Tax topics トピックス 2023年

令和5年分確定申告について(2023.12)

令和5年分の確定申告は、令和6年2月16日(金)から3月15日(金)までとなります。
国税庁HPでは、「令和5年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ」が公表されています。

確定申告会場では、確定申告をスムーズに行っていただくため、原則としてご自身のスマホを利用した申告をご案内しているそうです。

確定申告会場への入場は「入場整理券」が必要となります。
入場整理券は、各会場で当時配布となりますが、LINEを通じたオンライン事前発行も可能となります。入場券の配布状況によっては後日の来場となる場合もあるそうですので、注意が必要です。

国税庁:令和5年分確定申告特集(準備編)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/r05junbi/kakushin-sonota/kakushin-kaijou.htm

現在、既に85%以上が、確定申告会場に来場せず、e-Taxを利用して申告を行っているそうです。
当事務所も電子申告に完全対応しております。申告の依頼をご検討くださっている方は、初回相談は無料となっておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

令和6年1月から始まる電子帳簿保存方法の確認(2023.12)

令和6年1月から、電子帳簿保存法が変わります。
申告所得税・法人税に関して帳簿・書類を保存する義務のある事業者が、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データをやり取りした場合は、その電子データ(電子取引データ)を保存しなければなりません。
あくまでデータでやりとりしたものが対象であり、紙でやり取りしたものをデータ化しなければならないわけではありません。
ただ、受取った場合だけでなく、電子データを送った場合についても電子データで保存する必要があるので、注意が必要です。
例えば、電子取引データをプリントアウトして書面をファイリングして保存していたケースでは、令和6年1月から電子データで保存しなくてはなりませんので、保存方法の見直しが必要です。

電子データ取引の保存の要件として、「可視性の確保」と「真実性の確保」があります。
▪「可視性の確保」
 ① モニター・操作説明書の備え付け
 ② 検索要件の充足
 まずは、①と②を満たしている必要があります。
 ただし、「2課税年度前の売上高が5000万円以下の場合」または、「電子データをプリントアウトして日付及び取引先ごとに整理している場合」は、電子取引データの「ダウンロードの求め」に応じることができるようにしている場合では、②の要件は不要となります。

▪「真実性の確保」
 ・改ざん防止のための措置をとる必要があります。
 ・「日付・金額・取引先」で検索できる必要があります。
 ・ディスプレイやプリンタ等を備え付ける必要があります。
 検索要件を満たすための簡易な方法
 「改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る」といったシステム費用等をかけずに導入できる方法もあります。
 ① 表計算ソフト等で牽引簿を作成する方法
  表計算ソフト等で牽引簿を作成、表計算ソフト等の機能を使って検索する方法。
 ② 規則的なファイル名を付す方法
  データファイル名に規則性をもって「日付・金額・取引先」を入力し、特定のフォルダに集約しておくことで、フォルダの検索機能が活用できるようにする方法。

※上記のほか、「タイムスタンプを付与」「訂正・削除の履歴が残るシステム等での授受・保存」といった方法もあります。改ざん防止のための事務処理規定のサンプルは、国税庁のホームページに掲載されているので、ご参考にしてください。

国税庁:参考資料(各種規定等のサンプル)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm
国税庁:システム導入が難しくても大丈夫‼令和6年1月からの電子取引データの保存方法
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023011-012.pdf

インボイス制度登録申請件数は約 407 万件に(2023.11)

 国税庁は、ホームページでは、「適格請求書発行事業者の登録件数及び登録通知時期の目安について」を公表しております。
10月末現在で公表されております適格請求書発行事業者の登録件数は、407万件となっております。

現在、登録申請書を提出してから登録通知が届くまでの標準的な期間は、e-Tax 提出の場合、書面提出の場合ともに、提出から約1か月となっています。

▪取引先から受領した登録番号の確認
 取引先から受領した請求書等に記入されている登録番号が正しいかどうかは、「適格請求書発行事業者公表サイト」から検索することができます。当サイトでは登録番号を基に、適格請求書発行事業者の氏名・名称や登録年月日などの公表情報を確認することが可能です。

 検索を行った結果、該当する公表情報がない場合には、請求書等に記載された登録番号が誤っている可能性などがありますので、先方へ確認が必要となります。

※ 法人の登録番号は、数字13桁の法人番号の頭に「T」をつけたものと決められているので、法人番号がわかれば(不明な場合は国税庁「法人番号公表サイト」より検索可)、「登録番号」から検索することができます。

国税庁:適格請求書発行事業者公表サイト
https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/index.html

国税庁:法人番号公表サイト
https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/

酒税法の改正でビールが安くなる?!(2023.11)

 酒税法とは、酒税の税率や徴収、酒類の分類・製造・販売の免許などを定めた法律のことをいいます。
酒税法が規制対象とする「酒類」は、アルコール分1度以上の飲料を指します。酒税法では、酒類を製造方法、性状の違いから、発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類の4種類に分類されており、それぞれ税率が異なります。

