相続について

相続とは・・・

相続とは、人が亡くなったときに、その人が所有していた財産などを受け継ぐことです。
このとき亡くなった人を被相続人といい、配偶者や子どもなど財産を受け継ぐ権利のある人を相続人といいます。
生前に遺言書を作成することにより、家族以外に財産を引き継がせることも可能です。
被相続人が所有していた不動産、預貯金などの財産は「相続財産」や「遺産」と呼ばれます。

相続とは・・・


相続税の課税対象となる財産とは・・・

基本的には被相続人が所有している資産のほとんどが相続税の課税対象となります。

現金、有価証券
現金、預貯金、株券、貸付金、売掛金、小切手
不動産
宅地、農地、建物(マンション、アパートなど)、店舗、居宅、借地権、借家権
動産
自動車、家財、船舶、骨董品、宝石、貴金属、美術品
その他
電話加入権、ゴルフ会員権、慰謝料請求権、損害賠償請求権など


相続税の課税対象とならない財産とは・・・

相続税の課税対象とならない財産は以下の7種類となります。

墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物。
ただし、骨董的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります。
宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によってもらった財産で公益を目的とする事業に使われることが確実なもの。
地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が取得する心身障碍者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利。
相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち 500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分。
(例)死亡保険金が1500万円で法定相続人が2名の場合、1000万円は相続税の課税対象となりません。500万円のみが課税対象となります。
   1500万円 − (500万円 × 2人) = 500万円
相続や遺贈によってもらったとみなされる退職手当金等のうち 500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分。
(例)死亡退職金が700万円で法定相続人が1名の場合、500万円は相続税の課税対象となりません。200万円のみ相続税の課税対象となります。
   700万円 − (500万円 × 1人) = 200万円
個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの。
なお、相続人のいずれかが引き続きその幼稚園を経営することが条件となります。
相続や遺贈によってもらった財産で相続税の申告期限までに国又は地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの、あるいは、相続や遺贈によってもらった金銭で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの。


どのくらい財産があると相続税がかかるのか・・・

遺産に相続税がかかるか否かは、相続財産の額と、相続税の基礎控除額によって決まります。

相続税の基礎控除額

3000万円+(600万円×法定相続人の数)

例えば、法定相続人が配偶者と子供2人の計3人なら、基礎控除額は4,800万円です。
このケースでは、相続財産の額が4800万円以下なら相続税はかかりません。反対に、4800万円超える部分に相続税がかかってくることになります。

配偶者の税額の軽減

配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者は、実際に取得した遺産の額が、1億6000万円または、配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額までは相続税はかからないという制度です。


法定相続人とは・・・

法定相続人とは、民法で定められた相続人のことをいいます。
被相続人の配偶者は常に相続人となります。ただし、正式な婚姻関係にある配偶者だけで、事実婚のパートナーや内縁の妻のような人はなれません。

  ① 第一順位の法定相続人  

被相続人に子がいる場合は、子と配偶者が相続人となります。
ただし、子が被相続人よりも先に亡くなっている場合等は孫・曾孫等(直系卑属)が相続人となります(=代襲相続)。

  ②第二順位の法定相続人  

被相続人に、子や孫など直系卑属がいなかった場合には、父母や祖父母(直系尊属)と配偶者が相続人となります。

  ③第三順位の法定相続人  

被相続人に、子や孫(直系卑属)などがおらず、さらに、父母や祖父母(直系尊属)などがすでに亡くなっていた場合は、被相続人の兄弟姉妹と配偶者が相続人となります。
兄弟姉妹が、被相続人より先に亡くなっていた場合には、兄弟姉妹の子(被相続人の甥、姪)と配偶者が相続人となります。この場合の代襲相続は、甥・姪までの1代限りとなります。

法定相続人とは・・・


法定相続分とは・・・

民法では、遺言がない場合、各相続人が受け継ぐ相続分について規定しています。これを「法定相続分」といいます。法定相続分は相続できる割合のことで、相続人の構成によってこの相続できる割合が変わる仕組みになっています。

子及び配偶者が相続人の場合は、それぞれ2分の1ずつ
配偶者及び直系尊属が相続人の場合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1
配偶者及び兄弟姉妹が相続人の場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1
子・直系尊属・兄弟姉妹が複数人いるときは、各自の相続分は相等しいものとする(ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1とする)
法定相続人の組合せ配偶者直系尊属兄弟姉妹
配偶者のみ100%
配偶者+子1/21/2
子のみ100%
配偶者+直系尊属2/31/3
直系尊属のみ100%
配偶者+兄弟姉妹3/41/4
兄弟姉妹のみ100%


相続にはどのような方法があるのか・・・

相続する場合

遺産分割協議書による相続
相続人全員で誰が何を相続するのか、話し合いにより進める方法です。
話し合いがまとまったら、その合意内容に基づき遺産分割協議書を作成し、相続人全員で署名捺印をします。
遺言書による相続
被相続人が作成した遺言書がある場合は、遺言書の内容に沿って相続手続きを行います。
<遺言書の種類>
・本人が全文手書きで作成した遺言 「自筆証書遺言」
→開封前に家庭裁判所に届出て検認手続きが必要
・作成した遺言書に署名押印した遺言を「内容」を秘密にしたまま、「存在」のみを公証人に証明してもらう 「秘密証書遺言」
 →開封前に家庭裁判所へ届出て検認手続きが必要
・公証役場で公証人に作成してもらう遺言 「公正証書遺言」
 →家庭裁判所の検認手続き不要で、開封後すぐに執行できる
遺産分割調停による相続
相続人同士での話し合い(遺産分割協議)がまとまらない場合、調停の手続きで進めていくのが一般的な方法です。
遺産分割調停とは、家庭裁判所に申立てをして選任された調停委員を介して話し合いをしていきます。それでも話し合いがまとまらない場合は審判という手続きへ移行していきます。

相続しない場合

相続放棄をする(家庭裁判所による手続き)
被相続人に負債などがあって相続人として負債を相続したくない場合、家庭裁判所で相続放棄の手続きをすることができます。
相続放棄には原則亡くなった日から3ヶ月以内に相続放棄手続きする必要がありますので注意が必要です。(3ヶ月経過していても相続放棄できる場合もあります)
被相続人の負債の有無がわからないなど、遺産の詳細を調べてから決めたいという場合には、亡くなった日から3ヶ月以内であれば家庭裁判所の手続きで期間を延長することができます。
相続分の放棄をする(遺産分割協議書による放棄)
遺産分割協議書に、『すべての相続財産は○○が相続する。』と記載することで何も相続しないということになります。遺産分割協議による相続は相続人全員による署名捺印が必要ですので、相続財産を受け取らない場合でも遺産分割協議書に署名捺印をします。

相続するには、相続人の間で財産の分け方について合意を得る必要があります。また遺された財産が基礎控除を超えた場合、相続税を支払うこととなります。財産の評価や税額を計算し、10ヶ月以内に相続税の申告書を税務署に提出しなくてはなりません。その他にも財産の名義変更や各種機関への届出など、さまざまな手続きを行います。

当事務所は、ワンストップ&トータルサービスで、さまざまな分野の専門家と協力してサポートさせていただきます。ご心配や気になることなどございましたら、まずは一度お気軽にご相談ください。