な基礎控除額については以下の図表をご確認ください。この措置は、中所得者層を含めた税負担軽減を目的とするものです。この措置は、令和7年度・令和8年度の年末調整、所得税確定申告についてのみ適用されます。
〇基礎控除の額 〇給与所得控除の額(計算式)
なお、これらの措置については、令和7年分の所得税にかかる年末調整から適用されます。
その他、税制改正大綱でも明らかにしていた、特定親族特別控除制度の創設や扶養親族等の所得要件等の改正も今回の税制改正により導入されております。
(参考資料)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0025004-025.pdf#page=2
TKC出版「事務所通信「年収の壁」臨時号」(2025.4)
令和6年12月27日に令和7年度の税制改正の大綱が閣議決定されました。
その後、税制改正の大綱に基づき、財務省により国税改正法案が作成されることになります。
その中で、「103万円の壁」について議論されております。103万円の壁、とは、基礎控除 と給与所得控除(最低保証額)の合計額である、103万円をさします。これらの控除により、所得税が課される所得が減少し、その分、支払う税金が減ります。
そのため、給与収入が103万円以下の場合は所得税がかからず、103万円をこえると所得税が課されることになります。
これが、給料収入が103万円を超えないように、労働条件を調整する誘因となり、「103万円の壁」とよばれていました。
こちらが、今回の税制改正の大綱により、以下のように、給与収入額が123万円までは所得税が課されなくなるように改正される見込みです。
|
令和6年度 |
税制改正の大綱の内容 |
基礎控除 |
480,000円 |
580,000円 |
給与所得控除 |
550,000円 |
650,000円 |
合計 |
1,030,000円 |
1,230,000円 |
注1:上記は所得税を対象としております。
注2:上記における基礎控除の金額は、合計所得額が2,350万円の個人を想定しています。
注3:給与所得控除は最低保証額を記載しています。
その他、特定親族特別控除という控除項目が創設されることが予定されています。
さらに、上記の改正に伴い、同一生計配偶者、扶養家族、ひとり親の生計を一にする子、勤労学生の合計所得額等の要件についても改正される見込みです。
なお、地方税でも同様の改正が見込まれています。
参考リンク
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/index.html