令和7年度の税制改正により、登録免許税について二つの免税措置が、その適用期限を令和9年3月31日まで2年延⻑されるとなりました。
① 相続により土地を取得した個人が登記を受ける前に死亡した場合の登録免許税の免税措置について
相続による土地の所有権の移転登記については、登録免許税の本則税率は0.4%と定められていますが、相続により土地の所有権を取得した個人が、その相続によるその土地の所有権の移転登記を受ける前に死亡した場合には、令和9年3月31日までに、その死亡した個人をその土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税が課されません。
② 少額の土地を相続により取得した場合の登録免許税の免税措置について
個人が、令和9年3月31日までに、土地について所有権の保存登記または、相続による所有権の移転登記を受ける場合において、これらの登記に係る登録免許税の課税標準となる不動産の価額が100万円以下であるときは、その土地の所有権の保存登記または、その土地の相続による所有権の移転登記については、登録免許税が課されません。
なお、市町村役場で管理している固定資産課税台帳に登録された価格がある場合は、その価格となります。固定資産課税台帳に登録された価格がない場合は、登記官が認定した価額になるので、その不動産を管轄する登記所に問い合わせる必要があります。
令和8年4月1日から不動産所有者の住所・名前の変更登記が義務化されることにともない、法務省では、ホームページ内に「住所等変更登記の義務化特設ページ」を設けて周知を行っています。
今回の義務化により、住所や氏名・名称の変更の日から2年以内に登記する必要があります。正当な理由なく義務に違反した場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。
また、義務化前(令和8年4月1日より前)の変更も対象とされており、義務化前に住所や氏名・名称に変更があった場合は、令和10年3月末までに登記しなければなりません。
なお、法務省では「スマート変更登記」の利用を呼び掛けています。
これは、かんたん・無料の手続をすることで、その後は法務局が職権で住所等変更登記をするサービスのことです。これにより、住所等の変更があるたびに自分で登記申請をしなくても、義務違反に問われることがなくなります。
法務省「住所等変更登記の義務化特設ページ」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00687.html
法務省「スマート変更登記」の詳細は
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00688.html
令和7年度税制改正では、個人向けとしては、所得税の基礎控除額等の引き上げ等が大きな改正点です。
➀所得税の基礎控除額等の引き上げ
・基礎控除の控除額を10万円引き上げ(合計所得金額2,350万円以下が対象)
・給与所得控除の最低保障額(55万円)を65万円に引き上げ
・大学生年代の子等に係る新たな控除(特定親族特別控除・仮称)の創設
②子育て支援に関する税制の拡充等
・子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充
23歳未満の扶養親族がいる場合の一般生命保険料の控除の適用限度額が6万円(現行4万円)に引き上げ
・子育て世帯等に対する住宅ローン控除
令和6年限りとしていた子育て世帯等に対する住宅ローン控除の借入限度額の上乗せと床面積要件の緩和措置について、令和7年限りの措置として引き続き適用可
・⼦育て対応リフォーム税制の延⻑
居住用の家屋について一定の子育て対応改修工事(リフォーム)をした場合に、その子育て対応改修工事費用相当額(250万円を限度)の10%に相当する金額を年分の所得税の額から控除できる措置が、令和7年限り引き続き適用可
③iDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出限度額の引き上げ
・自営業・フリーランスの方
国⺠年⾦基⾦と合算して、⽉額6.8万円から月額7.5万円に引き上げ
・会社員(企業年金なし)の方
月額2.3万円から、月額6.2万円に引き上げ
・会社員・公務員(企業年金あり)の方
企業年金の掛金と合算で5.5万円まで、かつiDeCo の上限2万円から、企業年金の掛金と合算で6.2万円まで拠出可能(iDeCoの上限は撤廃)
相続土地国庫帰属制度とは、相続した土地が管理できないまま放置されることで、将来、「所有者不明土地」が発生することを予防するため、相続または遺贈によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とするものです。令和5年4月27日から開始されています。
運用状況によると、令和6年11月30日現在における申請件数(総数)は3008件。地目別にみると、田・畑が最も多く1119件、宅地1068件、山林473件、その他 348件となりました。
このうち、帰属が認められた件数(総数)は1089件。種目別にみると、宅地が431件と最も多く、農用地334件、森林48件、その他276件となっています。
一方、却下件数は51件で、不承認件数は43件、取下げ件数は452件となりました。
詳しい状況は、法務省HPでご覧いただけます。
相続土地国庫帰属制度の運用状況:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00579.html
制度の内容については、法務省HPでご覧いただけます。
相続土地国庫帰属制度について:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html
国税庁では、今後もe-Taxの利用拡大が更に見込まれることや、DXの取組の進捗も踏まえ、国税に関する手続等の見直しの一環として、令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押なつを行わないこととなりました。
※対象となる「申告書等」とは、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類のほか、国税庁、国税局、税務署に提出されるすべての文書をいいます。
郵送で申告書等を提出する際は、申告書等の正本(提出用)のみ送付となりますので、控えは必要に応じてご自身で保有、提出年月日の記録・管理をする必要があります。
なお、令和7年1月以降、窓口では当分の間の対応として、「申告書等の提出について」というリーフレットに申告書等を収受した「日付」や「税務署名」を記載したものを、希望者には渡してくれるそうです。
郵送により申告書等を提出する際も、当分の間の対応として、切手を貼付した「返信用封筒」を同封された方について、窓口での対応と同様に記載したリーフレットが返送されます。
申告書等の提出事実及び提出年月日の確認方法については、スマートフォンやパソコンに保存したデータから印刷する方法や、e-Taxメッセージボックスの受信通知からダウンロードする方法、「申告書等情報取得サービス」を利用して取得する方法、「申告書等閲覧サービス」を利用する方法等があります。
詳しくは、国税庁ホームページで確認できます。
国税庁:「申告書等の情報の取得について」
https://www.nta.go.jp/about/disclosure/kojinjoho/shinkoku.htm