財務省:酒税に関する資料
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d08.htm

   酒税法は、平成30年に改正され、令和8年10月までに段階的に税率が変わることになりました。
特に変化が大きいのは、ビール、発泡酒、第三のビールで構成されているビール系飲料です。
発泡酒、第三のビールは税率が上がり、逆にビールは税率が下がります。

   今年の10月の改正では、ビールの酒税は70円から63.35円に引き下げられ、発泡酒は46.99円と変わりませんが、第三のビールは37.8円から46.99円に引き上げられました。(350ml 換算)
この税率変更は、令和2年に続く2段階目の変更となりますが、最終的には、令和8年10月から3つに分かれていたビール系飲料の酒税が54.25円(350ml 換算)に統一される予定です。

 酒税法の改正により、ビール系飲料の価格差が小さくなり、今後は販売価格に影響が出てくると予想されます。安さが売りだった第三のビールは増税により売上の減少の恐れがありますし、ビールは価格が下がり販売数が増加する可能性がありますが、価格差を気にせずに好みのビール系飲料を選ぶことができ、購入する際の選択肢は広がりそうですね。

インボイス制度開始(消費税の申告が必要となります)(2023.11)

 令和5年10月1日に開始となったインボイス制度。インボイスの発行事業者は消費税の申告が必要となります。基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合でも申告が必要です。新たに課税事業者になられた方には、一定の要件の下、下記の特例を受けることができます。

「2割特例」
 ①インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になられた方については、仕入税額控除の金額を、特別控除税額(課税標準である金額の合計額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額の100分の80に相当する金額)とすることができます(いわゆる2割特例)。

 ②2割特例は、基準期間における課税売上高も特定期間における課税売上高も1,000万円以下の事業者で、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になられた方が対象です。
 基準期間か特定期間の課税売上高が1000万円を超える事業者、基準期間も特定期間も課税売上高は1000万円以下だが、課税事業者選択届出書を提出して2023年10月1日の属する課税期間以前から課税事業者になっている事業者、課税期間の短縮をしている事業者は2割特例の対象とはなりません。
 (注)「基準期間」とは、個人事業者の場合はその年の前々年、事業年度が1年である法人の場合はその事業年度の前々事業年度のことをいいます。
 「特定期間」とは、個人事業者については前年1月から6月までの期間をいい、法人については前事業年度の開始の日以後6月の期間をいいます。
 ③2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間となります。
 例)・免税事業者である個人事業者が令和5年10月1日から登録を受けた場合の適用範囲
  →令和5年分(10月から12月分)の申告から令和8年分の確定申告までの計4回。
   ・免税事業者である3月決算法人が令和5年10月1日から登録を受けた場合の適用範囲
  →令和5年10月から令和6年3月の申告から令和8年期の申告までの計4回。
 ④2割特例の適用にあたっては、事前の届出は必要なく、消費税の申告時に消費税の確定申告に2割特例の適用を受ける旨を付記することで適用を受けることができます。
 また、2割特例を適用して申告した翌課税期間において継続して2割特例を適用しなければならないといった制限はなく、課税期間ごとに2割特例を適用して申告するか否かについて判断することができます。

生前贈与加算と相続時精算課税制度が変わります(2023.11)

 令和5年度の税制改正で、令和6年1月1日から相続税・贈与税に関する制度が変わります。
⼤きな改正点は、「⽣前贈与の加算期間延⻑」と「相続時精算課税制度の基礎控除(110万円)の新設」の2つです。暦年課税は、⽣前贈与の加算が延⻑されるのに対し、相続時精算課税制度は、基礎控除が新設されるため、相続対策にも影響があります。

▪生前贈与の3年内加算が7年に延⻑
 暦年課税では、毎年110万円の基礎控除を受けることができます。ただし、現行では贈与者が亡くなった際に、死亡前3年以内の贈与額を相続時に加算しなければなりません。今回の改正では、その加算期間が3年から7年に延⻑されました。
改正による4年の延⻑期間については、合計100万円まで加算対象から控除できます。

▪相続時精算課税制度に年110万円の非課税枠が新設

 従来は、相続時精算課税制度を選択した場合、基礎控除はありませんでしたが、今回の改正で新たに基礎控除が設けられます。年間110万円までは、贈与税はかからず申告も不要です。また、年間110万円までの贈与財産は相続財産に加算する必要もありません。

 改正後は、基礎控除が差し引かれるため、相続時精算課税制度を選択したほうがよいケースも増えてくると予想されますが、下記の点には注意が必要です。

  1. 暦年贈与と相続時精算課税は併用できない
  2. 一度相続時精算課税制度を選択すると取り消しができない
  3. 土地を贈与した場合、小規模宅地の特例を利用できない
  4. 相続の段階になって相続税がかかる
  5. 累計贈与額が2,500万円に達しなくても、年間110万円を超えたら贈与税申告が必要

今回の改正により利用しやすくなりましたが、相続時精算課税制度は慎重に選択すべき制度です。
この制度を選択するタイミングや将来の相続のことも考えて検討する必要がありますので、生前贈与をご検討されている方は、ぜひご相談ください。

