生前贈与について


いつ誰に何を贈与するのが有効なのか、一緒に検討をします。実行された贈与については、暦年課税か相続時精算課税か有利な方法を検討して申告書を作成します。

生前贈与とは

生前贈与は、贈与者が遺産を相続人に対して事前に贈ることであり、遺産分割の前に一部の財産を受贈者に譲渡する方法です。これにより、贈与者の意向に基づいて特定の財産をあらかじめ贈与することができ、将来の相続の際に争いやトラブルを防ぐことができる場合もあります。

生前贈与と相続の違い

生前贈与の場合、贈与者が自らの意思で贈与の内容や受贈者を選択します。これにより、贈与者は生前に贈られた財産を制御し、受贈者はその財産を受け取る権利を持ちます。一方で、相続では、遺産分割が法律に基づいて行われるため、亡くなった方の意向を反映することは一部可能ですが、全てがそのまま反映されるわけではありません。

また、贈与と相続の税金面でも違いがあります。生前贈与には贈与税が課される場合がありますが、相続には相続税が課されることが一般的です。ただし、贈与には贈与税の非課税枠があるため、少額の贈与であれば税金を節税することができることもあります。

さらに、生前贈与は相続の対策として用いられることがあります。贈与を通じて、相続時の遺産を減らし、相続税負担を軽減したり、家族間のトラブルを未然に防いだりすることが可能です。

生前贈与の種類

生前贈与には「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」という2つの種類があります。

暦年贈与

暦年贈与とは、相続税の節税に効果的な方法で、年間で110万円までの贈与税が非課税となる贈与方法です。

贈与税は、相続税とは異なり親族以外の他人から財産を受けた際にも対象となりますが、上述のように1年間の総額が110万円以下の場合は非課税となります。このことを贈与税の基礎控除枠と言います。


  • 暦年贈与に向いているケース

▽相続までの時間に余裕がある場合

▽複数人に贈与したい場合

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は、2500万円まで贈与税が発生せずに、贈与を受け取り、相続時に贈与財産と相続財産の合計から、相続税を算出・納税する方法です。


  • 相続時精算課税制度に向いているケース

▽相続税がない場合(相続税の基礎控除を下回る場合)

生前贈与を行うメリット

相続税を節税できる

生前贈与を行う一つのメリットは、相続税を節税できる点です。通常、相続される財産には相続税がかかりますが、生前贈与によって相続時の財産を減らすことによって、相続税を減らすことが可能です。特に高額の財産を相続する場合には、生前贈与による節税効果は大きくなるでしょう。

相続に関するトラブルの軽減

相続はしばしば家族間でトラブルの元となりますが、生前贈与を行うことでこれを軽減できる可能性があります。贈与を行った時点で、その財産は既に相続財産から外れるため、相続人間の対立や争いを防げる場合があります。家族の絆を守りながら、円満な相続の実現を目指しましょう。

贈与時期を選択できる

生前贈与には、贈与時期を選択できるという柔軟性もあります。被相続人が自らの財産を後世に残したいと考えるタイミングで贈与を行うことができます。例えば、相続が想定される高齢期や病気療養中など、自身の健康状態や意向に合わせて贈与の計画を立てることが可能です。

任意(特定)の人に財産を贈与できる

被相続人が財産ごとに贈与したい方がいらっしゃる場合、生前贈与によって確実に財産の所有権を渡すことが可能です。遺言を使用した相続も可能ですが、被相続人の死後に開示されるため、その内容が意図と異なっていることが判明したり、遺言書が見つからないなどのトラブルが生じることがあります。しかし、生前贈与は本人が存命中に行われるため、その意思を確認しながら進めることができ、贈与を行う本人の意図を直接確認し、将来的なトラブルのリスクを大幅に低減することができるのです。

生前贈与の手続きの流れ

  1. 必要資料収取
    贈与手続きを始める前に、必要な資料を収集します。携帯される資産の詳細情報、所有権の証明書類、過去の贈与履歴などを確認いたします。また、贈与に関連する法的な書類についても確認させていただきます。

  2. 贈与の種類(現金なのか不動産なのか)
    贈与には現金や不動産など、さまざまな種類があります。要望や状況に合わせて、最適な贈与の形態を選定いたします。それぞれの種類にはメリットとデメリットがあるため、丁寧な説明と選択肢をご提示させていただきます。

  3. 評価額の決定
    贈与の対象となる資産の評価額を確定します。評価額によっては贈与税の額が変わるため、正確な評価をご提示させていただきます。

  4. 税務署の提出
    贈与を行う際には、贈与税の申告が必要です。評価額をもとに贈与税を計算し、税務署へ提出します。