2023年

※コラムについては、コラム中に記載がない場合は更新現在の規則・法則・状況にもとづいております。

相続登記の申請が義務化されます

 相続登記の申請が令和641日から義務化されます。「過去の相続には適用されるの?」といったご質問も増えてきています。相続登記義務化の基本をおさらいしておきましょう。


Q1 
相続登記の申請義務化とはどんな内容ですか?

 不動産を相続したことを知った日から3年以内に、相続登記の申請をする必要があります。正当な理由がないのに相続登記の申請を怠った場合は、10万円以下の過料の対象となります。

Q2 
なぜ義務化されたのですか?
 登記簿を見ても所有者がわからない土地の面積は、全国で九州本島の大きさに匹敵するとも言われています。この「所有者不明土地」が発生する原因の約6割は相続登記の未了にあるとされています。

 このままですと土地の管理が放置される土地が増えたり、土地の利用が妨げられたりする恐れがあります。そこで相続登記の申請を促すため義務化が図られることとなりました。

Q3
義務を果たすには何をすればいいですか?
 相続人全員でできるだけ早期に遺産分割協議を行い、その結果を踏まえて速やかに相続登記の申請をしてください。
 なお分割協議がまとまらないなど、3年以内の申請が難しい場合には「相続人申告登記を行なってください。

Q4
今のうちから何をしておけばいいですか?
 相続登記の申請義務は令和641日よりも前に相続した不動産も対象になります。すでに亡くなった方の名義の不動産がある場合には、早目に遺産分割協議を行い相続登記をしておくことが大切です。
 また、将来の相続に備えて遺言書を作成しておくことも考えられます。

 

参考資料

001399972.pdf (moj.go.jp)
df2d76188d4accd124396c5f2ac47068.pdf (shiho-shoshi.or.jp)

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電子取引に関する電子データ保存 もう対応されていますか?

 令和51231日をもって、電子帳簿保存法にかかる電子取引データの保存にかかる宥恕措置が終了します。そのため、それまでは、紙で出力した形での保存も認められていますが、令和611日以降は電子データでの保存が強制されることになります。

(電子取引データ保存制度の概要)

 電子帳簿保存制度における電子データの保存制度とは、申告所得税・法人税に関して帳簿・書類を保存する義務のある者(会社、個人事業主等)が、注文書、契約書、送り状、見積書、領収書等に相当する電子データをやりとりした場合にその電子データを保存しなければならない、という制度です。この制度は、他の電子帳簿保存やスキャナ保存と異なり、電子データでの保存が強制されるため基本的には全法人、全事業者が対応を求められることになります
 また、電子取引を保存するにあたって、ただ、電子データをフォルダに格納しておくのみならず、改ざん防止措置、検索機能の確保などいくつかの要件を満たす必要があります(電子取引データ保存について満たすべき要件の詳細については国税庁のホームページをご覧ください)。

(電子取引データ保存への対応方法)

 電子取引データの保存にかかる対応については、大きく2点考えられます。1点目が、会計システム、その他電子データ保存システムの利用、もう1点目がPCのみで対応する方法の2点です。

 

専用システムの利用

PCのみで対応する方法

対応方法の概要

法的要件に対応した専用のシステムを利用して電子データを保存する。電子データを保存するシステムの一例としては、()TKCが取り扱う証憑保存機能がある。

PCの中にフォルダを作り、そこに電子データの保存を行う。

ü  改ざん防止措置として、改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る。

ü  検索機能は表計算ソフト等で索引簿を作成する、もしくは、規則的なファイル名を付すことにより確保する。

メリット

ü  ペーパレス化や経理業務の効率化につながる(一般的に専用システムは、電子取引データのみならず、スキャナ保存にも対応しているため)。

ü  取引規模が大きく、取り扱う電子データの量が多い場合は、効率的に電子データ保存を実現することができる。

システムの導入が不要なのでその負担(利用料、手間)を軽減することができる。

デメリット

ü  システムの利用について、通常、利用料が発生する。

ü  導入することによる手間が発生する。

 

ü  手作業が多く取り扱い電子データ量が増えると事務作業が煩雑になる。

ü  システムを利用しないため、ペーパレス化や経理業務効率化にはつながらない。


(その他の取り扱い/対応)

 そのほか、令和5年の税制改正により、猶予措置、検索可能要件の緩和などの制度が新設されました。会社や事業の状況によっては、これらの制度を活用すると、効率的に電子取引の電子データ保存を行うことができるようになる可能性があります。

 
 電子取引データの保存については、順次、今から計画的に対応を進めることが必要となります。ご不明点等ございましたら、当事務所にお問い合わせください。なお、当事務所においては、()TKCが取り扱っている証憑保存機能を推奨しております。

 

電子帳簿保存法に関連する国税庁のホームページ

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/index.htm

 

電子取引対応に関するパンフレット(国税庁)

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_01.pdf

 

証憑保存機能の解説

https://www.tkcnf.com/f-shihou-kaikei/tkc-tds

 

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インボイス制度の負担軽減措置 ~令和5年度税制改正~

令和510月よりインボイス制度の運用が始まります。既に多くの事業者が適格請求書発行事業者登録や免税事業者との取引にかかる経過措置への対応・準備等をされている状況ですが、今回の改正では事業者の負担軽減措置が盛り込まれました。以下3項目を挙げますが、適用期間の定めもありますので経理実務について再度見直しする機会としてください。