消費税「インボイス制度」が始まりました(2023.10)

10月1日より、消費税の仕入れ税額控除の方式としてインボイス制度が開始されました。
インボイスを発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。
現在登録を検討している方が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、登録希望日(申請書の提出から15日以降の日)から登録を受けることができます。

一定規模以下の事業者の場合は期間限定ですが、1回の取引金額が1万円未満のものについては、インボイスの保存がなくても帳簿の保存のみで仕入税額控除ができます。

また、令和5年9月30日までは、3万円未満の取引は領収書がなくても特例扱いとなり、消費税の仕入税額控除が認められていましが、令和5年10月1 日からはこの特例がなくなり、3万円未満でも領収書が必要となりますので、注意が必要です。

インボイス発行事業者の義務

  • インボイスの交付
    インボイス発行事業者は、消費税の課される取引を行った場合には、その取引の相手方(課税事業者)からの求めに応じて、インボイスを交付しなければなりません。

  • 値引きや返品の明細書等(返還インボイス)の交付
    インボイス発行事業者は、値引き・返品・割戻しといった売上げに係る対価の返還等が行われた場合には、返還インボイスを交付しなければなりません。ただし、税込1万円未満の値引きや返品等については、返還インボイスを交付する必要はありません。振込手数料分を値引き処理する場合も対象となります。

  • 修正したインボイスの交付
    インボイス発行事業者は、交付したインボイスの記載事項に誤りがあった場合には、修正したインボイスを交付しなければなりません。

  • 交付したインボイスの写しの保存
    交付したインボイスの写しについては、交付した日を含む課税期間についての消費税の申告期限から7年間保存する必要があります。なお、交付したインボイスの写しとは、交付した書類そのもののコピーに限らず、その記載事項が確認できる程度の記載がされているもの(レジのジャーナル、一覧表、明細表など)であっても構いません。

インボイス制度・帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるケース(2023.10)

インボイス制度では、基本的に3万円未満の取引でも領収書の受領と保存が必要となりますが、公共交通機関の運賃や自動販売機で購入したものなど、領収書や請求書の受領が難しいものについては例外扱いとなります。こうした取引は、一定の事項を記載した帳簿を保存するだけで、例外的に仕入税額控除の適用を受けることが可能です。
帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用が認められる取引には、下記のようなものがあります。

① 3万円未満の公共交通機関による旅客の運送(適格請求書の交付義務が免除)

② 適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除く)が記載されている入場券などが使用の際に回収される取引(①該当する取引を除く)

③ 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物(古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限る)の購入

④ 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物(質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限る)の取得

⑤ 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限る)の購入

⑥ 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源および再生部品(購入者の棚卸資産に該当するものに限る)の購入

⑦ 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機および自動サービス機からの商品の購入(適格請求書の交付義務が免除)

⑧ 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限る)

⑨ 従業員などに支給する通常必要と認められる出張旅費など(出張旅費、宿泊費、日当および通勤手当)

※上記③〜⑥については相⼿⽅が「適格請求書発⾏事業者でない」ことが必要です。

インボイス制度施行時に特に留意すべき事項(2023.9)

国税庁ホームページでは、「インボイス制度施行時に特に留意すべき事項」について公表しておりますので、制度開始前に確認をしておきましょう。

制度開始の10月になっても、まだ登録番号の通知が届いてない場合の、売手の対応、買手の対応等について掲載されています。

  • 登録番号の通知が届いてない場合の売手の対応
    小売店等で後からインボイスの交付が難しい場合
    事前にインボイスの交付が遅れる旨を事業者のHPや店頭にて相手方にお知らせし、登録番号が発行されたら、
     ・事業者のHP等において登録番号を提示し、相手方にそのページとレシートを併せて保存してもらう
     ・買手側からの電話等に応じ、登録番号をお知らせし、相手方にその記録をレシートと併せて保存してもらう

  • 登録番号の通知が届いてない場合の買手の対応
    事前にインボイス発行事業者の登録を受けている旨が確認できたときは、仕入税額控除が可能です。
    事後に交付されたインボイスや登録番号のお知らせを保存することが必要です。

  • 基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者は、令和5年10月1⽇〜令和11年9月30日までの間、税込1万円未満の課税仕入れについて、帳簿の保存のみで仕入税額控除が可能(「少額特例」といいます)ですので、上記の対応は不要です。
    ※税込1万円未満・・・1商品ではなく、1回の取引が1万円未満で判断する
    ※「基準期間」・・・個人事業者については前々年、法人については前々事業年度
    ※「特例期間」・・・個人業者については前年1〜6月までの期間、法人については前事業年度の開始の日から6月の期間

国税庁HP「制度施行時に特に留意すべき事項リーフレット」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/hojin/sanko/pdf/0023008-114.pdf

インボイス制度開始に向けての留意事項(2023.9)

国税庁ホームページでは、インボイス制度開始に向けて、「制度開始に向けて特にご留意いただきたい事項」について等を公表しておりますので、制度開始前に確認をしておきましょう。

