令和6年4月1日
税理士 小野 貴裕
新型コロナウイルスの影響もなくなりつつあり、企業の業績は上向くところが増えてきています。利益が出たことに対して配当を行う会社もあるかと思います。ここでは剰余金の配当を行う際の基本的な手続きを見ていきます。内容は非上場会社に限定します。
配当を行う際の流れ
企業が配当を行う際、次の手続きによります。
1.分配可能額の確認 2.株主総会による決議 3.支払う際の注意
4.税務署への届出、納税
1.分配可能額の確認
配当は会社の財産を減少させる行為であり、債権者保護のために金額に制限がかけられています。基本的には次の算式による合計が上限額となります。自己株式やのれんその他がある場合、調整が入ります。
最終事業年度末日時点の剰余金の金額=その他資本剰余金+その他利益剰余金
2.株主総会による決議
剰余金の配当は株主総会の決議によって決定します。総会では次の事項を定めます。
①配当財産の種類、金額。 ②株主に対する配当財産の割当に関する事項。
③配当の効力が生ずる日。
①は通常の場合現金となり、1株当たり何円、全体で何円と決めます。②は種類株式がなければ株式数に応じて割り当てられることになります。③の効力発生日を持って、株主の配当金請求権が発生します。
3.支払う際の注意
支払う際には総会で決議した金額をそのまま支払うのではなく、20.42%の源泉所得税を控除する必要があります。控除した税額は翌月10日までに税務署に納付します。
4.税務署への届出、納税
配当金を支払った場合、支払確定日から1カ月以内に税務署に支払調書を提出し、また支払日の翌月10日までに源泉徴収した20.42%分の所得税額を納付する必要があります。配当の源泉分の納付書は通常の給与の納付書は別のものですので、電子納付等を利用しない場合は税務署にてあらかじめもらっておく必要があります。また支払調書は1回の支払いが3万円以下等一定の方については提出不要とされています。
〇詳しくは、柴田税務会計事務所 小野迄お尋ねください。