独立・開業を目指される方

 Q.  独立・開業に不安を抱いています。

 A.  
夢だけを追って独立・開業を決断するのはやはり危険です。でもリスクを取らなければ何も始まらないのも事実です。
事業を始めようと思ったら将来の事業イメージや事業計画を立ててみることをお勧めしています。
当事務所では創業計画書を一緒に作っています。
その時

自社の市場での立ち位置はどこにするのか
対象顧客にあった売れ筋商品をそろえたか
自社の強みは何なのか
自社の弱みは何なのか

市場の機会に対して自社の強みをぶつけることによって市場を取り込むことができないか、逆に市場の脅威と自社の弱みの負のシナジーで最悪の事態を招かないようにするにはどうすればよいかを念頭に創業計画書を作って、自分の中に事業をイメージ出来るところまでもっていけれれば、不安を和らげることができます。
それでも不安が消えなかったら……。後は自分で判断するしかありません。


 Q.  独立・開業を考えています。その前に脱サラする時の注意事項を教えて下さい。

 A.  
健康保険は、退職後も引き続き加入することができます。これを任意継続被保険者制度といいます。保険料は全額自己負担ですが、上限がありますので、給料の高かった人は国民健康保険に入るより有利な場合があります。扶養家族も退職前と同様の扱いです。協会けんぽに加入していたときは、住所地の協会けんぽ都道府県支部に、健保組合に加入していたときはその健保組合に、ともに退職後20日以内に手続きをする必要があります。
国民健康保険に切り替える場合は市区町村で手続きします。
年金は市区町村で国民年金に切り替えることになります。
雇用保険は、創業の準備を始めたときから失業とはいえず、失業給付は受けられませんが、事業を開始し、人を雇って雇用保険の適用事業所になれば、一定の要件を満たせば、再就職手当を受けることができる場合があります。そのためには、退職時に離職票を受け取り、住所地を所轄するハローワークで手続きをとっておきましょう。
また、一定の要件に該当すれば「中小企業基盤人材確保助成金」等の助成金も貰えます。


 Q.  会社を設立すると税務上必要な届出はどのようなものがありますか。

 A. 
会社を設立した場合、次のような届け出が必要です。

1.税務署

法人設立届2ヶ月以内
青色申告の承認申請書 3ヶ月以内
給与支払事務所等の開設届出書 1か月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 提出月の翌々月から効力発生
消費税課税事業者選択届出書
 設立事業年度に消費税の還付が見込まれる場合で資本金要件に非該当の場合

2.県(都)税事務所、市役所

「法人設立届出書」 各県、市 各条例に定められています。


 Q.  会社を設立した場合、社会保険や労働保険の加入は必要ですか。

 A. 
法律上加入が必要です。(加入していないところもままありますが)

1.社会保険の加入(会社所在地所轄の年金事務所に手続)

「新規適用届」その他必要書類を提出
社長1人でも法律上は加入が義務づけられています。
健康保険料 会社負担・個人負担とも概ね月給の4.985%(都内)介護保険料 同0.775%厚生年金保険料 同8.383%児童手当拠出金 会社負担のみ0.13%

2.労働保険の加入(会社所在地所轄の労働基準監督署に手続)

保険関係成立届
概算・増加概算・確定保険料申告書
社員を採用したら労働保険の加入が必要です。
アルバイト・契約社員でも労働保険の加入は必須です。
労災保険料は全額会社負担です。
労災保険料率は事業により異なりますが、「その他各種事業」の場合は
概ね月給の0.3%

3.雇用保険の加入(会社所在地所轄のハローワークに手続き)

「雇用保険適用事業所設置届」
パートさんでも週20時間以上の勤務であれば加入が必要です。


 Q.  個人として起業するときも社会保険等の加入が必要ですか。

 A. 

  1. 社会保険は、法人でない(個人)場合は、一部(5人以上の製造業・物品販売業等)を除き、加入するかしないかは自由です。
    しかし、ある程度の人材を確保しようとすると社会保険未加入では良い人材は集めにくいかも知れません。
  2. 労働保険は、法人でない(個人)場合であっても1人でも採用したら加入が必要です。(例え加入手続をしない場合でも、法律上は当然に労働保険関係が成立したものとみなされます。)


 Q.  社員を雇ったら上記以外でどんなことを注意すればいいですか。

 A. 

  1. 契約期間の有無・労働時間・休憩・休日・休暇・賃金などは、雇入時に文書で示すよう求められていますので、事前に考えておきましょう。
  2. ある程度組織が大きくなると、就業規則、賃金体系、人事評価などの整備が必要になってきます。これらは徐々に整備対応するようにしましょう。