【留意事項】

  • 登録申請期限
    10月1日(日)から登録を受けるためには、9月30日(土)までに登録申請書を提出す必要があります。(※9月30日は土曜日ですが、10月2日まで期限は延びません)
    ・e-Taxの場合…9月30日(土)23:59:59までの受付
    ・郵送の場合…9月30日(土)の通信日付印のあるもの
    ・窓口提出の場合…9月29日(金)の閉庁時間(17:00)まで

  • インボイス交付対象時期
    インボイスの交付取引義務が生じるのは、10月1日(日)の取引からです。

  • 10月1日に登録通知が未達の場合の対応
    10月1日を迎えても登録通知書が届かない場合は、以下のいずれかで対応する
    ① 事前にインボイスの交付が遅れる旨を先方に伝え、通知後にインボイスを交付する
    ② 通知を受けるまでは登録番号のない請求書等を交付し、通知後に改めてインボイスを交付し直す
    ③ 通知後にすでに交付した請求書等との関連性を明らかにした上で、インボイスに不足する登録番号を書類やメール等でお知らせする

  • 受領したインボイス適正性の確認
    売手からインボイスを受領した場合、登録番号が適正なものかについては、事業者において確認する必要があります。ただし、全ての取引の都度、確認が必要となるものではなく、取引先の規模や関係性、取引の継続性などを踏まえ、事業者においてその頻度等を判断することとなります。

国税庁HP「制度開始に向けて特にご留意いただきたい事項」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0023008-044.pdf

ふるさと納税3年連続過去最高(2023.8)

令和4年度のふるさと納税による自治体への寄付総額は前年度に比べ1352億円多い9654億円で3年連続過去最⾼となりました。また、ふるさと納税の利⽤者(令和5年度課税における住⺠税控除適用者)は891万人で8年連続過去最高となったことが、総務省が8月1日に公表した「ふるさと納税に関する現況調査結果」で分かりました。

寄付額が多かったため税収が増えた市区町村は、都城市(宮崎県)195.93億円、紋別市(北海道)194.33億円、根室市(北海道)176.13億円、白糠町(北海道)148.34億円、泉佐野市(大阪府)137.72億円の順となりました。

⼀⽅、市町村⺠税控除額が多かったため税収が減ったのは、横浜市(神奈川県)272.42億円、名古屋市(愛知県)159.26億円、大阪市(大阪府)148.53億円、川崎市(神奈川県)121.15億円、世田谷区(東京都)98.23億円の順で、都市部が多かったようです。東京都に関しては、世田谷区のほか、7団体が上位20に入っています。

都会に住みながら故郷や応援したい自治体に寄付できる一方、魅力的な返礼品がある自治体に寄付が集中し、ふるさととは関係なく返礼品を目当てに制度を利用している人が大半で、都市部の減収は、計画された公共事業が実施できない等の問題も抱えており、地域間の格差が拡大してしまったという例も少なくありません。
そうした問題を防ぐためにも、総務省は自治体による過度な返礼品競争を避けるため、寄付の集め方に問題がないかを審査する仕組みを2019年に取り入れています。返礼品の調達費を寄付額の3割以下、募集にかかる経費を5割以下に抑えるよう求めています。

令和5年10月から経費などの適用基準を明確にするようルールを見直す方針で、納税の指定基準が厳格化されますが、より良い制度とするためには根本的な見直しや対応が求められています。

「電子帳簿保存関係パンフレット・過去の主な改正」の制度の概要パンフレット(2023.9)

国税庁ホームページで「「電子帳簿保存法関係パンフレット・過去の主な改正」に制度の概要パンフレット(令和5年6月版)を掲載しました」等が公表されました。

  1. 「電子帳簿保存法関係パンフレット・過去の主な改正」に制度の概要パンフレット(令和5年6月版)を掲載しました
    https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/08.htm

    ○電子取引データの保存方法をご確認ください【令和6年1月以降用】
    https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_01.pdf
    ○はじめませんか、帳簿・書類のデータ保存(電子帳簿等保存)【令和6年1月以降用】
    https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_02.pdf
    ○はじめませんか、書類のスキャナ保存【令和6年1月以降用】
    https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_03.pdf

  2. 電子帳簿保存法の概要(サイト更新)
    https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/02.htm
    「優良な電子帳簿」についての注書きが追加されました。

  3. 優良な電子帳簿の要件
    https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/05.htm
    従来「電子帳簿保存時の要件」として案内されていたサイトが「優良な電子帳簿の要件」に変更され、新たなサイトとして公表されました。

  4. 電子帳簿システム別の対応関係(サイト更新)
    https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/06.htm
    「承認される事例パターン」「承認されない事例パターン」の表が「優良な電子帳簿の要件を満たす事例ターン」「優良な電子帳簿の要件を満たさない事例パターン」に変更されました。

「相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」を公表(2023.8)