 

1、  2割特例(小規模事業者に対する負担軽減)

免税事業者が適格請求書発行事業者の登録により課税事業者となる場合に、一定期間の消費税の納税額の計算について、売上に係る消費税額の2割を納付税額と計算する特例が設けられました。事前の届出等は不要で、通常の計算方法(一般課税・簡易課税)と2割特例とを申告の都度選択して税額計算することができます。簡易な計算方法ですが適用期間の定めがあり、また同期間内でも基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合など 2割特例の適用が出来ない場合もありますので、注意が必要です。

※ 適用期間:令和5101日から令和8930日までの日の課税期間の属する各課税期間

 

2、 インボイス保存の省略(1万円未満の取引)

基準期間に於ける課税売上高1億円以下、又は特定期間に係る課税売上高が5千万円以下である事業者が一定期間内に行う課税仕入れで、その支払金額が1万円未満(税込み)の取引である場合には、消費税法上帳簿の保存で足りインボイスの保存は求められません。この措置も期限や対象事業者の範囲に定めがありますので、経過措置であることを認識していなければなりません。

※ 適用期間:令和5101日から令和11930日まで

 

3、 適格返還インボイスの交付省略(1万円未満の返品・値引き)

売上に係る値引き等について適格返還請求書の交付義務について見直しがなされ、1万円未満(税込み)の場合には返還インボイスの交付義務が免除となります。この改正については適用対象者や期間の定めは無いので、すべての適格請求書発行事業者は一般にこの適用を受けることが出来ます。

 

令和5年度税制改正関係(インボイス関連)|国税庁 (nta.go.jp)

Q&A|国税庁 (nta.go.jp)

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適格請求書発行事業者(売り手)の義務等

令和5101日から、「適格請求書等保存方式」(インボイス制度)が開始されます。これにより、適格請求書発行事業者が令和5年10月1日以降に行う課税取引について、原則、以下の義務が課されます。

〇 適格請求書の交付
 
    取引の相手方の求めに応じて、適格請求書(インボイス)を交付する。
〇 適格返還請求書の交付
    返品や値引きなど、売上げに係る対価の返還等を行う場合に、適格返還請求書を交付する。
〇 修正した適格請求書の交付 
    交付した適格請求書に誤りがあった場合に、修正した適格請求書を交付する。
〇 写しの保存
    交付した適格請求書の写しを保存する。

 適格請求書発行事業者の登録を受けている間は、基準期間の課税売上高が
1,000万円以下であっても、消費税の申告が必要となりますのでご注意ください。(事業者免税点制度の適用はありません。) 

 

 また、適格請求書発行事業者として登録された情報(氏名・法人名・登録番号など)は、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」において公表されているので、誰でも検索することが可能です。


【確認できる事項】

法定の公表事項

    ①     適格請求書発行事業者の氏名又は名称
    ②     法人(人格のない社団等を除きます。)については、本店又は主たる事務所の所在地
    ③     特定国外事業者以外の国外事業者については、国内において行う資産の譲渡等に 係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地
    ④     登録番号
    ⑤     登録年月日
    ⑥     登録取消年月日、登録失効年月 

本人の申し出に基づき追加で公表できる事項

    ①     個人事業者の「主たる屋号」、「主たる事務所の所在地等」
    ②     人格のない社団等の「本店又は主たる事務所の所在地」


ちなみに適格請求書発行事業者の登録番号は、次のとおり構成されています。

1.     法人番号を有する課税事業者
T」(ローマ字) + 法人番号(数字13桁)

2.     上記以外の課税事業者(個人事業者、人格のない社団等)
T」(ローマ字) + 数字13桁(注)

 

 (注)13桁の数字には、マイナンバー(個人番号)は用いず、法人番号とも重複しない事業者ごとの番号になります。

 

 なお、公表事項に変更が生じた場合や、登録を失効させるような場合には、一定の手続きが必要です。

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相続税の対象となる死亡保険金

被相続人が保険料を負担していた生命保険で、被相続人が亡くなったことにより取得した死亡保険金については、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。
この死亡保険金の合計額が次の算式によって計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分の金額が相続税の対象となります。

 非課税限度額=500万円×法定相続人の数

法定相続人の数は、相続人の中に相続放棄をした人がいる場合も法定相続人の数に含めて非課税限度額を計算することになります。
法定相続人の中に養子がいる場合、実子がいるときは1人まで、実子がいないときは2人まで法定相続人に含めて計算することになります。
死亡保険金を法定相続人以外の人が受け取った場合、相続放棄をした人が受け取った場合にはこの非課税の適用はありません。

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少額の返還インボイスについて交付義務の見直し

令和5年101日からインボイス制度が始まりますが、4月にインボイス制度について改正がありました。
その内の一つに少額な返還インボイスの交付義務免除というものがあります。
これは値引きや返品などがあった場合
1万円未満の少額なものであれば返還インボイスを交付する義務がなくなるというものです。
売手が振込手数料を負担するケースなどは多々見受けられますので、実務上うれしい改正ですね。
この改正については、期限や対象者の制限はありません。

 また、少額取引(1万円未満)について一定の帳簿のみを保存することで仕入税額控除が可能という改正もありますが、こちらは期間が令和11930日までの期限付き、対象者も基準期間(2年前)の課税売上が1億円以下または特定期間(1年前の上半期)の売上が5千万円以下の事業者に限られますので注意が必要です。

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