令和5年度税制改正により、相続税法及び租税特別措置法の一部が改正されましたが、国税庁はその内容を周知するためのパンフレットを公表しています。

改正① 相続時精算課税に係る基礎控除の創設
相続時精算課税を選択した受贈者(「相続時精算課税適用者」)が、特定贈与者から令和6年1月1日以後に贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、暦年課税の基礎控除とは別に、贈与税の課税価格から基礎控除額110万円が控除されます。

特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算されるその特定贈与者から令和6年1月1日以後に贈与により取得した財産の価額は、基礎控除額を控除した後の残額とされます。
相続時精算課税は、原則として、
1)贈与者が贈与の年の1月1日において60歳以上であり、
2)受贈者が同日において18歳以上で、かつ、贈与時において贈与者の直系卑属である推定相続人又は孫である場合に、
選択することができます。

なお、相続時精算課税を選択した場合、その後、同じ贈与者からの贈与について暦年課税へ変更することはできません。また、上記の「特定贈与者」とは、相続時精算課税の選択に係る贈与者をいい、令和5年分以前の贈与税の申告において相続時精算課税を選択した場合も含みます。同一年中に、2人以上の特定贈与者からの贈与により財産を取得した場合の基礎控除額110万円は、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格で按分します。

改正② 相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例の創設
相続時精算課税適用者が、特定贈与者から贈与により取得した土地又は建物について、その贈与の日からその特定贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限までの間に、令和6年1月1日以後に災害によって一定の被害を受けた場合には、その相続税の課税価格への加算の基礎となるその土地又は建物の価額は、その贈与の時における価額から、その災害による被災価額を控除した残額とすることができます。

改正③ 暦年課税による生前贈与の加算対象期間等の見直し
相続又は遺贈による財産の取得者が、その相続開始前7年以内(改正前は3年以内)にその相続に係る被相続人から暦年課税による贈与により財産を取得したことがある場合には、その贈与により取得した財産の価額(その財産のうち相続開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、その財産の価額の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算することとされます。

パンフレット「令和5年度相続及び贈与税の税制改正のあらまし」
  https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf

令和5年度分の路線価公開(2023.7)

 令和5年分の路線価等が7月3日(月)に国税庁ホームページで公開されました。

国税庁:令和5年分の路線価について
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/rosenka/index.htm

相続税や贈与税において土地等の価額は、時価により評価することとされています。しかし、納税者の方が相続税等の申告に当たり、土地等についてご自分で時価を把握することは必ずしも容易ではありません。そこで、相続税等の申告の便宜及び課税の公平を図る観点から、国税局(所)では毎年、全国の⺠有地について、土地等の評価額の基準となる路線価及び評価倍率を定めて公開しています。

令和4年分の路線価図
https://www.rosenka.nta.go.jp/

路線価は、全国の調査地点の平均は2年連続で上昇し、上げ幅も大きくなるなど、新型コロナウイルス影響から回復の傾向となりました。
商業地や観光地などで大きく上昇した一方、オフィス需要の低迷が続く東京都心では、横ばいやわずかな上昇にとどまりました。

全国の最高路線価は、今回も東京都の「中央区銀座5丁目銀座中央通り」で、前年から1.1%上昇し、3年ぶりにプラスに転じで4272万円でした。38年連続1位となっています。
2位は大阪市北区角田町の「御堂筋」で1920万円、3位は横浜市⻄区南幸1丁⽬の「横浜駅⻄⼝バスターミナル前通り」で1680万円。順位の変動はありませんでした。

令和5年分都道府県所在都市の最高路線価
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/rosenka/01.pdf

住宅ローン減税(2023.6)

2024・2025年に入居予定の新築住宅について、住宅ローン減税の申請を予定している方は、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅の場合、省エネ基準を満たす住宅でない場合は住宅ローン減税を受けられなくなりますので、注意が必要です。2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅については、原則として住宅ローン減税を受けるには省エネ基準に適合する必要があります。

これに伴い、2024・2025年に新築住宅に入居する場合の住宅ローン減税の申請の際には以下のいずれかの書類の提出が必要となります。

①省エネ基準適合住宅に該当することを証する書類
 ※さらに⾼い省エネ性能等を有する住宅(認定⻑期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH 水準省エネ住宅)
  であることを証する書類も可

②確認済証又は検査済証の写し
 (2023年12月31日以前に建築確認を受けたことを証するものに限ります。)

③登記事項証明書
 (2024年6月30日以前に建築されたことを証するもの限ります。)

①を提出した場合、住宅の環境性能等に応じて、適用される借入限度額は3,000万円から4,500万円、控除期間は13年となります(既存住宅の場合の控除期間は10年)。
②・③を提出した場合、住宅ローン減税を受けることができますが、省エネ基準を満たすことが証明されていないため、適用される借入限度額は2,000万円、控除期間は10年となりますので、ご注意ください。

詳しくは・・・
国土交通省:住宅ローン減税制度について
https://www.mlit.go.jp/common/001490627.pdf

国土交通省:令和6年以降に建築確認を受ける新築住宅について、省エネ基準適合を要件化
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001613031.pdf

適格請求書交付義務が免除されるケース(2023.6)

消費税の課税資産の譲渡等を国内で行う場合は、適格請求書発行事業者には、取引相手が課税事業者であれば、原則その求めに応じて適格請求書を交付する義務が課せられています。
ただし、下記の取引においては適格請求書を交付することが困難なこともあるため、適格請求書の交付義務が免除されます。

 ① 3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送
 ② 出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。)
 ③ 生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)
 ④ 3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等
 ⑤ 郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

適格返還請求書交付義務が免除されるケース(2023.6)

適格請求書発行事業者には、課税事業者に返品や値引き等の売上に係る対価の返還等を行う場合、適格返還請求書の交付義務が課されています。ただし、適格請求書の交付義務が免除される上記の①〜⑤の場合と同様、以下の場合にも適格返還請求書の交付義務が免除されます。

売上に係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、その適格返還請求書の交付義務が免除されます。この1万円かどうかの判定は、値引き等の金額に標準税率が適用されたものと軽減税率が適用されたものが含まれている場合であったとしても、適用税率ごとの値引き等の金額により判定するものではなく、返還した金額や値引き等の対象となる請求や債権の単位ごとの減額金額により判定することとなります。

また、売上に係る対価の返還等とは、事業者の行った課税資産の譲渡等に関し、返品を受け又は値引き若しくは割戻しをしたことにより、売上金額の全部若しくは一部の返還又はその売上に係る売掛金等の債権の額の全部若しくは一部の減額を行うことをいいます。したがって、このような売上金額の返還や債権の減額の金額が1万円未満であれば、適格返還請求書の交付義務が免除されることとなります。
例えば、100,000円の請求に対し、買手は振込手数料相当額550円減額した99,450円を支払った(売手は、550円を対価の返還等として処理)ケースでは、1万円未満の対価返還等であり、適格返還請求書の交付義務は免除されます。

国税庁 納付書の事前送付に関するお知らせ(2023.6)

国税庁では、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」の実現に向けて、キャッシュレス納付の利用拡大に取り組んでいるところで、社会全体の効率化と行政コスト抑制の観点を踏まえ、令和6年5月以降に送付する分から、e-Tax により申告書を提出している法人の方などについて、納付書の事前の送付を取りやめることとしています。
納付書の事前の送付を行わないこととなる方は次のとおりです。

<事前送付を行わないこととなる方>
▪e-Tax により申告書を提出されている法人の方
▪e-Tax による申告書の提出が義務化されている法人の方
▪e-Tax で「予定納税額の通知書」の通知を希望された個人の方
▪「納付書」を使用しない次の手段により納付されている法人・個人の方
 ・ダイレクト納付(e-Tax による口座振替)
 ・振替納税
 ・インターネットバンキング等による納付
 ・クレジットカード納付
 ・スマホアプリ納付
 ・コンビニ納付(QRコード)

(注)1 現在、e-Tax を利用しておらず、税務署から送付された納付書で納付されている方など納付書を必要とされる方に対しては、引き続き、納付書を送付する予定となっております。
   2 源泉所得税の徴収高計算書については、引き続き送付する予定となっております。
   3 「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

国税庁:国税の納付はキャッシュレス納付が便利です
    https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/pdf/r02/201020.pdf

令和5年分の路線価は7月3日に公表予定(2023.5)

国税庁は、令和5年分の路線価は、7月3日(月)11時から全国の国税局・税務署で公表される予定であることを発表しました。
路線価は、相続税や贈与税における土地等の評価額算定の際の基準となるものです。
路線価は、1月1日を評価時点に、公示価格の8割程度が目安とされています。今年1月1日時点の公示地価は国土交通省が今年3月に公表しましたが、住宅地は1.4%プラス、商業地も1.8%プラスと、ともに2年連続で上昇しました。商業・工業・住宅の全用途(全国)で1.6%のプラスと2年連続で上昇し、新型コロナ前への回復傾向が顕著になりました。こうした公示地価の状況のなか、路線価がどうなるのか注目されるところです。

令和5年度税制改正によるインボイス制度の変更点・経過措置(2023.5)

■申込期限の変更
以前は、2023年10月1日のインボイス制度施行開始日よりインボイス制度の登録を受けるためには、2023年3月31日までにインボイス制度への登録申請を済ませなければなりませんでしたが、2023年9月30日までに登録申請をすれば、2023年10月1日からインボイス制度に登録されることになりました。
また、その後の申請については、当該課税期間の初日から起算して15日前の日までに登録申請書を提出することとなりました。登録申請を出した後に、実際に登録された日が課税期間の初日以後であった場合でも、15日前までに提出していれば課税期間初日に登録されたことになります。インボイス制度登録取り消しについても、課税期間の15日前までに申請します。

■消費税の緩和措置(2割特例)
従来、売上が1000万円以下などのために免税事業者だった方が、インボイス発行事業者になった場合には、本来納めるべき消費税額の2割のみ納税すればよいこととなりました。
ただし、この2割特例についてはインボイス制度開始前(2023年10月1日より前)から課税事業者を選択している小規模事業者は対象外です。

■1万円未満の仕入についてはインボイス不要(少額特例)
年間の課税売上高が1億円以下、あるいは特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者であれば、1万円未満の仕入れのための商品購入については、インボイスがなくとも仕入税額控除ができる経過措置が設けられました。この経過措置は、2023年10月1日から2029年9月30日まで施行されます。

■1万円未満の適格返還請求書は不要
インボイス制度が施行されて以降、返品や値引きを実施する際には「適格返還請求書」を顧客に交付しなければならないことになっていました。しかし、令和5年度税制改正大綱によって、返還などに係る税込み価格が1万円未満である場合には、この「適格返還請求書」の交付は不要となりました。
これは経過措置ではなく、恒久的な変更です。

相続時精算課税制度に基礎控除を創設(2023.4)

平成15年に創設された相続時精算課税制度は、贈与額の累計が2,500万円まで贈与税が課税されません。
しかし、相続時精算課税制度を選択した後は暦年課税制度にある110万円の控除がなく、しかも贈与者が死亡した際には制度適用後の受贈財産をすべて加算して相続税が課税されるため、利用が進んでいませんでした。
令和5年度税制改正では、「相続税・贈与税の一体化」を進める上での経過的な措置として「相続時精算課税制度」に110万円の基礎控除を創設し、贈与者に相続が発生した時に加算する累積贈与額に毎年110万円の基礎控除部分を加算しないでよいこととされました。
なお、この改正は令和6年1月1日以後に贈与した分から適用されます。

暦年贈与の加算は3年から7年に(2023.4)

相続税の申告の際には、被相続人が死亡した際の財産総額に、相続または遺贈によって財産を取得した人が被相続人から相続開始前3年間に贈与を受けた財産を加算して相続税が計算されます。
高額資産家の方がこの制度を利用して多くの財産を生前に贈与することによって相続税を節税していることが問題だとして、改正後は加算する期間を相続開始前7年間に延⻑することとされます。
なお、3年から7年に延⻑される4年分については、この期間の加算対象額から総額で100万円を控除することとされます。
この改正は令和6年1月1日以後に贈与により取得した分から適用開始されます。
令和5年中に贈与を受けた分は3年内加算の対象となり、7年内加算の対象となるのは令和6年1月1日以後からの贈与です。令和9年1月1日以後の相続から加算される期間が徐々に延⻑され、令和13年1月1日以降は被相続人の死亡日からさかのぼって7年間の贈与財産が加算されることになります。

電子取引・令和5年度税制改正のポイント(2023.3)

令和5年度の税制改正において、令和6年1月1日以降の猶予措置が規定されました。

1.「電子取引」について
1)電子取引データの電子保存制度に新たな猶予措置の整備(令和6年1月1日より適用)
電子取引データを保存要件に従って保存することができなかったことについて、相当の理由がある保存義務書に対して、所轄税務署⻑がそのことを認め、かつ、保存義務者が電子取引データのダウンロードの求め及びデータの出力書面の提示又は提出の求めに応じることができるようにしていることでもよいとする猶予措置が新たに整備されます。

2)電磁的記録の検索機能の確保要件の緩和(令和6年1月1日より適用)
電子取引データの電子保存について、下記の①②の者がデータのダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には検索要件の全てが不要となります。
① その判定期間(法人は前々事業年度、個人事業者は前々年)における売上高が5,000万円以下(現行:1,000万円以下)である保存義務者。
② その電子取引データの出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたもの)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている保存義務者。

2.「電子帳簿・電子書類保存」について
国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度の「過少申告加算税の軽減措置」の対象となる優良な電子帳簿について、その範囲が明確化されます。(令和6年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用)

3.「スキャナ保存」について
国税関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し(令和6年1月1日より適用)
③ 国税関係書類をスキャナで読み取った際の解像度、階調及び大きさに関する情報の保存要件を廃止する。
④ 国税関係書類に係る記録事項の入力者等に関する情報の確認要件を廃止とする。
⑤ 相互関連性要件について、国税関係書類に関連する国税関係帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認することができうようにしておくこととされる書類を、契約書・領収書等の重要書類に限定する。

令和6年1月からは、電子取引データの電子保存が必要となります。
電子取引データについて紙出力保存を容認してきた「宥恕措置」が令和5年12月末をもって廃止されます。この宥恕措置に代わり、新たな「猶予措置」が令和6年1月1日から実施されます。
「猶予措置」により、今後も引き続き紙出力保存が容認されるとする誤解がありますが、そうではありません。令和6年1月1日以降は、電子取引データは電子保存することが必要となりますので、保存に向けた準備を早めに進めましょう。

相続土地国庫帰属制度の相談対応を開始(2023.3)

 2月22日から、全国の法務局・地方法務局の本局において相続土地国庫帰属制度(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律)についての対面相談・電話相談の対応が開始されています。
 相続土地国庫帰属制度は、土地利用ニーズの低下等により土地を相続したものの手放したいと考えている所有者や、相続を契機として土地を望まず取得し負担感を持つ所有者が増加して管理の不全化を招いており、今後さらなる所有者不明土地の増加も懸念されることからこれを予防するため、一定の要件を満たした場合に土地を手放して国庫に帰属させることを可能とするもので、令和3年4月21日に成立し、今年の4月27日に施行されます。
 開始された対面相談・電話相談は、インターネット(法務局手続案内予約サービス)での事前予約制で、相談時間は1人、1日1回、30分間です。承認申請をする土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門で受け付けており、支局・出張所では相談は受け付けていません。
 相談に当たっては、土地の情報や相談内容を書き込んだ「相続土地国庫帰属相談票」や、引き取ることができない土地に当てはまらないかどうか等を確認できる相談したい土地の状況について記入した「チェックシート」とともに、登記事項証明書又は登記簿謄本、法務局で取得した地図又は公図、法務局で取得した地積測量図、その他土地の測量図面、土地の現況・全体が分かる画像又は写真などの資料をできるだけ持参することで、適確な回答を得ることができます。

 なお、申請ができるのは、相続や遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により土地の所有権を取得した相続人となるが、相談に関しては土地の所有者本人だけではなく、家族や親族が相談することも可能です。

相談の事前予約方法や、相続土地国庫帰属相談表、相続したい土地の状況について(チェックシート)は法務省のホームページでご確認ください。

法務省:相続土地国庫帰属制度の相談対応を開始します
    https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00498.html

令和4年分の確定申告の変更点(2023.1)

令和4年分の確定申告の変更点は、大きくは書類が統合されて簡素化が図られていることと、事業所得と雑所得の明確化が挙げられます。

確定申告書類の変更点

①申告書「A」廃止、確定申告書が一本化
 確定申告書は、これまで「A」と「B」に分かれていました。「A」は会社勤めの人が医療費控除を受ける場合や年金と給与の両方から収入がある場合などで簡易版とされていましたが、令和4年分からは「B」に統合される形になり、様式が一本化されます。

②修正申告書第五表(別表)が廃止、第一表に修正申告欄が追加
 修正申告は、申告期限後に修正して申告する手続きです。これまで申告書の第一表と第五表の(別表)の提出が必要でしたが、第五表が廃止となり、第一表に欄を追加する形で統合されます。

③収支内訳書が雑所得(業務)の申告に対応
 収支内訳書は、事業所得や不動産所得などで必要とされてきましが、令和4年分の申告からは一定の雑所得についても収支内訳書の提出が必要となります。
 雑所得には「公的年金等」「業務に係るもの(副業収入などで、営利を目的とした継続的なもの)」「それ以外」の3種類に分けられます。このうち「業務に係るもの」について「前々年度の売上高が1,000万円を超えていた場合」に収支内訳書の提出が求められるようになりました。

税制改正に伴う確定申告の変更点

①住宅ローン控除の適用期限延⻑・控除率の縮小・借入限度額等の見直し
 ・住宅ローン控除の適用期限を4年延⻑(令和7年12月31日までに入居した人が対象)
 ・控除率は改正前の1%から0.7%に引き下げ
 ・所得制限が3,000万円から2,000万円に引き下げ
 ・所得が1,000万円以下の場合、床面積要件を緩和
 ・新築住宅の控除期間が原則10年から13年に延⻑(中古住宅は10年間に据え置き)

②居住用財産の買換え等に関する特例の見直し
 ・対象となる期間を2年延⻑(令和5年12月31日まで)
 ・買換えた新築住宅の場合、一定の省エネルギー基準に適合しているものを対象

③社会保険料控除・小規模企業共済掛金控除に関する確定申告手続きの見直し
 年末調整や確定申告において、添付すべき書面を電子データで提供できるようになりました。

④セルフメディケーション税制における対象薬品の見直し
 ・効果の薄いスイッチOTCが除外され、一部の非スイッチOTC医薬品が対象範囲に含まれるようになりました。
 ・制度の適用期限が5年間延⻑され、令和8年12月31日までとなり、上記の取り組みに関する書類の確定申告書への添付も不要となりました。
  なお、セルフメディケーション税制は、通常の医療費控除といずれかを適用させる選択制です。
 両方を併用することはできませんのでご注意ください。

 納付につきましは、QRコード決済などを用いたスマホアプリ納付が昨年12月1日より可能となりました。「国税スマートフォン決済専用サイト」にアクセスし、決済方法を選んだ後にチャージした残高から納付額が差し引かれる形となります。
 対象となる決済方法は、PayPay、d払い、auPAY、LINEPay、メルペイ、AmazonPayの6種類です。
 ただし、一度の納付手続きにつき30万円の上限があります。

 令和4年分の提出期限は、2月15(⽔)〜3月15日(水)です。
 納付につきましても期日までに済ませないと延滞税が課せられる可能性がありますので、早めの申告・納付ができるよう準備を進めましょう。